皆様。

都立大学関係です。
以下を朝日新聞(12/5)がすっぱ抜きました。
またその続きは、掲載を予定していたにもかかわらず、当方のパソコン故障で掲載が遅
れていたものです。

なお、当「ニュース」への投稿を歓迎いたします。

 
 
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「新都立大」目玉学部の理念づくり、河合塾に調査委託
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東京都立大学など4大学を廃止し、大都市問題に取り組む新大学を発足させる東京都
が、目玉となる都市教養学部のコースについて、理念づくりの補強などを大手予備校の
河合塾(本部・名古屋市)に委託する。「大学の先生に検討をお願いしたが、旧来のタ
コツボ型の発想しか出てこなかった」と都は説明する。大学側からは「大学の理念を、
受験産業に外注するのは信じがたい」という声が上がっている。

 河合塾によると、国公立大で学部やコースの設置趣旨など理念の部分について調査を
委託されるのは初めてという。

 新大学は「大都市における人間社会の理想像の追求」を使命に掲げ、05年春の開校
を目指す。この8月、石原慎太郎知事が構想を発表。学部長らを中心に準備委員会をつ
くり、カリキュラムなどの検討を進めている。

 河合塾に委託するのは「都市教養コース」「国際文化コース」の理念の補強。「社会
学コース」など人文・社会系各コースの授業科目名を提案してもらったり、都市教養学
部全体の設計、教養教育の英語、情報教育プログラムの設計なども補足してもらったり
する。

 都は、今週中にも約3000万円の資料作成委託の契約を河合塾と結ぶ。委託書では
、先進的な事例として国際基督教大(東京都三鷹市)、立命館アジア太平洋大(大分県
別府市)などをあげ、これらの大学の調査分析も加味して、基礎資料をつくるよう求め
る。

 都の大学管理本部は委託した理由について、「大学の先生方は法学、経済学などの既
存の学問分野での縦割りの検討は得意だが、学際的に横断するのは苦手。河合塾は大学
評価手法の調査を経済産業省から委託された実績もあり、お願いすることにした」と説
明する。
 一方、準備委員会の一員でもある都立大の南雲智・人文学部長は「横割りだから十分
な案が書けないのではない。構想自体、都が勝手につくったもので、特に新しい都市教
養コースは内容さえわからない。大学の理念を予備校に外注する発想は信じがたい」と
言っている。

 石原知事の新大学構想は都市教養、都市環境、システムデザイン、保健福祉の4学部
を設け、「単位バンク」で国内の他大学や海外の大学の単位を大幅に認める。新大学発
足に伴い、都立大(八王子市)、都立科学技術大(日野市)、都立保健科学大(荒川区
)、都立短期大(昭島市)は廃止になる。

 もともと都と4大学の関係者は昨年から新大学の内容を検討する会合を始め、カリキ
ュラムの検討段階まで進んでいた。石原構想は、これを事実上白紙に戻した。

 このため、都立大の関係者らは石原流のトップダウンの手法に対し反発。都立大は茂
木俊彦総長が批判声明を発表するなど、人文学部を中心に抵抗を続けている。 (12/05
06:17)


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山口文江都議会議員(生活者ネット)の都立大に関する報告
http://politics.islandvoice.net/pro-board/back_no/back_no.php?action=back_no&
id=1069044805&site=hyamaguchi

2003
1117
都立大学の新構想についての質疑・・・・・こんなことって???
 
8
月に出された「新大学構想について」都立大の学生など多くの人たちからさまざまな
形の抗議が届いています。あまりにも唐突で、トップダウンの方法に、怒りと不安溢れ
た声があがっています。
11
13日に文教委員会がありました。私は事前のやりとりで、抗議文や公開質問状にど
う応えたのか、聞きましたが、個別の問い合わせには応えているが、原則として大学に
お願いしているので、というよう管理本部の内容の答えしかかえってきませんでした。
大学内部決定の問題ならともかく、管理本部があらたな専門委員会を立ちあげ検討して
公表した構想に、なぜ自らが回答しないのか、何度問い質しても同じ返事です。委員会
でも、応えはわかっていましたが同じ質問をし、再度文書回答はしていないことを確認
するしかありませんでした。ちなみに、他会派の議員の質問による、不安を抱いている
学生の対応については、大学にお願いしているが都立大は、学長はじめ一部の教員の理
解が得られず、学生に情報が届いていない、とあたかも大学側の責任のような答弁でし
た。びっくりです。
また、現在、カリキュラムや入試内容について検討している「教学委員会」のメンバー
である都立大教員に「賛同と守秘義務を課す同意書」を結んだ意図について訊ねたとこ
ろ、妨げられずに、自由闊達な議論の場を確保するため、という答えでしたので、密室
的な方法と反論しました。さらに、もうひとつの経営準備室メンバーの名は、迷惑メー
ルなどを防ぐため公表しないことや、教学委員会も経営準備室も内容は記録せず未公開
ということが確認されましたので、今後もその方針は変わらないのか、と確認すると。
変わらないとのことでした。あまりにも非民主的な進め方が明確になりました。
学生・教員など当事者や、都立大学という立場上、都民の意見反映を再考すること、特
に学生のアンケート調査では80%以上の学生が新構想に反対や、情報がないと答えるな
ど、真摯に受け止め協議することを強く要望しました。
14
日、知事は新大学理事長予定者(H1741日付で知事が任命)を発表しました。前
日の委員会では、学長も理事もまだ決まっていないという答弁でしたのに・・・・。噂
によれば学長もお願いしたい人はいるが同意が得られないとか。
都民300百万人の信任を得たからといって、こんな横暴がまかり通る都庁でいいのでし
ょうか。しっかり考えて選挙権を使ってください。

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「現行を下回るいかなる人事・給与制度は許さない──「新大学の教員の
 人事・給与制度(任期制・年俸制)の概要について」の説明をうけて──
 都立大組合のHP
 http://www5.ocn.ne.jp/~union-mu/ninkinenpogaiyo.htm

 組合は、1119日に、大学管理本部から、「新大学の教員の人事・給与制度(任期制
・年俸制)の概要について」(別掲)の説明をうけました。11月21日には、読売、
毎日の2紙が、新たな人事・給与制度を東京都が決定したかのごとく取り上げています
。しかし、組合は「当局の考え方の概要」がまとまったので、その説明を受けたのであ
って、この内容で協議したいとの提案を受けたわけではありませんし、組合との協議を
尽くさないで、新大学の教員の人事・給与制度を東京都や大学管理本部が一方的に決定
できるものでもありません。組合は、新聞報道の情報がどこからリークされたのか、大
学管理本部に調査を求めています。
 大学管理本部が、具体的な提案を行えば、協議を始めることになりますが、今回出さ
れた「新大学の教員の人事・給与制度(任期制・年俸制)の概要について」は、教員の
給与モデルも示されていませんし、人件費の総額や人件費率を算定するための大学の総
収入の見積もりやそこに占める東京都からの運営費交付金の割合や教職員定数など、協
議に必要な資料も示されていません。協議は、これから始まるのであって、すでに任期
制や年俸制の導入が決定されたわけではないのです。組合は、組合員の皆さんに、こう
した協議の過程で、必要な情報は公開してゆきます。どうか、協議の過程について、注
視いただいて、ご意見があれば、組合に寄せて頂きたいと思います。
 また、協議が始まれば、協議中であることを理由に、本文にあるような、任期制への
同意書と新大学の設置認可に伴う就任承諾書を抱き合わせで求めてくることも想定され
ますが、そのような強要を行わないよう、協議の過程で、大学管理本部に要求してゆき
ます。

 1119日に、大学管理本部から、「新大学の教員の人事・給与制度(任期制・年俸制
)の概要について」の説明をうけました。まず、重要な点として確認しておかなければ
ならないのは、これは、あくまでも「当局の考え方の概要」が示されたもので、当局か
らの、法人化後の勤務条件の正式提案ではない、ということです。
 大学管理本部からは、宮下調整担当参事、泉水副参事、櫻井総務課長が説明にあたり
、組合からは、乾副委員長、田代副委員長、小林書記長が出席しました。
 大学管理本部の説明では、「新制度は、主任教授、教授、准教授、研究員という職を
設け、大学の中心的な役割を果たす教授(主任教授?仮称)は任期制をはずし定年65
歳、教授は任期5年で再任可、教授5年以上で主任教授(テニュア)審査を受ける資格
を得る、准教授は任期5年で、1回のみ再任可、准教授5年以上で教授審査を受ける資
格を得る。また、これまでの助手に代わる制度として、研究者の養成の立場から、ポス
ドク終了者(28歳以上)を対象として、研究員という職を設ける。研究員は、任期3
年で2年まで延長可、研究員3年以上で准教授審査を受ける資格を得る」というもので
す。主任教授は、原則として内部昇格だが、例外的に外部から公募もあり得る。教授や
准教授への昇任はそれぞれ、公募で外部からも応募できる、としています。
 現在の4大学の教員は、制度発足時に、旧制度(現行制度)か新制度(今回示された
、任期制・年俸制)を選択できるが、旧制度を選択したものは、現給据え置きで、昇任
ができない。旧制度を選んだ場合は、いつでも新制度を選択し直すことができるが、新
制度を選んだものは、旧制度へは戻れない。
 年俸制については、基本給、職務給、業績給で構成し、基本給(人件費の原資の概ね
5割)は、生計費相当分で、職務給(人件費の原資の概ね3割)は、例えば、授業を**
コマ以上うけもてば、1コマにつき**円、入学試験業務に従事すれば**円、学部長にな
れば**円といった業務の量に応じて支払われる給与。従って、自分は外での活動を中心
にしたいので、授業をあまり受持ちたくない場合は、授業加算が少ないので、職務給の
割合が少なくなる。業績給(人件費の原資の概ね2割)は、教育活動、研究活動、社会
貢献など、各活動分野の業績評価に基づき単年度で評価し、業績がよければ加算し、業
績が悪ければ減額する。
 また、資料には書かれていませんが、国公立大学との人事交流を考慮して、現行の退
職金制度は残し、年俸の中には退職金の相当分は加算しない。法人退職時に、退職金は
別途支給する。」としています。国公立大学法人間では、退職金は通算されますから、
他の国公立大学法人や公立大学へ異動した場合は、異動先で退職金を受取ることになり
ます。
 勤務条件では、任期制・年俸制を選択した教員は、勤務時間の管理の弾力化を行うと
しています。 大学管理本部は、制度の方向性として、制度を構築する上で留意した点
は、@教員の活性化を促進して、働きやすい環境作りA優秀な教員を確保するために、
外から優秀な先生が参加できる制度、B適切な人件費率を経営の観点から考慮し、人件
費の高騰を押さえるとしています。また、教員組織を簡素化し、教授、准教授を中心と
した基本組織とし、教授?助教授?助手という、これまでの主従関係は解消する、講座制
は廃止する、と説明しました。

 組合は、こうした説明を受け、次のような質疑を管理本部との間で行いました。

組合 教授と准教授の割合は、どうなるのか。
回答 これまでの教授、助教授というポスト管理はしない。従って、教授が退職しない
ので、助教授が教授になれないということはなくなる。あくまでも、その人   の業
績で判断する。教授と准教授の割合の想定はしていない。
組合 法人発足時に主任教授、教授、准教授とする審査はどこで行うのか。
回答 法人の中に組織を作って行うが、その方法は、これから検討したい。
組合 旧制度を選ぶか新制度を選ぶかは、法人発足時1回限りか。
回答 新制度を選んだ人は、旧制度に戻れないが、旧制度を選んだ人は、いつでも手は挙
げられる。
組合 研究員の昇任の際の評価を「教育と研究」と言ったが、その両方で評価するのか

回答 主として研究で評価する。
組合 旧制度の助手のところに、一部任期制とあるが。
回答 現在、経済学部や都市科学研究科の助手に任期制が採用されているという、意味
だ。
組合 研究員から准教授、准教授から教授、教授から主任教授になるということは、昇
進、昇格ではないということか。
回答 昇任ではあるが、准教授が教授に従属している関係ではない。そういう意味での
ポスト管理はしない。研究者としては、同等だ。ただし、学校教育法上は、教授は教授
相当、准教授は助教授相当として、申請や公募を行う。
組合 その資格審査を法人がやるということか。
回答 そうだ。
組合 新制度を選んだ場合は、勤務時間の弾力化とあるが、旧制度を選んだ場合の勤務
時間はどうなるのか。
回答 これまでと同じ、9時5時だ。多少は、これまでより厳しくなる。例えば、タ
イムレコーダーとか。
組合 職務給、業績給を割合で書いてあるが、これらは単なる加算ではないのか。
回答 人件費の原資を平均してみると、この割合になるという意味だ。
組合 年俸制の基本給に生計費とあるが、生計に足りうる額か?人勧の標準生計費を下
回ることはないか。
回答 標準生計費ということを考慮して、決めたわけではない。生計費相当分は、5割
の基本給で賄えると考えている。
組合 職員については、終身雇用制なのか。
回答 以前説明したように、派遣法に基づく派遣を考えている。

問題点

@
今回示された当局の考え方は、旧制度と新制度を選択できるという装いをこらして
、任期制や年俸制を一方的、一律に導入したのではないように見せかけようとしていま
す。しかし、当局の考え方に示された、「旧制度」は現行の制度とは、昇給や昇任の機
会がない点など、明らかに異なっており、二つの新しい制度が示されたというべきです
。そして、任期制や年俸制を選択しなければ、昇給や昇任ができないので、結果として
、いずれは任期制や年俸制を選択しなければならないように誘導しています。任期制と
は、任期がくれば、退職を迫られる制度で、これは、勤務条件というよりは、雇用の問
題です。

A
当局のいう旧制度も新制度も、給与面からみて、明らかに現行の賃金体系を改悪す
るものです。当局の考え方について、論議するためには、具体的な給料モデルを示させ
る必要がありますが、最終的には、「適切な人件費率」によって、給料の総額を管理す
るのですから、誰かが多くとれば他は下がるのです。人件費の総額や教職員の人員計画
、運営費交付金の総額およびそれらの推移の見込みなども、明らかにさせる必要があり
ます。

B
業績給のための業績評価(単年度でできるももの業績の評価を行うと当局は説明し
ました)や昇任審査などの人事評価機関の構成や評価項目、評価基準などを明らかにさ
せる必要があります。また、こうしたことを地方独立行政法人法に規定されている、公
立大学法人内の「教育研究審議機関」で行うとすれば、その構成は定款による定めが必
要となります。

今回示された「新大学の教員の人事・給与制度(任期制・年俸制)の概要について」は
、大幅な賃金・労働条件の改悪であり、地方独立行政法人への円滑な移行という、法の
主旨や制度設計に反するものです。国立大学法人の場合は、大幅な勤務条件の変更は行
われていません。また、地方公務員である現在の教員の給与について、昇任の際に厳格
な審査が行われていますが、旧制度を選択した場合、どんなに業績をあげても昇給や昇
任がないというのは、「一般地方独立行政法人の職員の給与は、その職員の勤務成績が
考慮されるものでなければならない。」という、地方独立行政法人57条第1項にさえ
、明らかに違反するものです。

当局は、教授助教授助手という「主従関係」をなくすとしていますが、新たに設け
る「主任教授」が昇任や業績評価に深く関与することから、主任教授によるボス支配を
生む恐れがあることも指摘しておかなければなりません。管理本部が「設置者権限」を
振りかざす現在の検討体制のもとで、新制度発足時に設置者や理事長への忠誠度をひと
つの基準として、主任教授の選考が行われるようなことがあるとすれは、その恐れは現
実のものとなるでしょう。

さらに、大学管理本部が公表している新大学設立スケジュールによれば、来年2月から
3月にかけて、「勤務条件を示して、就任承諾書の提出」を求めることになっています
。しかし、ここで求める就任承諾書は、大学の設置認可のために文部科学省に提出する
もので、任期を定めた教員ポストに就くための同意書とは本来、別のものです。大学管
理本部のこれまでの手法から類推すると、同意書を兼ねた就任承諾書の提出を求めてく
ることも考えられます。しかし、これらは、まったく別個のものです。組合は、任期を
定めた教員ポストに就くための同意書を兼ねた就任承諾書の提出などを強要することが
ないよう、管理本部に求めてゆく考えです。

最後に、組合は「ただいま、当局の考え方を聞いた。今後は、窓口で交渉のあり方を含
めて整理したい」と発言し、当局は「提案がまとまり次第、協議したい」と発言しまし
た。これに対し組合は、「協議を拒否するようなことはしないが、どういう場で、何を
協議するか、窓口で整理したい」と発言し、この日の会見を終えました。

組合は、11月28日に都立大学で、12月には、他の3大学で「新大学の教員の人事
・給与制度(任期制・年俸制)の概要について」の学習会を開催し、当局の考え方の問
題点をさぐるとともに、みなさんからの疑問を解明要求にまとめて、管理本部に提出し
て、回答を求めることにしました。当局の示した考え方は、法人化後の勤務条件の一つ
の議論の素材です。みんなで、対案を含めて、おおいに論議しましょう。

組合の基本的視点は、どんな制度が採られるにせよ、現行を下回る人事・給与条件は許
さないことです。