わたしたちは教育基本法「改正」反対です!
横浜市立大学学生・教員有志アピール
いままさに政府・与党は、国会で教育基本法「改正」案を可決させようとしています。わたしたち横浜市立大学学生・教員有志は、この法案の問題点をとも
に検討した結果、この法案の成立を許してはならないという結論に達しました。それは、この法案が以下のような大きな問題をはらんでいるからです。
・ 「愛国心」の押しつけ/心の自由の否定
愛国心を持つかどうか、持つ場合はどのようなかたちで持ったり示したりするかは、個人が自由に判断すべきことであり、人格の自由な発展を掲げる現行の教育基本法は、それを保障しています。
ところが、「改正」案は、どのような愛国心を持つべきかまで政府が強制できるようにするものです。「日の丸」・「君が代」の強制もねらいに含まれます。
法案は、自由な人格の形成を否定し、心の自由を奪おうとしているのです。
・ 政府・政治権力による、教育の全面的な支配
現行法においては、政府が教育の内容を支配することを禁止しています。
ところが「改正」案では、どのような価値観を持つべきかすら決めて、現場に強制することを可能とします。
そうなれば、大学も無事ではありません。「改正」案のような法のもとでは、今でも脅かされている学問の自由と大学自治の原則が踏みつぶされるでしょう。
さらに、家庭・地域などを通じて、全面的に教育が統制されることになります。
・ さまざまな差別・格差/男女平等原則の否定
現行の基本法は等しく教育を受ける権利を保障しています。ところが「改正」案は、能力主義的な差別を行い、平等に教育を保障することをやめて、格差を拡大しようとしています。また、現行法にある、男女平等の原則のために男女共学を保障する条文を、「改正」案はそれを削除しており、男女平等の原則を否定しようとするものといえます。
・ 平和主義の否定/憲法改悪・戦争する国民づくり
現行の基本法は「前文」において、「われらは、さきに、日本国憲法を確定し」と述べ、憲法の「理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものであ
る」として、憲法の原則との結びつきを明示しています。ところが「改正」案は、この部分を削除して、日本国憲法との関係づけを断っています。また、現行法が「真理と平和を希求する人間の育成を期する」として、憲法がうたう平和主義の理想との結びつきを強調しているのに対して、「改正」案は、この部分の「平和」ということばを「正義」に置き換えることによって削除しています。このような点を見ても、「改正」案は、憲法の理念、平和主義原則を切り捨てようとしているといわざるをえません。
政府・与党は、憲法9条を変更して、戦争する国家体制を築こうとしています。そのような戦争への道をはばむ教育基本法をまずは変えてしまい、戦争する国民を作り出そうとするのが、この「改正」案のねらいなのです。
こんな法律を作らせていいのでしょうか?
法案に反対を!
わたしたちは、こんな法案は許せないと思っています。この法案に断固反対します。
そしてすべての人に、いっしょに法案に反対し、廃案を求めるよう訴えます。
2006年11月10日
横浜市立大学学生有志(9名)
横浜市立大学教員有志(一楽重雄・上杉忍・浮田徹嗣・乙坂智子・金子文夫・木下芳子・倉持和雄・滝田祥子・中西新太郎・永岑三千輝・藤山嘉夫・村田隆一・山根徹也・吉岡直人)