トム・リード著金子宣子訳『「ヨーロッパ合衆国」の正体』新潮社、2004年。
序章
EU・・・「加盟諸国が主権の大半をヨーロッパ横断的な統治機構に譲り渡すという新たな概念の国家・・・・」
ユーロ・・・「新通貨は、単なるカネではない。これは政治的主張であり、それぞれの財布の中で、日々発するメッセージ−「欧州大陸全体から紛争は消え、協調が広がっている」−でもあるのだ。
「多様性の中の統一」
アメリカ主導・単独行動主義(それに追随する諸国)のイラク戦争反対:
ヨーロッパ諸国の大多数の人々は、・・・・アメリカ主導の攻撃には反対・・・・・
アメリカに対抗する「超大国」としてのEU
アメリカ単独支配の対抗軸としてのEU
「一極支配の世界は本質的に不安定・・・・ヨーロッパが手を結べば、EUは一個の超大国として、アメリカに対抗できるし、同時にパートナーにもなれる。」(T.ブレア)
ユーロ・・・3億5千万の人々が、日々、何の不都合もなく使うようになっている。
キッシンジャーの予測の誤り
EU統治機構・EU官僚機構・EU決定権
ユーロクラット
ブリュッセルのEU本部
アメリカよりも優れた健康保険制度
世界のルールの制定力
ヨーロッパに広がる反米感情・・・・アメリカに対抗する超大国化への刺激要因
ジョージ・W・ブッシュ・・・「この100年間を通じて、ヨーロッパではもっとも不人気なアメリカ大統領−」(p.26)
アメリカ文化に対する賛美・愛好
マクドナルド、コカコーラ
子供を褒めちぎる・・・・「やればできる」精神・・・・積極的な性格の形成
新たなアイデアを心から歓迎する姿勢、
階級差別がないこと、(・・・・人種差別は?)
第一章 広がる亀裂
9・11の連帯感はつかの間のもの。
ブッシュ政権に対する反感、イラク戦争への反対の意識は、ヨーロッパ諸国民を覆う。
第二章 平和の構築−そして繁栄の追求
欧州における戦場の歴史・・・ベルギー
カエサルの時代、ナポレオン戦争、そして第一次大戦から第二次大戦へ。
第五章 これ、アメリカ製のバターしゃないの?
ヨーロッパ資本の対米投資の実態
世界中の金持ちがアメリカのビジネスに投資・・・・・・
米商務省が毎年出している数字が示すとおり、ヨーロッパの多国籍企業や銀行、投資家の対米投資額は、全体米投資額の65%以上を占めるまでになった。
ヨーロッパの強い通貨のおかげで、オランダ、ドイツ、イタリアなどのヨーロッパ諸国も、アメリカの資産を以前よりはるかにたやすく買いあさることができるようになったのだ。
かつての「帝国主義時代以来、これほどアメリカ経済の多数の分野がヨーロッパ人、あるいは外国勢力の手に落ちたことはいまだかつてない。
おそらくアメリカの一般大衆は、ヨーロッパ企業によるアメリカ企業の買収がこれほど進んでいるとはきづいていないだろう。
だが、逆にヨーロッパでは、ヨーロッパ企業が買収したアメリカ製品のリストが増え続けていることは広く知られ、これはある事実を示すものだと喝采を浴びている−−「勝者、それはヨーロッパ」ということだ。
2000年の投資の差
EU>USA
アメリカからヨーロッパへ・・・6500億ドル
ヨーロッパからアメリカへ・・・9000億ドル
「直接投資で得たアメリカ側の莫大な差益は、膨大な貿易赤字の解消に多少は役立っている・・・」
「アメリカに投資してきた44カ国のうち、トップを占めるのはヨーロッパ諸国で、もっとも多額の投資を受けたのは、テキサス州とカリフォルニア州だった・・・」
なぜアメリカに投資するか?
「経済規模も大きいし、利益の規模も大きい。大きな見返りが得られる恰好の投資先だ。・・・ヨーロッパ企業としては、景気対策にもなる・・・
アメリカは競争が激しいから、アメリカで学んだ経営法は、世界中のどの市場を相手にしても、必ず役立つはず・・・」
日本の対米投資とヨーロッパの対米投資に関するアメリカの受け止め方の違い?
自国の労働者保護のために、アメリカを犠牲に?
エアバス社など、アメリカ企業を凌ぐEU企業群
ケンブリッジ
ミュンヘン
トゥールーズ
マイケル・ポーターの言・・・「ヨーロッパは、テクノロジー主体の資本主義経済を追求し、少なくともアメリカに匹敵する立場を確保する決意を固めているのだ」
「ヨーロッパ統合は、・・・・ヨーロッパ企業に自国市場を、アメリカより大きく豊かな市場をもたらした。・・・」
新たなヨーロッパ規格の出現
ヨーロッパ企業が携帯電話の分野でトップに躍り出たのは、技術規格と商用規格の統一化が図られたからだ。
ノキア(フィンランド)、エリクソン(スウェーデン)、ジーメンス(ドイツ)
GSM方式(Group Special Mobile)
共通システム・・・全ヨーロッパが手を結ぶ
GSM(Global System for Mobiles)
「無線通信が統一規格になるということは、ヨーロッパ全体が、基本的には単一市場になるということだ。」(161ページ)
2003年度・・・「エアバス社の機体引渡総数は、300機を越え、一方、同年度のボーイング社の実績は、約280機に留まった。エアバス社は、このアメリカの競争会社を初めて上回る市場占有率を確保し、世界のトップに立ったのだ。」
「平衡理論」
民間ジェットの国際市場の舞台で、ボーイング社を追い越す目標を達成。
同型機・・・
コスト削減
ネーミング:開発の構想・開発戦略
EU諸国の政府による開発援助・・・EUプロジェクト