「コース案等検討プロジェクト部会」委員の「公募」について
2003年12月19日
横浜市立大学教員組合
横浜市の横浜市立大学改革推進本部に「コース案等検討プロジェクト部会」を設置し、教員に対してこれへの「参加申込書」が配布されました。「部会」員の構成の内3名は学長推薦とし、また、大学改革推進本部が選考する「公募」4名程度については、選考にあたっては学長の意見を聴くものとされているにもかかわらず、学長への事前相談もないままに17日の評議会でこのことが報告されました。学長は、評議会において「今日初めて聞いた」と発言しています。このような推進本部のやり方は、大学の自律性を不当に侵害するものと言わねばなりません。
「申込書」には、「平成15年12月1日発表の『市立大学改革案に対する設置者の基本的な考え方』に沿って、新しい大学づくりに参加・協力します」と記されております。「申込」に際してこのような前提を立てることは、「設置者の基本的な考え方」についての<踏み絵>を教員に対して設定するものとなっています。本「プロジェクト部会」の「検討内容」が「国際総合科学部(仮称)」のコースなどについてであるにもかかわらず、医学部、看護短大部の教員にもこの「公募」が配布されている事実は、この性格を裏付けるものとなっています。
また、「『横浜市立大学の新たな大学像について』を基本的に尊重して、市立大学改革を推進していく」こととしている「設置者の基本的な考え方」においては、「任期制」に関して「高く評価する」しています。したがって、この「『設置者の基本的な考え方』に沿って、新しい大学づくりに参加・協力」することを前提にして「公募」に応じた場合、「公募」文書にすぎないにも拘わらず不当にも、これが「任期制」への事実上の「同意」として扱われる可能性もあると思われます。したがって、個々の教員は「公募」に対しては慎重に対応する必要性があります。
もちろん、地方独立行政法人法は法人化に伴う教員の身分の移行を明確にしているのであり、法人化に際しての有期雇用への不利益変更はいかなる意味でも法的根拠はありません。任期法において、任期の導入に関しては本人同意が不可欠であり、また、労働法では任期は「労働契約」として成立することになりますので、本人同意は当然の前提です。また、これに同意しないからといって不利益が生ずるような処遇は法的に許されません。また、前述のように今回の「申込書」を「同意」として強引に見なしてくる可能性も否定できませんが、しかし、「申込書」はあくまでも「プロジェクト部会」への「申込書」にすぎないのであり、いかなる意味においても「任期制」への同意書としての性格を持つものではありません。
今回の「公募」という手法は、分割統治の典型といえます。ひとりひとりがばらばらになり、ひとりで判断するのではなく、今回の事態にはどのような問題があるのかということに関して、教員同士が集団で良く検討することが大切です。各学部で臨時の教授会を開催するなどして議論を深め、集団的に共同の認識を持っていくことが不可欠です。
「公募」に関して、疑問や不明な問題をお感じの方は、すぐに教員組合までご相談下さい(tel
045-787-2320)。
改革案について、コースの精査や具体的な科目設定は、然るべき手続きを経て、大学の教員組織が実現していくべきことは言うまでもありません。学長は、教育・研究の自律性が問われている今こそ、横浜市立大学の長として、即刻に、そのための方針を明確にすべき義務があると考えます。