市域・県域各大学・大学人の支援・連帯のひろがり
昨日(2003年3月31日)、このHPでも紹介されていた「もう1つの大学人の集い」が開催されました。
「『横浜市立大学のあり方懇』答申問題を考える会」です。
司会・柳澤悠・東京大学教授、事務局責任者・久保新一関東学院大学教授、このお二人以外の発起人(今井清一・横浜市立大学名誉教授、伊藤成彦・中央大学名誉教授、清水嘉治・神奈川大学名誉教授、山極晃横浜市立大学名誉教授の4名の方)を中心に活発な議論が行なわれ、市長と市民宛ての声明を採択しました。
市大からは、現在までの経過を報告し、現状を説明するために、教員組合前委員長倉持教授、現委員長藤山教授、「市民の会」の3月までの事務局長・松井道昭教授、「市民の会」に結集している矢吹教授、一楽教授、吉岡教授、非常勤講師組合委員長・遠藤さん他「市民の会」運営委員の中心的な方々、そして私がはせ参じ、横浜地域全大学に、そしてまた全国の大学に支援を訴えました。(8大学から参加者総数は25名)
この会には、関東学院大学、フェリス女学院大学などから多数の参加者があり、大変心強い思いをしました。事務責任者久保先生のお話では、横浜国立大学の教員組合正副委員長は別の予定があって参加できなかったそうですが、趣旨には賛同しているということで今後、連携を深めるとのメッセージでした。関東学院大学の教員組合の代表はご出席したが、神奈川大学などの教員組合との連絡もとられているとのことでした。
今回の会合においていちばん問題となったのは、やはり「あり方懇談会」答申の杜撰(ずさん)さ、正当性の欠如、恫喝・脅迫と違法な諸事項の提言という点でした。
「答申」は、はじめに結論ありきの性格が濃厚で、民営化路線と国立大学法人法案の「先取り」的部分(いや「その何歩も先をいく」、その意味は憲法以下の諸法律を配慮して国立大学法人法案でさえ踏み越えていないところまで、諸法律体系をつき崩す条項がある、ということが指摘された)が顕著であることが、指摘されました。
問題点として、現行法体系(憲法、教育基本法、学校教育法、大学設置基準など)を無視する内容が至るところにちりばめられているという点が特に話題になりました。
この各論点に間しては、今後つめていくことが必要だと感じました。
たとえば、独立行政法人法を想定し、教員全員を再雇用という形態にするという提言も、その非合法性が確認され、また前提となる法律体系の改正などをぬきにしたものであることが確認されました。任期制、主任教授制などに関しても、同様の問題が指摘されました。
参加者一同の驚きは、このような杜撰な内容に対し、市長が基本的に賛同し、また学長が容認の態度を表明したということです。
市長が賛同するのはある意味で当然で、市長の意向に添った人物を委員とし、市長のパフォーマンスに合った衝撃的答申を出すということが「あり方懇談会」の役割だったのだろうと受けとめられました。市長がニュージーランドの新自由主義・民営化路線(これはその失敗がいまではかなり広く知られるようになっているのですが)から学んでいること、その衝撃的な手法もニュージーランドの先例を学んでいることが、参加者から指摘されました。
他大学関係者や市民がいちばん驚いたのは学長の態度であり、学長の背後にいる評議会や各学部の長の態度でした。「学部長会議は機能しているんですか」などとの質問が相継ぎました。
そして、「この一連の事態は事務局独裁だ」、というのが多くの参加者の共通感想といえるでしょう。
これに対しては、昨年8月中旬以降、市長の意向を受けて事務局責任者の態度が変わったのだという説明(理解)がありました。
その事務局独裁をきちんと抑制し、これまでの慣習や法体系に基づき大学の自律性・自立性の見地からきちんと対処すべきところ、逆に、事務局を統御できないままの大学首脳部に対する違和感は、参加者の共通感覚だったように思えます。
市大からのある参加者は、学長などに対していろいろと大学の自治や学問の自由の見地から批判すると、大学内では「学長の足を引っ張るな」などとかえって批判される始末で、自分たちが異常なような感覚になるが、この場に来て正常な発言を聞くと「元気が出てきた」と発言し、多くの人の共感を呼びました。
いずれ、また他の参加者から報告があるでしょうし、また、本集会で採択された声明も、若干の字句修正を踏まえた最終バージョンの声明が数日中に公開されるはずです。
「市民の会」運営委員の方が最後に、今回の声明はじめ、署名活動などで市民に広く訴えることの重要性を強調し、市域全体の参加大学に支援を呼びかけ、署名は、10万人を目標にがんばりたいということで、協力要請がなされました。