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横浜市立大学の未来を考える

『カメリア通信』第45

  20061210(不定期刊メールマガジン)

Camellia News No. 45, by the Committee for Concerned YCU Scholars

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1130日労使団体交渉の報告

 ――ひと筋の光り――

国際総合科学部

一楽重雄

平成181130日の団体交渉に,教員組合の一員として参加させていただいた.いずれ,組合から詳しい報告が出ると思うが,参加者のひとりとして個人的な報告をしたい.

 

今回初めて団交に参加したが,幸運と言うべきか中味のあるものであった.最初に当局から回答があり,松浦副理事長が「来年4月以降の給与制度では,任期を認めない人も一緒に働けるようなものにしたい」と言い,「任期を認めなくても昇任させる」とこれまでの方針の変更を告げたのである.これを聞いて「一緒に働けるように」という表現が,素直に嬉しかった.一条の光りを見た思いである.あるいは,それは闇の中にゆれる一本の蝋燭に過ぎないかも知れないが,今後の闘いのなかで夜明けの光りにしてゆこう.

 

賃金には差をつける」とも明言した.これは市会からも追求されているからだろう,田中局長が力を入れて言ったのだった.組合側から,これに対して「そういうことになれば,今までに任期を承諾した人も再考できるのですね」と質した.それに対して,松浦副理事長は「そういう人がいれば,そうなるでしょう」と認める発言をした.ところが,しばらくしてから松山課長が「そういうことは考えていない」と,なんと副理事長の発言を否定したのだった.組合からは,それはおかしいと反論があがったが,これまた驚いたことに,今度は田中局長が「一度よく考えて決めたことを変えるというのはおかしいだろう,一部条件が不備だったとしても」というようなことを言った.

 

ボタンをかけなおすことになったならひとつで終わりとはいかない.最初のボタンをかけ直せば,当然,次のボタンそして次のボタンとかけ直さなければならない.

この経過は現在の大学を象徴するものであった.議員の一部に現実をみず机上の空論で「市大で任期を承諾した教員の率はどうか」などと馬鹿げた質問をする人がいるらしい.それにおびえて課長や局長は,副理事長の発言を公然と否定したのである.役人の世界でも下位のものが上位の発言を否定することは出来ない.副理事長が人事権を持っていないことから,上司という実感を持っていないのだろう.

 

彼らはよき大学を作り出すことに意を使うのでなく,“関内”を向いて仕事をしている.彼らのおかれた立場を考えれば,これは容易に想像のつく.これまでも責任ある地位で無責任な「大学改革」を進めた人たちは,憲法に違反するようなことをしても,市民を裏切るようなことをしても,市長や副市長の意に沿いさえすれば,すぐに大学から転出し順調に出世している.このような人事を見ていては,本当に大学のこと,学生のことを考えて,本当の意味で市民に責任を持つ役人は稀有となってくる.

 

今の大学にとって必要なことは,幹部職員を市からの出向ではなく固有職員とすること,そして公正な職員人事をすることである.職員の人事権を経営者が握らなければ,経営者がいくらがんばっても下が動かない.大学の自治を回復することと,この点が公立大学としての運営がスムースに運ぶための基本的な条件であろう.

 

交渉でもう一点紛糾したことがあった.組合から「評価制度案」を一部の教員が作っているとの指摘に対して「意見のある人は,プロジェクトで発言すればよい,委員でない人は委員の人に意見を伝えればよい」ということを局長が発言した.これには私自身も「どの会議で,誰に言えというのですか」と机を叩きながら叫んでしまった.局長は「教授会,教授会というなら,自分たちで開けばいいじゃないですか」とさえいうのだった.これには組合側から「ここ数年の大学改革の実態を勉強してください」と注文がつけられた.課長レベルでも似たようなことを言う人がいてがっかりしたことがあるが,今回は局長である.大学に着任することになっても,大学改革の経過をまったく勉強しないのであろうか.

 

その他にもいくつか言質が取れた.任期を更新しない場合の基準について「具体的に示しましょう」と副理事長は言った.また,任期の更新の条件について何も書かない契約は労働法に違反するのではないかと追及したところ「書くようにする」と課長が答えた.

これからは労使交渉が重大な意味を持つことを実感した団体交渉であった.組合へのいっそうの団結を呼びかけてこの報告を終わろう.

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編集発行人: 矢吹晋(元教員)   連絡先: yabuki@ca2.so-net.ne.jp

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