2007年度用・ゼミ紹介パンフレット原稿

 

 

演習「ヨーロッパ社会」      担当: 永岑(ながみね) 三千輝(みちてる)

本ゼミは、ヨーロッパ社会の現状と歴史を調査・研究します。

 みなさんは、ヨーロッパについてどのような関心を持っているでしょうか?
 歴史ある都市や世界遺産への旅行? すばらしですね。いまなら学生時代にも可能です。

 

ユーロ? 移民問題? 

ヨーロッパについて、日々の新聞記事で一番多く目にするのはなんでしょうか? そのひとつがたぶん統合ヨーロッパ、EUのことでしょう。


 20世紀前半のヨーロッパは、二度の大戦で死闘を繰り返し、世界の中で相対的に地盤沈下してしまいました。その悲劇を踏まえて、ヨーロッパ諸国の人々は、第二次大戦後、たくさんの困難や利害対立を乗り越え、協調・協力・統合の道を歩んできました。EUは統合の力で、21世紀の世界でますます名誉ある地位を打ち固めていこうとしています。


 もちろん、それは簡単なことではありません。EU憲法の批准ということでは停滞しています。フランスにおける極右・国民戦線(FN)の勢力増大、ドイツの東側諸州におけるネオナチ勢力の議会への進出など、最近またEU諸国における排外的ナショナリズムの新たな高揚もつたえられます。


 しかし、ユーロ誕生まで、半世紀以上かかりました。EUの魅力にひかれて、来年一月からはルーマニアとブルガリアが加わります。ヨーロッパの人々が排外的なナショナリズムの激化を阻止し、現在の難問を時間をかけて解決し、言語・文化・民族・人種・宗教など歴史社会総体の「多様性の中での統一」を進化ないし深化させていくことが期待されます。

 

こうしたヨーロッパ社会の現状と歴史、苦難の数々とその克服の諸相(文化の豊かさ・すばらしさ・個性)は、日本が21世のアジアでどのような態度を取っていけばいいのか、日本とヨーロッパの関係はどうあるべきか、日本の針路、日本人のとるべき行動を選択するための貴重な素材、あるいは鏡を提供しているのではないでしょうか。


 そうしたヨーロッパ社会の到達点や問題点について、ゼミ参加者ひとりひとりの多様な関心を出発点にし、基礎にしながら議論を積み重ね、社会と歴史の立体的な認識を深めることができればと考えます。その立体的な認識が、国際文化創造の力をつけることになればと希望します。ヨーロッパ社会のさまざまな分野に、そしてアジアの平和的で共同体的な発展に関心のある人が集まって議論し、調査・研究で励ましあい、各人が日本のアジアにおける行動の指針を見出すことができれば、すばらしいのではないでしょうか。


 最初の学期は、ヨーロッパの英字新聞から、自分が面白いと思う記事を探してきてもらい、内容紹介をしてもらいます。その目的は、第一にはヨーロッパでいま何が問題となっているかの問題発掘(自分の関心がどこに向かっているかの発見)、第二には英語力充実、第三にはヨーロッパ社会認識の豊富化です。つまり、「一石三鳥」(!)を狙っています。

 

説明会:第一回:1117()12:1012:50 第二回:24()12:1012:50 実習室C

ゼミ公開:希望者には、日程を相談の上、2年生ゼミ(金曜日5時間目)の様子を公開します。

担当教員(永岑)への質問、連絡・打ち合わせなどは、

e-mailnagamine@yokohama-cu.ac.jpで、いつでもどうぞ。