教員に対する全学説明集会の開催を要求する

 

横浜市立大学学長 小川恵一殿

20031127

横浜市立大学教員組合 執行委員長 藤山嘉夫

 

 1029日、横浜市立大学の小川学長は、横浜市大学改革推進本部会議において「横浜市立大学の新たな大学像について」(以下、「大学像」)を提出した。

「大学像」(案)を検討した1022日の臨時評議会においては、とりわけ人事委員会と全教員への任期制の導入に関しては、多くの評議員からの反対意見や疑問の表明が行われ、これに反対した者の氏名を議事録に残すべきこと、さもなくば反対意見を付帯意見としてつけること、または、上記2点に関して評議会での採決をとることの提案がなされた。それにも関わらず、いずれに関しても評議会議長である学長によって拒否され、一方的に評議会の終了が宣言された。本学の最高の意思決定機関としての評議会の議長たる小川学長は、評議会運営上の手続民主主義において重大な誤りを犯している。この事態に対して、1028日の国際文化学部臨時教授会、116日の商学部教授会、1113日の木原生物学研究所教授会において教授会の遺憾表明決議がなれている。

 

本「大学像」とその伏線となってきた諸案(「あり方懇」答申、「大学改革案の大枠の整理について」、「大枠(追加)」「横浜市立大学の新たな大学像について(案)」)に関して、本質的な諸論点に対して学内で厳しい批判が相次いできた。この半年余においてさえ、各学部の教授会、臨時教授会、付置研究所の教授会、評議会、臨時評議会、プラン策定委員会などにおいてそれらに対する極めて厳しい批判が続出した。学部教授会、大学院研究科委員会、研究所教授会においては都合10件を超える反対決議や教授会見解が表されている。これは尋常ならざる事態である。教授会と多くの教員の意見表明にもかかわらず、小川学長の秘密主義と乱暴なトップダウンによってそれらはほとんど改革案に反映されずに来た。今回の改革案は学内の総意を結集したものとは決して認めがたい。

 

文科省は、大学の人事に関しては「教育・研究にたずさわる者が責任を持つべきである」と明言している。

今後は、この指摘を踏まえて「大学像」における「人事委員会」は、根底からの見直しがなされねばならない。

また、文科省は、全教員への「一律」任期制の導入に関して、移行型独立行政法人における「大学の継続性」という性格を強調し、「一律に任期制をしき、誰を採用し誰を採用しないかというようなことを行うのは公権力の介入という視点からよいこととはいえないのではないか」、と明言している。

任期制の導入には本人同意が前提となる。それは、「誰を採用し誰を採用しないか」という「公権力の介入」を意味することになる。とりわけ移行時に現職の全教員へ任期制を導入することは、乱暴の極みであり、現行法や文科省見解に照らしても不可能である。「大学像」の現職全教員に対する任期制の導入は直ちに撤回されるべきものである。

 

学長は、あまたの問題点を内含する「大学像」に対し、どれだけの教員が諸手を上げて賛意を表明していると考えるのであろうか。「大学像」は新たな大学像として教員に希望を与えるものでは決してなく、教員を落胆と不安の底に引き込み、転職をも考え出すものまで出てきている状況にたいして、学長は、いかなる責任をとるのであろうか。学長は、すべての教員を痛みもなしに正視できるのであろうか。「大学像」によって市大の従来の水準を低下させることになったら、学長はいかなる責任を取るのであろうか。その予兆は既に見られる。仄聞するところ、30日に行われる推薦入試の志願者は、大幅に減じているのである。

 審議の過程が不透明極まりなく、学長が教員の前で説明責任を果たすべきだと求める教員の要求には学長はこれまで一切答えていない。学長は教員の前に立ち納得のいく説明を直接に行うべきである。ここに、学長による教員に対する全学説明集会の開催を要求する。

                             12月5日までに文書で回答されたい。