横浜市立大学学長

 

小川恵一先生

 

要望書

 

医学部教授会では、「横浜市立大学の新たな大学像について」(平成15年10月29日)について討議し、以下の通りの意見がありましたので、この点につき宜しくご配慮頂きますようお願い申し上げます。

 

<学長と理事長の分離案について>

今回の案では、学長を副理事長とし、経営側の理事長の下に経営側副理事長と同格に置き、教学側の権限の制限が理事長の下、可能となっています。

これは今回、国会で成立した「地方独立行政法人法案に対する衆議院附帯決議」で述べられている「公立大学法人の定款の作成、総務大臣及び文部科学大臣等の許可に際しては、憲法が保障する学問の自由と大学の自治を侵すことのないよう、大学の自主性、自立性が最大限発揮しうる仕組みとすること」に反する結果となりかねません。

従って、大学のトップは国立大学同様、学長一人とし、その下に経営組織と教育研究組織が置かれるべきであると考えます。「この体制をとることが、大学の経営圧迫の原因となる」という論理が成り立たないことは、国立大学では統一として、学長と理事長を一人で兼ねることになっていることからも明白です。

 

<教員の人事を決定する人事委員会に経営審議機関や学外有職者を構成員として加えた案について>

教員人事の決定に際して経営側が加わることにより、「学問の自由、大学の自治」の根幹をなす、教授を始めとした教員の人事に、経営審議機関(法人化後も設置者からの運営交付金などの関係から行政側の色彩が濃いと思われる)という行政側の干渉の可能性を許すことになることが懸念されます。憲法23条(学問の自由は、これを保障する)や教育基本法10条(教育は不当な支配に服することなく、国民に対し直接に責任を負って行われるべきものである。教育行政はこの自覚に下に教育の目的を遂行する可能性のある必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない)に違反する内容であります。

国立大学法人法でも「教員人事に関する事項」を、大学の教育研究に関する重要事

項を審議検討する「教育研究評議会」の審議事項としています。今回の案では、学問の自由や主体性を守り、国民に対して独立して責任を持っことが不可能になる可能性が大きいと考えますので反対いたします。

 

以上の諸点を御考慮の上、慎重に対応くださいますようお願い申し上げます。

 

平成15年11月21日

医学部教授会有志

 

 

(教授有志22名 署名)