従来のヒトラー自殺をめぐる諸証言などの誤りを点検した最新の実証研究。
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Anton Joachimsthaler, Hitlers Ende. Legenden und Dokumente, 1995 Muenchen(2., ueberarbeitete Auflage 2004)
アントン・ヨアヒムスターラー『ヒトラーの最後−伝説と証拠文書』
ヒトラー地下要塞とその周辺の俯瞰写真(1945年7月撮影)
丸印:地下要塞・緊急用出口と監視塔(尖り帽子)
その中の×印=ヒトラーとエヴァ・ブラウンの死体焼却現場。
ゲッベルスの一家:
夫婦自殺→死体焼却、青酸カリカプセルで母親に死に至らしめられた子供の写真
ほとんど顔かたちが判明しないまでに焼け焦げたマグダ・ゲッベルス
その向こうにゲッベルス。
総統地下要塞内部の仕事場兼居間の中のソファ:
ヒトラーが自殺したソファとそれに付着した血痕(白丸で示したところ)
地下要塞・自殺現場ソファから、死体焼却現場(×印)までの運び出し経路
ヒトラーの死体焼却現場(総統地下要塞出口と周辺・庭)
ゲッベルス電報(1945年5月1日発):
ヒトラーの死を伝え、ヒトラーの遺言により、デーニッツがライヒ大統領に、ゲッベルスがライヒ首相に、・・・任命されたことを伝える電報
「総統は昨日15時30分に死去・・・・」
ベルリン地区戦闘司令長官ヴァイトリング(左端)の降伏・戦闘停止命令(1945年5月2日)
ヒトラー死骸の残存物・・・ほとんどない。歯等ごくわずか。
4月30日、ヒトラー自殺・死体焼却・埋葬後、埋葬場所および首相官邸の庭いったいがもう砲撃を浴びせられたため。
トレヴァーーローパーの主張:
ヒトラーの死骸で金のブリッジが残ったのはまったくの偶然。
「アドルフ・ヒトラーの遺骸の箱」なるものを見ても、何かわけの分からない黒い何かを見るだけ。
それがヒトラーの死体であるとはいえないもの。
占拠直後にロシア(ソ連)がわずかに見つけた遺体残存物(歯、ブリッジ)
・・・・ヒトラーの歯科医での治療記録、レントゲン写真、ブリッジ治療などによる検証
確実にヒトラーのもの(検証されるべきもの)としては二つの歯のブリッジしか残っていなかった。
ヒトラーの影武者が死んだ、焼却されたなどという風聞を否定するのは、歯(ブリッジ)による検証が必要だった。
ヒトラー頭蓋骨・レントゲン写真
上顎ブリッジの切断写真
エヴァ・ブラウンの妹マルガレーテとフェーゲラインの結婚式(1944年6月3日、ベルクホーフ・ヒトラー山荘)
エヴァ・ブラウン最後の手紙(45年4月22日)・・・友人に最後の手紙となることを伝え、死後、形見を分けるように伝える。
最後に、この手紙は、自分の死ぬまでは公にしないこと求める。
ヒトラーはけっして結婚しない決意であった。
自殺直前に始めて、結婚することにした。
しかし、死後、エヴァ・ブラウンに関するすべてのことを焼却するようにとの「実行不可能」な命令を下していた。
一生をドイツ民族のためにささげたという神話・伝説を作り出したかった、ということか。
青酸カリカプセルを噛み砕いて、自殺。
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ヨアヒムスターラーの本(初版)と同じ年に、モスクワ文書館で「ヒトラー頭蓋骨発見」を伝える書物が出版された。
Ada Petrova/Peter Watson, The Death of Hitler: The Final Words from Russian's Secret Archives, 1995(エイダ・ペトロヴァ/ピーター・ワトソン『ヒトラー最後の日:50年目の新事実』原書房、1996.)