ヘンリー・フォード・自叙伝







1926年(自叙伝執筆)当時、わずか3年後の世界大恐慌を予期するものはない。

膨張に次ぐ膨張の成功物語。

そこに、過剰生産の落とし穴。






アメリカの労働者は、1920年代の繁栄期においては、下記のように素晴らしい状況にあった。
それから、80年もたった日本で、たしかに、重労働はなくなったであろうが、余暇の充実など、人間的生活の豊かさの点で果たして20年代アメリカの労働者のようになっているであろうか?

p.21-22
「市外電車に乗っている従業員に聞けば、こんな話をしてくれるだろう。『ほんの二、三年前までは夜遅く、疲れきって帰宅したので、仕事着を着替える気力さえなかった。ただ食べて寝るだけだった。今では、工場で着替えをすませ、日のまだ高いうちに家に帰り、夕食を早くすませ、家族をドライブに連れ出している。かつてのあのひどい圧迫感はなくなった』と。
 以前よりも多少は手際よく仕事をしなければならないだろうが、かつてのように際限なく、体力を消耗させる重労働はなくなったのである。