ソ連における軍隊の行動に関する指針

 

 

四一年五月一九日の「ソ連における軍隊の行動に関する指針[i]」は、コミッサール命令と違って実に大量に印刷され、東部軍平均現員三四〇万人の末端組織にまで配布された。配布部数一覧をみると、全部で六万五千部作成された。五万部が陸軍に、一万二千部が空軍に、一千部が海軍に配布された。その他、国防軍のさまざまの部署に若干部数ずつ配られた[ii]

 

 では、その内容はどうか。

冒頭、第1条で、「ボリシェヴィズムは国民社会主義ドイツ民族の不倶戴天の敵である。ドイツの闘いは、この破壊的世界観とその担い手に対するものである」とした。ソ連の一般民衆に対する戦いではないというわけである。



[i] Richtlinien für das Verhalten der Truppe in der Sowjetunion.

[ii] Ibid., Bl.75.

 

拙著『独ソ戦とホロコースト』日本経済評論社、20012章 独ソ戦の現場とホロコーストの展開からの抜粋。