200276日 学部・大学院の発展方向と改革案作りについて

 

 75日の教授会では人事問題と関連して、学部・大学院将来構想をしっかり検討していくことが教授会の気運としてまとまったように感じられる。「社会構造論」の公募決定・承認は、そのような発展的気運の中に位置付けられていたと理解する。

 

 今後の課題と問題は、学部執行部が、学部・大学院の発展方向の叩き台()を、あるいはその改革の手順()79月のあいだに纏め上げることであろう。教授会で語られたことからすれば、学部執行部(学部長・評議員)は、「夏休みに合宿でもして」纏め上げる意向のようであり、それはすばらしいことである。学部をひっぱって行くべき指導部の労苦は大変なものになると思われるが、学部と大学の発展のために、模範を示していただきたい。

 

 学部執行部が構想を練り上げるうえでは、学部教授会メンバーも、それぞれの問題関心と課題意識から、できるだけ従来考えている意見をまとめて、学部執行部の検討素材として提出しておいた方がいいだろう。

私にかんして言えば、この間、この1ヶ月半ほどの「大学問題日誌」を通じて、商学部とその上に構築された大学院が抱える問題点について、意見をまとめ、叩き台(叩かれ台)として公開してきた。人事補充問題、予算問題などでは、川内学部長や評議員各位に、おりにふれてこの「大学問題日誌」で大学内外に公開している意見を直接にも伝えてきた。

この意見表明のなかに、直接的に受け入れられる論点が、すなわちポジティヴな論点1点でもあれば、かなりの時間をついやした労苦は報われるので、うれしいことだ。しかし、仮にネガティブなものが多くあっても、それがかえって反面教師となって、すなわち「この点はだめだろう、これは取るべきでない」という明確な点があれば、それだけでも、学部執行部が改革構想を纏め上げていくうえで役に立つことになろうから、労苦は報いられることになる。学部や大学の改革構想は、このようなディアレクティックな発展プロセスでこそ、建設されていくべきであろう。

 

 いずれにしろ、現在求められていることは、可能な限り、教授会メンバーが自分なりの意見を文章化してまとめ、学部執行部・学部将来構想委員会に意見具申をしておくことではないか。というか、学部執行部は合宿に計画にあたって、教授会メンバーに意見具申を求めることは行うべきではないか。具体的な文章化された責任ある提案でないと、せっかくの発想・着想も無駄になるのではないか。

学部執行部は合宿で、学部メンバーからの意見具申・素材を踏まえつつ、取り入れるべきは取り入れ、捨てるべきものは捨てて、構想を練り上げるべきだろう。学部執行部には独自の構想力と同時に、そうした学部メンバーの意見や構想を総合する力、この総合力こそが問われているということだろう。学部メンバーからのだされる多様な次元からの多様な意見(場合によっては対立的意見)総合的発展的理念の元に内面的に有機的に統合され、建設的発展的な構想()が作成されることになれば、9月教授会、10月教授会では、充実した議論が展開されることになろう。

 

 その総合の見地は、一方では、現在の横浜市と日本と世界がわが大学になにを求めているか、わが学部になにを求めているかという社会的要請と、他方で、これまで商学部とその2つの研究科が長年の歴史で構築してきた学部・大学院の伝統と特色・独自性とを有機的発展的に結合する見地であり、その有機的発展的結合に成功している度合いによって、一方で社会的説得力をもち、他方で主体的担い手としての学部構成の妥当性・学部メンバーの総力結集が証明されることになろう。

 

私自身のこれまでの「大学問題日誌」での意見表明をまとめれば、「総合力ある建設的発展的な力量を持った日本と国際社会で活躍する少数精鋭の学生・院生を創り出す」という理念が、改革構想の中核に置かれるべきだということであり、まさに、それは他人に(学生、院生に)もとめるだけではなく、学部教授会こそが率先してその模範を示すべきだという見地である。