組合員の皆様

昨日(57日)重大な事態が展開しました。935分から950分まで、市長と小川学長が会談し、当日午後、中田市長の記者会見が行われました。各種情報を総合して事実経緯をお知らせします。市長と学長との会談、市長の記者会見については、昨日午後の部局長会の直前まで部局長にもその計画が知らされることなく隠密裏に運ばれました。教員組合には当日午後、新聞社からの取材申し込みによってその情報が寄せられました。

昨日の部局長会では、この件に関して以下のような報告がなされました。

 

1 市長と学長との会談について

 市長が大学宛の「メッセージ」(添付資料)を発する前提として、前田副市長から口頭で以下の4点が示されました。@49日付けの学長の「あり方懇答申に対する要望」において学長は、独立法人化を念頭におくとか「あり方懇」答申を踏まえるとしている。A市議会の答弁で学長は、「あり方懇」答申を真摯に受け止め、事務局と協力して大学改革を進めると答弁している。B大学内の議論の方向性は「あり方懇」答申と大筋で齟齬はない。C57日に学長は改革への決意を表明したことを確認する。

これらの4点を前提として、「市立大学改革について―――大学への市長のメッセージ―――」(添付資料)が示されました。

 

2            市長の記者会見について

        市長は学長から4点について聞いていると発言しました。

@「あり方懇」答申を踏まえる。A10月までにまとめる。B教職員を含め全学的にまとめる。C学問の内容には触れるつもりはないが、学長は経営形態については独立法人化の方向でと発言している。

        記者の質問<うまくいかない時には推進本部が引き取るのか?>

市長:「当然そうなる」

        記者の質問<大学の中での検討状況についてどう考えるか?>

市長:「批判ばかり[1]している。これが最後のチャンス[2]。ダラダラやる気はない[3]

 

貼付しました「学長声明」は市長の記者会見の場で記者に配布されました。前田副市長の確認の第4項目(学長は改革への意思を表明した)を示すものと思われます。しかし、この「学長声明」なる文書は、記者会見で配布しているにもかかわらず、昨日の部局長会では部局長には配布されず、学内では未公開となっていました。教員組合が独自のルートで入手したものです。

 昨日の学長と市長との会談は部局長にも知らされず、「学長声明」も学内に対して公表しないというこうした隠蔽的行動は見過ごすことが出来ません。全学が公開的な議論をして市民にも認められるような優れた改革案を一致して模索すべき時期[4]にこのような隠蔽的対応は許されません。

しかも、学長の市へ提出した「あり方懇答申に対する要望」に関しては、商学部、国際文化学部、総合理学研究科における決議が示しているように「あり方懇」答申に関しては教員の中では重大な疑義が表明されています。さらには、学長の市へ提出した上記「要望」なる文書は今に至っても大学関係者に公開されていません[5]。こうした大学関係者に未公開の文書を前田副市長のいう第1の前提条件として「大学への市長のメッセージ」が発せられています。また、独立法人化については現在国会審議に入るところでありいまだ法案が国会を通過しているわけではありません[6]。むしろ、大学人としてこの法案にどの様なスタンスを取るのかということこそが現在問われており、公立大学の学長として学内の世論形成に尽力すべき時に、独立法人化を前提にしてしまうということは、学内の民主主義を超越的に蹂躙するものといわざるを得ません。

 



[1] なんのことか? 

大学らしい主体的な改革の推進なくしては、大学改革ではなくなる。批判のない創造などありえない。

 

[2] いままでどのようなチャンスがあったのか?

 

 歴史を振り返れば、一〇年に満たない過去において、文理学部を解体再編して国際文化学部と理学部を創設し、その後、鶴見キャンパスを立ち上げた。その時々に、チャンスをと耐えて改革を行ってきたということだろう。

 

[3] あたかも大学内部の改革が「だらだら」だったようであるが、この十年ほどの間に、文理学部改組、国際文化学部と理学部の上に大学院の創設、経済学研究科に博士課程創設と、着実な改革を実現してきたことは忘れられたのか?

 

[4] 正論だ。

 

[5] きわめて問題の多い学長の「要望」を前提とするところに、今回の改革がはたして真の意味で創造的になるかどうか、疑念が出てくる。大学人は、全国的注目の下での改革であることを十分に自覚して、嘲笑の的になることのないようにその種体制の確立に努めなければならないだろう。

要は、みんながなるほどと納得するような優れた大学改革の実現であろう。

 

[6] 法律の内容・問題が検討されないままで、推進の立場に立つのは、確かに問題である。

 国会で議論されている最中であり、はたして法律となるかどうかはわからない。何が何でも法律制定をという態度は、大学人が取るべき理性的態度ではないだろう。