最近の極右政党宣伝
2002年夏、総選挙前だったこともオラーニエンブルクの町(強制収容所ザクセンハウゼンの史跡が郊外にある)には選挙ポスター、プラカードがいたるところで目に付いた。
収容所博物館前(写真奥の突き当たりが収容所入り口・案内所)にはNPD(極右・合法政党・ネオナチ的民族主義)の選挙ポスターが街路樹ごとにずらっとかけられていたのである。そこには政権党(与党SPDや緑の党)、あるいは野党(保守派のCDUやCSU)の選挙ポスターは見られなかった。
NPDのポスターの文句は、「ドイツをわれわれドイツ人に(Deutschland
uns Deutschen !)」,「ドイツ人のためのドイツ(Deutschland für Deutsche !)」(外国人はいやだ、出て行ってほしい、出ていけなど、外国人のためにわれわれドイツ人が苦しんでいる、失業は外国人のためだ[1][6]、などさまざまのニュアンスの排外意識・排外的民族意識を統合したスローガン)であり、「ドイツ・マルクの代わりはトイロTeuroだ」であった。トイロ(Teuro)は、もちろん、まえよりも高い・物価高だという意味のteuerとEU統一通貨ユーロEuroとをひっかけたものである。ユーロ批判、ドイツ・マルク放棄批判のナショナリズムを一言で表現しようとしたものである。
ホロコーストの反省の上に立っているドイツ連邦共和国で、しかも、その強制収容所記念の門前で、あたかもホロコースト記念・反省・歴史認識に挑戦するかのように、堂々とNPDが排外的ナショナリズムを宣伝していることにショックを受けざるを得なかった。