03/12/04 『学長との“対話”集会』の記録

 

2003年12月22日 総合理学研究科 佐藤真彦 

 

 

本学では初めてとなる小川恵一学長との“対話”集会が,2003124日午後6時より大学院総合理学研究科の主催でとり行われた[i][]

以下に再現した“対話”集会の記録から,驚いたことに学長は,(1)自分の行っていることはすべて正しく,改革案(「横浜市立大学の新たな大学像について」,以下「大学像」)[ii][]により横浜市大が本当に良くなると信じていること,(2)市長・事務局からの“廃校・民営化”の恫喝を真に受けて,彼らの“望み通り”の「大学像」を作成したこと,また,(3)「大学像」の作成により,自分自身をむしろ,“市大の存亡の危機(事務局長発言)”を救った“功績”に対する“功労者”であると思っているらしいことが窺える.

小川学長は,最後に,『外との関係は一応ゴーサインが出ましたので、今度は中の問題になりますから、ぜひ皆さんのお力を借りていきたい』と挨拶し,“今後は教員が主体的に中身を検討していく番になる”という見通しを述べて,“対話”集会を締めくくった.

しかしながら,その後の事態の成り行きは,そのような甘い見通しを粉々に打ち砕く展開となっている.すなわち,横浜市は12月17日に突如,理事長予定者を記者発表[iii][]すると同時に,大学改革推進本部(本部長:前田正子副市長)の中に「コース案等検討プロジェクト部会」を設置し,これを通じて直接,“学部のコースや大学院の専攻,文系博士後期課程などについて検討”することを一方的に伝え,さらに,「コース等検討プロジェクト部会参加申込書」なる文書を配布して,これに協力する意思があるかどうかを全教員に問うたのである[iv][].これらの一連の事態を学長が知ったのは,いずれも直前の,当日の朝のことであったという.このような,大学の自治を乱暴に踏みにじり,教員に“踏み絵”を踏ませるやり方は,石原慎太郎東京都知事が“都立新大学構想”に際して用いたファッショ的なやり方と酷似している[v][]

 この“対話”集会の中で,小川学長は『私は、学問の自由と大学の自治は、絶対重要ですし、もしそれを侵すようなことがあれば、私は身を挺して、それを阻止したい』と答えているが,もしこれが虚言ではないと主張するのなら,茂木俊彦都立大学総長が敢然と実行したように[vi][],ぜひとも「身を挺して阻止」してもらいたいものである.それもできないのであれば,小川学長は,このようなのっぴきならない事態を招来した責任を痛感して,潔く辞任すべきであろう[vii][]

 

 

・・・・・・・・・・

03/12/04 『学長との“対話”集会』の記録

 

 

小川恵一学長

 

どうも皆さん、こんばんは。久しぶりにみなさんのお顔を拝見して、少し緊張してるような。あの、ここしばらくですね、大学、みなさんもご存じだと思いますが、大学の中が非常に激しい動きがありまして、本当は私ももっと自由な立場で、みなさんといろんなお話しをする、そういった機会があればいいなとずっと願っていたのですが、なかなかそうもいかない。そういうこともありまして、みなさんとしては昔一緒だったのになんだっていう感があるかと思いますが、今日はこういう機会をつくっていただきまして、どうもありがとうございます。それで、ちょっと、20分ほど時間をいただいて、経緯をということですが、「新たな大学像について」ということですが、たぶん皆さんは、この「新たな大学像について」の「冊子」とそして「骨子」というものをすでにご覧になっているというふうに想定したいと思います。そして、あと、もちろんポイントは、説明、あるいはみなさんに十分ご理解いただけていない部分があるのかなと想定されている部分については、ご説明したいと思います。

 

そしてあともうひとつですね、ここに今拝見したのですが、資料として、「設置者の基本的な考え方について」というものが出ています。先に結論から述べますと、121日に副市長に呼ばれまして、私は、その日の朝に渡されるまでそういうものがあるというのを知らなかったのですが、とにかく来いということで、行ってきたんですが、こういう「設置者の考え方」ということで、基本的にですね、この「新たな大学像について」は、OKだと。この方向で改革を進めてくださいということを言われました。特に、この中でもですね、任期制の問題と人事委員会の問題は、きちんとやってください、そして、独立行政法人化もきちんとやれ。その3つをきちんとやって、あとは、大学の中でいろいろやってください。その3つですね。それでそのほかに、むしろ、「新たな大学像」に示している以外に、もちろん、市会での議論だとか、そして市長や副市長への説明とか、あるいは大学改革推進室というのがありまして、それは局長だとか副市長だとかが入っていまして、そこでも説明したときには、教職課程は原則として廃止するということをお話ししたんですが、それは廃止しなくて継続でいいという、むしろ膨らます方向のですね、設置者の判断であるわけです。

 

あともうひとつですね、文系の博士課程も、あまりはっきり書いていないんですけれども、博士の内容については、割合に、何て言うんですか、ネガティブな方向の記述だったんですが、これも継続という、文章は精選ですけれども、継続の方向で考えていいという、そういう2点を、むしろポジティブな方向での設置者の考え方を聞きました。

 

ちょっとそれだけ先に、結論を先に述べさせていただきました。

 

で、「新たな大学像について」の説明ですけれども、ちょっと経緯をご紹介したいと思いますが、みなさんご存じのように、227日に「あり方懇談会の答申」が出て、そして、あの中には、4つの選択肢というのがあって、これは新聞が勝手に書いたんですけれども、廃校も選択肢ということがあったんですね。その後私も、心配してこんなことがあってはいけないと思って、いろんな、そのとき私まだ、あまりそういう筋の人達とですね、今でもあまりありませんが、どうしていいかよく分からないことだったんですが。たとえば、市長とお会いしてもですね、市長はとっても厳しかった。ちゃんとやらないとだめだよみたいな、そうは露骨にはおっしゃいませんが、なんとなくそういうニュアンスで話して、決して、大学のことをよく考え、市としてよく考えるのだなあ、そういう雰囲気ではなかったというのが、2月の終わりから3月にかけての感じでありました。

 

で、その後ですね、いろいろ、私もいろんな、なんて言うんでしょうか、いろんなことをして、議員さんとかいろんな方と話をしているうちにですね、だんだん好転してきて、そして5月の7日ですね、市長の大学へのメッセージというものがございました。その時には大分トーンが、皆さんもご存じだと思いますけれども、トーンが変わってまして、市民の視点に立って大胆な改革で生まれ変わろう、まず決めるのは大学自身です。市民という視点と大学自身だということが、ここでうたわれました。私はもっとひどいことを言われるのだとばっかり思っていたんですが、非常にトーンがここで変わりました。そして、ただしですね、前提として、「あり方懇談会の答申」を踏まえるんだよと、踏まえるという意味が一体どういうことなのかということでは、まだいろいろあるんですが、とにかく踏まえるんだということを言われました。そして、2月の末から5月までは、市長の腹の中だったわけですけれども、「あり方懇の答申」については。それが、いよいよそういう形で、市民の視点と大学自身だということで、大学にボールが投げ返されたわけですけれども。

 

それで早速ですね、513日に評議会で、市立大学の改革推進プラン策定委員会というのを作って、そこで大学改革の中期プラン、大学改革の中期アクションプランというのを作成します。それを作るにあたっては、幹事会というのを設けて、そこで全学的な視点から大学の改革案の原案をつくって、そして先程の策定委員会、これは親委員会といいますけれども、親委員会を通して、そしてそことやり取りしながら、そして評議会に報告をして、そこで最後は局長と、もちろん議を経て、局長と私でまとめる。そういうことを、評議会で承認していただいた。その日に早速、原案づくりをスタートしたわけで、その間ですね、よく、なんか幹事会には秘密があるんじゃないかということをおっしゃる方が、決して十分あれをしたと思いませんが、だけどわれわれとしては一生懸命やったつもりです。議事録はきちんと出しました。不完全、わかりにくい議事録だと、非常に簡略すぎる議事録だとご批判がありますけれども。まあ私たちいろんな議論が、1回やると3時間ぐらいやるわけですけれども、とにかくいろんな議論が出るわけですね。それをどういうふうにまとめて報告できる議事録に作ることすら難しいという状況だったので、ああいう形になったのですけれども、隠すとかなんとかでは全然ございません。

 

それで、あとですねもうひとつ、私、情報公開に努めたつもりですが、「大枠の整理」というので一つ出しました。もう一つは、「大枠の整理追加」というのを出しました。そういう意味では、内容については、決して秘密ではなくて、みなさんの意見をいただくにはいただいて、そして、改革を進めていく。そして818日に「大枠の整理」、926日に「追加」が出て、そして10月の17日と22日の評議会の議論を経て、そしてこの「横浜市立大学の新たな大学像について」という冊子を、大学の案として1029日に市長に提出した。というまあ、だいたいそういう経緯です。そしてその後ですね、市長は精査するという、つまり、そのままいただいたということを言ってもらえませんでして、精査するという、ま、なんと言うんですか、リザベーション。その時の印象はですね、そんな悪くはなかったです。まあ、かなりやったんじゃないかというような感じの、市長からの表情から、そういうことが読み取れましたけれども、いま精査するというそういう意味で。それが、121日に、この考えでいいんじゃないかと、まあそんな経緯で。

 

したがってですね、みなさん、分かっていただけるかと思いますが、非常に限られた時間で、これだけのことをやったので、なかなか情報をみなさんに十分伝達しきれたかどうかというところは、反省せざるを得ないということは、承知で申し上げたいと思います。それで、だけどそうしたら納得どこだ、独断でやった、そうではなくて、評議会の議をちゃんと経て、みなさんに選んでいただいた代表の方が入ってやったというだけでは、独断でやったというわけではないということを付け加えたいと思います。

 

それではちょっと、あの、要点だけ、「新たな大学像」についてもう1回、説明したいと思いますが。「骨子」をちょっと見ていただきたいんですけれども。「骨子」の1ページの第1章のプラクティカルなリベラルアーツ、これの内容については、幹事会の中でも、また、親委員会の中でもこれについて大変激しい議論がありました。中でも、いろんな、勉強してみたりいろんなことをしましたが、結局、最後ですね、どういうことに達したかと言いますと、リベラルアーツのですね、原点、これはまあアメリカにあるわけですけれども、人格形成、人格形成みたいなことがやはり必要だということと、そして専門基礎を主にする。アメリカのリベラルアーツカレッジは専門基礎にもデパートメントがあるんですね。フィジックスデパートメント、ケミストリーデパートメント、そういうデパートメントがあって、そしてそこできちっと専門を教えている。だけど人間形成もきちんと、全寮制なんかも持って、そういう、教育をやっているわけですが、それはやはり非常に貴重であるということで、リベラルアーツ教育ということを打ち出しました。で、カタカナにしているのは、日本語では一般教養というものは全然違った概念になっちゃいますので、リベラルアーツと英語で言ってるんです。プラクティカルということも大事な議論になりましたが、学問がですね、だいぶ成熟してきてて、要するに現代の社会も、何て言うんですか、先端的になってきていて、その2つの距離が非常に近づいている。近くなっている。例えばですね、哲学なんてのはプラクティカルじゃないんじゃないかって、私自身、実はそう思っていたんですね。だけど、いろいろ議論していくと哲学もですね、例えば、いま皆さん、そうかと、ちょっとはっと、そうかとお分かりいただいたように、生命倫理なんていうのは医学には欠くことのできないんですね。そういうこともあるんです。企業の倫理もそうですね。最近企業もいろいろと悪いことをしている。そうすると、倫理なんていうのも実際にはプラクティカルでもあるわけです。そういうわけで、プラクティカルというものについてもそんなに悪いことではないと。学問がそれだけパワフルになってですね、むしろありがたいことだというぐらいに、役に立つと、実践的であると。そういう認識でこれをひとつの特徴として挙げておきます。

 

学部と研究院の区別は、これは「将来構想委員会」の結論をそのままこれに導入したと。「新しい大学像」に導入したということになります。研究院では、所属と研究をすると。教員の所属と研究。学部では教育をする。もちろん学部がすぐ大学院に。そしてあと、リベラルアーツ教育、3章のリベラルアーツ教育のところ、これはプラクティカルに重なるのですけれども、重ならない部分でひとつ大切なのはですね、2年次に進学のときに、転学を認める。何%認めるかという問題がありますけれども、少なくとも5%ぐらいはいいんじゃないかと。もちろん成績によるわけですけれども。まあそういうようなことで、学生が、今しっかりした目的を持たないで入ってくる学生がいますので、そういう子が1年しっかり勉強して、自分の向く分野をちゃんと見極めて、そして自分の将来をかける専門を選べるようにということになりました。あともうひとつ特徴はですね、情報教育と語学教育、これを非常にいま、なんて言うんですか、社会で生きていくためのマナーとしてというぐらい身につけないといけないということで、しかも学生にですね、非常に能力差があるということなので、習熟度別で全学混成クラスを組む。

 

そしてあとずーっと下の方にいっていただいて、教職課程は先ほどお話ししたように分野は選択しますけれども、継続を認めると。そして1番下の大学院のところですが、大学院については理系の場合は、あんまり、問題はございません。ドクターまで基本的に、分野は多少精選するということがあるかもしれませんがあまり問題はない。ただ、名称についてはですね、今後まだ検討していろいろ。

 

その次の2ページを見ていただいて、学部長等の責任と権限の明確化、教授会、研究院というのを見ていただきたいんですが。学部長にはですね、一言で言ってしまうと、教育についてですね、もう少しいろいろ責任を持っていただきますということを。

 

教授会はですね、これは独立行政法人化の基本的な考え方とも合うんですが、学生の身分なんかについて、主として学生に関することを、教授会で決定すると。学位もそうですね。そして、研究院はですね、3つ、いま想定しておりまして、人文・社会科学系と自然科学系と医科学系。で、皆さんは、自然科学系を構成するということになっております。

 

そして、その下の木原生物学研究所については、再編をすると。これもですね、なかなか「新しい大学像」で、木原生物学研究所についてはきちんと書けなくて、すいません。ご不安を与えたりしたと思うんですが、いくつかのポイントがあります。ひとつはですね、生命科学系の研究はこれからやはり、充実しなければいけない。だから、そういう意味では木原生物学研究所のですね、実績だとか人材だとか、そういう方々はこの大学のですね、売りになるようなそういうシステムに再編していくということです。それが1点。もう1点はですね、横浜市事業の、独立行政法人化になりますと、横浜市直接ではなくなるんですね。いま、市の財団は、横浜市の参画の団体になっていると。そのへんの整理の問題だとか。こういうことは、私はあまり詳しくないのでよく分からないんですけれども、そのへんの整理の問題だとか、それからあと、横浜市自体がですね、バイオサイエンスについて、いろいろ展開しようとしていますので、そこの中にどういうふうに位置付けるか、たとえば、舞岡地区をどういうふうに位置付けるとかですね、そういう問題とも絡んで、しかしながら、縮小するんではない。これからは、売りにして行くんだ、いろんな意味で。そこはそういう意味で、ご理解いただきたい。

 

地域貢献,あまりもう時間がございませんが、地域貢献は将来学習。将来学習は、これから、大学のですね、市民のためのということもあるんですが、大学の中の教育研究になりますが、そういうような責務のひとつとしてですね、位置付けるということです。つまり、プラスアルファとして、おまけとしてやるんではなくて、そういう1つの、なんと言うんでしょうか、活動の一環として位置付けていく。したがって、教科もそれなりの対応をする。評価の対象になる。

 

で、3ページの管理運営ですけれども。先程お話ししましたように、地方行政独立法人化になりますと、これは実は設置者の方がそれを求めているということもありますが、国立大学も地方独立行政法人化に移りました。あ、失礼しました。国立大学の場合は、国立大学独立行政法人に移るわけですけれども。あの、裁量権が増えるわけですね。で、そういう意味では、大学が上手に運営できればその方がいいということになるわけです。で、地方の場合は、それをどっちを選ぶかという選択が残されておるんですが、その選択は、最終的には横浜市の場合は、市議会が決めることになります。

 

で、教育研究に関する責任と経営に関する責任の明確化。このために、独立行政法人の中にですね、国立大学法人と同じ、学長が経営と教育の同等の責任を負うという形にするのがひとつ。あと、ただし書きの部分でですね、地方の場合にはいろんな幅があるので、分けてもいいということが書いてある。だから、2つ可能性があるわけですね。学長と理事長が同一人格である場合と別人格である場合とがあるわけで、そのどっちをとるかという問題なんですが。もちろん、最終的にはそれも市議会が決めることなんですけども。中の議論ではですね、結局これも、非常に意見が分かれたんですが、最終的には、ここは2つの病院を抱えていて、非常に経営のウエイトが重いので、学長がですね両方やるということになると、それは結局無責任体制になるというのでもって、分けることになりました。

 

人事委員会もですね、これも設置者側のいろいろな考え方もあったんですけれども、そして、評議会の中でもいろいろな議論があって、そして、みなさんの意見を取り入れてですね、学長の諮問機関にするということにして、教学側のイニシアチブをそこで確保するということにいたしました。

 

そして、任期制については、これも、法律の問題がひとつありますので、法律の問題は当然違反はすることができませんから、法律をクリアするかどうかという問題が1点と、もし任期制をですね上手に使えば、むしろみなさん方の研究を活性化することも、つまり、ネガティブにとることもできますが、活性化することも可能であるというふうに。ぜひそういう制度にしなければならない。そうすると、どういうことになってくるかというとですね。普通、ごく普通に、大学で、大部分の皆さんはそうだと思いますけれども、授業だとかですね、研究に役立っている方は、決してこれに不安になることはない。そういう任期制にいたします。で、まあ、たまたま幸か不幸かですね、いろんな意味で、ああ、あの人は問題があるなあと、中の多くの方が感じるような方が、いま、仮りにいらっしゃったとすると、そういう方にはですね、少し頑張ってくださいよと、ということになって、それでもダメだということになってくると、それではっていう、まあそのぐらいのことで、任期制については考えたいと思います。普通の人はむしろ、全然問題にならないと。そして、むしろ評価してもらえてですね、任期制になったときはそれだけ自分の実績が認めてもらえたんだというふうになって、そんなシステムにしたらどうかなということを、いま、私は考えております。

 

で、年俸制も、働けばそれに報われるという、そういう年俸制ということです。

 

まあ、ちょっと時間が少しオーバーしましたけれど、そんなところで。どうも。

 

 

○○(一般教員)

 

まず、商学部なんかでもずいぶん決議が出されていますが、評議会のレポートは、いったいどういう形で、あれは通過したのか。あるいは、十分、意見は聞いたという立場のようですが、いっぱい決議がいろいろ出て、それから、一度、「大枠についての整理」の後で各教授会の意見を訊いた。そういうときにいろいろな意見がでていますが、それらはほとんど取り入れられた様子はない。そういう意味で、これは大学の総意というよりは、やはり、学長の責任で作られたものだというふうに思っているんですが、その点に関してやはり説明があるべきだと思います。

 

 

小川学長

 

「新たな大学像」についてまとまった後ですね、10月の17日と22日の、2日間にわたって評議会で議論いたしました。最後の日には終電車がなくなるという時間まで議論いたしました。結局ですね、2日間にわたって議論して、2日目の時にはですね、最後の方になってくるともう同じ問題の議論になって、それはですね2つでして、人事委員会の問題と任期制の問題。人事委員会の問題と任期制の問題については、いろいろな議論が出たのを取り入れてですね、修正をして、そして、初めのとは違う形になって、「新たな大学像」という形になって、最後にまとめました。それがどれだけ取り入れたということになってくると、いろいろ意見が分かれるところだと思うんですが、ひとつは私なんかも悩むのは、ひとつは横浜市が、換骨奪胎なんていう言葉を市長が、市会の全委員長が集まる会のときに、市長は換骨奪胎ならばそれは改革と認めないという発言をされたわけですね。で、その前に、大学改革推進委員会だったかなぁ、推進本部、推進本部、大学改革推進本部というものを設置者側で設けているんですけれども、その席で「あり方懇」の座長の橋爪さんがアドバイザーとして入っているんですね。で、橋爪さんはそのときに、私が報告をしたときに、看板の塗り換えになってちゃだめだというアドバイスをした。その辺もあってですね、とにかく変えるっていうことを求められているわけですね。で、人事委員会のところも、今までと同じパターンだとですね、認めてもらえないということなんです。実を言うと。へつらうという意味では、全然ないんですけど。あの、教員の自主性はなるべく尊重しながら、だけど設置者もこれならいいと言ってもらえる線はどの辺だと、そういうかなりポリティカルな選択をしないといけない立場に、私としては陥ってしまったんですね。それで、今の学長の諮問機関ということにして、学長ということにして、大学の教員側の意向がですね、つまり為政者の方から来て、そこで人事を勝手にやられてしまうことは、そこでストップするという。歯止めとして学長の諮問機関ということで収束した。

 

そしてあとですね、任期制についてはですね、法律については精査する。もっと法律の問題がきちんとしないで見切り発車みたいなことでやらなくて、法律の問題を精査した上でオーケーならば任期制で決める。この2点を修正して、そして、評議会で認めたというんでしょうか、皆さんがそれでいいんだと、最後は評議員の中からそれでいいんではないかと、そういうことで評議会の議を経たということになりました。

 

その時にですね、反対意見については、名前をきちんと記述して、議事録に載せたらどうだという、全員じゃあないんですが、一部の方なんですけれども、非常に強い意見が出ました。それに対して、私、どうするか判断しなくてはならないことになったんですけれども、それについてはですね、反対意見が出たということに関してはなるべく詳しく議事録に載せる。で、みなさん評議会の議事録を見ていただくと分かりますが、非常に詳しく細かい点の記述があります。評議会の議事録は非常に簡単にしか書いてないんですけれども、例外的に非常に詳しく書いてあります。ただし、名前は載せないということにしました。それはどうしてかというと、今まで名前を載せるということはしてないんですね。現在ずっと。そのひとつの理由は、やはり、名前を載せるとですね、評議委員の方が、例えば、お前はあの時言わなかったじゃないかとか、あんなこと言ってるとか、いろいろ、そういう制約があって、むしろ逆に、発言がしにくくなって、自由な、全学的な観点から自由な議論がしにくくなる。そういうことは、やはり好ましくないというふうに、私、思いましたので、名前は、議長として、私、載せないことにしました。今まで通りにいきますと。そういうお話しをして、みなさんに納得していただきました。ただし、非常な批判をいただいたのですから、省かないできちっと載せるということで、そういうことで評議会の議を経て、そしてそれが市長に手渡された。そういうことです。

 

 

○○(一般教員)

 

これだけの機会があったのに、久しぶりですねとおっしゃって、どちらを向いておられるのかよく分からない。だけど、総意を尽くしていないんですよ。総意を尽くして、一致点がどこなのかを探されるのがそうだったのに、そうされなかったということはやっぱり、認められるべきだと思います。(小川)先生はやはり、大学の総意ではないと認められているんだと思います。(小川)先生なんかが、まとめられた意見だと思います。だから結果として、皆さん、ものすごく不信感に思ったり、不安に思ったり、いうことで、蔓延しているというのが今の現状だということを、認識されていないんだと思います。

 

 

小川学長

 

あの、総意っていう意味がですね、どういう意味だか、ちょいと分からない。満場一致という意味ですか、それは?

 

 

柴田悟一副学長

 

まずですね、ぜひ理解していただきたいと思いますのは、これだけの時間の中で、そして、これだけの大勢の人達の意見を、汲みあげながらですね、そして最終的な案を作るという作業の中で、評議会の中でまずルールを作ったんですね。そのルールにのっとってですね、幹事会が作られ、幹事会の中身を公表するか、どういう形で公表するか、議論したんですよ。そういうことまで議論して、ああいう形になった。ルールにのっとった。最終的に評議会という形でやったと言うことは、私は逆にですね、総意でないという方たちに対してですね、これはおかしいと思う。皆さんが選んだ評議員が、評議会で議を経たことを総意でない。ただこれは私も感じてますけれども、情報の量があまりにも少なかったと思うんですね。これに関しては、常に学長と話しておりますけれども、もっと情報は出さなければいけなかった。それが出せないという状況があったわけですね。それから大きな問題に関しては、ぎりぎりのところで突然に案が、ワーキンググループから出てきた。「あり方懇答申」との整合性を議論していくうちに、これは客観的に、みなさん方全部が賛成することはできないだろうと、現実問題。ですから私はですね、総意を得ているということが、全部みなさんが賛成したということになるというのはあり得ないと思うんですね。ですから私は、あとはルールに従ってやらざるを得ない。これはまさに民主国家です。私、商学部でそういうことをずっと申し上げてきたんです。そういうことで私は、できるだけ決まったら、改革委員会の委員は、各教授会で話すべきだと思うんですね。できるだけ説明するべきだと思うんです。そういうことで、情報にあまりにも差があるということは、認めざるを得ないんで。だからね、できるだけ私は説明しますという形で説明した。でもそれがですね、自分と意見が違うとかですね、反対だというんで、総意がないと言われたら、私はこれ。

 

 

(たまりかねて、発言をさえぎり)

○○(一般教員)

 

だから説明がない。

 

 

○○(一般教員)

 

説明なんて1回もないですし。教授会からの意見に答えられたということは1回もありません。

 

 

柴田副学長

 

ですから、評議会の中で議論してルールを作ったんですね。そのルールに従ってやったということは、やっぱりこれはですね、議論を経たということにならざるを得ないんじゃないですか。

 

 

○○(一般教員)

 

説明したかどうかを、聞いてるんじゃないですか。

 

 

○○(一般教員)

 

説明がないんだよ。

 

 

○○(一般教員)

 

説明がないっていうことをきいているのに、どうして違うことを言うの。

 

 

○○(一般教員)

 

箝口令を敷いたというルールですかね。

 

 

○○(一般教員)

 

先ほどの学長の話で、学長と理事長を分離することについても、ほとんどの教授会で反対している。それから人事委員会の問題についてもいろいろ出たんですが。最初に学長は、自由なことができなかったということを一言、お述べになりました。それについての理由を述べた中で、たぶん、設置者側の意向がいろいろあるということを、何回かお話しになったので、たぶん、そういう意味だと思うんですが、設置者側の意向というのはどういう形で、プロジェクトRの方には伝わっていったんでしょうか。あるいは、設置者側の意向は制限にならなかったのかどうか?

 

 

小川学長

 

あのー、別に設置者からはですね、こうふうにしなさいってな、強制的に何かあるということは一切ありません。ただ、先ほどもお話ししましたように、「あり方懇談会の答申」を踏まえてということで、私は、幹事会でもお話ししましたときに、踏まえるということはですね、それを100%聞くというのを踏まえるというふうな方もありますし、それを踏み台にして新しい大学なりが飛躍するというのも踏まえるですね。私は、「市大が飛躍するという」、「そこを足場にして市大が飛躍する」と、そういう意味で「踏まえて」をとらえて、この大学改革というのは、「新しい大学像」をつくるようになったと、そういうふうに思っておりますので、あの、そういう意味では制約は受けていない。ただ、そういう「あり方懇」が指摘した問題点についてはですね、ひとつひとつ解決していかなければならないという、そういう姿勢でこの「新たな大学像」を作りました。それも制約というふうに言われるのか、それは私には分かりませんが、私は制約というふうには見ておりません。

 

 

○○(一般教員)

 

自由にできなかったということは、どういう意味で使ったんですか?自由なことができなかった、その経過をお話ししましょうと、最初にお話しになったんですね。

 

 

小川学長

 

あ、あまり語尾みたいなことをとらまえてですね、お話しされると、私もこう、あけっぴろげで話していきますからね。私は、自由というのはですね、まったく、無人島でひとりでしゃべっているみたいなものを自由かといえば、それはそうかもしれない。だけどそれは不可能でしょう。こういう団体でですねえ、ある組織の中で生活している以上は。無人島でひとりで話しているのとは違うわけですから。そういう意味の制約はある。そういう意味です。

 

 

○○(一般教員)

 

一人一問程度、しかも簡潔にやれと、最初に言われましたので、最も基本的なことをお聞きしたい。教員組合の報告によりますと、1111日の市議会での質疑応答の際に、関美恵子議員という方がいらっしゃいますけども、次のようなことを学長に要請しました。つまり、「憲法23条大学の自治の基本精神をもって進めてほしい。その立場でやっていただきたい。」と要請したのに対して、学長は、「人事委員会や他のことにも十分配慮している。私はその精神に乗ってやっていくつもりである。具体的に、大学改革をすすめるときもその精神を守っていきたい。」と答弁しましたが、「大学自治の精神を守っていきたい」という、そういう学長の答弁にもかかわらず、多くの良識的な大学人の間では、全国のことですけれども、改革案の真のねらいが「大学の自治」の破壊、すなわち、“官僚統制大学化”であって、これが先例となって全国の国公立大学に広がるのではないかと非常に危惧されておりまして、いまや全国の注目の的となっている、ということは学長もよくご存知だと思います。私には、さきほど学長が説明されたような事務局主導による改革案作成の過程、それ自体が、すでに大学自治の精神に反していると思うんですが、市議会での答弁では、

「大学自治の精神を守っていきたい」などと矛盾したことを言っているわけです。どうも、学長は、自分が矛盾しているということにまったく気がついていないふうに、私は思います。そこで、学長は「学問の自由と大学の自治」の精神が、なぜ大事なのか、どのような経緯で、憲法23条や教育基本法などの法律でこういった規程が設けられるようになったのかを、いったい、ご存知なのかどうか、非常に基本的なことで恐縮なんですが、お答え願いたい。

 

 

小川学長

 

あのー、私は、学問の自由と大学の自治は大切だということは理解していますし、私自身、身にしみてですね、私なりに、私は小学校3年生のときに終戦でしたから、そのなんて言うんですか、時の為政者がですね、支配した場合、どういう悲劇が起こるかということを、身をもって体験した人間ですから、学問の自由だとか大学の自治が大切だということは百も承知です。で、それだけではなくてですね、こういう自由がなければ、大学での研究なんていうのは、あの、クリエーティブな研究なんていうのは進まない。つまり、クリエーションていうのは、新しいものをつくっていくわけですから、そこにですね何らかの束縛があったら、クリエーションなんていうのはあり得ないわけですから。したがって、私は、学問の自由と大学の自治は、絶対重要ですし、もしそれを侵すようなことがあれば、私は身を挺してですね、それを阻止したい。いま、○○さん、笑ってますが、私、○○さん以上にそういうこと思ってますから、あのー,真剣です、私は。

 

 

○○(一般教員)

 

具体的なことで、お答えにならないですね。

 

 

小川学長

 

今は一般論ですから、一般論で答えたんですね。それでね、もう一つ、逆に○○さんにお聞きしたいことがあるんですが、その、学問の自由とか大学の自治とかっていうのが、一方で非常に大切ですよね。で、もう一方でですね、学問、つまり中世のですね修道院が、大体ケルビン(?よく聴き取れない)の思想がそうなんですが、修道院から出てきているんですけれども、そういう、非常にですね学問が、何て言うんですかまだ、こう非常に揺籃期でですね、メンデルの大豆じゃなくて、エンドウをまいて、実験をやって花の種を数えてたという、そういう時代の学問とですね、今の学問では、科学の大きさというのが全然違うんですね。特に理系の場合、お金がまるで違うんですから。医系もそうです。そうするとですね、社会との接点というのを忘れることができないわけですね。学問というのが一方であって、もう一方では、社会との接点。また学問がですね、産学連携なんて言うのは、社会が雇用を創出するなんていうのも関係して、経済も関係して、というふうになってくる。そうするとですね、社会と学問との関係が非常に密接になってくる。そうすると、学問はですね全く自由に何でもやっていいかという、そういう問題になってくる。私は、それはいま多分、答えはないんだと思うんですね。それは、これからみんなで答える。ただ、ひとつはっきりしているのは、だからといって為政者がですね、学問の自由を侵していいか。それは絶対にありえない。そんなことしたら、学問はもう死んでしまう。だから、そこをなんとかその、緩衝地帯を作りながら。だけど、社会との接点、経済とも政治とも関係してきますけれども、そういう接点をですね、きちんとにらみながら、そして、大学の自治とですね、学問の自由を確立していくという、そういう難問に取り組まなければならない。で、この大学はですね、「あり方懇」でも厳しく問われたのは、やはりその、財政的な問題がひとつあるんですね。で、そういうことになってくると、これは学問の自由というのだけでは解決できない問題なんです。だから、そういう2つの点をどういうふうに調和していくか。これは是非ですね、みなさんも考えていただいて、あの、お知恵をですね、拝借したいというふうに思う。それはやっぱり、これから考えていく。だれも答えを持っていないというふうに、私、思いますけれども。これから、だから、この大学は、そういうふうにいいモデルを作って行くという、そのくらいの気概でやっていかないと、いい答えが出てこない。

 

 

○○(一般教員)

 

学長の得意技に、「その場限りの言い訳をとっさに思いついて言い逃れる」、あるいは、「あいまいな議論に誘導して煙に巻く」という得意技がありますが、いままさに、それが出たと思います。学問の自由は大事であると言うが、具体的にはどうするのか。10月17日の「学長声明」で「この改革案を実らせる」と言い、市長も12月1日の記者発表で「改革案を確実に実行する」と言明しておりますけれども、この改革案を実らせて確実に実行した場合、大学から「学問の自由と大学の自治」の精神が根こそぎにされてしまうと、普通は考えます。一方で改革案を確実に実行し,一方で学問の自由と大学の自治を守る、学長は「○○さんよりも守る」と先ほどおっしゃいましたが、そのようなことが、どうしたらできるのか具体的に言って頂きたい。

 

 

小川学長

 

あの、具体的に答えろと言ってもですね、具体的にというのは、一つずつ実行していくということだと思うんですね。だからここで、なにか私に、「一般論の具体論」を答えろと言われても、私は答えを持っていない。先ほど、煙に巻くというのが、私の得意技であるというのは、まさしく逆に、私から言わせれば、○○さんの得意技であって、私はそんなことを言われるおぼえはない。私は、わたしの論理思考を正直にみなさんにお伝えしているだけで、○○さんがもしそれを、なんか煙に巻く得意技だと言うなら、それはもうしようがない。[viii][]

 

 

○○(一般教員)

 

独法化のタイミングが17年というふうに、スケジュールにのっています。それと学部の改組を本当に同時にやるんですか。つまり、たとえば、17年に独法化して、18年から学部の改組をやるというような選択肢,あるいは,逆の選択肢はまったく考えられないのか。

 

 

小川学長

 

スケジュールはですね、とっても時間的にですね、あの、厳しい状況にあると認識しているんですけれども。イエスかノーかなら、174月をもって進めている。

 

 

○○(一般教員)

 

事務機構のことに関してあまり触れられなかったんですが、専門的な方が必要だと書かれていますが,そういう方の採用とか、考え方としてどういう議論をしたのですか。

 

 

小川学長

 

事務機構のことについては、十分に触れられていないというのは、ご指摘の通りだと思います。で、幹事会の中では、時間が十分なかったということもあって、あの程度。事務機構の中には、専門家をどうやって育てるのかという問題がひとつあるんですね。で、独立行政法人化に移った場合にはですね、今は横浜市から職員が派遣されているわけですけれども、彼らは公務員なんですね。で、独立行政法人化になると公務員から非公務員になるわけですけれども、その辺をどういうふうにするかとか、いろんな難しい問題があって、触れきれなかったという、つまり、相手があることなので、触れきれなかったということがあります。ただ、だけどいろいろはっきりしているのはですね、例えば電子化は進めなければいけない。アウトソーシングもできるものは進めなければいけないとか、いくつか非常にはっきりしている。それは事務局も分かっている。ただ、ご指摘のように事務機構については、主として「大学像」ということでですね、研究教育を中心にしてまとめていますので、そこのところはそんなにエネルギーを割けなかったというのが実情です。

 

 

○○(一般教員)

 

研究教育の実現のために事務機構のバックアップというのは非常に重要なんですね。今後、運営上、こういうような体制をどのようにして学長権限で改善していくのかお聞きしたい。

 

 

小川学長

 

要するに、事務機構による大学の研究教育のバックアップを、もっと強力にしたらどうだと、ひとつはそういうことですね。

 

 

○○(一般教員)

 

独立行政法人になれば、事務機構というのはまったく性質が変わるんですよね。その辺のところがどうなっているのか。

 

 

小川学長

 

身分が関わってくるので、それだけを進めるというわけには。生命科学系統は、煮え切らない記述をしているのは、いろんな制約がかかっているんです。文部科学省の観察期間だとかですね。そうすると、今はっきり触れてしまうとむしろ制約になると、将来の。したがってそこはまあ、そういうことで、やりますという姿勢は持っているんですけれども、こういう公式の文書には書けない、落とせないという面がある。事務機構も同じ問題があるんですね。後で出てくるかもしれませんが、財政問題もそうなんですね。財政問題は非常に重要なんです。そういうことは、重々、幹事会も事務局も意識しているんですけれども。相手が、総務省だとか、文部科学省だとか、ここの財務局ですか、という相手があって、そこがいくら公金を出すとか、そういうことを教えてくれない。いまの段階では。そういう側面もあって、ここの記述が不当に短くなっていて、煮え切らないという印象をお持ちだと思います。それはそういう事情があって、なにか手抜かりでやってるというんじゃなくて。だけど、それはいずれ近いうちにはっきりする。

 

 

○○(一般教員)

 

評価システムのところで、「大学から求められた役割をきちんとはたしているかが重要なポイントになる」とあるが、この文章が残ったままでも、学問の自由が保障されているというふうにお考えなのかどうかを聞きたい。

 

 

小川学長

 

まず、総合理学研究科とかそのほか国際文化学部だとか商学部だとか、いろんなところから、学長あてに要望書だとか、声明書とか、場合によっては決議書みたいなものをいただいて、私、全部目を通してます。で、中には、こういうところは気を付けなくてはいけないんだというところを、自分で言い聞かせながら、こういう大学改革案をまとめてきたわけですけれども、いまの「大学から求められている」という、そういうことがあるとですね、個人の研究に束縛があるんじゃないかという、多分○○さんのご質問だと思うんですけれども。だけど、大学を構成しているのは誰かというと、教員なんですよね。だから、その大学がどうあるべきかということ、例えばとくにですね、いま重要な視点というのは、市税を使って、先程、大学が非常にたくさんのお金を使うようなことをお話ししましたけれども、市税を使ってやるということになってくると、市民にこたえる、あんまりそういう言葉を使いたくないんですけれども、市民にこたえることが必要になってくるんですね。そうすると、この大学はおのずと、そういうひとつの何ていうんですか、大学としての使命、ミッションみたいなものが出てきますから、そういうものにはやはりこたえていく。教員もこたえていく。そういう意味。なにか、○○先生にこういう研究をやりなさい、生体超分子システムについてこういうことをやりなさい、みたいなことになってくると、これはあってはいけないことだし、そんなことは、私は許す必要はないというふうに思っておると信じていただいて結構です。私はそんなに束縛されるなんて思わない。思わないんではなくて、全然ならない。むしろいいことだ。

 

 

○○(一般教員)

 

人事委員会は学長の諮問機関なんですが、人事委員会をチェックするシステム、評価するようなシステム、たとえば、イメージとして最高裁判事の特別審査のようなシステムを、ご検討する予定はありますか。

 

 

小川学長

 

今まで、あまりそういうことを、正直言って考えてませんでした。ただですね、まったく、そういうことは無防備かというと、そうじゃなくて、結局ですね、人事委員会が、たとえば、優秀な人が上がって来ているにもかかわらず、何らかの理由で、それを拒絶して、この大学に優秀な人がだんだん少なくなってきて、アクティビティが下がってきたというふうになればですね、それは、たとえば、ひとつは大学の評価、認証機関による評価が下がってくると。そうすると、必ず市議会とか、認証機関の評価については最終的に市議会で審査を受けるわけですけれども、そこで何でこんなに大学のアクティビティーが下がってきたのか問われますから、そこで最終的なチェックがかかると。こんどは、評価と一体になっていますから、あの、まあその辺は大丈夫かなというふうに、私は思っていたんですが、具体的に、最高裁の審査のようなことは考えていませんでした。ごく一般的な、例えば、小川が、変なことをしてすぐそれを制裁するなんていうことではなくて、もっと長いスケールで、あの、たとえば、私の任期が3年だとすると、3年目ぐらいに何らかの、いい論文が少なくなってくるね、みたいなことになって、人事委員会でけしからんと、そういう形の評価しか想像していなかったです。

 

 

○○(一般教員)

 

数学の場合、いい仕事をしようと思ったら、任期3年とか決めたら落ち着いて仕事に取り組めないというのがあるんです。たとえば、最近幾何の問題で、3次元ポアンカレー予想というのが解けたらしいというので、センセーショナルな話題になっていますが、それを解いたロシア人は、ここ7〜8年論文を書いていないんですね。そういう特殊事情をどうお考えになっておられるのか、お聞きしたい。

 

 

小川学長

 

今の問題は、いろんな形で昔から議論されていることで、たとえば、私、国の機関にいたんですけれども、論文を書かない人がいると。そうすると、彼はひょっとしたらですね、第二のアインシュタインであって、すごいことを考えている。だから、そんなに簡単に解ける問題ではないわけですから、答えがでてこない。そうすると論文にならなくて、なんていうんでしょうか、業績が上がっていない。一見ですね、外見上はそう見える。そういうケースがひとつ。もう一つは、これは、みなさんの周りでそういうことを言うのは不謹慎かもしれない。たとえば、さぼっていてですね、論文も書かない。そういう人がいるとする。そうすると、両方ともですね、外から見ると論文を書かないという意味では同じなわけですね。それをどうやって区別するかということで、これは、医学部で議論されているんですね。私は、そういう議論があるときに、いつもお話しすることはですね、その人を見ていれば分かると。その人を、例えば、1カ月間も。見ているというのも、じろじろ観察するということではなくて、その人とお話しをしたりですね、その人の、あの。そういうすごいことに取り組んでいらっしゃる方というのは、分かりますよねえ、見ていると。真剣なまなざしとか、いろんなところで。その辺をどういう区別、これは具体論というのは、あるということではないと思うんですね。これはもう皆さんが、学科とかそういうところで考えているんだから、評価もこういう評価をしないといけないという、むしろ皆さんからそういう声が上がってくれば、評価委員会の方も、そういうことを考慮して、彼を自由にして、自由にやってもらおう。例えばそういうアカデミックな雰囲気を作る。それをまた、評価制度の方にもきちんと反映してという、非常に難しいですけれども。そういう制度をこれから作るべく、評価文化をどうやって育成するかということをよく言われるんですけれども。評価文化をどうやって育てるかという問題ですね。日本人は客観性を貴ぶんですね。したがって、論文何編というようなことを、非常に貴ぶんですが。実際はですね、論文何編よりは、どういう質の論文を書いたかということの方が本当は大切なんですね。だけど、質をどうやって評価するかとなると相当に難しい。それなら止めてしまおうと、多くの人がこう考える。だけど、僕の今の考え方ですとね、多少の、なんていうんですか、不正確さはあるかもしれないけれども、やはりいい論文は、みなさん読んでていい論文なんですよね。私、そのことを少しでもを表せるように、努力してそういう評価制度を少しずつ育てていくと。そして、それが信頼できるものであるとなれば、それはもっと大がかりにですね、評価に発展させる。

 

 

○○(一般教員)

 

評価システムは必要だと思う。妥当なものを作り上げなければいけない。だけど、それが実際、分野がバラバラになった場合に可能かどうか。年俸制で年俸を決めるとなると、生活がかかっているから、可能かどうか。このために膨大なエネルギーを使って、どういう原則で考えるのか。年俸となれば厳しいものになる。

 

 

小川学長

 

いやあ私も、○○先生と同じ悩みっていうんでしょうか、本当にその通りだと思うんです。ただ、ひとつはっきりしているのはですね、非常によく頑張っている人とそうでない人、仮りの話ですよ、人がいた場合に同じ給料、年俸でいいのかどうかという問題がひとつありますね。それはたぶん皆さんお認めになる。そうすると、ひとつはですね、これはわたしの個人的な意見ですからあれですが。年俸制もですね、たとえば、野球の選手のように、今の給料1000万円の半分、500万だとか、あるいは200万だとか、そういう年俸制もありますし。私は、やっぱり初めに導入するのはですね、たとえば1000万円ならば、900万とか950万はベースにしといて、上の50万円だとか100万円を出来高制っていうんですか、いろいろ分からないんですが、成果に反映するとか。つまり、まず少しやってみると。そして、皆さんの信頼が得られるようだったら、それをリファインしてみるとかですね。まず少しずつですね、やってみると。悪ければ悪かったで、元に戻してしまえばいいんですから。まずは,そのへんから出発する。そうすると、たとえ間違ったなと思ってもですね、ほんのわずかなところですから。そうするとまた次に、新制度を考える。まず、その辺から出発していって、信頼性を得たらだんだん。

 

 

○○(一般教員)

 

そこはいいんですが、それをどこがどう決めるのかという質問なんです。

 

 

小川学長

 

だからそれは、これから考えなければいけない。作っていかなければいけない。(笑い)

評価委員会みたいなものを、皆さんと一緒に作っていかなければいけない。

 

 

○○(一般教員)

 

市長から人事と任期制と独法化の3つはしっかりやれと言われた。それから、「あり方懇答申」を踏まえてやれといわれた。これはやらないといけないわけですね。先ほど、小川先生は、自分は戦争中の経験もあると。だから学問の自由が大事であるということも分かっていると。これを体を張ってでも守ると。それでは、具体的にどうしたら守れるのかというと、何も出てこない。学問の自由を守るにはというあいまいな問いかけだから、あいまいに答えるしかないなどと言う。だけど、学問の自由と大学の自治の根幹は、人事や任期制。それと、独法化。これは教育公務員特例法はずしをねらっているんですが。ということで、具体的にどうやって守るかといえば、人事制度をどうするか、任期制などという教員の身分を不安定にする制度を導入するのがよいのか等、あるわけですよ。それに対してはまったく答えないで、あいまいなことを言ったり、これから考えるだのと言ったりするのはおかしいんじゃないですか。つまり、小川先生は、まったく分かってないってことじゃないんですか。

 

 

小川学長

 

学長の諮問機関として人事委員会があって、人事委員会は、内部の教員と外部の人から構成するということになっています。市会でも、人事委員会の主たる構成メンバーは教員であるということを、きちんと私、市会の方でも答弁してますけれども[ix][]。あの、なるべくそういう意味では、教員の主体性がきちんと現れるように、そういう人事委員会にする。為政者に振り回されるようなことはしないということで。だから、具体的な制度設計についてはですね、これからそういう方向で考えていくということですから、べつに、具体的に考えていないということではない。

 

 

○○(一般教員)

 

小川先生と柴田先生に言っておきたいんですが、われわれは情報なんて全然与えられていませんよ。テレビとか新聞でしか知りません。ほとんどここの人は、だいたいそんなもんですよ。全然下の方に伝わってきていない。大学院では突如、数理情報が消されて、ナノと環境生命の2つになった。数理情報はナノに含まれるというバカなことを書く人がいるわけです。それは、われわれは認めるわけにはいかない。大学院が、なぜこういう形になったのか。そこを説明していただきたい。

 

 

小川学長

 

あの、まったく○○先生のご指摘のとおりでして、非常に無理がそこにあるわけですね。これは私、何て言うんですか、これから、先程もご説明しましたように、これから後、見直しをしますので、その時には、いま○○先生がご指摘になったような、あるいは、もっと別の方法があるかもしれませんが、きちっと見直します。数理はですね、分かりにくいことのないように、必ずいたします。

 

 

○○(一般教員)

 

あ、それじゃあ、ぜひお願いします。

 

 

小川学長

 

はい。私、数学はたいへん重要な学問だと思っていますから。

 

 

○○(一般教員)

 

僕たちが、「あり方懇答申」の枠内にとらわれて、そこから抜け出なかったことは非常に残念に思っています。親委員会が最終的な結論を出すという2〜3日前に、案を知った。はっきり言えば、(幹事会の)小島先生が学科長に何かを相談したということはなかったと思います。自由な発想で書いたとはとうてい思えない。ナノが悪いということではないが、大学院が最初に考えた案ではナノは非常に小さかった。徹底して議論するには時間が足りない。小川先生が市会で答弁した「歩きながら考える」のではなくて、もっと真剣に議論しないといけない。はっきり言えば、市長は、独立行政法人化、任期制、年俸制すべて勝ち取ったのだから、本来、僕たちの仕事であるカリキュラム、大学の学府、教育システムについては十分時間を与えて議論させてほしい。

 

 

小川学長

 

あの、○○先生のように、十分時間をかけて議論をしたいと私もそういうふうに思います。いっぽうですね、174月というのは、やっぱり、独立行政法人化をすすめるひとつのタイミングとしては、なんて言うんでしょうか、国立大学が164月に法人化されますから、タイミングとしては、目のつけどころとしては悪くないんですね。大学院のコースとか、そういうことについてですはね、私はいま、立場上全体のことに関わっていなければいけない。だけど私、出身母体はここであるわけですから、本来なら、もっと注意を払うべきだった、払えなかったということが、うっかりしてというわけではないのですが、まだ変更の機会が残されていますので、十分にそういうことのないように、修正をしたものを出したいと、そういうふうに思っています。ただ、時間についてはですね、外との関係、いろんな関係があって、判断しなければいけませんので、とっても無理だとなればそれはやりません、ある程度。だけど、多少無理だというそういう無理と今乗りかかった船にのっちゃった方がプラスになるという、プラスマイナスを計算してですね、どっちが得かということで最終的に判断したいというふうに思います。

 

 

○○(一般教員)

 

学科のコースの場合、環境生命というのがありますが、今の話を伺うと、それには必ずしもとらわれなくていいということですか。

 

 

小川学長

 

まあ、あのなんと言うんですか、幹事会にはですね、いろんな分野の先生方に出ていただいて、そして、ある種の分担、まあ皆さんこれだけのものを詰めてやるためには、私ひとりで全部考えることはなかなかできない。私にはそんな才能があるわけではないので、そうすると、ある種の分担がでてくる。だけども、私は責任を負わなければいけませんから、なるべく出てくるものを私を通してやっているんですが、なかなかですね、それでもつい、目が通しきれないところがあって、だから、もし環境生命とか、先ほど○○先生からもご提案がありましたが、何か問題があるということであれば、ご提案をぜひください。

 

 

○○(一般教員)

 

非常に大局的に今の世界情勢を見てみると、テロが横行している。その裏には、何があるかというと、経済戦争があるわけです。経済戦争の原理に何があるかというと、これは、やはりサイエンスのレベルの戦争があるわけです。その結果として、破綻として、テロが突出している。そういうことを大局から見たときに、いったい、独立法人化ということは、国が何を必要としているのか。そのこと自体を、もう一度、問題点を明らかにしないといけないと思う。つまり、いま私たちに要求されているのは、学問においては、フォローするということではない。個々の人間が本当に素晴らしい理念を持っていたら、学問というのは、絶対に全く新しいものを作っていける。それがないからフォローしている。独立行政法人化の根本の理念はなにか。要するに、そういう基本的なことを考えてほしい。

 

 

小川学長

 

一言でいうと、独立行政法人化になぜ取り組んだかというと、唯一の理由はですね、やっぱり大学に裁量権が増えるという、それだけです。そのことが欲しいために、いってみれば、裁量権が増えれば、各大学に個性が発揮し出す。ちょっと、それだけ。

 

 

○○(一般教員)

 

若い人が訊かないので代わりに訊きますが、内部昇進はこの人事システムの中でどういう感じになるのか。

 

 

小川学長

 

非常に具体的なことはこれからのことなんですけれども、基本的には競争だと思います。内部の方も上へ上がるときに、競争して勝てばもちろん。だけど、明らかに外から優秀な方が。評価も論文だけではなくて、もっと多面的になると思います。教育実績があるかとかですね。評価して、その人がこの大学のミッションにかなっているか。

 

 

○○(一般教員)

 

具体例を挙げますと、でかい研究所の人と競争すると、論文だと多分ここの人は負ける。研究所では、あまり教育をやってませんから。そういうとき、教育のウエートをつけるとかするんですか。

 

 

小川学長

 

私はもう、多面的に評価しないと意味がない。そういうことを考えています。

 

 

○○(一般教員)

 

174月から3つ揃えてやるというのは可能ですか。

 

 

小川学長

 

3つというのは。

 

 

○○(一般教員)

 

独法化と3学部統合。

 

 

○○(一般教員)

 

独法化だけでもいいんじゃないですか。法人化だけ始めてもかまわないですよ。高校のカリキュラムが変わるんですよ、18年から。

 

 

小川学長

 

そのことをもちろん、いま、考えに入れてやらなければならないということなんですよ。18年から、総合なんとか、総合学習なんとかっていうのに変わりますね。そのことと、今のとを、どういうふうに移行過程で考慮するかを、これから考えなければいけないんです。早急に考えないといけない問題なんです。

 

・・・

しばらく、数人の教員との間で、カリキュラムおよび設置申請の時期等に関するやりとりあり(省略)。

・・・

 

 

○○(一般教員)

 

大学院が発展すると言うのであれば賛成だが、どう考えても、ナノのコースは納得できない。環境生命の生命は昔から伝統があるが、ナノだとほとんど何もないのでゼロからやらないといけない。ナノの巨大な実験装置に投資するのがよいのか。基礎部門に中心をおいてやるほうがよいと思うが、学長としての展望を聞きたい。

 

 

小川学長

 

個人的な見解になるかもしれませんが、ナノというのは原子分子スケールということですよね。で、今のサイエンスが遺伝子も含めて原子分子スケールの科学になってきているっていうことは、これはもう皆さん疑いがない。私のやっている物性では、電子までいきますけれども。そういうスケールになってきている。そういう意味では、方向は間違っていない。ナノという意味では。ただ、テクノロジーってなってくるとですね、本当に、例えば、実験室があるかというとそういうのはないわけですね。微細加工の装置があるかというと、そういうのもない。で、そういうところとどうやって競争していくのかという問題、これは考えなければなんない問題です。あとは、基礎研究、ここは理学部が中心ですから基礎研究も非常に大切だと。これは、なんていうか、動かしがたい事実で、そしてナノとそういうものが結び付けば、結局、基礎研究と応用開発研究との距離が非常に近づくと。遺伝子の研究なんか、たちまち基礎研究がすなわち応用開発研究、薬だとか治療に結び付くわけです。だから、そういう意味では、私は楽観的な見方をしている。だからやはり、基礎研究が非常に大切で、そこをベースにした応用開発研究で十分、これからの21世紀でやっていけるというのが私の研究開発観です。

 

・・・

以下、生命系の統合、独法化に伴う施設整備、学生に対する保障、教職課程、司書課程、大学院入試、教員欠員の不補充、カリキュラム、プロジェクトR幹事会、等々に関する議論がなされた。

 

ここでは、主として、木原生物学研究所に関する議論を再現する。

・・・

 

 

○○(一般教員)

 

木原生物学研究所の実質的廃止に関して、責任のある方が1回も説明にこない。できるだけ早い時期に説明に来ていただきたい。私も長く国の研究所にいましたけれども、大変な改革を何度もやってきましたが、こんなのは初めて。先程、説明を十分にしているとおっしゃっていましたが、そんなことはありません。とくに、廃止の理由については、納得のいくものをできるだけ早く出すように、何度もお願いしているんですがこれについては説明がありません。再編ではなく、新聞では廃止となった。受験生は廃止が予想されるところには応募はしない。すぐ問題がおこる。できるだけ早く、木原の方で話し合いををお願いする。

 

 

小川学長

 

○○先生の今のお話に対してですね、あの、理由っていうのは非常に難しいです。

 

 

○○(一般教員)

 

いや、私たちが聞いている理由では、たとえば、外部資金の導入が鶴見に比べて十分の一とかいうバカなことを言っている。

 

 

小川学長

 

あの、重々分かっている、木原の先生方のアクティビティーが高いということは重々分かっていますので、あの、ちょっとそれについてはあとでまた、説明します。

 

 

○○(一般教員)

 

木原財団の理事会が来週開かれる。小川先生も理事になっている。財団の関係者、理事長も専務理事も私たちも一言も聞いていないが、木原生物学研究所の一部は、財団に移管すると言われている。よくやっているが研究所は実質廃止にして、一部は財団に移管するという方針が、その先の展望も調整も何もしないで出てくるというのは何事か。社会的な問題であるということを付け加える。木原研究所ができたことは、社会的にできた面がある。

 

 

小川学長

 

あの、この問題は設置者との関係もあって、大学だけで自由にならない、ということだけちょっと。

 

 

○○(一般教員)

 

大学の方針として出されたんです。

 

 

○○(一般教員)

 

設置者の意向が、そういう意向があったということですか。

 

 

小川学長

 

要するに、あの、意向があったかどうかというよりは、うまく言えないんですが、要するにそういう、いろいろな問題がからんでいて、そういう関係でそうなった。

 

 

○○(一般教員)

 

すべてよかったように書いてあるが、お金を減らす前提なのに、そのことを書いていない。

 

 

小川学長

 

あの、お金を減らすっていう問題はですね、ここのいまの財の部分が持続可能な経営というところが、非常にはっきりしてないんですね。で、そういう意味では、どこをどういうふうにするということを、いまここで述べられないっていう、そういうジレンマがあります。で、実際問題としてですね、お金がこなければ何らかの対応をしなければならないわけですね。で、例えば皆さんにちょっとお話ししたいのは、廃校の選択肢というのは実際にそういうこともあった。だから、本体(注:市大のこと)をですね、どうやって維持するかっていう、まずは本体がつぶれてしまっては意味がない。本体をまずどうやって維持するかというところからまず話を持っていって、いまこの状態になったわけですけれども。で、今後、財の問題はですね、どういうふうに、今それをですね、非常に、あの、努力してもらっています。なるべく、あの、今の大学の機構を維持できるようにですね。ただし、横浜市はもう今年の予算でもですね、確か650億かなんかの税収不足になっているわけですね。そうすると、大学だけが、あの、聖域っていうわけにはいかないわけです。応分の負担をしなければならない。だから、そういう財からの圧力と大学のアクティビティーをどうやって維持するかという、そこのところは最終的にそういう制約を受けると思うんですが、今そこの部分がはっきりしないので、○○先生のことに対してですね、例えば定員が何割減でいきますよとかそういうことをお話しできない。つまり隠しているとかなんとかじゃなくて、情報がないためにお話しできない。だからといって、なんか夢物語を語っていてですね、全然問題ありませんよという、そういうことではない。

 

 

○○(一般教員)

 

このままでは、大学の力がどんどん落ちていく。大学院はこういうふうに行くんだと、具体的なものをできるだけ早く出して、元気の出るようにやっていかなければいけない。

 

 

小川学長

 

あの、今お話しのようにですね、今まではではどちらかというとですね、対外的というんですか、市だとかですね、そういう所との関係が重要だったんですね。つまり、下手なことをすれば本体(市大)も危なくなるというようなことも、たとえば、(民営化される)港湾病院の例を見ていただくと分かりますが。ああいうふうになりかねないというような。市の財政ということもありますし。設置者のポリシーということもありますし。いろんなことから、そういう危機に関します。(事務)局長は存亡の危機なんて言い方をしますが。そういう状況です。それはですね、なんとかこういう形で、ま、ご不満もあるかと思いますけれども、なんとか、それ(注:廃校や民営化)はなくなったと。

 

で、いわば、私よく、例で、柱を立てると言うんですが、家でいえば柱が立ったと。だから、外から風が吹いてもですね、外力がきても、柱は大丈夫だと。次はです、中身にいこうというふうにとらえるわけです。まあ、家でいえば内装だとか。そこをきちんとすれば住み心地のいい大学になるわけですね。環境が整うわけですから。中身を入れるのはこれからですから。あの、ぜひですね、皆さんの力を借りてそういう中身を充実させていくと。今までは、先ほどもお話ししたように、外との関係がありましたから、どちらかというと、情報不足だなんだというご批判がありましたけれども、それは私もそういうふうに感じてますから、これからはそうではなくて、皆さんと、中身の問題ですからみなさんと一緒にやらなければならない。今までとこれからでは、やり方をもう、まるでスイッチしてやりますので、元気の出る大学になるようにスイッチしていきたい。

 

 

・・・

小川学長は,最後に 『外との関係は一応ゴーサインが出ましたので、今度は中の問題になりますから、ぜひ皆さんのお力を借りていきたい。』と挨拶して、“対話”集会を締めくくった。

 

 



[i][] ここでは,対話集会の3分の2ほどを文書化してある.学長の発言に関しては聞き取れなかった一部の箇所を除いて,すべての発言をそのまま再現した.学長以外の教員による発言は,多くの場合,その主旨を再現した.なお,この“対話”集会は,(1)学長のつるし上げにしない,(2)柴田悟一副学長のサポートを認める,(3)会の長さは2時間程度とし,最初の20分を学長による説明に当てる,(4)多くの構成メンバーに質問の機会を与えるよう工夫する(つまり,一人一問程度に制限する),(5)これを前例にしない(つまり,総合理学研究科以外で“対話”集会を行うことの前例にしない)という条件の下に開催された.

 はじめに,榊原 徹研究科長による開催に至る経緯の説明の後に,座長・副座長を選出し,別紙(http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031204shinkoan.htm )の進行予定表にしたがって進められた.集会には,助手を含む研究科教員のほとんど(50名以上)が出席した.

 

 

[ii][]【『自作自演の茶番劇』03/12/01横浜市が“大学側”改革案の全面的

受け入れを表明03-12-4

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031204chaban.htm 

 

 

[iii][] 【『横浜市大初代理事長』に孫福 弘・慶大教授03-12-18

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031218magohuku.htm 

 

 

[iv][] 【教員組合:「コース案等検討プロジェクト部会」委員の「公募」について03-12-19

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031219fumie.htm 

【伊豆利彦:日々通信 いまを生きる 84 200312月20 『横浜市の暴走を阻め』】

http://homepage2.nifty.com/tizu/tusin/tu@84.htm 

 

 

[v][]【都立の大学を考える都民の会ホームページ】

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Lounge/3113/index.html 

【週刊朝日10/24号:東京都立大リストラ騒動03-10-15

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/page175.html 

【「石原知事の新大学構想」についての朝日新聞報道:トップダウンに反旗,総長抗議,学生も同調03-10-24

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031024asahi.htm 

【自 部:「都立の新しい大学の構想」を批判する03-10-31

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/jiyuhosodanikensho.htm 

 

 

[vi][] 【「都立大学総長声明」および「都立の大学を考える都民の会」(AcNet Letter 4より)03-10-7

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031007toritsu.htm 

 

 

[vii][] 【「横浜市大名誉教授・教授等 有志の会」:「新たな大学像」に反対し小川学長の

責任を問う声明03-12-18

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031218kishakaiken.htm 

【伊豆利彦:私の個人的な意見 『市大の学長は辞職すべきだ』03-11-14

http://homepage2.nifty.com/tizu/daigaku/kojintekiiken.htm 

【一楽重雄・矢吹 晋・平 智之:小川学長の即時辞任を求める声明03-8-22

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030822gakuchojinin.pdf 

【小川学長の即時辞任を求める声明03-8-22

http://www5.big.or.jp/~s-yabuki/doc03/ogawa822.pdf

 

[viii][] この発言から,学長が「学問の自由と大学の自治」の本質をまったく理解していないことが分かる.なお,下記の「大学人の会」による声明を参照されたい.

 

【「横浜市立大学の新たな大学像について」に関する大学人の声明−「官僚統制大学」化をおそれる−03-11-25

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031125daigakujin-seimei.htm 

http://www.ac-net.org/doc/03/1125-daigakujin-seimei.php 

 

 

[ix][] 教員組合の報告によれば,実際には,学長がそのように答弁したところ,高井事務局長から異議が出て,『報告書に書かれているものが全てである』と答弁を訂正した.

 

【教員組合:横浜市会大学教育委員会報告ほか03-11-18

http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/031118shikai-houkoku.htm