2020年2月から6月まで


2020-06-17 昨日、原朗氏の弁護士事務所に最高裁からの判決=上告棄却(6月15日付)が伝えられた。
「原朗氏を支援する会」ウェブサイトから、その知らせをコピーしておこう。

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原朗氏裁判、最高裁判決でる、敗訴=上告棄却(2020年6月16日更新)

原朗氏の裁判の最高裁の決定が、本日弁護士事務所に届きました。
上告棄却で、理由は「最高裁が扱うべき事由に該当しない」というものです。全員一致の決定であり、各裁判官の見解の表明はありません。
判決の全文は、こちらよりご覧下さい。
非常に残念ですが、現実を直視して、必要にして最善の策を引続き探ってまいります。
そのためにも、現時点での感想、今後の行動についての提案など、お寄せいただけますと幸いです。ご意見はkazkase49☆gmail.com(☆を@に変えてください)までお寄せください。
引続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

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 最高裁の判決は、上告申立理由補充書1、2とその付属資料などにいっさい言及しないものであり、民事訴訟法の規定に基づき、最高裁が取り上げる事案ではないとしている。
 地裁・高裁の学術研究倫理の無理解が、何の訂正もなく、司法上は確定してしまうことになる。
 この結果、学術研究倫理に責任をもつ大学研究機関にとって、実に驚くべき事態となる。
 原朗氏・堀和生氏などが詳しく立証しているように、また、早稲田大学学術研究倫理委員会の判定に明確なように、現在の各大学で制定された不正行為規程にもとづく判断基準が、地裁・高裁によって無視されていることになるからである。

 学術研究界は、これを放置しておくわけにはいかないだろう。
 学術研究界は、司法の判定を誤りだということを、学術界の手段をもって、広く社会に認知させるように、全力を尽くすべきではなかろうか?
 すくなくとも、最高裁に対する要請に賛同署名した226名の学術界の人々は、この課題があることに同意するのではなかろうか?

 原朗『創作か 盗作か――「大東亜共栄圏」論をめぐって――』(同時代社、2020年2が鵜20日刊)は、その地裁・高裁の判決の誤りを証明したものであり、この普及は、重要な手段であろう。」
 そのほかにも、最高裁の上告棄却という決定が出た後のこの時点で、学術研究倫理の見地から、学界・学術研究機関において(に対して)、原朗氏の諸業績の「先行性とオリジナリティ」を立証する諸手段・諸措置・可能な手段を模索し、行使しなければならないだろう。

 学術審議会等において、こうした事態をどう判断するのか?
 文部科学省はどう判断するであろうか?


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2020‐06‐05 週刊読書人に、萩原充氏(釧路公立大学名誉教授)の書評『創作か 盗作か――「大東亜共栄圏」論をめぐって――』週刊読書人ウェブサイトが出た
    

 評者の萩原氏は、最後に、小林氏(原告)のオリジナルの資料が掲載されていないため、読者自身が原告-被告の双方の主張を自分の頭で考えて、判決を下せない「不満」がのこるかもしれないと。
 そもそも、小林氏は50年前、なぜ原氏に「無断で」著作をだしたのだろうか、いったんは謝罪しておいて、のちになってなぜ名誉毀損で訴えたのか、などと疑問がわいてくる、と。

 確かに、本書は、原朗氏およびその支援者・松村高夫氏、堀和生氏の裁判資料(小林氏の盗作を立証する諸資料)をまとめたものである。
 それは、地裁・高裁判決の不当性・不公平性・学術研究ルール違反を具体的に立証するため、また、その立証を広く学術界、学生・院生・研究者・社会に理解してもらうためのものである。
 その見地からの書物なので、小林氏側のオリジナルな資料が収録されていないのは、著作権の問題もあり、しかたのないことである。

 しかし、評者が問題とするところ、疑問とするところ(なぜ無断だったのか、一度口先で謝罪しても本心からからではなかったことなど)についていえば、盗作者は、まさにそのようなことを行うものではないのか?
 「盗み」は、「無断」で行われる行為ではないか?
 また、尹論文盗作(1966年、2011年)に関する早稲田大学の調査における小林氏の主張からみるかぎり、小林氏は、盗作を盗作とは思っても見なかった、という厳然たる事実があろう。
 そして、それは、早稲田大学の学術研究における不正行為規程に照らし、まったく誤っていたのである。
 盗作・盗用に関する一般的規則をきちんと認識していなかったということ、それで学生・院生を指導していたとすれば、いったいどうなるか?
 小保方問題などの発生で、研究不正に関する諸規程の再確認が、行われなかったのであろうか?

 尹論文盗作と原氏諸業績盗作とは、しかるべき適切な引用・参照の明示なしに、したがって、あたかもすべて自分独自の叙述・資料発掘解釈等であるかのように、行われているという点で、同一の手法による学術研究ルール違反だったのである。

 原朗氏が、この本を出版せざるを得なかったのは、地裁・高裁が、学術研究界のルールを正確・公平に理解していない点を、広く訴えるためであった。
 そして、最高裁に丁寧な審査と公正な判断を求めるためであった。
 すでに、5月12日に記載したように、学術研究界の200名余の人々は、原朗氏を支援し、

公平・丁寧な審査を求める

最高裁への訴えを自らの責任を明示する署名によってバックアップしている。


 この問題の現在は、小林氏側・地裁・高裁の判断と、原朗氏側・早稲田大学学術研究倫理委員会・学術研究界200名余との判定が、対立し、違っている、逆になっているという点にある。

なお、萩原充氏の疑問点に関して一言。
いったんは謝罪しておいて、のちになってなぜ名誉毀損で訴えたのか」という疑問について
  ・・・学会ですれ違いざま「すみません」という口頭で行った「謝罪」が、実は本心からのものでなく、本当の反省ではなかった、ということであろう。
それを示したのが、5年後、すなわち、2006年の『増補版「大東亜共栄圏」の形成と崩壊』(御茶の水書房)の出版であろう。
その増補版「あとがき」には、一部に「誤解があるようだが」と書いて、みずから、初版に一切手を加える必要がない、初版そのままだと宣言しているのである。
原朗氏が2001年の復刊論文の末尾で、ごく控えめに大東亜共栄圏論に関する自分のオリジナリティと先行性を主張しているが、それを「誤解」だとして否定してるのである。
初版=創作だ、したがって、再版(初版刊行後の約30年間の研究業績リストを追加した増補版)でも、初版そのままとする、と。

この否定の上に、2013年の告訴がある。

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2020-05-12 最高裁への要請文提出のお知らせ:14:40着信(12日付「原朗氏を支援する会」ウェブサイト更新で報告)
皆様
 4月5日付けで皆様にお願いしておりました、最高裁判所に対する公正・丁寧な裁判を求める署名につきましては、226名の方々から署名をいただきました。
 予期以上に多数の方々の御賛同をいただくとともに、分野としましても経済史学・歴史学・法律学の広い範囲からご支援をいただき、
 社会科学のある程度の範囲に訴えることができたと思っております。
  その後、コロナウィルスによる変則的事態が続き、最高裁判所への提出が遅れておりましたが、昨5月11日、第一小法廷書記官室・民事事件担当者に
 面会し、226名の署名簿(簡易製本版)と裁判員各位への配布資料(4枚綴)をお渡しして、各裁判官に資料を確実にお渡しいただけるようお願いしてまいりました。
・・・・
 なお、今回の署名集めにおきましては、メールアドレスのわからない方々にはご住所宛に郵便物をおくらせていただきました。
 お差支えなければ、今後のお知らせ等のために、・・・メールアドレスをお知らせいただけますと、幸甚です。

 5月12日  原朗氏を支援する会 (世話人)

--------最高裁への要請文・署名者リスト等の提出-------
2020‐05‐11
  高裁に2019年5月17日提出の乙83証拠資料(堀和生「小林英夫氏盗作行為の起源」と付属文書一式、Cf.「全国国公私立大学の事件情報」の下記のページ)の本文が、「原朗氏を支援する会」ウェブサイトに、
再掲された。尹論文邦訳と小林論文の数多くの「類似」(適切な注記を欠如しており、盗用)箇所の対照表も「剽窃箇所対照表」として、末尾に再掲されている。
  
  末尾の「追記」が、最高裁に公正な判断を促すうえで、現在では非常に重要である。

  早稲田大学に提出されたのは、この乙83証拠資料である。大学は、この証拠資料を8か月近くかけて慎重に検討した。
  盗作だとの認定は、規程(学術研究倫理の一般的ルールの成文化)にもとづき大学の自律的・自治的検討の結果として出した結論である。
  学術界(Cf.オンライン署名者および最高裁への要請に賛同した200名余の署名者・最高裁への要請文)と早稲田大学学術研究倫理委員会の判定は、一致している。
  尹論文の盗作と原朗氏諸業績からの盗作とは、対象が違うとはいえ、同じ人間の行為である。同じ手法による盗作という点で同一であり、学術研究倫理に違反しているとの判定は同じである。
  堀和生氏が発見した盗作証拠は、学術研倫理の専門家たちによって明確に盗作と認められ、小林氏側の弁明にふりまわされることはなかったのである。

  高裁の判決までに早稲田から盗作認定の結論を得たいと願っていたが、早稲田大学の不正行為審査の諸段階(予備調査から本調査へ、本調査に数か月以上)により、それはかなわなかった。
  しかし、最高裁上告中の今、高裁が無視した盗作証拠が早稲田大学学術研究倫理委員会で盗用と認定された以上、最高裁裁判官にはこれらの盗作認定と正面から向き合うことが求められている。

  最高裁の裁判官に求められているのは、むつかしいことではなく、学術研究倫理の基本的な原則・ルールの理解だけである。戦時期経済史や満州経済史などの専門知識が必要なものではない。
  ごく普通の学生や院生のほとんどが理解し実践している原則・ルールである。最高裁においてそれを理解できないとすれば、いったい日本の司法はどうなるのか?

  
「追記:2020年2月25日付けで早稲田大学は「アジア太平洋研究科における研究不正事案(盗用)に関する調査報告書」を採択し、小林氏からの聞き取りを含む調査を行った上で、「小林氏が盗作を行った」事実を明確に認定しております。



  ーーーー最高裁への要請文書・その賛同署名者リストの提出(「原朗氏を支援する会」事務局責任者より:16時13分着信メール)ーーーー
 皆様
 本日朝10時に、最高裁・第一小法廷事務室に署名票226名分を提出しました。

 ①226名分を簡易製本にし、短い主張を張り付けました。
 ②各裁判官に渡していただけるよう、4頁の説明資料を8部提出しました

 対応して下さった方の印象では、個々人に届くようにお願いした文書は、渡してくれるように感じました。

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 最高裁第一小法廷の5人の裁判官が、学術界の主張・要望のエッセンスをまとめた簡潔な要請文・説明資料を読んでくれることを願う。

 それがなされれば、原朗氏側が提出した証拠書類の全体を丁寧に読まざるを得ないはずである。
 
 そして、丁寧にさえ読めば、地裁と高裁の判決がいかに誤っているかが、歴然とするであろう。
 最高裁までが過ちを繰り返してはならない。


-----------最高裁への要請署名:運動開始と集約------------------
2020-04-06
 「原朗氏を支援する会」は、最近の状況を踏まえ、原朗氏が上告中の最高裁に対し、学術研究界の要請を取りまとめて、提出することになった。支援するウェブサイト4月5日更新

 【緊急】最高裁への要請署名を集めています!(2020年4月5日更新)署名用紙


  地裁・高裁の判決の
誤りを最高裁が訂正し、学術研究倫理にしたがった公正な判決となることを願う。

2020-04-27 上記署名(第二次、書面)は、200名を超えるまでに賛同者(公開署名者)が広がったようである。公開署名者リスト、参照
       (第一次インターネットでの署名リストも一緒に公開されている)
  学術界・出版関係者の最高裁への要請に対する賛同の実態が、このリストからわかる。

  それだけではない。今回の署名者で目を引くのは、元文部科学事務次官・小野元之氏である。文部科学行政を担った人、しかも、その後、
  日本学術振興会の理事長もした人物である。一方で科研費等を通じる学術振興に携わり、同時に他方で学術研究における不正行為排除にかかわる重要職務経験者である。
  学術研究の健全な発展のためには、不正行為排除が必要不可欠の重要条件である。

  最高裁判所の裁判官の公平な態度に期待する。

  地裁・高裁の判決は
不公正であり、早稲田大学の研究倫理規程や文科省・学術振興会の不正行為規程(盗用・盗作規定)への小林氏による違反をきちんと見据えていない。
  その意味で、地裁・高裁の判決は、
誤判決である。学術研究倫理の一般ルールへの無理解を露呈したものとなっている。
  高裁判決は乙83証拠資料をきちんと調べていない。いや、全く無視している。
  高裁が、小林氏の盗作行為の19966年から2011年に至る基本的一貫性を示す決定的重要証拠を無視するというのは、
不公正以外の何物でもない。

  結果、地裁・高裁の判決は、一般的に確立された学術研究倫理のルール・規程を愚弄し、破壊するものとなっている。それは、学術研究倫理の普遍的ルールを覆してしまう。
  学術研究界でルール違反とされたこと(現に違反とされていること、Cf.早稲田の上記判定)が、司法の場では合法と判定されたことになっている。


ーーーーー乙83証拠資料ーーーーーーーーーーーー
2020‐03‐11 堀和生「小林英夫氏盗作行為の起源」(乙83証拠資料)は、「原朗氏を支援する会」ウェブサイトで、現在は
非公開(本文は2020‐05‐11に再掲となっている。
       今では、原朗『創作か 盗作か』(同時代社、2020年2月20日刊)の以下のところに収録されている。

       V 驚くべき東京地裁判決
        三 原告剽窃行為新証拠の提出(2019年5月17日)
       
     大々的盗作は、この章の
証拠資料に掲げられた大量の傍線部分(赤の傍線でないので、迫力の点では今ひとつ)をみると、一目瞭然。

     堀和生論文とその資料一式(乙83証拠資料)をもとに、早稲田大学学術研究倫理委員会で約8か月かけた慎重な調査の結果、小林氏の尹論文盗作が認定された。
     早稲田大学学術研究倫理委員会は、2011年の論争書に収録された小林論文(初出1966年)を調査し、上記決定を下したのである。

     尹論文(1964年)の盗作は、最初、1966年の論文においてであり、その45年後の2011年にほぼ100%の盗作個所(結論部分)をのぞき、
     松村・柳沢両氏に対する論争書に
元のまま掲載したものである。
     この期間のなかに、原朗氏の業績(1975年12月までの10年間の業績)からの盗作(小林氏の1975年12月刊の『「大東亜共栄圏」の形成と崩壊』)がある。

     また、2001年に原朗氏がきわめて抑制的にではあるが先行性・オリジナリティを主張したことを「誤解」(増補版あとがき参照)だとして無視し、
     そのスタンスで、
     2006年に、1975年12月刊の著作(
元のまま)の増補版(約30年間の業績リストを追加)を刊行した。
     2006年に、1975年12月刊の著作を
そのまま出版したことは、盗作の事実の完全否定である。

     尹論文盗作と原朗諸業績盗作とは、長期間にわたり一貫した学術研究ルールの違反行為を示している。
     根底に共通するのは、学生・院生なら通常理解できる
一般的ルール(早稲田大学の規程にあるもの、同じ規程は多くの大学、文科省・科研費等にある)の無視である。
     固有の専門知識がなければ、盗作か否かを判定できないというたぐいのものではない。
     もちろん、原氏業績からの盗作は、尹論文からの盗作と違って、巧妙さのゆえに、原朗氏以外では堀和生氏のような専門家でしか、見分けが難しいところが多い。
     しかし、原朗『創作か 盗作か』で示された原朗氏、松村高夫氏、堀和生氏の綿密な立証(裁判資料)を読めば、学生・院生・研究者には容易に理解でき、そして、
     公正な態度で時間をかけて検討すれば、裁判官諸氏にも小林氏の学術研究ルール違反が理解できるはずのものである。
    
     今でも(3月25日現在)、「全国国公私立大学の事件情報」の下記のページには、尹論文盗作の関係証拠文書(乙83証拠資料
の一部)が掲載されている。
     盗作手法は単純であり、大量の
赤字傍線付き小林氏論文(下記、参考資料C・・・著作権の関係で一部だけである)をみることができる。
     
     堀和生「起源」論文につけられた参考資料の証拠資料一式を参照されたい。
参考資料
剽窃箇所対照表(一部)
・参考資料B:尹亨彬「1929年元山労働者のゼネスト」(堀監訳訂正版)
・参考資料C:小林英夫「元山ゼネスト─一九二九年朝鮮人民のたたかい」(一部)
小林氏自身による改題(小林英夫・ 福井紳一著『論戦「満洲国」・満鉄調査部事件 ―― 学問的論争の深まりを期して』彩流社 2011年より一部引用)

  この2011年彩流社が出版した論争書は、「学問的論争の深まり」を期待しているが、その基礎素材となった諸論文のなかに、
  早稲田大学学術研究倫理委員会により2020年2月25日に尹論文の「盗作」だと認定された1966年の論文が収録されているとすれば、「学問的論争」は、成り立たないのではなかろうか?
  同書におさめられた論文のすべてについて、学問的論争の前に、盗作といった不正行為がないか、検証が必要になろう。

  小林氏は、戦前日本の植民地主義・帝国主義を批判する立場ではなかったか。
  小林氏の多数の著書を、私はそのように受け止めている。
  しかし、戦後20年ほどたった1966年の時点で、1964年の北朝鮮の尹さんの論文を盗作していたとすれば、いったい、どうなるか?
  「盗み」を他の時代・他人については批判し、自分には甘い基準で問題にしない、ということか?

  *なお、この
新証拠発見(2019年5月高裁への新証拠乙83提出時に公開)の画期的意義については、私自身は、みずからの見解をだいぶ前に述べている。cf. 画期的発見。




2020‐02〜03のまとめ