2003323

 

「『横浜市立大学のあり方懇』答申問題を考える会」開催のお知らせ

 

        呼びかけ人 今井清一(横浜市大名誉教授)、伊藤成彦(中央大学名誉教授)

             清水嘉治(神奈川大学名誉教授)、柳沢 悠(東京大学教授)                

             山極 晃(横浜市大名誉教授)、久保新一(関東学院大学教授)

 

 横浜市中田市長の諮問機関「横浜市立大学の今後のあり方懇談会」(以後「あり方懇」と略す)は、227日(木)次ぎのような答申を行いました。横浜市立大学が「現状のまま存続する道は考えられない」とした上で、「大胆な改革か廃校」をせまる極めて厳しい内容のもので、同時に大変な問題を含むものでした。改革案の概要は、@教育に重点をおく、A3学部(商学部、国際文化学部、理学部)統合、B独立行政法人化、C経営責任者市長指名制、D学長学外委員会選挙制、E教員年俸契約制、F教員任期制、G学費値上げ、H研究費外部資金獲得制、I進級卒業管理制度、等です。

 改革案の問題点は、第一に市大の当事者不在の審議会(「あり方懇」)で進めたことにあります。第二は「知識創造型社会」に変わり、大学における研究の意義がより一層重視されなければならないこの時代に、研究を軽視し教育中心の大学再編を行うという時代錯誤を侵している点です。第三に中田市長は第三者機関「あり方懇」答申を使い、教員の年俸制・任期制や学長の学外委員会選挙制の導入を率先して行なうことによって、市大の改革を横浜市の行政改革モデルにする一方で、独立行政法人化の方向で改革を進めている全国の国公立大学や私立大学の構造改革モデルにしようとしているふしが伺えます。

 わたしたちは、市大改革の「あり方懇」答申の問題は、一横浜市立大学の問題にとどまらず、大学全体の今後にかかわる重大な問題を含むものであると考え、下記により「あり方懇」答申問題を考える大学人・研究者のつどいを開催いたします。年度末休暇中ではありますが、緊急を要しますので、是非ご参加いただきたくご案内申し上げます。

 

 

日 時   331日(月)午後2時−5時

場 所   神奈川県労働会館(Lプラザ、Tel.633-5413)9階、特別会議室

    (JR根岸線石川町駅北口下車、中華街と反対方向に徒歩3分、最初の十字路を右折し50m右側の建物)

集 会  「『横浜市立大学のあり方懇』答申問題を考える会」

報 告:市大教員有志、「『あり方懇』答申とその問題点」

議 題:質疑と意見の交換

 

 

-------参加記-----------------

200341日研究室HP「大学問題日誌」より転載:

昨日、「横浜市立大学のあり方懇談会」答申を考える会の会合があった。司会・柳澤悠東京大学教授、事務局責任者・久保新一関東学院大学教授、このお二人以外の発起人(今井清一・横浜市立大学名誉教授、伊藤成彦・中央大学名誉教授、清水嘉治・神奈川大学名誉教授、山極晃横浜市立大学名誉教授の4名の方)を中心に活発な議論が行なわれ、市長と市民宛ての声明を採択した。

市大から現在までの状態を報告し説明するために、教員組合全委員長倉持教授、現委員長藤山教授、「市民の会」の3月までの事務局長・松井道昭教授、「市民の会」に結集している矢吹教授、一楽教授、吉岡教授、「市民の会」運営委員の中心的な方々、そして私がはせ参じ、横浜地域全大学に、そしてまた全国の大学に支援を訴えた。

会には、関東学院大学、フェリス女学院大学などから多数の参加者があり、大変心強かった。横浜国立大学の教員組合正副委員長は別の予定があって参加できなかったが、趣旨には賛同しているということで今後、連携を深めるとのメッセージだった。

今回の会合においていちばん問題となったのは、やはり「あり方懇談会」答申の杜撰さ、正当生の欠如、恫喝・脅迫と違法な諸事項の提言という点であった。

「答申」は、はじめに結論ありきの性格が濃厚で、民営化路線と国立大学法人法案の先取り的部分が顕著であり、その問題点としては現行法体系(憲法、教育基本法、学校教育法、大学設置基準など)を無視する内容が至るところにちりばめられているという点だった。

参加者一同の驚きは、このような杜撰な内容に対し、市長が基本的に賛同し、また学長が容認の態度を表明したということだった。市長が賛同するのはある意味で当然で、市長の意向に添った人物を委員とし、市長のパフォーマンスに合った衝撃的答申を出すということが「あり方懇談会」の役割だったのだろうと受けとめられた。

大学関係者がいちばん驚いたのは学長の態度であり、学長の背後にいる評議会や各学部の長の態度であった。「学部長会議は機能しているんですか」などとの質問が相継いだ。

そして、この一連の事態は事務局独裁だ、というのが全員の共通認識となったといえよう。その事務局独裁をきちんと抑制し、事務局を統御できない大学首脳部に対する違和感は、参加者の共通感覚だったと考える。

市大からのある参加者は、学長などに対していろいろと大学の自治や学問の自由の見地から批判すると大学内では「学長の足を引っ張るな」などとかえって批判される始末で、自分たちが異常なような感覚になるが、この場に来て正常な発言を聞くと、元気が出てきた」と発言し、多くの人の共感を呼んだ。

 

いずれ、また他の参加者から報告があるだろうし、また、若干の字句修正を踏まえた最終バージョンの声明も伝えられるはずである。そのときにはそれらを紹介しよう。

「市民の会」運営委員の方が最後に、今回の声明はじめ、署名活動などで市民の広く訴えることの重要性を強調し、市域全体の参加大学に支援を呼びかけた。また、署名は、10万人を目標にがんばりたいということで、協力要請がなされた。