任期についての素朴な疑問Q&A

組合員各位
 下記のビラを教員に配布しましたので配信します。
         横浜市立大学教員組合執行委員会
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任期についての素朴な疑問Q&A
 <シリーズ第2弾>
              2005324日発行
              横浜市立大学教員組合

Q
4 職場を変わりたいときには現在のように自由に異
動できますか?

 
今提案されている就業規則(案)では、退職しようと
する6ヶ月前までに理事長に申し出ることとされてい
ます。翌年の4月に新任地に赴任すると仮定すると、
この条件ではその前年の9月には内定していなくては
ならないことになります。異動先の大学などの事情に
も左右されますから、9月時点での転出確定は現在で
も容易ではありません。
 これでは任期付きであるか否かに関わりなく、全て
の教員にとって他大学などへの移動の自由がひどく制
限されてしまいます。
 期間の定めのない雇用の場合には、解約を申し入れ
て2週間後には雇用関係は終了することになっていま
す(民法第627条)ので、6ヶ月という定めは不
法・不当です。

Q
5 任期付きの場合の離職はどうなりますか?
 法律上は、期間の定めのない教員に比して大きな制
約条件が付されています。 労働基準法上の、期間を
定めた雇用の場合、期間には二種類あります。3年の
場合と5年の場合です。  
 3年任期の場合には、契約が始まった最初の1年間
は転職できず、その後の2年間は「いつでも退職でき
る」ことになっています(労基法第137条)。しか
し、最初の1年間は拘束され、かつ、さきの6ヶ月の
規定がそのままだと移動がきわめて不自由になりま
す。
 5年任期の場合にはこの第137条が適用されませ
んので、期間の定めのない場合には認められている
「辞職」が通常の理由では認められにくくなっている
のです。ですので、5年任期のケースでは、労働者か
らの契約解除の申し入れに対しては損害賠償責任が求
められる可能性が残ります。

Q
でも、ほかの大学の理工系・医学系では任期付き
でもけっこう異動している人いるのですが、どうして
ですか? 任期法と労基法でちがいがあるのですか?

 他大学で行われている任期制は通常、教員任期法
(大学の教員等の任期に関する法律)にもとづくもの
です。それに対して、横浜市大で当局が導入しようと
しているのは、労働基準法第14条にもとづく任期制
です。おっしゃるように、教員任期法と労基法14条
では大きな違いがあるのです。
 教員任期法にもとづく任期の場合には、1年以内の
異動はできないのですが、労基法14条による任期制
に比して、しばりは少ないのです。学問研究の性格
上、大学教員の場合には必要とあれば自由に異動して
研究環境を変化させるという選択肢が保障されている
必要があります。
 労基法14条による任期制では、この点での制約条
件が、Q5へのお答えで示したように、たいへんに強い
のです。「全員任期」ということ自体が学問教育の性
格を無視した発想ですが、それを、労基法14条にも
とづいて実施しようという当局案が、二重三重に大学
と学問教育の性格に反するものだといわなければなり
ません。

Q
7 自分が3年任期か5年任期かなど、条件が明確
でないのに、任期に「同意」しても大丈夫ですか?

 Q5でみたように、3年任期と5年任期とでは身分的
拘束の条件が異なっています。ですので、自分の契約
する任期が3年であるのか、それとも、5年であるの
かという具体的な契約条件が個々人に提示されている
ことが「同意」するかどうかを判断する最低限の条件
のひとつです。
 私たちが商品購入の契約をしようとするとき、その
商品の基本的な属性をつまびらかにしていなければ契
約を結びはしません。私たちは、教育研究労働を提供
することでその対価を得ようとするわけですから、商
品の提供者には情報提供の義務があり、教員にはそれ
を知る権利があります。 条件がつまびらかになり自
分が納得できなければ「同意」する必要は全くないわ
けです。
 <シリーズ第1弾>に指摘しましたが、任期への
「同意」がなくても現在の任期なしの身分は承継され
ます。

Q
8 任期付きの雇用は将来、経営不振などで人員整
理に使われませんか?

 率直に言ってこの点はたいへんに心配です。当局は
「リストラが第一義的な目的ではない」などと言って
いますが、企業の場合には、経営不振の時にまず整理
の対象とされるのが、期限付労働者であるという事実
から目を逸らすわけにはいきません。
 法人化した横浜市立大学の大きな収入源は横浜市か
らの「運営交付金」ですが、これが年次的に縮減され
ることがすでに示されています。また、教育事業は営
利目的になじまないので、授業料収入の大幅増を前提
にするわけにもいきません。法人の経営体としての課
題は山積し、かつ、十分な見通しを立てられているわ
けではありません。
 この条件のもとでは、ご心配のように任期が「人員
整理」に使われていく可能性を否定できません。少な
くとも、人件費がふくらむ高次のポスト設定に経営側
が積極的になる条件は多くはないでしょう。 むろ
ん、教員組合は、いかなる形であっても人員整理を許
さぬよう全力を傾注します。