日本放送協会殿

同横浜放送局殿

 

319日のラジオ第一放送の関東甲信越のニュースで、横浜市事業の「民営化」を中田宏横浜市長が検討中として記者会見したというニュースがありました。そのなかの放送文の一節として、「赤字を抱える市民病院や市立大学」という表現がありました。また、同日朝のNHK衛星放送においても同様の表現が放送されたとも言われております。

こような表現では、横浜市立大学が赤字を抱え込んでいると理解されてしまいますが、その実態は正確には横浜市がおもに市民病院建設や医療関連設備の整備のために市債を発行した残高が1140億円となっていることをさしています。病院や関連諸施設は横浜市民の貴重な資産となっているものです。したがって、この資産の存在を考慮するならば、横浜市立大学が赤字を抱え込んでいるというように単純には評価できない性格のものなのです。

去る227日、横浜市長の諮問機関「市大の今後のあり方懇談会」が、市大が1140億円の累積負債を抱えているので、廃校をも選択肢のひとつとして残しつつ、縮小改編すべきであるとの答申を出しております。当事者を蚊帳の外において学外者のみで構成された「あり方懇」がその見解を大学に強要することは、「教育は不当な支配に服することなく」と定めた、教育基本法第10条に抵触する恐れがあります。しかも、市大自体が作り出した高額の赤字という誤った認識を前提として論じていることは極めて操作的であり、重大な疑義を感じます。

市大をめぐるこうした状況に鑑み、今回の上記報道は、世論形成において甚大な否定的影響を与えるものです。上記報道は、社会の公器との認識に立って、関係各方面への事前調査が行われれば回避しえた性格のものです。以上の申し入れに関して、横浜市立大学教員組合まで文書でご回答ください。

2003321

                       横浜市立大学教員組合