レントゲン ・・・X線の発見は50歳の時!

「Wilhelm Conrad Röntgen 1845~1923 ドイツの物理学者。X線を発見し物理学と医学に大きく貢献したことを理由に、
1901年、第1回のノーベル物理学賞を授与された。

ドイツのレンネプに生まれ、オランダでそだち、1868年にスイスのチューリヒ工科大学で機械工学の学士号を、69年にチューリヒ大学で物理学の博士号を取得。69~72年はドイツのビュルツブルク大学で、72~74年はシュトラスブルク大学(現ストラスブール大学)で研究助手をつとめる。74年からシュトラスブルク大学で物理学をおしえはじめ、75年にホーヘンハイムの農芸アカデミーにうつり、76年にシュトラスブルク大学にもどる。79年からはギーセン大学の物理学教授をつとめ、その後88年にビュルツブルク大学物理学研究所の所長兼物理学教授となる。1900年からはミュンヘン大学物理科学研究所の所長兼物理学教授をつとめ、20年に引退した。

1895年11月8日、レントゲンはクルックス管をつかった放電の実験のさなか、偶然にある発見をした。

実験のときレントゲンは陰極線が管の外にもれでないようにアルミニウム製の窓をつけないクルックス管をつかっており、管の光がよくみえるようにするため、黒の厚紙を管にまいていた。少しはなれた位置にある、白金シアン化バリウムを塗布した幕が光をはなっているのをみたとき、これは陰極線が原因ではないと推測した。陰極線はガラスも厚紙も通過できないからである。レントゲンはさらに実験を重ね、クルックス管から生じた放電が幕を光らせていることを明らかにし、この放電現象は、同じような実験の際につねにおこっているはずだと推測した。

レントゲンは発見した放電現象を、「未知なもの」という意味をこめX線と名づけ、実験を重ねて資料をととのえた。また、実験をした部屋の机の引き出しにしまっておいた写真乾板が感光していることにも気づき、現像してみると、机上の鍵が乾板にうつっていた。つまりX線は机の木材はたやすく通過するが、鍵の金属はとおりぬけられないのである。レントゲンは白金シアン化バリウムを塗布した幕とクルックス管をつかって、鉛の円盤の画像をうつしだした。画像には、円盤をもつレントゲンの指の骨もうつっていた

レントゲンの実験から、X線はさまざまな物質を透過するが、物質によって透過の程度がちがうとわかった。レントゲンが成果を発表すると、世界中がこの新発見にわき、X線の研究が盛んになった。X線はレントゲン線ともよばれ、ただちに医学の診断に利用されるようになった。だがまもなく、長時間X線をあびると火傷(やけど)することが明らかになり、のちには、発癌(がん)性があることもわかった。現在、X線は医療、歯科診療、金属製品の業務用検査など、多くの分野で利用されている。

レントゲンは1895、96、97年に発表した3つの科学論文で、X線の基本的性質を説明したが、その後のX線の研究はほかの物理学者がひきついだ。X線の発見があまりにも有名なため、彼がX線を発見する以前におこなっていた気体や結晶体に関する研究の重要性がみのがされてしまっている。」Microsoft(R) Encarta(R) Reference Library 2003. (C) 1993-2002 Microsoft Corporation. All rights reserved.