横浜市立大学学長
小川惠一殿
要 望 書
10月1日付けで評議会に付された「平成15年度機構改革案」の問題について教員組合は10月10日に緊急の組合集会を開いて組合員間で意見交換と討議をいたしました。それを踏まえて教員組合は以下のことを学長はじめ学部長など部局長および評議員に要望いたします。
【要望事項】
学長はじめ学部長など部局長および評議員は、総務課の「平成15年度機構改革案」が評議会の審議事項であることを明確に主張し、評議会での決議のないままにこれが実行されないよう全力を尽くされるよう要望いたします。この問題を十分に審議できるための措置を取り、教員・職員が納得のいく形で実施されるよう強く要望いたします。
【その事由】
1 わたくしたちはいたずらに、ただ反対しているのではありません。研究・教育環境の改善とそれによる研究・教育水準の向上をめざした大学改革、あるいは、学生サービスの向上や事務効率の改善を目指した事務機構改革が必要であることはいうまでもありません。しかし、今回提案された「機構改革案」は一見して学務関係の事務組織を縮小し、企画調整組織を拡大するものです。これは大学の生命であり、大学の現場である教学を軽視する「改革案」という印象を拭えません。この「改革案」が実施されれば学生サービスが低下することは必至です。また,十分な検討と準備がないまま来年4月から実施されるとなれば,大きな混乱が予想されます。
2 総務課は年度内ならば事務室改修の予算を確保できるということを理由に「改革案」の実施を迫っていますが、その主張はまったく本末転倒です。重要なのは、どういう機構改革をすべきかをまず十分に議論すべきであって、予算があるからといって十分な議論がないままに実施に移すというようなことがあってはなりません。そのようなことをすれば、後に大きな禍根を残すことになるでしょう.
さらに、近い将来の本格的な大学改革により、事務室の再改修の必要も予想され、血税の無駄遣いの恐れさえあります。
3 もっとも重要なことは、「機構改革」というような重要な案件は評議会の審議事項であるという点です。総務課は、「事務局組織の改編は事務局の専決事項である」と主張しますが、その主張は学則に照らして違法の疑いがあります。学則第47条に評議会で審議する事項が規定されています。すなわち、
(1) 学則その他の重要な規程の制定または改廃に関すること、
(2) 人事の規準に関すること、
(3) 予算の見積もりに関すること、
(4) 学部、学科、研究所その他重要な施設の設置または改廃に関すること、
(5) 学生の定員に関すること、
(6) 各学部その他の機関の連絡調整に関すること、
(7) 学生の補導厚生に関すること、
(8) その他大学の運営に関する重要なこと、
ということになっています。
今回の「機構改革」は、直接的には「横浜市立大学及び横浜市立大学看護短期大学部事務分掌規則」の改廃に関わるものですが、その上位規程である学則の第47条、その(1)、(4)、(6)、(8)の諸規程に深く関わってくるものです。
さらにまた事務分掌規則の第7条で、「事務局長は、学長の命を受け、市立大学の事務を掌理し、その事務について職員を指揮監督する」とあります。総務課を指揮する事務局長が、このような重要事項を学長の命がないまま実施することはできないはずであり、事務局の専決事項であるなどと主張することは決してできないことです。
それ故、もしこの件について評議会で十分に審議するという手続きをせず、事務局が来年4月から機構改革を実施するとすればそれはまったくの非民主的な暴挙であります。
以上のように、わたしたちは、
@ 今回の「改革案」実施による教学に与える悪影響への危惧
A 本末転倒した「改革案」提案の仕方
B 「改革案」実施手続きの違法性・非民主性
を問題にしています。それ故、わたしたちはこの「改革案」を評議会の審議事項とするよう、まずは学長が指導力を発揮していただきたく思います。さらに学部長など部局長および評議員もまた、この「改革案」が評議会の審議事項となるよう評議会において努力していただきたく思います。
なお教員組合としては今後、市労連各組織や関係団体、職員との調整・共同も視野に入れて本件案に対処する所存です。
2002年10月15日
横浜市立大学教員組合