2002924日 石井寛治先生(社会経済史学会会長、現東京経済大学教授、東京大学名誉教授)から、最近の啓蒙的御著書『情報化と国家・企業』(日本史リブレット、山川出版社2002年)を頂戴した。本書の結論的部分、すなわち、「政権党が、個人情報の保護を口実にメディア規制をたくらんでいる」、「その動きと有事法制の仕組みが出揃えば、実質的には戦前と大差ない厳しい情報規制となるに違いない」という末尾の警鐘に、感銘を受けた。歴史を研究することが、このように現実的な問題への警世・啓蒙の発言と結びつくことは、大切なことである。時流に流されて、大学の最も貴重な本質的部分を破壊しても気づきもせず、したがってまた気にしない人々とは、根本的スタンスが違う。