公立大学法人「首都大学東京」における人事給与制度について (レジュメ)

2004.3.28  都立大学・短期大学教職員組合

都立科学技術大学 田代伸一

   

1.「首都大学東京」の法人像

 「都の意向を大学運営に強く反映」する組織案

  「地独法」の弱点(大学の特性に配慮なし)を利用した教学組織への圧迫

      学長の上に立つ知事任命の理事長

      「経営側」理事である事務局長が学長を上回る権限(「研究費評価・配分委員会」「人事委員会」の長)

      「教学上の重要事項」から教員人事が除かれている

      教学系が少数となる理事会構成

      通告だけの「経営準備室」

      上意下達だけの「教学準備委員会」方式の既成事実化(教学権の徹底的侵害

      人事権の剥奪(教員公募のスキームに見られる密室性)

 

 

2.前代未聞の人事・給与制度

 「旧制度」と「新制度」の選択制

  「全員任期制」の失敗と姑息な「選択制」

 「旧制度」の特徴

  定年まで昇級、昇任なし。「厳しい時間管理(タイムカード?)」

  露骨な嫌がらせ的処遇

     「現給保証だから不利益処分ではない」

 「新制度」=「任期・年俸制」の特徴

      任期:「研究員(助手)」5年【再任なし、延長3年まで】、「准教授(助教授・講師)」5年【再任1回のみ】、「教授」5年【再任可】、「主任教授」(終身:定年65歳)

      年俸:基本給は現在の半分、3割が「職務給」、2割が「業績給」、単年度評価による3月調整(?)

 「経営」の論理だけの評価制度

再任審査、業績審査は「上司」が行う(教員の上下関係

「第三者的な苦情処理機関は作らない」

何らのインセンティブも示さないままの不安定雇用

助手の専門性を無視した強制再配置

 

3.当事者能力が欠如したまま大学との対話を無視する管理本部

 逆立ちした法人制度設計

      定款も骨格も示せないまま先行する人事・給与制度(いったい、何をする法人なのか)

      無理な移行手法の故の現大学の教員の無視(地独法の主旨さえ無視)

      教育、研究の専門性を徹底無視(来るべき法人の先取り)

 能力欠如を外部者に全面的に依存して乗り切りを狙う

      河合塾への委託問題(教員を排除したままの世論迎合的なプランの羅列)