市大改革案の策定について:学長への質問及び要望

 

                         2003516

横浜市立大学教員組合

 

<T>

 

 去る57日、小川学長は市長室を訪問し、「『あり方懇談会の答申を受け止め、独立行政法人化を念頭に改革を進めたい』などと大学自らが10月末に向けて改革中期プランなどをまとめていく考えを示した」(神奈川新聞 200358日)と、新聞紙上で報じられている。

 

【質問T-@】学長は、「独立行政法人化を念頭に」というご自身の発言には、中田市長が記者会見において「独立法人化はあたりまえのことではないのか」(市大HP)と述べ、さらにまた、「独立法人化だけは御願いしたい」(朝日新聞 200358日)と述べていることと同一の意味であるのか否か?

また、「あり方懇」答申が「大学の経営形態は、独立行政法人とする」、身分は「非公務員型とする」と述べているが、このことをどのように評価されるか?お答え願いたい。

 

【質問T-A】学長は同日、記者の質問に答えて、「独立法人化は大学の自由度が増すと思う」(神奈川新聞 前掲)と述べておられるが、いかなる意味でそのような断言が可能なのか?「地方独立行政法人法案」の条文に即して具体的にお答え願いたい(教員組合は、条文を詳細に検討した結果、法人化はむしろ行政による統制強化につながると考ている。別添資料「公立大学の独立行政法人化をめぐって」を参照されたい)。

 

【要望T-1)】また、「独立行政法人化法案」については現在国会審議に入ったところであり、いまだ「法案」が国会を通過しているわけではない。また、大学の構成員の中でも「法案」に関してはさまざまな見解が存在している。各人が大学人としてこの法案にどの様なスタンスを取るのかということこそが現在問われている。公立大学の学長として「法案」に関する学内世論の形成に尽力すべきこの時期に、もし独立行政法人化を前提にして議論してしまうとすれば、それは、学内の民主主義を超越的に蹂躙するものといわざるを得ない。

 

無論、学長には学長の見解があって然るべきである。と同時に、学長が、学内におけるさまざまな見解に耳を傾け、また、大学人の意見交換の場を積極的に作ることは問題への研究的アプローチを旨とする大学において不可欠な研究者としての姿勢であろう。これは、「学術研究の中心」としての大学においてとられて然るべき方向である。「法案」問題に関して、「法案」に関する資料を積極的に教員に提供し公論を喚起すべきことが学長のなすべき前提的事項であると考える。「法案」に関する資料が大学から教員に対して一切提供されていないこと自体が極めて異常な事態であるといわなければならない。

 

<U> 

 

【質問U-@】学長は、市長に対して「あり方懇談会の答申を受け止め」(神奈川新聞 同上)と述べておられるが、それは、いかなる意味であるかを明確に答えていただきたい。

 

【要望U-1)】「あり方懇」答申に関しては、教員の中にはその評価をめぐってはさまざまな見解がありうる。しかし、学長が49日に市へ提出した「あり方懇答申に対する要望」に対する商学部、国際文化学部、総合理学研究科の教授会決議が示しているように、「あり方懇」答申に関しては教員の中ですでに重大な疑義が表明されている。また、学長の市へ提出した上記「要望」なる文書それ自体は今に至っても大学関係者に公開されていない。大学の構成員に対して極めて不明朗な態度であると言わなければならない。

 

この二学部一研究科の決議は、「あり方懇」答申の根底的な部分に多くの教員が疑義を呈していることを示している。このことに関しては、マジョリティの意向は明確だといえよう。学長は、これらの教授会決議が「あり方懇」答申に対する教員の重大な疑義の表明であるとともに、学長が「要望」なる文書をいまだ公表せぬままに独断で先行させたことに対する明確な否定の意思であるとして重く受け止めるべきである。

 

<V> 

 

去る5月13日、臨時評議会が開催され、そこで「市立大学改革推進・プラン策定委員会」を発足させ、「大学改革中期プラン」「大学改革中期アクションプラン」を策定することが決定された。以下の<V>に関しては、「市立大学改革推進・プラン策定委員会」の委員長である学長が教員組合からの要望として同「委員会」に諮り、同「委員会」における結論を文書で回答願いたい。

 

【要望V-1)】58日の新聞紙上で、7日の市長と学長との会談、市長からの大学への「メッセージ」の公表が大きく報じられた。本学の学生、職員、教員の中には、こうした報道が先行するのみで、大学においての具体的な対応がどのように展開しているのかが把握しきれず言いようのない不安が広がっている。 本「委員会」に関して以下の事項について早急に全大学人に明らかにすることを要求する。

 

@本「委員会」の任務と評議会、教授会との関係。および、学生、職員にいかにして情報を提供していくのか。

A委員会の構成(構成員名簿、幹事会名簿、委員会委員長名、幹事会委員長名)。

B今後の作業日程

C「横浜市大学改革推進本部」とはどのような関係を持ちながら進むことになるのか。

 

【要望V-2)】市大改革の重要な方向性のひとつは、市民に対して開かれた大学作りだといってよい。そのためには、改革案を作成するプロセスそれ自体を市民に対して開いていくことが重要だと考える。そこで、「あり方懇」が人数を制限しながらではあったが、傍聴・公開の形態で開催されたことに倣い、本「委員会」も大学構成員はもとより市民の傍聴を認め市民に対して公開して開催されて然るべきだ考える。そのような改革案作成のプロセスを大学側から積極的に市民に公開していくことは、そのこと自体が市大改革への大学の姿勢を積極的に打ち出すことに連なると考える。

 

【要望V-3)】本「委員会」においては教員の身分に係る重大な事項も審議されることになる。したがって、教員組合は本「委員会」の動向に極めて重大な関心を持たざるを得ない。教員組合は、本「委員会」にオブザーバーとして参加することを要望する。

 

【要望V-4)】本「委員会」の審議過程について、適宜、評議会、教授会などをつうじて全教員に明らかにし、必ず市大教員全員の意見を聴取しそこで審議する保障を確保することを要望する。

 

   以上、学長は530日までに文書で回答されたい(<V>に関しては次回「委員会」開催後に回答願いたい)。