横浜市立大学教員組合週報

 

 組合ウィークリー

2008.8.28

 

もくじ

●公立大学法人横浜市立大学職員倫理規程(案)について

●法人職員の任期更新「拒否?」問題

 

 

 前回教員組合ニュースを配信したのは7月31日ですから、「教員組合週報」「組合ウイークリー」と題していながら「月報」「マンスリー」になってしまいました。

 昨年度に引き続いて本年5月まで、教員評価制度を中心に、教員組合は当局との折衝を続けてきました。医学部問題と関係があるのか否かはわかりませんが、6月以降当局は折衝に消極的となり、教員評価制度をめぐる交渉は休止状態となっています。

 

●公立大学法人横浜市立大学職員倫理規程(案)について

 7月30日に行われた折衝で、人事当局から、策定中の大学の職員倫理規程(案)を示され、教員組合の意見を聞きたいとの申し入れがありました。従来、横浜市の倫理規程を準用する状況であったけれども、医学部における「学位審査」問題を契機に大学として倫理規程を定める必要が生じたとの説明でした。

 教員組合の執行委員の間で検討した結果、重大な問題点は無いと判断しました。これをふまえて、8月22日の折衝で教員組合側の意見を伝えました。

 倫理規程案には5千円以上の「金銭、物品その他財産上の利益の供与もしくは供応接待」を受けたときは、14日以内に学長に届けなければならないとの規程がありますが、これに関して、金額を特定することについて質しました。

 また、「卒業判定、修了判定、学位審査等の職務」に関連して、金銭・物品の贈与や未公開株式の譲渡を受けたり「飲食、遊技、ゴルフ又は旅行」をしてはならないと定めることに関して、「入試(入学者選抜試験)、単位認定」をあげていないことを指摘しました。

 入試については、とくにAO入試のように主観的要素を多分に含みかつ比較的少数の教職員の判断が合否を左右する試験の場合、問題が起こりやすいと言えるでしょう。法人化前は、入学試験の方法、試験科目、配点等々について教授会で何度も議論を繰り返し、合格者の決定についても教授会で時間をかけて真剣に議論しました。しかし、法人化後、一般の教員は採点等の作業はさせられますが、入試のあり方を議論したり、合格者の決定に関わる審議をする機会はほとんどなくなりました。つまり、入試特にその合否に関わる人間が減っています。また、教授会自治が破壊され、「トップダウン」の組織に変えられてしまったため、入試に関与する少数の人間間に明確な上下関係ができてしまいました。このような組織は、不正入試に対して脆弱であるといわざるを得ません。倫理規程の例示事項に入試を加えることによって、管理職の立場の教員と職員に対する警告になることを期待します。

 

●法人職員の任期更新「拒否?」問題

任期更新の時期を迎える法人職員が、本人が更新を希望しているにもかかわらず、人事当局あるいは上司から更新の可能性がないかのような対応を受けているという情報がありました。

本人が更新を希望するにもかかわらず更新を拒否されて雇い止めとなる前例ができることは、教員にとっても大きな脅威であり、教員組合として重大な関心を持たざるを得ません。

そこで、任期更新について具体的にいかなる対応をしたのか、以下のような質問書を7月23日付けで作成、30日の折衝で人事当局に提出し回答を求めました。また、後日、榊原委員長が本多理事長に会見して手渡しました。

 

2008年7月23日

公立大学法人横浜市立大学 

理事長 本多 常高 様

 横浜市立大学教員組合

  委員長 榊原 徹

         法人固有職員の任期更新に関する質問書

 

 日ごろ教員組合の活動にご理解頂き、ありがとうございます。

 教員組合は、任期制すなわち有期雇用が、大学の自治・学問の自由を破壊するばかりでなく、優れた教員を本学に迎え、長期的視点に立って大学のために貢献してもらうことを阻害するなどの点で、きわめて有害であることを繰り返し主張してきました。

 本年12月末に任期更新の時期を迎える法人固有職員について、更新の可能性がないかのごとき対応をしていると聞いていますが、本当でしょうか。法人化に際し、また法人化以降も、当局は教員に対しても法人固有職員に対しても、「普通にやっていれば再任される」と説明してきました。法人固有職員の任期更新についても、教員組合として大きな関心と懸念を抱かずにはいられません。

 上記のような対応が本当であるのか、もしもそうであるならばいかなる理由でそのようなことを行うのか、説明を求めます。回答は文書でお願い致します。  

 

 

8月22日(金)の折衝では、文書による回答はありませんでした。人事当局は、具体的な人名をあげたので、このような状況に置かれている法人職員がいることが明らかになりました。教員組合側が「更新の可能性がない」と言ったのかと質問したのに対し、「これまでの3年間の業務について話し合う場で、仕事を見直した方がよいというサジェスチョンをした。雇用の打ち切りは明言してはいない。『やめろ』という発言があったとは聞いていない」という返事がありました。

 「本人が更新を希望しているのに更新を拒否することをしようとしているのか」との質問に対しては、まだ『結論』を出していない状況で、9月中に結論を出す、結論を出したら回答する」との答えでした。「結論」というだけで、それが何の結論かは不明です。

 いずれにせよ、本人が更新を希望しているにも拘わらず更新を拒否するならば、それ自体が深刻な問題です。その上、この法人職員がもしも一般の職員ではなく専門職で、「あなたの仕事はなくなったから」という理由で更新を拒否されるのであれば、教員にとってさらに重大な問題となります。なぜなら、大学教員はそれぞれ専門を持っており、「あなたの科目はもう開設しないから」などの理由で更新を拒否されることにつながるからです。

 また、本学では、今後市からの職員を減らして法人固有の職員を増やそうとしています。法人職員も「全員任期制」です。本学の法人職員が実際に更新拒否されたとなれば、本学の法人職員への応募に二の足を踏む人が出て、優秀な人材がとりにくくなるでしょう。

 教員組合は本年度、教員評価制度の評価結果を処遇に反映することについて、人事当局との間で交渉し、合意点を探っています。「処遇への反映」の中で最も重大な問題は任期更新の問題です。したがって、法人職員の任期更新を拒否するというような事態が生じれば、今後における合意形成の上で大きな障害になる可能性があります。