近代的産業資本とはなにか ?

近代に独自な資本の特徴は何か?・・・生産過程で価値増殖する。

近代に独自な資本=産業資本

資本主義的生産様式・・・労働力の売買(労働力の商品化)[13]
・・・賃労働者の存在・・人間の一定層の賃労働者化

    PmProduktionsmittel生産手段)           (G’=増殖した貨幣量)

GW     ・・・・・・・・・・・・・・・・・P・・・・・・・・W’G’

    AArbeiter賃金労働者=雇用労働者[14]) (生産過程) 
                             
(W’=新しい商品=価値増殖した商品、付加価値がつけられた生産物)

最初の投下資本(G)で、生産手段(Pm機械・原料など)を購入し、労働者(A)を雇い、生産現場・企業の中で製品を製造し、できた製品(W’)をうって手に入れた貨幣額(G’)が、当初より増えている、というのは、まったく一般的な法人企業(資本)のあり方である。

資本一般は、増殖を本質とする。


そのありさまは、個別企業ごとに毎年、毎期、決算(財務諸表)が公表されているので、確認できる[15]


無数の売買現象の、個々的な損得の背後にある法則的なものはなにか?

 個々の売買において、ある人は損をし、ある人は得をするといったことは売買の現実。だが、現実に無数の企業が利潤をあげている。

 個別的な損得、個別企業の黒字赤字を超えて、法人企業の総体として、全体として、付加価値(とくに、価値増殖)が生まれるのは何によってか? 




付加価値を産み出すのは何か?

最初のGW(商品の売りと買いでは、法則的恒常的な関係においては等価交換を前提としなければならず、それを前提すれば、売りと買いからは価値増殖はおきない。

売りと買いの交換行為、交換過程で、どちらかが得をすれば、どちらかが損をするからである。買い手が得をすれば売り手が損をする。買い手が損をすれば売り手が得をする。

等価交換を前提とすれば、売買=交換からは価値増殖(もうけ、利潤)は発生しえない

商品と貨幣の持ち手が変わったからといって、価値は増えない。100円の商品が150円の商品になったりしない。

だが、市場社会は、売りと買いとからしか増加分(もうけ、利潤)を獲得することができない。

どうすればいいか?



「近代に独自な資本」をよく分析してみなければならない。

現在の日本でますます社会の圧倒的経済活動を担うようになっているごく普通の法人、産業資本においてはなぜ価値が増殖するか? 

増える根拠は何か?・・・・新たな価値の創造があってこそ、価値は増殖する。

すなわち、価値の実体=労働時間が新たに追加されてこそ、価値は増加する。

原料に機械を使って加工するという労働過程で、新たな労働(現実の生きた労働)が加えられ、製品に対象化され、その新たな労働(現実の生きた労働)ある一定時間を超えた時点から、当初の価値量を超え、生産物に対象化された労働時間=価値は増加する(価値増殖)のである。

 労働過程と価値増殖過程[16]、支払い労働と不払い労働[17]、必要労働と剰余労働、不変資本と可変資本の内容と相互関係をはっきり掴む必要がある[18]





現代日本の社会統計・公的統計による検証



財務省・法人企業統計

資本一般はそれを本質とする。

そのありさまは、個別企業ごとに毎年、毎期、決算(財務諸表)が公表されているので、確認できる[15]

無数の売買現象の、個々的な損得の背後にある法則的なものはなにか?

個々の売買において、ある人は損をし、ある人は得をするといったことは売買の現実。だが、現実に無数の企業が利潤をあげている。

個別的な損得、個別企業の黒字赤字を超えて、法人企業の総体として、全体として、付加価値(とくに、価値増殖)が生まれるのは何によってか? 

付加価値を産み出すのは何か?

最初のGW(商品の売りと買いでは、法則的恒常的な関係においては等価交換を前提としなければならず、それを前提すれば、売りと買いからは価値増殖はおきない。

売りと買いの交換行為、交換過程で、どちらかが得をすれば、どちらかが損をするからである。買い手が得をすれば売り手が損をする。買い手が損をすれば売り手が得をする。

売買=交換からは価値増殖(もうけ、利潤)は発生しえない。

商品と貨幣の持ち手が変わったからといって、価値は増えない。100円の商品が150円の商品になったりしない。

だが、市場社会は、売りと買いとからしか増加分(もうけ、利潤)を獲得することができない。

どうすればいいか?

「近代に独自な資本」をよく分析してみなければならない。

現在の日本でますます社会の圧倒的経済活動を担うようになっているごく普通の法人、産業資本においてはなぜ価値が増殖するか? 

増える根拠は何か?・・・・新たな価値の創造があってこそ、価値は増殖する。

すなわち、価値の実体=労働時間が新たに追加されてこそ、価値は増加する。

原料に機械を使って加工するという労働過程で、新たな労働(現実の生きた労働)が加えられ、製品に対象化され、その新たな労働(現実の生きた労働)ある一定時間を超えた時点から、当初の価値量を超え、生産物に対象化された労働時間=価値は増加する(価値増殖)のである。

 労働過程と価値増殖過程[16]、支払い労働と不払い労働[17]、必要労働と剰余労働、不変資本と可変資本の内容と相互関係をはっきり掴む必要がある[18]

現代日本の社会統計・公的統計による検証



財務省・法人企業統計

例:平成22年度の結果

人件費部分、必要労働部分は「人件費」部分であり、これが支払い部分である。それ以上の部分、剰余労働の部分が資本、法人企業の掌中にはいる・・・従業員全体の仕事=労働の成果としての剰余価値。そこから資本の取り分として利潤、営業利益。

財務省の付加価値統計は下記の諸項目からなっている。

人 件 費

支払い利子

賃借料など

租 税

営業利益

必 要 労 働 部 分

(働くものとその家族の生活の維持、衣食住の費用、しかるべき教育・文化・余暇の費用[19]、働くものがその社会秩序等を維持するために支払う所得税など国税と地域の共同的公共的生活の維持のために支払う地方税などを含む=具体的な勤労者(国民)の支出動向数値は、総務省統計局の家計調査[20]を参照)

剰 余 労 働 部 分

(企業のものとなる。そこから企業が利子、賃借料・地代、国家的公共的諸制度の維持・国家の維持のため税金(法人税など)を支払い、残りが営業利益となる。この営業利益から、役員特別賞与、および資本準備金など資本蓄積・経営拡大)

下記の財務省統計をみると、勤労者が付加した労働のうち、だいたい70数パーセントを生活費=必要労働部分=労働力Arbeitskraftの維持と再生産のための費用として取得している[21]

これを、労働時間、賃金統計

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/13fr/mk13r.htmlと組み合わせて、みると、常用労働者5人以上の日本全国の営業所の平均的な時間給(単位時間あたり貨幣額)などがはっきりする[22]

付加価値に関する最近の具体的数値は、財務省(旧大蔵省)の下記統計を参照。

(1995-1999年の統計 www.mof.go.jp/ssc/1c002u1.xls・・・今回は省略,

(下記は日本全国の法人企業統計:19962000年の統計www.mof.go.jp/ssc/h12.xls、ここのページには110表あるが、下記はその第5表。統計は、日本の全産業の法人企業統計であり、恣意的な統計でも、私的な統計でも、ほんの一部の統計でもない。日本社会全体の大量現象=その背後にある大量法則を確認できる)

第5表

付 加 価 値 の 構 成

(単位:億円、%)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

構成比

構成比

10

構成比

11

構成比

12

構成比

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

付加価値

2,697,206

100.0

2,756,607

100.0

2,704,127

100.0

2,675,469

100.0

2,766,294

100.0

人件費

1,965,808

72.9

2,031,204

73.7

2,033,555

75.2

2,019,617

75.5

2,025,373

73.2

支払利息・割引料

192,084

7.1

170,151

6.2

182,101

6.7

144,427

5.4

135,564

4.9

動産・不動産賃借料

254,076

9.4

255,199

9.2

273,979

10.2

249,560

9.3

256,993

9.3

租税公課

133,216

5.0

139,462

5.1

143,363

5.3

113,593

4.3

107,279

3.9

営業純益

152,022

5.6

160,591

5.8

71,129

2.6

148,272

5.5

241,085

8.7

付加価値率

18.6

 

18.8

 

19.6

 

19.3

 

19.3

 

労働生産性(万円)

734

 

734

 

712

 

694

 

702

 

                           

                                                      

        (注) 1. 付加価値=人件費+支払利息・割引料+動産・不動産賃借料+租税公課+営業純益(営業利益−支払利息・割引料)

  営業純益=営業利益−支払利息・割引料、 

3.付加価値率=付加価値÷売上×100  

   4.労働生産性=付加価値÷従業員数

 法人企業にとって、「売上に占める付加価値の割合」が、一つの重大関心であることは、上記の表の項目、すなわち、付加価値率をみてもわかる。売上高には、原料費・機会設備の減価償却費など、諸コストが含まれている[23]

平成13年分結果確報:

賃金(=労働時間の貨幣表現)と労働時間(賃金の実体)の関係

賃  金(月間)

現金給与総額

きまって支
給する給与

所定内給与

所定外給与

特別に支払
われた給与

351,335

(-1.2)

281,882

(-0.8)

263,882

(-0.5)

18,000

(-4.2)

69,453

(-3.0)

労働時間   
   
    (月間)
  
    (年間)

総実労働時間

所定内労働時間

所定外労働時間

出 勤 日 数

所定外労働時間
(
製 造 業)

153.0時間

(-0.8)

143.6時間

(-0.7)

9.4時間

(-4.4)

19.9

<-0.1>

12.6時間

(-8.5)

1,836時間
[1,848
時間]

1,723時間
[1,714
時間]

113時間
[134
時間]

     

151時間
[169
時間]

雇  用
労働異動(月間)

常用労働者

一般労働者

パートタイム
労 働 者

入 職 率

離 職 率

43,378千人

(-0.2)

34,281千人

(-1.1)

9,097千人

( 3.6)

2.06

<0.03>

2.15

<0.06>

出所:http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/13fr/mk13r.html



仮に、上記の財務省統計により、平均的な付加価値に占める人件費割合を75%と高めに評価する(平成12年度は73%だが、念のため、いわゆる「搾取率」、不払い率を低めに評価して)として、総実労働時間の4分の1不払い労働時間(その貨幣換算を、企業法人がまず取得し、利子や地代を支払い、さらに税金[24]などを支払い、残りを資本家=役員[25]と法人が取得)ということになる。

現金給与総額は、実労働時間の75パーセント分の支払い労働の対価である。

153時間×75パーセント=114.75時間が労働者に支払われた労働時間である。この支払割れた労働時間=支払い労働に現金給与総額351,335円が対応することになる。

時間給(正確には単位時間あたりの現金給与総額)はつぎのとおりとなる。

351.335円÷114.75時間=時給3062円・・・・日本全国の平均的な勤労者の1時間の労働は3062円と貨幣表示(日銀券表示)

 月に153時間−114.75時間=38.25時間の不払い労働時間

 つまり、38.25時間×3062円=117121.5円を企業が取得することになる。企業はそこから税金などを支払って、最後に営業純益を取得する。

日本の雇用労働者がどの程度月給(現金給与総額)のうちから貯蓄・借金返済などに回すかはわからないが、ともあれ、彼らの生活を維持し子供を養育するなどのために給料を支出していることは間違いない。彼らが購入する衣食住[26]の費用(価格総額)が給与総額と対応する。

1ヶ月間の平均的雇用者の労働時間=153時間=貨幣表現に直すと

351335(支払い労働部分)プラス117121.5(不払い労働部分)468456.5

以上を総括的に表示すると、

75パーセント

(=付加価値に占める人件費割合=労働分配率[27])

114.75時間(総労働時間中にしめる人件費対応労働時間)

351,335

必要労働(時間とその貨幣表現)

支払い労働(時間とその貨幣表現)

25パーセント

(=資本分配率)

38.25時間

117121.5

剰余労働(時間とその貨幣表現)

不払い労働(時間とその貨幣表現)

精密な計算にはいろいろの階層差、地域差(さらには個人差)などを考慮するなどしなければならない(上記賃金統計資料の参照資料をクリックしてみると、実に詳細な統計が作成されている)が、大局としては、このように言えよう。ここでも、細部にこだわって、必要労働剰余労働の配分の大局的動向[28]、そこでの大局的法則性を見失ってはならない。

さらに特筆しておかなければならないことだが、現在の先進国では、このように労働時間とその価格(貨幣表現)が統計的にも、大局的に明確になってきているということである。

また、いわゆる搾取率、あるいは剰余価値率といったものも、大局的大量法則的に数値で確定できるようになってきている。社会統計の完備と精密化は、このようなことを今や可能にしているのである。だが、その社会統計の意義と重要性をどの程度の人が認識しているであろうか。価値あるデータの存在とその認識とのあいだには、巨大なギャップがある。そのギャップは、社会的偏見、科学的偏見を媒介にして継続しているものなのである。

ともあれ、全国的統計によって裏づけられ検証可能になっているという意味で、商品の価値法則[29]、労働価値の法則、商品価値の労働時間による規定抽象的社会的人間労働による価値規定(まさに日本の統計では全労働者をその個別の多様な仕事を抽象した一般的抽象的人間労働として数値を出している)が、手に取るように明らかになってきているといえよう。

労働時間による価値規定、価値法則は貫徹しているのだ。

価値法則は先進国の進んだ社会の全国統計によって実証され、検証可能になっている。

それはあたかも、光学電子顕微鏡やその他のナノテクノロジーによって、かつては理論的実験的に推測され、化学式や化学模型として構築再現されていたていた化学物質(分子構造、原子構造など)が視覚的に顕微鏡写真映像として目に見えるようになったのと同じである[30]

このような労働時間による価値規定があるからこそ、価値実体である労働時間の何時間かを表す尺度として紙幣[31]が流通し、価値尺度となり、一般的流通手段となり、蓄積手段となっているのである。

 たとえば、単純労働は、時給850円とか900円という形で、明確に時間と貨幣額とが対応して示されている。複雑労働についても、別に見るように同様である。

 

かつて、商品社会が未成熟な段階では、金や銀などの実物貴金属=それ自体として価値実体を持つものが一般的等価物とならざるを得なかった。

しかしいまや、労働時間の価値規定が大量的統計を通じて、まさに一般的社会的に、ますます、きわめて明瞭に確定できるようになったため、それほどに成熟した商品経済的発達の基礎では、単なる無価値な紙(紙幣)が、労働時間の一定量をあらわす(労働時間の一定量を表現する)ものとして、現実的裏づけを持っているといえよう[32]

・・・・従来の諸経済学説・最近のさまざまの貨幣学説の批判のための基本的見地=労働価値説の学問的科学的普遍的復興と新水準への揚棄・・・近代経済学、現代的経済学批判の課題[33]

 

人件費部分、必要労働部分は「人件費」部分であり、これが支払い部分である。それ以上の部分、剰余労働の部分が資本、法人企業の掌中にはいる・・・従業員全体の仕事=労働の成果としての剰余価値。そこから資本の取り分として利潤、営業利益。

財務省の付加価値統計は下記の諸項目からなっている。

人 件 費

支払い利子

賃借料など

租 税

営業利益

必 要 労 働 部 分

(働くものとその家族の生活の維持、衣食住の費用、しかるべき教育・文化・余暇の費用[19]、働くものがその社会秩序等を維持するために支払う所得税など国税と地域の共同的公共的生活の維持のために支払う地方税などを含む=具体的な勤労者(国民)の支出動向数値は、総務省統計局の家計調査[20]を参照)

剰 余 労 働 部 分

(企業のものとなる。そこから企業が利子、賃借料・地代、国家的公共的諸制度の維持・国家の維持のため税金(法人税など)を支払い、残りが営業利益となる。この営業利益から、役員特別賞与、および資本準備金など資本蓄積・経営拡大)

下記の財務省統計をみると、勤労者が付加した労働のうち、だいたい70数パーセントを生活費=必要労働部分=労働力Arbeitskraftの維持と再生産のための費用として取得している[21]

これを、労働時間、賃金統計

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/13fr/mk13r.htmlと組み合わせて、みると、常用労働者5人以上の日本全国の営業所の平均的な時間給(単位時間あたり貨幣額)などがはっきりする[22]

付加価値に関する最近の具体的数値は、財務省(旧大蔵省)の下記統計を参照。

(1995-1999年の統計 www.mof.go.jp/ssc/1c002u1.xls・・・今回は省略,

(下記は日本全国の法人企業統計:19962000年の統計www.mof.go.jp/ssc/h12.xls、ここのページには110表あるが、下記はその第5表。統計は、日本の全産業の法人企業統計であり、恣意的な統計でも、私的な統計でも、ほんの一部の統計でもない。日本社会全体の大量現象=その背後にある大量法則を確認できる)

第5表

付 加 価 値 の 構 成

(単位:億円、%)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

構成比

構成比

10

構成比

11

構成比

12

構成比

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

付加価値

2,697,206

100.0

2,756,607

100.0

2,704,127

100.0

2,675,469

100.0

2,766,294

100.0

人件費

1,965,808

72.9

2,031,204

73.7

2,033,555

75.2

2,019,617

75.5

2,025,373

73.2

支払利息・割引料

192,084

7.1

170,151

6.2

182,101

6.7

144,427

5.4

135,564

4.9

動産・不動産賃借料

254,076

9.4

255,199

9.2

273,979

10.2

249,560

9.3

256,993

9.3

租税公課

133,216

5.0

139,462

5.1

143,363

5.3

113,593

4.3

107,279

3.9

営業純益

152,022

5.6

160,591

5.8

71,129

2.6

148,272

5.5

241,085

8.7

付加価値率

18.6

 

18.8

 

19.6

 

19.3

 

19.3

 

労働生産性(万円)

734

 

734

 

712

 

694

 

702

 

                           

                                                      

        (注) 1. 付加価値=人件費+支払利息・割引料+動産・不動産賃借料+租税公課+営業純益(営業利益−支払利息・割引料)

  営業純益=営業利益−支払利息・割引料、 

3.付加価値率=付加価値÷売上×100  

   4.労働生産性=付加価値÷従業員数

 法人企業にとって、「売上に占める付加価値の割合」が、一つの重大関心であることは、上記の表の項目、すなわち、付加価値率をみてもわかる。売上高には、原料費・機会設備の減価償却費など、諸コストが含まれている[23]

平成13年分結果確報:

賃金(=労働時間の貨幣表現)と労働時間(賃金の実体)の関係

賃  金(月間)

現金給与総額

きまって支
給する給与

所定内給与

所定外給与

特別に支払
われた給与

351,335

(-1.2)

281,882

(-0.8)

263,882

(-0.5)

18,000

(-4.2)

69,453

(-3.0)

労働時間   
   
    (月間)
  
    (年間)

総実労働時間

所定内労働時間

所定外労働時間

出 勤 日 数

所定外労働時間
(
製 造 業)

153.0時間

(-0.8)

143.6時間

(-0.7)

9.4時間

(-4.4)

19.9

<-0.1>

12.6時間

(-8.5)

1,836時間
[1,848
時間]

1,723時間
[1,714
時間]

113時間
[134
時間]

     

151時間
[169
時間]

雇  用
労働異動(月間)

常用労働者

一般労働者

パートタイム
労 働 者

入 職 率

離 職 率

43,378千人

(-0.2)

34,281千人

(-1.1)

9,097千人

( 3.6)

2.06

<0.03>

2.15

<0.06>

出所:http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/13fr/mk13r.html



仮に、上記の財務省統計により、平均的な付加価値に占める人件費割合を75%と高めに評価する(平成12年度は73%だが、念のため、いわゆる「搾取率」、不払い率を低めに評価して)として、総実労働時間の4分の1不払い労働時間(その貨幣換算を、企業法人がまず取得し、利子や地代を支払い、さらに税金[24]などを支払い、残りを資本家=役員[25]と法人が取得)ということになる。

現金給与総額は、実労働時間の75パーセント分の支払い労働の対価である。

153時間×75パーセント=114.75時間が労働者に支払われた労働時間である。この支払割れた労働時間=支払い労働に現金給与総額351,335円が対応することになる。

時間給(正確には単位時間あたりの現金給与総額)はつぎのとおりとなる。

351.335円÷114.75時間=時給3062円・・・・日本全国の平均的な勤労者の1時間の労働は3062円と貨幣表示(日銀券表示)

 月に153時間−114.75時間=38.25時間の不払い労働時間

 つまり、38.25時間×3062円=117121.5円を企業が取得することになる。企業はそこから税金などを支払って、最後に営業純益を取得する。

日本の雇用労働者がどの程度月給(現金給与総額)のうちから貯蓄・借金返済などに回すかはわからないが、ともあれ、彼らの生活を維持し子供を養育するなどのために給料を支出していることは間違いない。彼らが購入する衣食住[26]の費用(価格総額)が給与総額と対応する。

1ヶ月間の平均的雇用者の労働時間=153時間=貨幣表現に直すと

351335(支払い労働部分)プラス117121.5(不払い労働部分)468456.5

以上を総括的に表示すると、

75パーセント

(=付加価値に占める人件費割合=労働分配率[27])

114.75時間(総労働時間中にしめる人件費対応労働時間)

351,335

必要労働(時間とその貨幣表現)

支払い労働(時間とその貨幣表現)

25パーセント

(=資本分配率)

38.25時間

117121.5

剰余労働(時間とその貨幣表現)

不払い労働(時間とその貨幣表現)

精密な計算にはいろいろの階層差、地域差(さらには個人差)などを考慮するなどしなければならない(上記賃金統計資料の参照資料をクリックしてみると、実に詳細な統計が作成されている)が、大局としては、このように言えよう。ここでも、細部にこだわって、必要労働剰余労働の配分の大局的動向[28]、そこでの大局的法則性を見失ってはならない。

さらに特筆しておかなければならないことだが、現在の先進国では、このように労働時間とその価格(貨幣表現)が統計的にも、大局的に明確になってきているということである。

また、いわゆる搾取率、あるいは剰余価値率といったものも、大局的大量法則的に数値で確定できるようになってきている。社会統計の完備と精密化は、このようなことを今や可能にしているのである。だが、その社会統計の意義と重要性をどの程度の人が認識しているであろうか。価値あるデータの存在とその認識とのあいだには、巨大なギャップがある。そのギャップは、社会的偏見、科学的偏見を媒介にして継続しているものなのである。

ともあれ、全国的統計によって裏づけられ検証可能になっているという意味で、商品の価値法則[29]、労働価値の法則、商品価値の労働時間による規定抽象的社会的人間労働による価値規定(まさに日本の統計では全労働者をその個別の多様な仕事を抽象した一般的抽象的人間労働として数値を出している)が、手に取るように明らかになってきているといえよう。

労働時間による価値規定、価値法則は貫徹しているのだ。

価値法則は先進国の進んだ社会の全国統計によって実証され、検証可能になっている。

それはあたかも、光学電子顕微鏡やその他のナノテクノロジーによって、かつては理論的実験的に推測され、化学式や化学模型として構築再現されていたていた化学物質(分子構造、原子構造など)が視覚的に顕微鏡写真映像として目に見えるようになったのと同じである[30]

このような労働時間による価値規定があるからこそ、価値実体である労働時間の何時間かを表す尺度として紙幣[31]が流通し、価値尺度となり、一般的流通手段となり、蓄積手段となっているのである。

 たとえば、単純労働は、時給850円とか900円という形で、明確に時間と貨幣額とが対応して示されている。複雑労働についても、別に見るように同様である。

 

かつて、商品社会が未成熟な段階では、金や銀などの実物貴金属=それ自体として価値実体を持つものが一般的等価物とならざるを得なかった。

しかしいまや、労働時間の価値規定が大量的統計を通じて、まさに一般的社会的に、ますます、きわめて明瞭に確定できるようになったため、それほどに成熟した商品経済的発達の基礎では、単なる無価値な紙(紙幣)が、労働時間の一定量をあらわす(労働時間の一定量を表現する)ものとして、現実的裏づけを持っているといえよう[32]

・・・・従来の諸経済学説・最近のさまざまの貨幣学説の批判のための基本的見地=労働価値説の学問的科学的普遍的復興と新水準への揚棄・・・近代経済学、現代的経済学批判の課題[33]