八景・文庫地区を「学問・芸術」の中心に
八景・文庫には、横浜市立大学と関東学院大学というふたつの大学があります。この地区の発展を考えるには、これらの要素を最大限有利に利用しましょう。それには、市民の豊かな生活に資するために、文化・芸術の一大センターを作ることがもっともよいことではないでしょうか。
お金をかけないことばかり考えて、縮小縮小としてしまっては、経済発展はあり得ません。多くの人が、今の不況から脱出できないもっとも大きな理由は、消費の伸び悩みであると指摘しています。日本における新しい消費は、ハードとしての物品からではなく、ソフトとしての文化・芸術から生まれるのです。
八景・文庫地区を、学問と芸術の中心として整備することは、市民のニーズに応え、しかも、経済発展も見込める一石二鳥のプランです。市大のカメリヤ・ホールやシーガル・ホールに必要な改造を加えて、音楽会や演劇、あるいは映画の上映などを行うことが出来るようにします。祝日・夜間にこのような設備は、授業などでは利用されず、空いています。また、可能であれば、道路に面した大学の敷地内に、飲食や結婚式・披露宴ができるような会館を作ります。周辺地区も、これらに合わせて整備を行います。直接的に、これらの施設の利用料が横浜市の収入となり得ますが、それより音楽会や演劇などが行われれば、それによって人が集まり、地元が活気づき、商店街にもプラスに作用します。世界的レベルの音楽祭を行うことができれば、周辺の宿泊施設までもが潤います。今、必要なことは、財政難だからと言って縮小ばかりを考えるのではなく、これからの時代にあった積極策を取ることです。
大学自身も学問と芸術のセンターとすべきでしょう。演劇や映像関係の学部などを設置したりして、縮小ではなく拡大発展させるこそが地域と横浜市にとって、いま必要なのです。現在、市が考えているような「プラクテイカル・リベラルアーツ」への縮小は、大学の競争力を失わせ、これまで大学に投資して来た市民のお金をも結局は無駄にしてしまう、まったくの愚行です。当面、少々の出費はあっても、八景文庫地区の再開発につながるような拡充こそが、市民の税金を大切にすることにつながるのです。
平成15年8月18日
理学部
一楽重雄