アメリカの国際法違反の先制攻撃に反対する声明に賛同したが、攻撃開始後の現在、その呼びかけ人から下記のメールがあった。

もちろん賛同した。

 

 

 

「意見広告」賛同者のみなさんへ

 

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声明「私たち研究者は対イラク戦争と日本の加担に再び反対します」をウェブ・サイト上に発

表しました。

 

        http://www.econ.keio.ac.jp/staff/nobu/appeal/index-jp.html

 

前回の意見広告への賛同とは別に,この声明への賛同者を募集しております。声明をお読みに

なってご賛同いただける方は,下記の事項を明記してメールをお送りください。

 

1.氏名(漢字とひらがな両方)

2.所属機関

3.氏名の掲載の可否

 

賛同メールの送り先:appeal2@nobu.econ.keio.ac.jp

 

なお,現在カンパは募集しておりません。

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私たち研究者は対イラク戦争と日本の加担に再び反対します                                                       

私たちは、社会科学および人文科学研究者に呼びかけ、1530人余の賛同のもとに「米国の対

イラク先制攻撃」と「日本のイラク攻撃加担」に反対する「意見広告」を、「朝日新聞」(2

27日、全国版)、「毎日新聞」(34日、関東版)に掲載しました。イラク攻撃反対の声

は大きなうねりとなって世界中に広がり、国連安保理でも国連全体でも、平和的解決の努力を

求める意見が、武力行使容認決議を求める意見を圧倒していました。


しかし残念なことに、米国等はこれら国際世論の動向に逆らって、17日、国連決議なしの対

イラク先制攻撃突入の意向を示し、同日米国大統領がイラク政府に対して武力攻撃に向けた最

後通告を突きつけました。


この事態に対し私たちは、先の「意見広告」の呼びかけ人として次のように声明し、多くの人

々に賛同いただくよう呼びかけます。

(1)私たちは、米英両国に、イラクに対する軍事行動を即時停止し、国連での協議に復帰す

るよう要求します。


今回の米英軍の攻撃はいかなる面からみても国際法と国連憲章に違反しています。米国は大量

破壊兵器による脅威を除去するための自衛権発動としての先制攻撃だと主張していますが、現

在イラクが差し迫った脅威を与える存在であるとは認められず、このような主張は国際的合意

を得られるものではありません。37日「国連イラク査察団」ブリックス報告は、不充分では

あるが査察が進んでおり、査察には数ヵ月を要するとしています。イラクになお大量破壊兵器

が残っているとしても、査察による平和的手段でその廃棄をねばり強く実行させていくべき

す。

 

また米国は途中から、武力行使の目的にフセイン政権打倒を入れてきましたが、政権転覆のた

めの対外武力行使は明らかに「国連憲章」24項に違反するものです。

もちろん、私たちはフセイン政権を擁護するものではありません。

抑圧的独裁政権を真に打倒するのはその国の民衆による批判・抵抗であるべきだと考えています。

 

米国は、米・英・スペインの武力行使容認決議案の支持を得るために奔走しましたが、安保理

での多数の賛同が得られないとなるや、17日決議案を撤回し、昨年11月の安保理決議1441

よって武力攻撃が可能であると主張しました。しかしこれもまた無理な主張です。決議1441は、

特定の国が、「国連イラク査察団」の報告と安保理の判断とは別個に、大量破壊兵器の存在を

断定しこれを根拠に武力行使を行うことを許すものではありません。

 

もしこの米国の不法かつ身勝手な攻撃が正当化されるならば、

これまで築き上げられてきた国際法秩序は根底から崩れさり、

世界はつねに先制攻撃や政権転覆戦争の危機をはらむ無法地帯と化します。


またかかる軍事行動を国連が追認するならば、国連の機能は麻痺し、それが今まで曲がりなり

にも国際平和に果たしてきた役割は終止符を打たれてしまいます。私たちは国連に対し、米国

の独善的軍事行動に屈することなく、国際平和維持機構としてのその目的と原則に照らして毅

然たる態度をとることを要請します。


(2)私たちは、非人道的な戦争に抗議し、大量殺傷・破壊兵器、核兵器の使用禁止を要求し

ます。


米国のイラク攻撃では、アフガン攻撃時よりもさらにいっそう超大型の殺戮・破壊兵器が使用

されようとしています。大量破壊兵器を廃棄させるという戦争が、超大型殺戮・破壊兵器によ

って遂行されるということは、この戦争がきわめて非人道的なものであり、もはやその正当性

を持ち得ないことを世界に示すものです。


この戦争は、恐るべき規模で民間人の殺傷、飢餓、自然環境の破壊を生み出し、

世界中に憎しみとテロを蔓延させてしまいます

 

私たちは、国連が非人道的兵器の使用と非人道的行為を検証・告発するよう要請します。いま、

全世界的な規模で軍事力行使に反対する行動が日に日に盛り上がっていますが、これはなによ

りもこの戦争がもたらすはかりしれない生命の損傷、生活諸条件の破壊等への恐怖と怒りに由

来するものです。私たちは、平和を求めるこれら世界の人々とともにありたいと考えます。
 
(3)私たちは日本政府に対し、米英の武力行使支持の態度に強く抗議し、戦争に加担するあ

らゆる行動を即時停止するよう要求します。


日本政府はこれまで、平和的解決を求める日本と世界中の人々の願いを無視して、武力行使を

容認する米・英・スペイン決議案を支持し、安保理諸国にその賛同を訴え続け、この決議案が

撤回され、米国大統領の対イラク攻撃強行の演説が行われるとただちに、米国の主張に全面的

に追随して、国連決議なしの武力行使支持を正式に表明しました。


日本政府が以上のような米英の武力行使へ加担することは、「国際紛争を解決する手段」とし

ての戦争の放棄を宣言している日本国憲法に違反するものであると同時に、

国連を尊重するという戦後一貫した日本外交の原則を破るものであります。


しかも政府は、米国等の決議案支持、国連決議なしの米国の武力行使支持を、国会での正式な

討論も議決も行わないまま進めてきましたが、このことは、

議会制民主主義の原則に反するものといわねばなりません。


私たちは、日本政府に対し、戦争に加担するあらゆる行動を即時停止し、戦争関連費用分担の

ために貴重な財政資金を用いないよう、強く要求します。

2003
319
   

 研究者は訴える「意見広告」呼びかけ人(50音順)

赤間道夫  (愛媛大学 経済学史)      

飯田裕康  (帝京大学 金融論)

石井寛治  (東京経済大学 経済史)

伊藤 誠  (経済学者)

伊藤正直  (東京大学 日本経済)

井村喜代子 (慶應大学[名] 日本経済論) 

上原信博  (静岡大学[名] 農業政策論)

大内 力  (日本学士院会員 経済学)

大谷禎之介 (法政大学 経済理論)

岡田 進  (東京外語大学[名] ロシア経済)

北原 勇  (慶應大学[名] 現代資本主義)

小林 昇  (日本学士院会員 経済学史)

柴垣和夫  (武蔵大学 日本経済論)

平子友長  (一橋大学 社会思想史)

田代洋一  (横浜国立大学 農業経済)

鶴田満彦  (中央大学 経済学)

中谷 武  (神戸大学 経済理論)

西川正雄  (専修大学 歴史学)

深町郁彌  (九州大学[名] 金融論) 

福留久大  (九州大学 政治経済学)

水田洋   (日本学士院会員 社会思想) 

宮本憲一  (大阪市立大学[名] 財政学)

森 英樹  (名古屋大学 憲法)

森岡孝二  (関西大学 企業社会論)

八木紀一郎 (京都大学 社会経済学)

吉原泰助  (福島大学[名] 経済学史)
        [
]は名誉教授

 

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