石井寛治『日本流通史』有斐閣、2003121日刊

 

「日本の古代から現代まで一貫した目で見通したはじめての通史」として、すばらしい内容である。

 「簡潔・平易な概説書」として、学生諸君に是非一読を勧めたい。

 

それにしても、19983月に東京大学を定年退官され、同年4月から東京経済大学で講義された3年間のノートを元に、2002年度に与えられた国内研究員としての研究休暇を活用して、この本をまとめられるとは、ものすごいものである。

かつて、イギリス留学の成果を帰国後ただちに『近代日本とイギリス資本』東京大学出版会(1984年)にまとめられたことも多くの研究者を驚かせ、敬服させたところであるが。

 

 今回の東京経済大学の場合、3年間はたらいて1年間の国内研究員としての休暇が与えられている。この研究者優遇の制度を知れば、およそこのような制度のない本学の圧倒的多数の教員(とくに若手の教員)は、ため息をつくであろう。