プロジェクトR幹事会「改革案」に対する商学部教授会見解
平成15年9月11日
商学部臨時教授会決議
1.適正な意思決定の手続きとは。
評議会において、プロジェクトR委員会に改革案の策定について権限を委譲し、評議会の議を経て学長・事務局長が決定するとの決定プロセスを承認したのは、各学部教授会で議論を十分に尽くし、その意向をプロジェクトR委員会、評議会の議論に反映させることが大前提である。幹事会案が出されて以降、実質的に1回しか教授会の意見を問う機会が与えられておらず、この大前提が満たされていないと考える。
2.学府―院構想には賛成するが、3学府を1学部へ統合することには反対である。
商学部(総合経営学府)は、プロフェッショナルな専門教育に特化した性質をもっているので、「プラクティカルなリベラルアーツを目指した実践的教養大学」を目標とする「国際総合科学部」という枠に統合することには反対である。総合経営学府において学問体系としてプロフェッショナルな専門教育を行うことができなければならない。
改革の基本概念「プラクティカルなリベラルアーツ」は、概念矛盾である。また「リベラルアーツを一般教養教育」と理解するかぎり、それは、全学アンケート調査でも明らかになっている「専門教育の強化」という学生のニーズに対応できない。
3.独立行政法人化に関する問題点
(1)独立行政法人化は、大学の設置形態の重大な変更であり、教員の身分の変更(非公務員型)を伴う。教授会、評議会において十分論議を尽くし、また関係職員団体または関係労働組合等と十分な意思疎通を行いながら決定すべき問題である。今後、そのような手続きを十分に踏みながら具体案を作っていくよう要望する。
(2)学校教育法や教育公務員特例法の理念と規定を踏まえて、既存の各教授会の組織と権能、とくに教員の人事権を各分野の専門家から構成される教授会に保障することを前提に、学府・院構想を検討する際に教授会の位置づけを明確にするべきである。
(3)とりわけ、任期制、年俸制については、教員の身分に深く関わる事項であり、その態様によっては教員の身分を著しく不安定にし、ひいては本学における教育・研究のあり方に多大の悪影響を及ぼすおそれがある。大学の伝統の力とは人と人との繋がりに基づくものであり、その核となる教員の身分をわざわざ不安定なものにしても得るものは少ない。その意味において、その導入の是非を含め、職員団体または関係労働組合等と十分に意思疎通をはかっていくことを要望する。
(4)大学の事務局が大学に専属する専門事務職員によって構成されることを要望する。
(5)理事長と学長の分離は、経営による教学の支配の危険性があるので、その危険を防ぐ工夫も含めて、再検討することを要望する。
4.博士後期課程の存続
商学部の博士後期課程は、この10年余で大学の専任教員だけで18名を輩出しており、その他、研究所の研究員、大学非常勤講師等として多数の出身者が活躍している。この事実は、これまで商学部の博士後期課程に大いなる存在意義があったことを明確に示すものである。
また、今後の問題としても、@COEへの応募には博士後期課程の研究が前提となること、A主に社会人を対象に高度職業人の養成を主眼とするMBAとMPAの2コースをもつプロフェッショナル・スクール(経営科学研究科(仮称))を構想中であるが、そこに博士後期課程での先端的研究の成果を反映させる必要性があること、B社会人ドクターへの要請に応える必要性があること、等に鑑み、博士後期課程の存続は必須であると考える。
上記に加え、博士課程存続の経費に関しては、コスト・ベネフィットを踏まえた運営上の工夫をすることが可能である。
5.正確な財政状況を踏まえた組織改革
改革の発端が市の財政問題である以上、各部局別の黒字・赤字の実態を踏まえて検討するよう要望する。
以上