教育基本法改悪に抗議し、憲法違反の新教育基本法に対する闘い(憲法違反条項を現実に発動させない運動)、したがって、憲法擁護の闘いを進めようとする人々の見解

 

市大学生・教員の意思表明

 

a.      昨日午後6時前、不当にも多くの市民の声を無視して、参院本会議において、教育基本法「改正」案を可決、成立されました。
議論不在、説明不在の不当な採決に断固抗議すべきであります。
成立したとされる法は憲法に違反しているため、無効であるはずです。
下記の「情報センター」声明が言うように、1947年教育基本法を実現する立場で引き続き運動を展開しましょう。

*****************
抗議声明
教育基本法「改正」法の成立にあたり、
政府・与党に対して厳しく抗議するとともに、
皆さんに、日本国憲法、そして、準憲法たる真の「教育基本法」(昭和22年法律第25号)にもとづいて教育を推進することを訴える

2006
1215日 午後550
教育基本法「改正」情報センター
http://www.stop-ner.jp/

 

b.      今日はお疲れ様でした。ホントに「有り得ない」採決に涙があ
ふれましたけど、流すだけ流して気持ちを新たにしました!私
は生きてるうちに教育基本法の本当の改正をしたいと思います
。「」がいらない改正を!
月曜日はまず朝(なるべく9時とか)に集まってビラをはがす
ところから始めましょう()
どんだけ恐ろしい法律ができたかみんなに伝えることが必要か
と思うんだけど、どうですかね?

 

c.       皆さん今日は、みんなが精一杯の活動をしていたと思います!!私は、そんなみんなをすごく誇りに思います!
今日のことを胸に刻んで、私たちはこれからも、がっちり活動を続けましょう!!!
私たちにはたくさんの仲間がいて、私たちの活動に信念をもってやるんだ、ということを忘れずに!
まずは、じゃあ月曜に、ビラはがしから。。学校到着者から、「自分ここからはがし始めます」メーリスを流して、効率よくはがしましょう!
なるべく早くビラはがし終わらせて、これからの活動をがっちり話しましょう
詳しいことはまたメーリスしましょう!風邪ひかないように、今日はゆっくり休みましょう
みんな〜がっちり決意表明しよーぜっ!!!!!

 

d.      その他、たくさん。

 

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「全国国公私立大学の事件情報」より

 

20061218

教育基本法「改正」情報センター代表・佐貫 浩、新たな見通しの下に確信を持って進もう

教育基本法「改正」情報センター
 ●新たな見通しの下に確信を持って進もう

新たな見通しの下に確信を持って進もう

 ついに教基法「改正」が強行された。歴史を逆転させるかのような暴挙であり、時代錯誤というほか無い。しかし、そうであるからには、その暴挙の張本人は、必ず歴史に逆行する暴挙を遂行した謀反人として、歴史に記録を残すことになるだろう。

人類は、長い苦闘を経て、国民を翻弄してきた国家の絶対性、神秘性を打ち破り、日本においては天皇制という国民の精神を支配した幻想を打ち破り、民衆(people)こそが国家を作る主体であり、そのためには、民衆が、精神の自由、表現の自由、精神の自律性を確立しなければならないという認識を勝ち取ってきた。国民が国家を規定し、創出するのが国民主権国家の論理であり、それに反して国家が国民を「教育」し「教化」することの恐ろしさとおぞましさを、300万人の日本人の死と、二〇〇〇万人のアジアの民衆の殺害という、異様な結果を目の前にして、心に刻んだはずであった。にもかかわらず、国家が、国民たるに相応しい「資質」を決めて、そのために教育を行うことが「教育の目標」だとし、そのための「教育新興基本計画」を思うままにプログラムし、そのパフォーマンスを競わせる仕組みを「金」と「評価」と「処罰」によって作ろうという新「教育基本法」を出現させてしまった。

 しかし、日本国憲法は、そういう「改正」教基法の論理を正当化する論理を持ってはいない。現行教育基本法(1947年教基法と呼ぼう)の論理は、現行憲法の精神を教育のあり方に結晶したものであり、憲法は今もなお、今国会で「廃棄」を決定された1947年教育基本法の論理を、現実的で、かつ今日の日本の教育法体系において、リアリティ−のある法論理として、押し出し続けている。だから、「改正」教基法は、この日本国憲法の論理を踏まえなければ、その法としての力を実現することはできないという矛盾に、その誕生と同時に、直面しなければならない。

 しかしそのためには、1947年制定の、そして今日まで私たちにとって空気のように存在してきた教育基本法とは何であったのか、どういう論理と価値の結晶であったのかを、なぜその剥奪をこんなにも怒らなければならないものであったのかを、今こそ、一人一人のなかに、刻み込まなければならない。今こそ1947年教育基本法を学び直さなければならない時だ。1947年教育基本法を、どれだけ一人一人の頭脳と精神の中に鮮明に刻み込み、一人一人の教育に向かう論理と行動を意識化する内なる法典たらしめることができるか、今そのことが問われている。

 同時に、私たちに、より切実な課題として、日本国憲法の改正を許さないというたたかいが、提起されている。教育基本法「改正」阻止のたたかいによって繋がれた連帯を、さらに広げ、日本の民主主義を、今日の歴史的課題を遂行するに相応しい水準へと押し上げることが求められている。それは、グローバル化のなかで、人間が人間らしく生きていく権利が、突然に取り払われたかと思えるような事態の中で、もう一度、人間らしく生きたいという人びとの願いを深くつなぎ合わせるたたかいに繋がっている。

 そのような願いが、今日本中に広がりつつあることに確信を持って、新たなたたかいへと歩みを進めよう。

20061215
教育基本法「改正」情報センター代表 佐貫 浩

Posted by 管理人 : 掲載日時 20061218 00:09 | コメント (0) | トラックバック (0)
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教育基本法「改正」情報センター、抗議声明

教育基本法「改正」情報センター
 ●抗議声明「教育基本法「改正」法の成立にあたり、政府・与党に対して厳しく抗議するとともに、皆さんに、日本国憲法、そして、準憲法たる真の「教育基本法」(昭和22年法律第25号)にもとづいて教育を推進することを訴える

抗議声明
教育基本法「改正」法の成立にあたり、
政府・与党に対して厳しく抗議するとともに、
皆さんに、日本国憲法、そして、準憲法たる真の「教育基本法」
(昭和22年法律第25号)にもとづいて教育を推進することを訴える

20061215日 午後550
教育基本法「改正」情報センター
http://www.stop-ner.jp/

 本日、参議院本会議は、現行の教育基本法を実質的に廃止し、全く新しい法律にする政府提出「教育基本法の全部を改正する法案」を可決・成立させた。徹底審議を求める多くの国民の声を無視しこのような採決を行ったことは暴挙であり、厳しく抗議する。

 現行の教育基本法は、戦前の教育が日本の軍国主義と極端な国家主義に奉仕したことを真剣に反省し、平和と民主主義、そして個人の尊厳の実現を求める日本国憲法の精神を体現して制定された文字通り、教育の憲法であり、準憲法的な性格をもつものである。

 しかるに政府「改正」法案は、前文で「我々日本国民は、たゆまぬ努力によって」という言葉で戦前と戦後を連続したものととらえることで戦前教育の問題点を免罪し、さらに「伝統を継承」という言葉で大日本帝国憲法下での諸価値を復権させようとしている。

 また今国会の論議では、政府「改正」法案は自民党新憲法草案の精神と一致するという驚くべき答弁も文部科学大臣から行われている。

 改正「教育基本法」は名前こそ「教育基本法」であるが現行教育基本法とは内容においても性格においても似ても似つかぬものになった。

 第一に、政府「改正」法案は、日本国憲法ではなく、自民党新憲法草案の精神にもとづき作成されたものであり、日本国憲法に違反する法律となった。
 第二に、国民に「国を愛する態度」や「公共の精神」を強制するもので、内心の自由を侵害するものであり、さらには、法律に基づきさえすれば教育にフリーハンドで干渉する権限を行政に与えるものなので、教育の自由を侵害するものである。これらは立憲主義の精神を否定するものである。
 第三に、現行教育基本法は、憲法13条の「個人の尊重」を第1条に規定された教育の第1目的としての「人格の完成」に、憲法14条の「法の下の平等」を第3条「教育の機会均等」と第5条「男女共学」に、というように日本国憲法の条文の中から教育に関係する部分をとりだし、それを教育に即して具体化したという性格を持っている。しかし政府「改正」法案の条文の多くは憲法上の根拠をもたないばかりか、それと反するものであり、「準憲法的性格」を喪失した。

 改正「教育基本法」は、「教育基本法」という名前の普通の法律となった。それゆえ教育における国家の役割に関する最高の指針は日本国憲法のみが指し示すこととなった。改正「教育基本法」の解釈・運用にあたっては日本国憲法の精神・理念にもとづき行われなければならない。また、今後「教育基本法」に関連する法律(33本)、政令、省令、学習指導要領の改正が行われるが、いずれの場合にも憲法の規定に整合することが求められる。

 教育基本法「改正」後は、改正法を具体化する法改正とそれに基づく行政が展開する。教育基本法の「改正」の問題点はこれから本格的に顕在化するのであり、「改正」法を排除するための闘い、日本国憲法と準憲法である真の「教育基本法」(昭和22年法律第25号)の理念・精神を実現する闘いは、これからが正念場である。今まで以上の闘いが求められる。

 「教育基本法」の再改正を目指し、日本国憲法の精神・理念に基づいた教育の実現を目指し、われわれ教育基本法「改正」情報センターは今後も努力を続ける。

 

Posted by 管理人 : 掲載日時 20061218 00:08 | コメント (0) | トラックバック (0)
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大学組合関係7団体、声明 「国民の声を無視し、数の暴力によって教育基本法「改正」法案を強行成立させた愚行に強く抗議する」

声明 「国民の声を無視し、数の暴力によって教育基本法「改正」法案を強行成立させた愚行に強く抗議する」

 私たち大学関係7団体は、高等教育に深く関わる立場から、初めての共同行動として127日に全国の仲間とともに、国会内集会を成功させるとともに議員や政党への要請と国会傍聴を行った。また、審議が大詰めを迎えた1213日、14日にも共同で議員要請と傍聴を行った。

 しかし、私たちも含めて慎重審議を求める国民の圧倒的多数の声を無視し、参議院教育基本法特別委員会は1214日午後6時過ぎに採決を強行した。さらに、参議院は会期末の1215日、本会議において、教育基本法「改正」法案を与党の賛成多数で強行成立させた。私たちは、これら一連の、国民無視、数の暴力による採決に断固抗議するものである。

 そもそも、従来の教育基本法は戦前の皇国教育、軍国教育への痛苦の反省から生まれ、「基本的人権の尊重」・「戦争放棄・平和主義」・「国民主権」を柱とする日本国憲法のもとで、その理念を教育において具現化する根本法として制定された。

 私たちは憲法と従来の教育基本法の理念を高等教育の場において生かし、実現することを目標に日々、教育と研究・医療に携わっている。私たちに今求められているのは、それらの精神と理念が生かされているのかを教育のすべての面で検証することであり、現在の教育行政と教育現場で生起しているさまざまな問題・課題を解明し、解決することである。にもかかわらず、政府与党は明確な提案理由を提示することもなく、教育基本法の「改正」を数の暴力によって強引に推し進めた。慎重審議を求める圧倒的多数の国民の声、徹底審議を求める各界各層の声を無視するとともに、これら喫緊の問題・課題を教育基本法との関わりで十分に解明する審議を放棄し、採決を強行した。

 「改正」法案は、教育は「人格の完成」をめざし、「公権力の介入・統制」等「不当な支配」に屈することなく、「国民に直接責任をおっておこなわれ」なければならない、とする崇高な普遍的理念を掲げた従来の教育基本法の理念を根底的に否定するものであり、現行憲法の精神と理念に反しているという強い懸念も払拭されていない。

 私たちは公的権力による教育統制、内心の自由と学問の自由を脅かすあらゆる策動に反対する。競争と格差を拡大し、青少年を「日本」に役立つか否かの判断基準で選別する教育を許さない。日本を再び戦争する国にする教育に反対する。

 私たちは、国会における暴挙に抗議するとともに、引き続き、憲法と従来の教育基本法の理念の実現に向け奮闘することをあらためて宣言する。

20061215

全国大学高専教職員組合
日本私立大学教職員組合連合
全国公立大学教職員組合連合会
東京地区私立大学教職員組合連合
全国大学高専教職員組合関東甲信越地区協議会
東京地区大学教職員組合協議会
国立大学法人法反対首都圏ネットワーク

Posted by 管理人 : 掲載日時 20061218 00:07 | コメント (0) | トラックバック (0)
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子どもと教科書全国ネット21常任運営委員会、声明「与党の政府・教育基本法案の「可決」に断固として抗議する」

俵のホームページ
 ●【声明】与党の政府・教育基本法案の「可決」に断固として抗議する

【声明】与党の政府・教育基本法案の「可決」に断固として抗議する

 子どもと教科書全国ネット21常任運営委員会

 自民党・公明党の与党は、121418時過ぎに参議院特別委員会で政府の教育基本法案を強行採決し、15日の参議院本会議で数を頼みに可決・成立させた。慎重審議・徹底審議を求める圧倒的多数の国民の声に背を向け、野党の反対を押し切った強引な採決である。私たちはこの政府・与党の暴挙を絶対に許すことはできない。私たちは心からの怒りを込めて断固として抗議する。
 
 衆議院でも参議院でも、法案審議はきわめて不十分であった。いま何故、教育基本法を「改正」する必要があるのか、「いじめ」をはじめとした教育が政府法案によって改善されるのかどうか、現行教育基本法では「教育危機」になぜ対応できないというのか、政府法案がめざす具体的な教育像などについても、まともな政府答弁はなされていない。教育が良くなるという展望を示すことができない法案の強行採決は、教育の破壊をめざすものである。特別委員会の参考人や公聴会公述人の意見は、法案審議にほとんど反映されていない。政府法案反対、今国会での成立反対・徹底審議を求める圧倒的多数の国民の声は無視され続け、法案審議に反映されなかった。

 政府法案は、「やらせ」と「サクラ」、税金無駄づかいのタウンミーティングによって、教育基本法の「改正」が必要という世論を誘導したものである。偽造された世論を基にした法案はいったん廃案にすることが政府の責任であり、民主主義のルールである。この点からもみてを政府法案の成立は容認できないものである。

 教育基本法は憲法と一体の教育における根本法規である。政府法案は、憲法との関係を断ち切り、憲法改悪をねらう「自民党の新憲法草案との整合性を考えて」(伊吹文明文科相)つくられた、憲法改悪を先取りした「違憲法案」である。政府法案は、個人の「人格の完成」を「個人の尊厳」にもとづいて行う教育から「国家のための教育」に変え、個人の権利としての教育を、国家の権利に変質させるものである。国家や行政は教育に介入してはならないという重要な規定を変質させ、政府や行政による教育への介入を無制限に許すものである。政府法案は、学校教育はもちろん全ての人びとの精神活動について、国定の道徳規範を「目標」として、その達成を強制するものであり、国民の内心の自由は容易に蹂躙されることになる。政府法案によって教育における競争はいっそう熾烈なものになり、教育格差はいっそう拡大し、子どもたちは早くから「勝ち組」「負け組」に選別されることになる。子どもたちの心はいま以上に荒廃して「いじめ」などの「教育危機」はさらに激しくなることが危ぐされる。

 この3年以上、私たちは教育基本法改悪に反対して全国各地で草の根の活動をすすめてきた。特に、通常国会に政府法案が提出されて以降は、全国の活動はいっそう広まり、高まってきた。子どもと教科書全国ネット21は、全国各地の活動、教育基本法改悪をとめよう!全国連絡会の全国集会などの取り組み、4波にわたる国会前のヒューマンチェーン(人間の鎖)の取り組みなどを、多くの組織や市民、教職員などと協力し、全力で取り組んできた。こうした私たちのたたかいが、世論を動かし、政府法案反対、今国会での成立反対の大きな世論状況をつくりだしてきた。国会では自民・公明の巨大与党は絶対多数であるが、教育基本法案に関しては、国民の中では少数派であり、国会審議を通じてそのことがますます明白になってきた。また、政府法案の問題点や教育基本法改悪のねらいも徐々に国民の中で明らかになってきた。こうして、追い込まれた政府・与党が強行採決という暴挙にでたのである。

 政府の教育基本法案は、「戦争をする国」をつくるために、国のために「命を捧げる人」(安倍晋三首相)をつくる教育をめざすためのものである。私たちはまだあきらめることはしないし、落胆もしない。私たちは、「戦争をする国」を阻止するために、教育基本法改悪と同じ根を持つ改憲手続き法案、共謀罪、少年法改悪などに全力をあげて反対していく決意である。

 教育基本法改悪阻止の活動の中で、現行教育基本法の理念や精神、その良さが多くの国民によって共有されるようになったことは大きな成果であった。私たちは憲法と現行教育基本法の理念と精神、国連・子どもの権利条約を大切にし、それを使った教育や社会のあり方を追求し、これらの理念や精神、基本原則によって「新教育基本法」の違憲性を具体的に批判し、安倍政権がすすめる「教育改革」の名による教育破壊に反対していく。「新教育基本法」に基づく学校教育法をはじめとした法「改正」や学習指導要領に対しても、具体的な内容に即して批判を展開する予定である。私たちは「お国のための教育」ではなく、子どものための教育の実現をめざして活動する決である。さらに、「新教育基本法」第2条の愛国心をはじめとした国定の道徳規範にもとづく教育や教科書づくりを許さない活動に取り組むことを表明する。

20061215

子どもと教科書全国ネット21

代表委員:石田米子・尾山 宏・小森陽一・高嶋伸欣・田港朝昭・鶴田敦子
西野瑠美子・藤本義一・山田 朗・若桑みどり・渡辺和恵
   事務局長:俵 義文
102-0072 東京都千代田区飯田橋2-6-1 201
TEL
03-3265-7606 Fax03-3239-8590

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自由法曹団、教育基本法「改正」案の強行採決に断固抗議する

自由法曹団
 ●教育基本法「改正」案の強行採決に断固抗議する

教育基本法「改正」案の強行採決に断固抗議する

 与党は、2006年12月14日、参議院教育基本法特別委員会で、引き続き、同月15日参議院本会議で、野党全議員の反対を押し切って、教育基本法「改正」案を強行採決した。国民世論を無視し、民主主義を蹂躙するこの暴挙に、自由法曹団は断固抗議する。

国民の声を無視した暴挙

 11月28日付日本経済新聞の世論調査によれば、「今国会で成立させるべき」との回答が19%、「今国会にこだわらず慎重に審議を」との回答が55%という結果が出ている。NHKの調査では、この法案に賛成する人の中でも66%が「今国会に限らず慎重にすべき」と答えている。慎重審議を求めるこのような世論は、衆議院で法案が審議されていたときから一貫している。
 11月25日付朝日新聞の世論調査は、教育基本法を変えると「よくなる」が4%、「悪くなる」が28%、「変わらない」「わからない」が68%である。教育基本法を変える必要を認める国民は極めて少なく、逆に悪くなる・変わらないと考える国民が圧倒的多数であることを示している。国会周辺で連日にわたる座り込みやヒューマン・チェーンの行動が展開され、全国各地に法案反対の運動が広がったのは、こうした世論のあらわれである。
 日本の弁護士が全員加入している日本弁護士連合会は4度にわたって反対の意見を発表し、全国の52単位弁護士会のうち50弁護士会が反対・慎重審議を求めて意見書を公表した。自由法曹団は、法案が参議院に移った11月17日、「弁護士からみた教育基本法『改正』の問題点」を全議員に届けたのをはじめ、「立法事実の再検証を求める−『やらせ』タウンミーティングが意味しているもの」を発表し(12月4日)、文部科学省・自由民主党・公明党に対し憲法との関係を中心に法案の問題点について「公開質問状」を送付する(同月12日)など、問題の指摘を続けてきた。
 研究者・教職員など教育界は一致して反対を表明し、反対の声は学生・生徒にも広がった。新聞・テレビなどのメディアも批判の声をあげ続けている。
 与党の採決強行は、こうした国民の声を一切無視し、数の論理にだけ頼って法案の成立を図ったものである。国民を無視し、民主主義を踏みにじるこのような暴挙に対し、強く抗議する。

行政の責任を隠蔽した道理なき採決

 国会審議が始まって以来、学校でのいじめ自殺問題、高校必修単位未履修問題、タウンミーティングでの「やらせ質問」等、文部科学省や教育委員会・学校管理者の無責任な体質が明らかになっている。
 12月13日、タウンミーティング174回についての調査報告書が公表された。それによれば、国が出席者に対して発言の依頼をなし、これを受けて一般参加者を装った「さくら」発言が105回にのぼっている。政府は担当省庁のリードのもとに内閣府主催の「やらせ」「さくら」発言を積み重ねて、「国民の声を聞いた」と称しているのであり、このことは教育改革についてもまったく同様であった。
 このような文部科学省の無責任な教育行政の責任、タウンミーティング時の官房長官であった安倍首相の責任は重大である。その責任を曖昧にしたままの採決強行は、明らかに道理に反する行為である。

「戦争する国」は許さない

 法案は、国家の教育への介入を許し、愛国心をはじめとする徳目教育を法定化することによって、「あるべき」国民の姿を作り出そうとするものである。憲法9条の改悪を中核とする自民党新憲法草案が発表され、軍事大国化が進められようとしている今、「あるべき国民」をつくりだそうとする教育基本法「改正」は、このような新憲法草案と一体となって、我が国を「戦争する国へ」と導くものであり極めて危険なものである。このことは、「新憲法草案との整合性はチェックしている」と答弁した政府・文部科学省が自認しているところでもある。
 自由法曹団は、こうした教育基本法「改正」案を数の力で成立させた暴挙に怒りをこめて抗議するとともに、今後とも「戦争する国づくり」「戦争する人づくり」にあらゆる機会を捉えて反対し、憲法を守り抜いていく決意を表明する。

2006年12月15日

自由法曹団
松井繁明