幸徳秋水『帝国主義』


「レーニン、ホブスンに先駆けて複雑な帝国主義の構造をえぐり出した・・・・」




内村鑑三序文


「世のいわゆる愛国心なるものを憎むこと甚だし、君はかつて自由国に遊びしことなきもまじめなる社会主義者なり・・・・」






幸徳秋水は、自分の説が、独創的というよりは、「欧米識者の夙に苦言し痛語せるところ・・・・」と欧米の古今の先進的思想との連携を指摘し、独自性を持った「著」というより、多くの「高潔の理想を抱く」先人の説を取りまとめた「述」だと謙遜している。






















日本の帝国主義を、欧米列強の帝国主義と併せて批判。


独・米の帝国主義に対する批判の例示


ドイツ帝国政府が取りたる支那戦争政策は、資本家の利益狂心と、大帝国建設という軍事的栄誉心と、掠奪的情慾に出でたるものにして、この政略は外国の土地を強制的に領有し、その住民を抑圧するをもって主義とするものなり・・・・」



「掠奪、征服によって領土の拡張を図れる欧州諸国の帝国主義は、実に文明人道に対する大々的侮辱たるなり。而して我は米国の帝国主義においても、また多くの不正と非難とを認めざるを得ず・・・・・」






米国の危険

「我は信ず、将来米国が国家生存の危険ということ、万一これありとせば、その危険は決して領土の狭きにあらずして、領土拡張の究極なきにあり、対外勢力の漲らざるにあらずして、社会内部の腐敗堕落にあり、市場の少きにあらずして、富の分配の不公なるにあり、侵略主義と帝国主義の流行跋扈にありと。」