現職全教員への任期制の導入は地方独立行政法人法に違反します

 

 

「横浜市立大学の新たな大学像について(案)」は、「大学の運営形態は地方独立行政法人とする」(29ページ)としている。地方独立行政法人法によれば、法人化された大学は「公立大学法人という文字を用いなければならない」(地方独立行政法第681項)。これによって横浜市が運営する横浜市立大学は公立大学法人へと移行することになる。地方独立行政法人法は、この移行に当って公立大学教職員の身分は公立大学法人へと承継されることを明確にしている。

地方独立行政法人法第592項では次のように規定している。「移行型一般地方独立行政法人の成立の際、現に設立団体の内部組織で当該移行型一般地方独立行政法人の業務に相当する業務を行うもののうち当該設立団体の条例で定めるものの職員である者は、別に辞令を発せられない限り、当該移行型一般地方独立行政法人の成立の日において、当該移行型一般地方独立行政法人の職員となるものとする」。公立大学は移行型一般地方独立行政法人であるので、横浜市立大学の教職員は公立大学法人に身分が承継されることになる。

このことは、国会答弁においても明確に確認されている。「これは、設立団体の業務と同一の業務に従事する者につきましては、当該地方独立行政法人の職員として引き続いて身分を自動的に保有しつづけることができるという形を法律上措置したものでございます」(参議院法務委員会 200371日 森清総務省自治行政局公務部長)。

このように公立大学法人への移行に伴う教職員の身分の承継は、当然に自動的に行われねばならない。したがって、現職全教員への任期制の導入は重大な身分変更であり承継を規定した地方独立行政法人法に違反する。 

これに関しては、商学部教授会と国際文化学部教授会は反対の意思を提示した。みてきたように地方独立行政法人化法が身分の承継を明確にしているのであり、「有期雇用」への変更はこれに抵触し、また「限定法」としての任期法の定めに違反することになる。「『雇用』と身分の『安固さ』こそ学問の自由と独立性を支える基盤である」(高等教育3研究所編『大学ビッグバンと教員任期制』青木書店、1998年)のだから、これは、身分問題であるのみならず学問の自由の根幹の危機だと言えよう。

 教育基本法第62項は大学人として今こそ重く受け止めるべき規定である。「法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に勤めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない」

20031022

                        横浜市立大学教員組合執行委員長

                                   藤山嘉夫