世界各国の経済ナショナリズム
ヒトラー・ナチズムの潮流は、その排外的ナショナリズム(人種主義的ナショナリズム、帝国主義ナショナリズム)で際立っている、
しかし、他の国はナショナリズムから無縁であったか?
世界恐慌に直面した世界の諸国は、恐慌の世界性、従ってまた、その解決のあり方の世界性を、世界的な相互協力・相互連携で乗り切ることができないという問題(それぞれの国が自分の国のナショナリズム、自国エゴイズムとしてのナショナリズムの政策をとったということ、世界的な相互協力の努力が無力に終わったということ)を抱えていた。
そうした当時のドイツ以外の諸国のナショナリズムのあり方(ブロック化、自己の勢力圏の護持)が、ドイツにおけるヒトラー・ナチズムの運動を強化したという側面も、しっかり見据える必要がある。
第二次世界大戦後のヨーロッパ統合や、世界的機関としてのIMF,世界銀行は、まさにそうした国民国家的な対応のもたらす悲劇と無力を克服しようとするものであった。
世界の経済的連関が、高度な資本主義的市場経済の発達に伴って緊密化し、国民国家的な対応では乗り切ることのできない段階に達し、2度にわたる世界戦争までも引き起こしたこと、したがって、世界的経済連関の進展度に対応した世界的機関の必要性が認識され、さまざまに制度化されたこと、これを見ておく必要がある。
ベルギーの世界恐慌期の首相に関する次ぎの最近の論考は、そうした点への示唆を与える。
Cf. 小島健「ベルギー新自由主義とヨーロッパ協調−ポール・ヴァンゼーラントを中心として−」『経済学季報(立正大学)』第55巻第2号、2005年11月。