「盗用・剽窃」の学術的定義

原朗『創作か 盗作か――「大東亜共栄圏」論をめぐってーー』(同時代社、2020年2月)、69‐71ページ
                
「剽窃・盗用防止は、研究者を育てる大学院生教育においても徹底させることが求められている。

その一例として早稲田大学大学院経済学研究科が修士論文提出者に対して提出を義務付けている「剽窃定義確認書」をみれば、

     
「修士論文提出において、剽窃または剽窃と疑われる行為を一切行わないことを誓約」し、「当該行為を行った場合には、厳重な処分(無期停学・当該学期成績無効・修士論文不合格等)を受けること、学位取得後であっても学位取消となることを十分に認識したうえで、論文執筆を進めていくこと制約する」ことが求められている。

 この「剽窃定義確認書」の裏面にある「剽窃に関する定義」によれば、「盗用・剽窃行為」について、「文章の出所を・・・引用や参照のルールにのっとって示し、その部分は自分の書いた文章(あるいは自分で考えたアイディア)ではなくて、誰かから借りたものであることを明らかにする必要がある・・・他人から借りた文章やアイディアの出所を示さずに、自分で書いたものとして・・・提出すると、『盗用』または『剽窃』となる」・・・

 「他人の文章を書き写す場合(つまり引用する場合)には、かならずその文章全体を「 」(一重カギカッコ)でくくる・・・そして著者名、著書(あるいは論文や記事)のタイトル、該当ページ数(および出版社や出版年)がわかるようにする」(傍線は原文のもの)、「文章をそのまま引用したわけでなくても、要約というかたちで利用したもの、アイディアを得るために参考にしたものがあれば、同じように著者名、タイトル、ページ数・・・を示すのがルールです」・・・「以上は。『絶対にやってはいけないこと』についての注意です」とされている。



この引用や参照の一般的原則・普遍的ルールに照らせば、堀和生「起源」論文および

早稲田大学学術研究倫理委員会の調査結果が示していることは、

1966年(その再公刊としての2011年)の小林論文は、文字数48%にもおよび剽窃盗用以外のなにものでもないことになる。


 とすれば、その結果は
、上記の大学規程によれば、「学位取得後であっても学位取消となる」のではないか