シャンパーニュ地方の定期市に、
ジェノヴァ商人経由で、北アフリカの明礬(みょうばん)[1]・蠟[2]・皮革・毛皮・クミン[3]・ナツメヤシ[4]
スペイン経由で、蜂蜜、オリーブ油、アーモンド、レーズン、イチジク
中東からは、胡椒、蘇芳[5]、羽毛、ダマスク織[6]の布地、浮き彫りや象嵌細工が施された精巧な金属工芸品
中国の絹織物
アラビア商人の手を経たインドと東南アジアの香辛料・・シナモン、ナツメグ、メース[7]、シトロン[8]、クローヴ(丁子)[9]・カルダモン[10]
インディゴ・アカネをはじめとする天然染料
インドの宝石
イングランドの羊毛
スマトラの樟脳
アラビア半島の乳香と没薬[11]
アフリカのダチョウの羽毛、
ヒマラヤ地方の麝香(じゃこう)[12]
高度な商業システムの創出・共有
通貨・・・さまざまの通貨の併存・・・・交換レートの合意
手形使用
文書による契約
商品を担保とする信用取引
各地の「代理商人」による取引
銀行業(金融業)・・・・シャンパーニュでは、もっぱら、イタリア商人が、金貸し・両替商
パートナー関係・・・協業関係・・・サブシステムUのイタリア商人・・・投機的な海運商業・・・ある割合で出資し、成功の暁には出資率を考慮して利益分配。
アブー=ルゴドの表現・・・「ほぼ資本主義」
[2] ろうは、ろうそくをはじめ、つや出し剤、マッチ、ろう紙、化粧品にもちいられる。
[3] 糸のように細い葉をもつセリ科の一年草。中東原産で、種子のような果実をとるためにひろく栽培されており、果実の味はキャラウェーの種子に似ている。カレー、スープ、肉の風味づけにつかわれる
[4] ナツメヤシ(棗椰子) Date Palm 熱帯地方にみられるヤシ科の常緑高木。基本種のナツメヤシは北アフリカ、アジア南西部、インドに自生し、世界じゅうの熱帯乾燥地域でひろく栽培されている。ナツメヤシは、北アフリカ、イラン、アラビアでは人々の主要な財産で、果実は主要な食品となっている。果肉の部分には、約58%の糖分とそれぞれ2%の脂肪、タンパク質、ミネラルがふくまれる
[5] 材を細かくくだいて、熱湯で赤色の染料を抽出する。媒染剤によって染め上がりの色がかわり、赤、赤紫、青紫などになる。
[6] ダマスカスは長い間商業の重要な中心で、古くは、乾燥果実・ワイン・羊毛・リンネル・絹で有名だった。一種のパターン化された織り方でおられたダマスク織は、ダマスカスでおられた絹の織物にちなんで名づけられた。また、ひじょうにかたくて丈夫なダマスカス鋼剣刃でも有名だった。今日のダマスカスの市場は、周辺地域で生産された豊富なイチジク・アンズ・アーモンドなどの果物やさまざまな野菜であふれている。絹織物・皮革製品・金銀細工・木工品・銅と真鍮(しんちゅう)製品などの伝統産業が盛んである。ほかには加工食品・衣類などの生産がある。.
[7]ニクズク(肉豆蒄) Nutmeg ニクズク科ニクズク属の常緑高木。高さ約15mになる。インドネシアのマルク諸島原産で、種子から香辛料をとるために、南アジア、西インド諸島、ブラジルでひろく栽培されている。雌雄異株で、花はめだたない。果実は半径約5cmの黄色い核果で、ナツメグの木の実とよばれ、2つにわれてみずみずしい仮種皮でおおわれた種子があらわれる。種子を乾燥すると、ナツメグというスパイスができる。種子のまわりのオレンジ色の仮種皮をはがして乾燥したものから、メースというスパイスができる。
[8]シトロン Citron インド北部原産のミカン科の常緑低木、または小高木。果実を採取するため、南ヨーロッパをはじめとする温暖な地方で栽培されている。果実は長さ18〜25cmの卵形、色は黄色で香りがよく、表面はでこぼこでしわが多い。酸性の果肉を飲み物にまぜたりするが、おもに価値が高いのは、あつくやわらかい皮の部分で、ジャムや砂糖づけにされる。また皮から芳香性のシトロン油がとれ、香水の原料となる。
[9]チョウジ(丁字) Clove 香辛料、薬用にされるフトモモ科の熱帯樹木。乾燥した花芽の呼び名でもある。丁子とも書く。高さ5〜10m、まれに15mにもなる常緑樹。マルク諸島と東インドネシアが原産で、現在は熱帯の多くの地域で栽培されている。大量の小さな花が房になってさく。葉、花、樹皮から芳香を発する。熟した果実は暗赤色で、オリーブをやや小振りにした形である。花芽をあつめ、たきぎの煙と日光にあてて乾燥させる。さまざまな料理に、香辛料やスパイスとしてひろくつかわれる。
チョウジをくりかえし蒸留することによって、オイルが抽出され、また香水や石鹸に、ときには殺菌剤にも利用される。
[10]カルダモンは南アジア、東南アジアを主産地とするショウガ科の多年草で、種子に強い芳香があり、香辛料として珍重される。インド料理全般に広くつかわれ、グローブ、シナモンとともにガラム・マサラの主材料となっている
[11]ショウノウや没薬(ミルラ)のように、樹木の樹脂として分泌されることもある。
[12]じゃ香はジャコウジカの生殖腺からの分泌液を乾燥させたもの。