構造改革論者・中田市長の目指すもの

 

横浜市民の皆様へ

中田市政がスタートして、1年近くが経過しようとしています。

中田市長は昨年の4月に就任以来、市民がのぞむことを次々に素早く実行してきました。インターネットによる情報公開がおこなわれ、市民は行政の情報をとりやすくなり、住基ネットの問題では市民の圧倒的な支持を得、カレーミーティグなど市民との出会いの場も多くなりました。ゴミ問題等、環境問題にも積極的な施策をうちだしています。市民は若い市長に期待していました。

しかし、混迷する神奈川県知事選が取り沙汰されるようになった12月半ば頃から、神奈川新聞で驚くような報道が続きました、1214目付け、新港湾病院の民営化案が検討されていること、116日付け、横浜市大の廃校も選択肢という改革案がだされていること、117,18,29日付けでは、市長が職員の作成した行政改革案に不満で自らチームを作り策定にのりだすという前代未聞のことが報道されています。つづいて、15年度予算の市長応援キャンペーンにもとれる連載記事・「しがらみなき挑戦」が、15年度予算案の審議が市議会で開始される213日まで6回にわたり掲載されました。131目付けの記事では、中田市長の後押しを受け、松沢成文氏が神奈川県知事に立候補すると発表されました。松沢成文氏は、中田市長の松下政経塾からの長年の盟友であり、小泉首相とも近い関係です。中田・松沢両氏は、地方政治で何をはじめようとしているのでしょうか。市政はどこに向おうとしているのか不安にかられた私たちは、主に、インターネットを使って情報をとり、現状の把握をしてみました。その結果、この一連の急激な動き一市立病院の民営化・市立大学の改革・市役所の行政改革・企業会計を導入した予算の編成一は、財政改革・行政改革・医療と教育の民営化という中田市長およびそのまわりにいる構造改革論者が横浜市で行おうとしている政策の始まりをつげるものであることに気づき愕然としました。

今、横浜市ではじまっている政策の中味は、中田市長1人というよりも彼のバックにある松下政経塾と市場競争原理主義者たちが長い時間をかけ研究してきたものです。中田宏氏が強力な権力をもつ首長となった後、市場競争原理主義者の知識人一宮脇淳、跡田直澄、南学、北沢猛、橋爪大三郎、森谷伊三男氏など一をブレインとし、横浜市の情況にあわせ、次々と構造改革(経済改革、財政改革、行政改革)のプログラムを断行しはじめたのです。この構造改革が「横浜モデル」として、各地に広がっていくおそれがあります。問題は市民病院、横浜市大、横浜市職員、横浜市民だけのことではないといえます。限られた時間で資料を整理し分析したため、内容は不十分ですが、重大なことなので、一刻も早く情報を共有化し、手分けして、中田市長が横浜市で行おうとしていることを明らかにしていかなければと思い、関係者である皆様にこのような文章を送ることに決めました。

 

中田宏市長の経歴 (http://www.nakada.net/yokohama/index.html)

 

中田市長の経歴をみると、青山学院大学を25歳で卒業後、松下政経塾に10期生として入塾。ゴミ間題をテーマに選び、活動を開始しました。松下政経塾は1980年に松下幸之助氏によって創立された組織で、サッチャー流の改革を下敷きにした「21世紀にむけての理想の日本を作る」という理念の構築・人材の養成を目的としています。その中で、中田市長は塾生のホープの一人です。その後、参議院議員秘書をへて、92年に日本新党に参加。93年に神奈川1区から衆議院選挙に立候補、当選。96年、新進党より神奈川8区から立候補、当選。9712月、新進党の解党以後、無所属。その後、民主党・無所属クラブとなり、2000年の衆議院選挙に民主党から立候補、当選。20023月、民主党を離れ無所属で横浜市長選に立候補、MM21等大規模開発を続けた高秀前市長をやぶり当選しました。

国会議員時代に、小泉首相と親しい関係になり、997月、超党派の15人の議員で「郵政民営化研究会」(代表:小泉純一郎、事務局長:松沢成文)を発足させました。20014月の首班指名では、民主党所属だが小泉に投票し、その後の報道にあるように、度々連絡を取り合い、意志一致をしています。

中田市長は勉強家で、松下政経塾出身の3期生・松沢成文氏や2期生・山田宏氏等の議員仲間に率先してよびかけ、93年の秋には「新党20代議員の会」、新進党に所属してからは「松下政経塾出身代議士15人の会」、続いて、松下政経塾の超党派の議員で「未来政治研究会」というグループを組織し、毎週の勉強会に加え、サッチャー、渡部昇一、福田和也氏などを講師とするサッチャーリズムシンポジウムも企画しています。これらの研究会の成果は、主に、PHP研究所から出版されています。現在も、「未来経営研究会」という名で勉強会を開催しています。(http://www.nakada.net/yokohama/index.html)(http://www.taiyoo.com/mirai/

中田市長は松下政経塾が掲げている教育の一つであるディベートにたけ、自分の意見を簡潔にまとめ、ITを使った発信方法もうまく利用しています。フットワークも軽く、自分の意見は曲げない意志の強さをもつ、手強い政治家です。

市長になってからの中田市長の発言では見えない彼の本音一構造改革論者、市場原理主義者、有事法制推進論者一は、国会議員時代に書いたものから読み取ることができます。(http://www.nakada.net/syutyo/kihon/chaindex.html)

 

NZの規制緩和モデルが中田市長の横浜モデル

 

中田市長は、国家と地方自治体と違いはあるものの、350万の横浜市の人口とほぼ同じニュージーランドの規制緩和・民営化・行政改革を、横浜モデルにしようとしています。彼の著書「永田町からの政治論」(PHP研究所)・「ニュージーランド行革物語」(PHP研究所)・「行革のレシピ・日本の料理法NZ風」(読売新聞社)にもあるように、1996年にNZ視察に山田宏氏(現杉並区長)たちとでかけてから、その後数回、自腹でNZを訪問し、NZの手法をつぶさに研究しています。

NZは、1984年、労働党政権が成立すると、若手の政治家・官僚のリーダーシップにより、行政に企業会計システムをいれ、国営企業を民営化し、行政が行っていたサービスを企業化し、公務員法を改悪して公務員の数を半減する構造改革を断行しました。1990年に労働党からボルジャー首相の率いる国民党に政権が交代すると、構造改革の継続とともにサッチャー流に労働法を改悪して労働組合の権利を奪いました。その結果、一時的に経済はよくなり、企業、金持ち、外国資本にとってはこの改革は成功したといわれ、世界各地からのNZ詣でが行われました。中田市長もこの1人です。

松下政経塾出身の議員たち、なかでも、中田市長はこの改革を断行したグレハム・スコットやロジャー・ダグラスに自分の姿を重ねているようです。96年に出版された「永田町からの政治論」で、彼らはNZの構造改革を日本にひきつけて、以下のようにまとめています。

@ 大胆な行政改革と国営企業の民営化を断行しなければならない。企業会計原則を使い行政に経営感覚をいれなけれぱいけない。

A 日本にあてはめるべきものとして、郵政三事業の民営化、国立大学の民営化、国立病院の民営化を提言し、国立病院を民営化した場合、27000人の人員削減が可能。

B 公共事業の入札の見直し。

C 財政投融資の改革。

D 情報公開制度の確立等。

注目すべきは、国ではないのですが、横浜市という地方自治体レベルで現実化されようとしている@、Aです。@については、すでに企業会計で横浜市の財政を評価しました。市立病院も市立大学も企業会計を導入しています。その後、211目付け神奈川新聞「しがらみなき挑戦4」の報道にもあるように、自分直属のチームをつくり、みずから大胆な行政改革を断行し、市職員への合理化攻撃を準備しているようにもみえます。NZの過去の例をみると、公務員法が改悪され、公務員の数は、政府機関の統廃合により88千人から34500人に削減されました。

Aについては、後述するように、市長自ら委員を指名する「あり方懇談会」・横浜市版審議会の答申という方法で、市立病院・市立大学に民営化攻撃をかけています。

 

しかし、若い政治家・官僚の頭の中だけで考えだされた数々の政策の実験場とされたNZでは何がおきたのでしょうか。

ジェーン・ケルシー、オークランド大学教授「ニュージーランドで何が行われたか」(岩波ブックレットNo.458、「規制緩和」)の報告によれば、構造改革の結果、少数民族のマオリ・女性・労働者・高齢者など社会的弱者・市民は犠牲を強いられ、企業の手にわたされた医療・教育・公共サービスなどは質の低下を招き、家計に負担を与えたそうです。航空運賃は値下げされたが、市民が日常使う公共交通は値上がりしました。教育も地域により格差ができ、保険料は高くなり、医療の質は低下しました。労働組合は組織率を半減させられ、パートタイマーが増え、失業者の数も増大し、特に若者の失業は深刻な問題となりました。

「市民の力」が「企業の力」に奪いとられていったとケルシー教授は発言しています。市場原理主義者の推進する企業グローバル化に最も先鋭的に対抗軸を出している国際産業別労働組合であるPSI(国際公務員労組)の機関紙・FOCUS(20021)に掲載された、ポール・コクラン(ニュージーランド公務員組合書記長)の報告にもあるように、

(http://www.jichiro.gr.jp/psi_world/focus/2002_01/08.htm)1999年、政権は交代し、今やこのNZの試みは失敗だったという評価が世界中で定着しています。いきすぎた構造改革の結果、経済成長率も鈍化し、新政権は民営化のために質がおちた医療・教育・公共サービス等の是正策をはじめているといいます。労働法も多少改正されました。しかしながら、実験場とされた後の、社会的、経済的後遺症はまだ深いといいます。PSIは、NZでなにがおきたかという調査報告書をだしているそうです。現在のNZの情況はきちんとフォローしなけれぱいけないでしょう。

このNZの失敗も勉強している中田市長とそのブレインは、今まで行政が担っていた福祉について、市民の善意を利用してNPO等に肩代わりさせる“ボランティア社会"を作り出そうと考えているように推察されます。「協働」というタームは、中田市長のような構造改革論者の「競争原理」に対抗するタームとして市民のなかからうみだされたものですが、それを逆利用しています。また、最初、松下政経塾出身議員が使う「民の力」というタームは「企業の力」を意味するものでしたが、中田市長は、「民の力」を「市民の力」と「企業の力」を合わせた意味に使い、さらに、市民を前にだし、次に企業をだしています。中田市長およびそのブレインたちが、本当は市民になにを期待しているのか、さらなる調査が必要でしょう。

いずれにせよ、NZで失敗に終わった実験が横浜で新たにくりかえされようとしています。

現在、その一番のターゲットに選ばれているのが、横浜市大と新港湾病院なのです。

 

中田市長の構造改革

 

横浜市のHPにある市長記者会見で、中田市政の内容がわかります。

(http://www.city.yokohama.jp/se/mayor/interview/index.html)

529目におこなわれた施政方針演説は多くの市民の共感を得、若い市長への期待はふくらんだように思います。中田市長は、この演説の中で、具体的な都市経営の指針として、@情報公開、A効率的な行政、B持続可能な財政、C民の力をひきだす環境の整備、経済の活性化、D市民の力をいかすまちづくりをあげています。

(http://www.city.yokohama.jp/se/mayor/policy/20020529.html)

しかしながら、私たちの調査した範囲では、中田市政に警告を発する人もいました。日

本共産党横浜市議団の大貫のり夫氏は、8月に「中田市長のめざす市政」と題して講演し、

市政方針演説に対して批判をおこなっています。

(http://www.ohnuki.jp/journal/journal_u.cgi?action=show_detail&bigcat=12&cat=11&mynum=58)

中田人気が市民の間で湧き上がる裏で、小泉首相以上の構造改革論者・中田市長は、一連の改革プランを「リバイバルプラン」という名称で準備し、同時に、市民病院、市大、公共サービスの民営化へ着手しはじめていました。

中田市長は910目に「リバイバルブプン」=構造改革案を発表します。この構造改革案は、5ヵ年計画である「中期政策プラン」、財政碑革である「中期財政ビジョン」、行政改革である「新時代行政プラン」からなりたっています。

(http://www.city.yokohama.jp/me/soumu/engine/rp/index2.html)

さらに、民営化の手始めとして@公的住宅供給等、A市立病院、B市立大学について自ら選んだ委員を配置し3つの「あり方懇談会」を8月から9月にかけ次々とたちあげました。また、次のターゲットとして、ゴミ、水道、学校給食、保育園、公園管理等を民営化する方向でリストにあげ、整理・統合する外郭団体のリストも作成しています。

この構造改革をすばやく断行するために、旧知の構造改革論者をブレインとし、「エンジンルーム」といった自分直属の実施機関をつくりだしました。4月8日の就任演説で、ブインは連れてこない、職員が自分のブレインだといいながら、(http://www.nakada.net/yokohama/index.html)

2人の参与や「あり方懇」の座長、財政改革、行政改革のキーパーソンとして、旧知の市場競争原理主義地方分権、NPOの利用、構造改革論等の主張を持つ学者・専門家(跡田直澄、宮脇淳、橋爪大三郎、南学、北沢猛、森谷伊三男氏など)を配置し、職員をないがしろにしたシステムをつくりはじめています。

まず、参与と称して元市職員だった南学静岡文化芸術大学助教授と北沢猛東京大学助教授をブレインにします。北沢猛参与は、MM21や金沢シーサイドラインのまちづくりを担当した人物で、南学参与は地方自治体の業務プロセスを標準化してコストの改善をはかるABC(活動基準原価計算)の専門家です。ちなみに、南学参与は松下政経塾のイデオローグである宮脇淳北海道大学教授とともに200111日のPHP総合研究所の主催した「行政コスト把握にABC手法」で講演しています。(http://www.kna.co.jp/special/2421_2.shtml

つぎに、中田市長は、構造改革をすばやく、自分流に断行するための仕組みをつくりだしました。717目の記者会見で、市役所の構造改革として自分の権限を助役におろして、いかにも市役所を分権化したようにいっていますが、実際は、市長や助役で開く都市経営戦略会議や都市経営執行会議で決定された実施機関として、総務局の内部に理事1、課長5、係長5から構成する「エンジンルーム」(緊急改革推進本部)を実施グループとしてつくり、トップダウンのシステムをつくりだしているようにもみえます。このような体制づくりには、元職員で市役所の内部を知っている2人の参与のアドバイスがあったと推察されます。中田市長は南参与とともに、8月に浜松でひらかれた、「行政経済フォーラム」に参加し、2人でエンジンルームに関して講演しているので、エンジンルームは、南参与とともに立案したのでしょう、

 

15年度予算編成を前にして、構造改革で中田市長がまず力をいれたのが、財政改革の分野でした。(http://www.city.yokohama.jp/me/zaisei/vision/)

財政改革(中期財政改革ビジョン検討チーム)のチーフとして跡田直澄慶応大学教授を指名し、ブレインとしました。跡田教授は、構造改革の断行、NPOと企業・行政のパートナーシップを主張していて、99年に日本NPO学会を、構造改革政策の推進者である本間正明大阪大学教授(小泉内閣経済財政諮間会議委員)とともにたちあげています。財政改革の検討チームは9月から1月まで、6回開催されました。この内容は、一部資料非公開であり、今後、この検討チームでなにが話されたのか情報公開を請求していく必要があるでしょう。ちなみに、ブレイン・宮脇淳教授(http://www.global-g.jp/miyawaki/)の地元である札幌市と、中田市長の盟友・山田宏氏が区長をしている杉並区の例が資料としてあげられています。いずれにしても、中岡市長をはじめとする松下政経塾出身の代議士・イデオローグ、市場競争原理主義者である学者が長い間練り上げ、準備していた路線にそい、横浜市のプランが素早く決められていったように思えます。214日に発表された予算案はこの検討チームの意向が色濃く反映されたものとなっています。

 

3つの「あり方懇」と行政改革

 

3つの「あり方懇」のうち、「公的住宅供給等あり方検討委員会」の構成メンバーの選出は他の2つに比べるとおざなりで、市長がここを本気でターゲットにしていないことが明らかにわかります。この報告書は25日に出されていますが、赤字財政を考えるのであればこの問題こそ、第一にとりあげるべきでしょう。

(http://www.city.yokohama.jp/se/mayor/interview/2003/030205.html)

「横浜市立病院のあり方懇」は、12月に中間答申がだされ、新港湾病院の民営化が提案されていて、その方法として@委譲による民営化A管理を民間に委託B地方公営企業法の全部適用をあげています。しかし、組合の力があなどれないこともあり、まだ、議論がつづいていて、3月末に最終答申が出るようです。

(http://www.city.yokohama.jp/me/eisei/byouinarikata/shiryouindex.html)

攻撃が一番厳しいのは、横浜市立大学の改革です。

(http://www.yokohama-cu.ac.jp/arikata/arikata_top.html)

「市立大学の今後のあり方懇談会」の座長に、中田市長は大学改革構想で基本的に自分と同じ考えを共有し、学会、市民運動で評判の芳しくない橋爪大三郎東京工業大学教授を座長として指名しました。教員の批判を橋爪氏に向けさせることを、考えたのかもしれません。他の4人のブレイン(南、北沢、跡田、宮脇)とはまたちがうあつかいのようにもみえます。私大・病院の財務を企業会計で評価する専門家である監査法人・トーマツの森谷伊二郎氏(文部科学省大学設置・学校法人審議会前委員)も市大「あり方懇」の委員に指名されました。森谷氏は川崎市の水道、市立病院、情報システムの監査を担当していて、その報告については、情報公開市民センターによる評価が公表されています。

大学教職員の削減、企業会計方式で算出した赤字をターゲットとした予算のカット、2つある付属病院の民営化、これらを実現すれば、これからの市政全体の行財政改革の突破口を開くことになります。教員組合の力も弱く抵抗が少ないとふんだ市長・行政は、「あり方懇」に恣意的な資料をだし、それが、神奈川新聞によってセンセーショナルに取り扱われる等、大学関係者の怒りをかっています。当然といえば当然ですが、「あり方懇」の答申は、中田市長・構造改革論者のもくろんだとおりのものがでてきています。

横浜市大への攻撃が成功すれば、大学の法人化のモデルとされるばかりか、地方自治体の構造改革のモデルともされてしまいます。「横浜モデル」が各地に広がらないように、構造改革に反対する全国から横浜への支援が必要とされています。横浜市大の問題は、この大学だけの問題ではないでしょう。

 

NZの例を見れば、中田市長が本当にやりたいのは市職員の削減をふくんだ行政改革だと推察されます。新聞報道によれば、行政改革案(新時代行政プラン)は、当初、職員によって作成され、20031月、市長に提出されましたが、116目、職員案では不十分として、ブレイン・宮脇淳北海道大学教授をいれ、市長自らチームをつくり、手がけるという前代未聞の行動にでて、職員の間にショックが走ったといいます。ちなみに、宮脇淳教授は、松下政経塾のイデオローグでもあります。この行政改革のチームは、市長、宮脇教授の他に、南参与と北沢参与が入り、市長にメールで提案をよく行っていた職員14人がメンバーに選びだされました。エンジンルームよりさらに中田市長側近で構成されたチームとなるでしょう。そして、企画局は都市経営局に改変され、その下にエンジンルームが置かれることになりました。市役所で何がおきているのか、市職員の監視が必要とされるでしょう。

ちなみに、中田市長の側近中の側近である5人の「民主党横浜みらい市会」に所属する岡本英子市会議員のHPにのっている政策提案(200321)を読むと、市長になってからは、あいまいになっている中田市長の構造改革と市政の方向がよくわかります。

(http://www5e.biglobe.ne.jp/~eiko/page10.htm)

以上のように、中田市長の行動を時間の経過で追っていくと、財政改革、あり方懇が、一段落したところで、行政改革という本丸に手をつけだしたようにみえます。職員の手から行政改革の立案を取り上げるというやり方は、中田市長とブレインの間で、事前に考えられていたものではないかとも疑ってしまいます。公務員の人数をトラスチックに削減し、パートやNPOにシフトしていこうとしている構造改革論者たちの真意を調査する必要があるでしょう。

 

中田市長へ批判の声

 

中田市長は、松沢成文氏の出馬については知らないととぼけていましたが、本当でしょうか。住基ネットの件で、「杉並区と連絡をとっていない」とも、記者会見でいいましたが、松下政経塾の盟友・山田宏区長と連絡をとりあっていないことなど誰が信じられるでしょうか。

中田市長は、1994年に書いた共著「小沢一郎・日本改造計画への挑戦状」では、地方

自治体の首長の権限が強すぎるから制限し、地方議会の権限を強くしなければいけないこと、国の審議会の内容や委員の選考過程が不透明だと批判しています。しかし、自分が首長となるとその権力を使い、迅速にという口実でトップダウンの機構をつくりだしています。また、審議会のような「あり方懇」をつくって、委員の選考過程を明らかにしないまま、短時間で結論を出し、大学・病院関係者、職員や市民の意向を無視して、自分の意のままに市政をおこなおうとしています。このような、不透明で、説明責任のないやり方は、「市民の力」を奪うものだと考えます。

中田市長は、1997年に書いた自著「行革のレシピ・目本の料理法NZ風」の最後のパートで、NZの行革改革立役者・ロジャー・ダグラス元蔵相の言葉を引用しています。「改革は、包括的なプログラムを一気に打ち出したほうがいい。政治的な合意を重視して、改革を段階的に進めようとすると、反対者に時間を与えることになる」中田市長は、日本の料理法として、日本でも必ず反対者がでるから、NZの改革があらゆる分野で猛烈なスピードでおこなわれたように、日本でも例外なくスピーディにやるべきだと書いています。NZのボルジャー元首相からは、「改革を実行するためには、構想がはっきりしていること、政治的反対には立ち向かっていくこと、勇気をもって痛みを伴う改革をすべきだ」というアドバイスを直々にもらったとも書いています。中田市長とブレインが、松下政経塾をバックに練り上げてきた構造改革という「構想」をもち、急激なスピードで実行しているのは、予測される市役所、市民、組合の「反対者」に時間を与えないためと想像されます。NZ構造改革のリーダーによるアドバイスに従っているともいえます。中田市長は、大学を卒業してから、すぐ、松下政経塾に入塾し、そのイデオローグとして養成され、政治家となりました。社会的経験のまったくない彼が頭で考える構造改革とは誰のためのものなのでしようか。

市立病院でも市大でも市民・労働組合による反対運動がはじまりつつあります。

自治労横浜市従業員組合、横浜市従業員労働組合は、それぞれ、抗議文を出し、署名運動をはじめています。

21目には、市民団体「市民のための医療をつくる会」がシンポジウムを開き、同日、横浜市従業員労働組合も懇談会を開きました。

横浜市大関係者は、「市大を考える市民の会」を立ち上げ、28日にシンポジウムを開き、市民の会通信を出しています。(http://www2.big.or.jp/~yabuki/u-index.html)

右肩下がりの経済と税収の落ち込みのなかで、私たちは市民として何をすべきなのか、本気で考えなければならない時代にきています。しかし、市民の命と暮らしに不可欠な医療・教育・公共サービスを企業に手渡すことは、最後までしてはならないことと考えます。

 

不十分ではありますが、私たちが収集した添付資料をご検討のうえ、中田市政の行方を

注視していくようお願いします。

20032

「中田市政を考える会」()準備会