「人事凍結」と入試業務の関係についての
公開質問状
横浜市立大学 学長
小川恵一 様
2002年10月1日
商学部入試委員長
平 智之
前略 貴職におかれましては、入試過誤の再発を防止しつつ入試業務の円滑な遂行のために、各方面でご努力いただいていることと存じます。
さて、さる9月18日の入試管理委員会において、貴職が入試過誤の再発防止のために、教職員に対する最大限の注意を督励するご発言を行なわれました。これに関連して、私はその最たる対象とされた商学部入試委員長として、特に入試プログラムやデータの管理運用に当たる職員の増員や、20年以上も金額が据え置かれたままの担当教員への出題・採点手当の改善など、必要な予算措置が伴わない限り、貴職の「訓辞」のみでは入試過誤の再発防止は困難であり、貴職と大学事務当局者の一層のご努力を要望いたしました。
ところで、貴職も書類等でお聞き及びと存じますが、来る10月3日の商学部教授会で、ある教授に対する他大学からの「割愛願い」が上程され審議される予定です。もちろん、従来の慣行に則って承認され、その教授は今年度をもって退職することになると存じます。そうなれば、定年退職する社会構造論と保健体育の両教授と合わせて、商学部の今年度の退職教員は現時点で3名に及ぶことになります。
定年の2名の教員の後任人事は、貴職が公表された「学長見解」によって「凍結状態」に直面しており、商学部教授会の総意にもかかわらず公募手続きは進行しておりません。今回、他大学から割愛を求められたもう1名の教授の後任人事も、従来通りならば期限一杯くらいで今年度中に後任人事が決定できる可能性が強かったのです。
ところが、こちらも当然、上記「学長見解」に基づき、後任人事は「凍結状態」に陥るのがほぼ確実となるのではないでしょうか。それ自体の批判は私も一教員として連名した、7月25日付けの教員有志の「アピール」に譲りますが、これによって、冒頭の入試過誤の再発防止の面でも、以下のような重大な問題点が生ずることになります。
貴職の「学長見解」に百歩譲って、上記3名の教員の後任人事を当面「凍結」して非常勤講師に代替して講義・演習を行なったとしても、教員のもう一つの職務である学内行政の委員会活動は専任教員以外では遂行できないのは言うまでもありません。商学部の現場の実態では、昨今の入試業務の多様化に応じて繁忙を極め、今年度も複数の新人教員を入試委員に起用せざるをえませんでした(入試業務の経験のない新人教員は試験監督でさえ特段の配慮を求められているのに、です)。
今年度は商学部教員が定数一杯でさえ、かかる状態ですから、来年度3名の欠員が生ずれば、新人を起用することすらできず、過誤を再発させない入試業務の円滑な遂行に重大な支障をきたすであろうことは現時点で十分に予見できます。あまつさえ、同様に業務が繁忙な学部教務委員会に加えて、理科系と同様に昨今の高学歴化と国際化によって増加傾向にある大学院の受験生と在学生に対する入試と教務の両業務も、すでに学部に迫る教員の人員配置と負担が必要になっております。
以上、ご説明したように、来年度3名もの商学部教員の欠員が生じた場合、私の立場からは学部の入試業務、さらには学部・大学院の総合的な入試・教務体制に関して、貴職は学長として「後任人事凍結」の悪影響をいかに解決し、責任ある対策を講じられるご所存なのか、ここにご質問いたします。納得しうるご回答を要請いたします。
なお、速やかなご回答の有無いかんに関わらず、この文書は「公開質問状」といたし、来る10月3日の商学部教授会に提出して議論を仰ぐことにするとともに、上記「教員有志アピール」に準じて、同僚教員のホームページに掲載して大学内外に公表することを付言します。
以上、よろしくご高配のほどをお願い申し上げます。