同じ手法による盗作盗用の確定

                            2020年5月14日、記(その後若干の添削、7月16日現在)


 確定にあたっては、下記のように、早稲田大学の規程に基づく実に慎重な手続きを経て、結論を導き出している。


 早稲田大学は通報(2019年7月4日着)にもとづき、大学の規程「研究活動に係る不正防止および不正行為への対応に関する規程に基づき、調査対象者と最も関連する国際学術院・大学院アジア太平洋研究科に対して、予備調査の実施を指示」した。

 証拠資料堀和生「起源」論文とその付属資料一式)として提出された朝鮮語論文和訳の「客観性に懸念」があるので、調査を託された学術研究倫理委員会が「翻訳業者に和訳を手配」した。
 そして、2019年7月30日翻訳業者による朝鮮語論文の和訳が完成。
 8月6日に予備調査に回した。

 約一か月後、9月4日、上記学術院・研究科から予備調査結果報告書が提出された。

 9月24日の学術研究倫理委員会における審議で、調査対象の論文において 「朝鮮語論文の和訳と適切な表示なく類似する箇所が複数確認された」

 
そこで、「研究活動に係る不正行為(盗用:研究者等が、他の研究者のアイデア、分析・解析方法、データ、研究成果、論文または用語を当該研究者の了解または適切な表示なく流用すること)の有無」を確認するため、倫理委員会のもとに調査委員会を設置し、本調査を実施した。 
 倫理委員会から調査対象者および通報者に調査委員会の所属・氏名を知らせ、異論の有無を確認し、調査対象者からも通報者からも異論は出されなかった。

 そこで、12月2日、調査委員会第一回が開催され、9日から11日かけて持ち回り審議を行い、調査の中間報告書を確定した。
 
 2020年2月7日の第三回委員会を経て、2月22日〜24日の第4回委員会(持ち回り審議)で、最終報告書を確定した。



調査委員会は次のような調査を手順を踏んで行っている。

 (1)著書・論文の比較調査、
 (2)調査対象者からの聞き取り調査前に提出された反論資料の調査、
 (3)調査対象者への聞き取り調査の実施。


(1)において、尹論文(朝鮮語論文)を「和訳した内容が適切な表示なく流用されて記述されている疑い、すなわち盗用が疑われる点」を全部摘出し、調査対象論文と尹論文との類似部分(盗用部分)の対象を作成した。
  (この対照表は、堀論文が付属資料で行っているものと同じである。また、対象者論文に対して、堀論文付属資料と同じように、類似部分(盗用部分)が赤字傍線を付して列記されている。)

(2)において、調査対象者から提出された「盗用の疑いに対する反論」文書(本文16ページ、資料一覧、別紙一覧表)について、「精査、検証」を行っている。

そのうえで、「調査対象者のみが知りうる新事実や正当性を裏付ける証拠があるかどうかを確認するため」、
(3)の聞き取り調査を行っている。主として、7つのポイントにつき、調査対象者に確認を行っている。

いずれ、調査報告書自体が公開されることになると思われるが、
 調査対象者の「反論」は、原朗氏側の立証に対する「反論」と同じ論法であることがわかる。

たとえば、
 尹論文を「参照したことは事実だが」、「煩雑を避けるため個別の箇所においていちいち注記しなかった」と弁明、と。(学術論文の作法の無視・・・ルール違反を自ら認めていることになる。)
 尹論文を「無視したわけではなく、参考文献として冒頭で提示している」と。

 「無産者新聞」や「新興科学の旗の下に」など、日本語で確認検証できる史料に関しては、論文のなかで「括弧書で引用を行って」史料的証拠を提示しているが、
尹論文についてはそうした引用を明示する箇所が「1箇所も確認できないと、尹論文の史料・論述を流用していながら、一切それを明示しないことについて問われると、

 「扱っている部分に共通性があり、それがあまりにも多すぎるので、個々の点についてではなく、最初に参考文献として示すことで引用の全体をカバーするとの意図を持っていた」と弁明。


 これらの手法は、原朗氏の諸業績対する盗用手法と全く同じと言わなければならない。
   Cf. 原朗『創作か盗作か――「大東亜共栄圏」論をめぐって――』(同時代社、2020年2月)

 以上のように慎重な調査、丁寧な審議を踏まえて、結論として、「研究活動における不正行為の認定」がおこなわれている。

 「研究活動に係る不正行為」、「盗用:研究者等が、他の研究者のアイデア、分析・解析方法、データ、研究成果、論文または用語を当該研究者の了解または適切な表示なく流用すること」が行われたものと認定する、と。

 
この結論は、堀和生「小林英夫氏盗作行為の起源」の結論と全く同じである。

 最高裁の裁判官が、この早稲田大学学術研究倫理委員会・その調査委員会の調査報告をきちんと読めば、調査対象者の論文作成の仕方、史料の扱い方における問題性、盗用の仕方、その弁明の仕方について明確にわかると同時に、原朗氏側の「陳述書」、「意見書」等の精密な論証が、極めてすっきりと理解できるはずである。