経済史A受講生に質問。
横浜市立大学の概要(「大学の今後のあり方懇談会」資料の統計表)について、
問1.大学費への一般会計繰り入れの状況(平成14年度予算)をみて、あなたの考えることは何か? 多いと見るか少ないと見るか? 他の大学と比較して横浜市大の特徴はなにか?
問2.学部別学生一人あたりの経費と収入(13年度決算を基にした試算)を見て、あなたは何を考えるか?
問3.あなたは横浜市民か、他地域の出身者か?
問4. 学生のなかで市民の子弟が少ないのに、多額の市費を投じる必要があるのかといった意見があるが、これについてどう考えるか?
問5. 大学の地域貢献が何かわからない、という意見があるが、これについてどう考えるか? 大学の地域貢献とはどのようなものであるべきか? 大学の教育と研究との関係はどうあるべきか?
問6.医学部はその卒業生の圧倒的多数が市内で仕事をすることになり、地域貢献という点で 実質があるといわれるが、これについてどのように考えるか? 商学部その他の学部が市内で仕事をしないことの意味、理由はなにか? その点で、他の公立大学との比較から出てくることは何か?
学生諸君の回答より、重複を避けつつ、以下に若干紹介。回答してくれた学生諸君に友人諸君の意見を紹介する。参考にして欲しい。
その前に一言、感想を述べておけば、学生諸君の意見には実に健全な、理性的な、視野の広いみずみずしい意見が多い。このことから見ても、学長や各学部執行部、事務局、市の当局者は、学生や市民に意見を聞いてみるべきだろう。
大学の責任者は、そもそもそのようは発想を持ったことがあるか? 目が上にばかり行っているようではだめだろう[1]。
現在の「あり方懇談会」のように「著名人」「実務家」「研究者」「ジャーナリスト」に意見を聞くだけでは、答えは限定されたものになるのではないか。事務局責任者が「耳を傾けるべき」人々として選んだ少数の人間だけの意見で何事か有意義な結論を出せるという発想自体が、すでに相当問題だ。実質的な民主主義の実現を主張する橋爪座長が、この懇談会答申という実践の場においても、その民主主義精神を本当に発揮できるか、彼の民主主義精神が本物かどうか、われわれは注視しよう。
1. 繰り入れ額124億は「すごい額」、「生徒数が少ない割には多い」、
2. 「商学部は経費配分が少なく、医学部は非常に多い。二つの学部の差があまりにも大きすぎる。同じくらいの学費を払っているのにあまりにも不公平・・・」
3. 「市民の子弟が少ないというのはおかしい。横浜市の市民限定の推薦入試で入学している生徒数は他大学に比べて相当多いと思う。しかも、投入している市費の大部分は医学部で、その卒業生が市内で働いているのだから、多額の市費投入だからおかしいとはいえない」
4. 「医学部の卒業生が市内で働き市民が医療を受けているのだから、地域貢献している・・・商学部やその他の学部が市内で仕事をしないのは,横浜市が関東地方で第1の都市ではなく、会社の数が圧倒的に東京都より少ないので、東京都に働きに行く人が多いからだ。東京、大阪,名古屋は,その地域でいちばんの都市だから、横浜市大より市内で働く人が多いのだと思う」
5. 「横浜市の財源総額にたいする大学への繰入額は,私が考えていたよりも少ない(124億円は14年度一般財源総額8970億5700万円の2.37%)が,それでも相当の額が大学に投入されていると思う。市の財源とは主に市民の税金からなっているものであって、つまり私たちはそういった税金のおかげで大学の講義を受けている・・・今自分が大学で学べるのは,多くの人の支えがあるからである・・・」
6. 学生一人あたりの収入と比べて、学生一人あたりの経費が学部によってばらつきが大きい・・・市が理学部や医学部に対して精力的に取り組んでいることがわかる。商学部や国際文化学部との格差は非常に大きなものとなっている。しかし、理学部や医学部に多額を投入しているからといって、その他の学部をないがしろにしているわけではないと思う。」
7. 「多額の市費を投じることは決して無駄ではないはずだ。・・・横浜市にはおそらく他地方自治体の運営する大学の卒業生が多数流入していると思われる。各自治体が大学運営を積極的に行うことによって、全体として活発化し、結局は市にとっても有益なことになると思う。」
8. 「大学の地域貢献として考えられることの一つに,市の職員の育成をあげることができる・・市の行政に携われる人材を育成するカリキュラムをもっと設置してみてもいいのではないだろうか。」
9. 「商学部やその他の学部が市内よりも市外に出て仕事をする理由は、これらの学部の卒業生が就職出きる職種が非常に多く、また全国的な広がりを持つ民間企業に就職する人が多いことと関係していると思う。」
10.「医学部の経費がかなり多いことに目が行く。わたしが所属する商学部は人数が多い分、経費も多いと思っていたが、それほどでもない。これには実験というものが関係しているからだろう。理学部・医学部は実験が主な勉強だ。それだけ、すばらしい実験をしている証拠とも言える」
11.多額の市費を投じる必要は、「わたしとしてはあると思う。将来日本を背負っていく学生たちに勉学に励んでもらうわけ」だから。
12.「大学は学生が専門の勉強をするためにあると思うので、私にとっては大学の地域貢献とはどういうものなのかはわからない。」
13.「商学部その他の学部が市内で仕事をしないのは、大企業、そういったものが都内に集中していることに少なからず関係があると思う。地域貢献にそれほど固執する必要はないと思う」
14.多額の市費投入について・・・「これは難しい問題であると思う。『大学』そのもののあり方についての問題でもある。まず、横浜に市立大学がなくても、多分だれも困ることはないと思う。実際、私がこの大学の名前を知ったのは受験直前であったし、この大学がなければ多分他の大学にいっていたと思う。そして、そのことは他の人も同じであると考えられる。しかし、横浜という都市の特色、港、貿易etc.を生かした研究ができれば、『横浜市立大学』というオリジナリティが出せれば、市民の子弟が少なくても多額の市費を投じる価値はあると思う。しかし、それが出せないのが現状ではないだろうか。横浜国立大学と合併するという案もあるが、そうすればもっと市民の子弟が増えるのではないだろうか。」
15.「『大学の地域貢献』も難しい問題であると思う。そもそも大学が地域に対して何か貢献しないといけないのだろうか,という問題もある。われわれの大学は市民の税金によって運営されているので地域に対し、何らかの貢献はしないといけないが、その一つに市に対して人材を提供するということがある。これが一番の貢献であると思う。しかし、東京という超巨大都市が人材を吸収しているところが大きいので、市大卒の市内就職者が少ないのは仕方がない。」
16.「経費で見ると医学部が商学部の8倍近くかかっているが、やはり医学部は仕方がない。・・・」
17.多額の市費を投じる必要性・・・「横浜市の大学であるが、全国の学生が集まってこそ、“知”は発揮されるものであり、市民だけというのは偏りすぎていて、“知”は死んでしまうと思う。さまざまな環境で育った人々が集まり、視野を広めるといった考え方が大切であると思う。」
18.地域貢献・・・「正直、大学の地域貢献というものがあまりよくわからなかった。しかし、近頃考えるようになり、地域に根付いた研究というのも大切であると思う。たとえば、横浜市であれば、市立大であるからこそ横浜市の事情がよく見えてくる。横浜市の発展を促進する経済政策を打ち出す研究をしたり・・・」
19.「経費と収入だけを単純に考えれば、医学部の学生が最も得をし、商学部の学生が最も損をしていることになるが、これは、横浜市が支えてくれるからできることであって、私立大学などでは絶対にできない制度だ。生徒個人の家の事情もあるし、市が予算を負担してくれるのは、とてもいいことだと思う。」
20.「確かに在学中を除いて横浜市と何の縁もない学生に多額の市費を投じることは意味のないことのように思えてしまうのかもしれないが、それは他の地域の公立大学にもいえることだし、横浜市は横浜市、東京都は東京都、というように、それぞれが独立しているわけでもない。予算のことを考えるときついのかもしれないが、もっと大きな範囲を考えたら、決して意味のないことではないと思う。」
21.「他の大学がどうかはわからないが、横浜市大は、一般の人々が講義を受けることも受け入れているようだ。このような機会を設けることも、地域貢献の一つだと思う。ただ、今問題となっているように、地域貢献をしていないから市費を投じる必要があるかないか、ということになると、『地域貢献』とは、経済的活性化にどれだけ貢献するか,ということなのかなとも思う。・・・医学部が地域貢献をしているというのはそれなりに納得できる。」
22.「理学部と医学部に金をかけ過ぎだと思う・・・確かに実験や道具などにお金を使う面は多いと思うけれど、みんな同じ学費を払っているのだから、とくに商学部の人は不公平さを感じると思う。だから、理学部と医学部だけ学費を上げたらいいと思う。」
23.横浜市民の学生・・・多額の市費を投じる必要はある。市費を投じない、「そんなことをしたら、逆に市民が集まってこないと思う。それに横浜市民だって、他地域の大学に大勢行くわけだから、Give and Takeだと思う。」「現在、大学では公開講座などを行って、地域開放・密着を目指しているけれど、これはまだまだ限られていて、完全な地域貢献ではないと思う。ただ、地域のほうも、大学に一体何を求めているのかはっきりしないで、ただ『地域貢献しろ』というのもおかしいと思う。両者の意見をうまくまとめる機関が必要ではないか。」「おそらく公立大学出身者の特に文系の人はその地域のために働こうと思っている人はほとんどいないと思う。よい仕事があれば市外でもそこに行くのが現在ではあたり前・・・」
24.市民の学生・・・「大学というものは、やはり学校なのである.学校とは若い力、行動する若い力が集合し、その力を養い、発展させる場であると思う。地域社会の集合が世界になるのだから、逆説的に見て、世界に貢献することが地域社会に貢献することになるのではなかろうか。」
25.横浜市民の学生・・・「学生一人あたりの経費を見ると、医学部は商学部の約8倍もの額である。医学部の学生を育てるのに多額の経費がかかるのは無理のないことある。・・・」「学生が横浜市民であるかどうかで、費用の差別化をするのは間違っていると思う。たとえ、他地域出身でその人が市外に就職したとしても、横浜市が運営する大学に通学している以上、多額の市費を投じてもいい・・・」「大学の地域貢献とは、大学がその地域に存在するということがすでに地域に貢献しているといっていいのではないだろうか。・・・」
26.「当然というか、当たり前なことですが、商学部以外(特に、医と理)がお金を使っているなあと思います。確かに、研究をする理や医者になる医が将来的に日本にとって必要な人材育成なので仕方ないとは思いますが、実際に数字を見ると、もう少し、商にお金を使ってもいいなと思います。英語教育とか、コンピュータ教育とか・・・」
27.市民の学生・・・多額の市費を投じる必要はある。「推薦などで横浜市民をもっと集めたほうがいいという考えの先生の意見を聞いたことがあるが、変だ。そんなことをしたら大学の学力レベルが著しく下がると思う。また,横浜だけでなく,東京,名古屋,大阪なども他県、他市の人を受け入れているんだから、お互い様だと思う。」地域貢献・・・「どうして市立大学に入った学生がその市に対しての地域貢献をしなければならないのかがわからない。」
28.医学部に関して・・・経費・収入関係のアンバランスについて「医学部がかなりの赤字をだしていることになる。私はそこまでの赤字を出してまで医学部を経営する必要があるのかと思う。」「将来、市大出身の優秀な人材が育ったら、それは市全体ではなく、日本全体で役に立つわけだから、地域として考えるのではなく、国として考えれば、市費を投じることは必要である。」「確かに、在学している今、私は地域貢献しているとは思わない。ただ、この金沢八景に大学があること自体、地域に貢献していると思う。学生がたくさんいるからこそ、この金沢八景は活性化していると思う。確かに、大学が他の国の地域の人々と交流し、そのことによって市と姉妹都市などを作れるのが理想ではある・・・」
29.市民の学生・・・「都立大のほうが予算が少ないのは、医学部と看護短大のため。市の予算投入額は妥当である。」多額の市費投入というが、「金銭面であるから、やさしいことは言っていられないのかもしれないが、もっと大きな視点で見るべきだ・・・」「医学部に市は多くのお金をかけているが、多数が市内で仕事をすることにより、その分、地域に還元されているであろう。しかし、他の学部はそうではない。だからといって、他の学部にお金をあまりかけなくてもよい,という考えには反対である。」
30.生まれて二〇年市民・・・「やはり医学部に力を入れていると感じる。商学部は学生数が他学部の2‐5倍ほどであるが、経費はそれほどかかっていない。備品を使用する教科が他と比べて少ないことも関係しているが、それでも少ないように思える。」「図書館の蔵書などにはもっと市費を投じてもいいのではないか」
31.「横浜という、日本で上位を争う都市の大学費への一般会計繰り入れとしては、突出しているともいえず、普通だと思われる.この額は少ないほうだと感じた。」
32.「確かに自分も横浜市大が地域貢献ができているのかといわれたら、できていないと思う.地域貢献というと、大学の施設をもっと市民に貸し出して、文科的活動や知的活動の場として提供したりしたらよいと思う。他にも講義も市民の自由参加を見とめるなどして、大学がその地域のコミュニティ・センターになるようにすべきだと思う。」
33.「地域の活性化につながることをやっていけばよい・・しかし、あまりにも地域貢献ばかりに目がとらわれていては、本末転倒であると思う。」
34.多額の市費の投入について・・・「市費で他に無駄だとおも割れる使い方をしていることをもっと探して削ればよい。」「そもそも日本自体の経済が危うい時期に、地域地域と考えるのはおかしいと思う。アメリカと日本とかを考えたとき、自分の国さえ安定していればいいという古い考え方の縮小版みたい。まずは日本をよくすることで地域に還元できると思います。」
35.多額の市費・・・「就職先が横浜市であれば問題ない。しかし、市内で就職しない人が多いといっても、無駄ではない。横浜市外に行った場合でも、日本に貢献する市大生がいるわけで、日本がよくなれば、横浜市もよくなる。結果的には横浜市のためになると思う。」
36.市民の学生・・・「商学部の学生一人あたりの経費が一番少ない。今の状況が商学部の学生にとってベストな環境が備わっているかといったら、そうは思えない。学生のニーズに合った授業の開講やゼミなど大学の基である『学びたいと思ったことが学べる』という環境を整えるためにも、各学部の支給額の配当を見なおす必要があると思う。」 だが、「市民の子弟のための大学として、横浜市立大学は存在しているのではなく、横浜の将来、果ては日本、世界の舞台で活躍する人材を作るためにあるので、市費を投じる必要はあるとおもう。また、市内に多くの学生が住み、そこを拠点に学ぶことによって新たな横浜の可能性も見出だされる。」
37.市民の学生・・・・「市民外の子が将来、何らかの形で市にあるいは企業として市民にかかわることもあるのだから、地域で分けて考えるのはナンセンスだと思う。・・・大学は市民以外の子が市に来るきっかけになっているので、将来の地域貢献になっていると思う。・・・」
38.「正直言って、僕も大学の地域貢献が何であるかわからない。つまり、大学が地域に対して何もしているとは思えない。だが、大学で教育を受けた人が卒業後、仕事についたときに何らかの形で帰ってくるものだと思う。そういった点で、大学の地域貢献とは学生をよりよい環境で勉強させることであると思う。つまり、地域貢献とは大学よりもむしろその大学を卒業した人に関係があると思う。」
39.多額の市費投入は必要ないという意見には「反対です。もし、市立大学を卒業した者が優秀であって、グローバルに活躍するとしたら、市民としてではなくても、何らかの形で市に利益となって帰ってくるのではないでしょうか。市民であったとしても横浜市から出ていく者だっているはずです。・・・・」「大学の地域貢献とは、つまり地域におけるアカデミアなのではないでしょうか。大学で講義を行って、地域の人々も自由に参加できるような状況が理想的な形なのだと考えます。勉学への意欲がある者はだれでも参加できるのが本来の大学だと思います。」
40.横浜市民・・・・「この大学を出た人は横浜で働くことも多いであろうし、また地方に戻って働く人も、横浜のことを理解しているので、横浜市にプラスがないとは考えにくい。」
41.「市内出身者の入学金に比べて市外出身者の入学金が倍になっているなど、違いを設けているわけだし、横浜市大があり、他地域から学生を呼べるのと、横浜市大がなくて学生を呼べないとでは、地域の活発化という点でもかなり違ってくるのではないか?」
42.「商学部は一人あたりの経費が少ないにもかかわらず、学生一人あたりの収入が他学部と同じというのは少し不満。しかし、有効な実験などに使って、すばらしい成果を上げ、大学の名を高めてくれるのなら、納得できる。」「市民の方々には、自分が住んでいる市内には大学があって、それを私たちが支えているんだという誇りを持っていただきたいです。」
43.「もし学生が横浜市民のみの大学になるとすると、それはとても狭い大学になると思う。さまざまな地方からの人々とともに学生生活を送ることで得るものは大きい。今後の横浜の発展の可能性を握る学生のいる大学に市費を投じても損はないと思う。」
44.「たまに、先生方が市民向けにセミナーをやっているというチラシを見たことがある。このように、大学が所持する知識で市民の人々の関心の高いものは、セミナーなどを開いて公開する。施設を可能な限り一般公開する」
45.大学費への繰り入れは、「少ないと見る。医学部があるにもかかわらず、他の医学部のある大学と比較しても、横浜市の一般財源総額から大学への繰り入れ額の割合が少ない。これでは横浜市は市立大学に力を入れてないということが明らかになってしまう。」商学部の「経費は少なすぎる。商学部の収入が他学部にまわされている感じがして何か嫌だ。もっと利益分を学生の生活しやすい、大学環境にするために積極的に設備投資して欲しい」
46.「商学部その他の学部の卒業生が市内で仕事をしないのは、市内で働くことに強い魅力を感じないのではないかと思う。いいかえれば、他の市との違いがあまりなく、どこで働いても同じと考える人が多いのだと思う。・・・」
47.「市立大学は何も市民のためだけにあるのではない。他県からも人が集まるということは、それだけ横浜市大が全国的に評価されていることだろう。」「大学の地域貢献として設備を開放したり、セミナーを開いて地域の人と交流したりしているので、これがすでに地域貢献になっている。また、大学の授業には都市社会の将来や横浜学の授業があり、横浜市の行政や構造を学ぶ機会もあるため、将来横浜市のために働こうと考える人がいると思われる。」
48.横浜市民の学生・・・「商学部の学生に対してもっともお金がかけられていないということは、市が商学部の学生はお金をかけてもちっとも役に立たないと思っているということに他ならないと思う。商学部の学生としては悲しいが、実際にそう思われている以上、そうではないことを証明するために学生が努力しなければならない。不平不満を言うだけなら誰でも出きるが、それだけではどうしようもないと思われても仕方ないので、現実に行動するやる気と行動力を市に対して見せないといけないのではないだろうか?」 「個人的には損得感情抜きで、社会に通用する学生を育てるために投資しているという誇りを持つ市であって欲しい。またそのような誇りを持たれるに値するような努力を学生がしなければならないと思う。」
49.「市民の学生数が少ないということは、それだけ市民の子が学力が低いということになる。市民に対しては推薦入試の枠もあるし、多額の市費を投じる必要があるのかといったことよりも、市民の学力を上げればどうかと思う。」「地域貢献というものは、市民に対して彼らが支払った税金の内どれだけの利益が彼らに還元されるかということだと思うが、医学部生は地域の人々を診察するということで貢献できるが、他学部は特にこれといった目に見える形で貢献できるものが少ない分、地域貢献が少ないといわれていると思う。・・・市内で働いて欲しかったら、もっと就職先を増やして欲しい。」
50.「私が商学部だけに、もっと商学部にお金をかけて欲しい。たとえば、英語の先生(外国人)を増やしたり、留学制度や交流なども増やして欲しい。」「市立大学がある『市』はとても誇らしいことだと思う。多額の市費を投じてもいいのではと思う。」
51.「市は身を削るような思いで大学を運営していると考えられるから、私たち市立大学に通う学生は、そのあたりのことを考えて勉学に励まなければならないと思った。・・・」
52.「医学部は経費がかかっているので学費を上げてもよいと思う。あまりにも商学部と医学部に環境の違いがありすぎる。」
53.「自分が所属している商学部においてさえ、30万1000円は市が自分に対して負担してくれている。他学部よりも少ないが、市民の税金の一部は自分にも費やされていると考えると、何も自分は市のためにやっていないのにともうしわけない。」だが、「政令指定都市が大学を持ち、国民の教育の向上のために、また地方の学生の経験のために一肌脱ぐということはあってもいいのではと思う。大学が市民に広く開放された場所になるのも地域貢献の一つだと思う。散歩をしたり、講義を少し聴いて何か考えたり、そういう場にしてもよいと思う。」
54.横浜市民の学生・・・「やはり、市民であるとか市民でないとかに関係なく、この横浜市に勉強にきた学生のために市費を投じるのはよいことだと思う。今後横浜市にはもちろん、日本や世界に貢献する人材を育てることは市としても手助けしていくべきだと思う。」「大学の地域貢献とは、大学を出てから学んだことを生かして地域で働くことだと思うが、市費をもらっているとはいえ、『地域』だけにこだわる必要はないと考える。どこで働くにしろ、いろいろなかたちで人々に貢献できる人材を育てることが重要だと思う。そしてよい研究があってこそよい教育ができるのではないかと思った。・・・・」
55.「医学部や看護短大の学生一人あたり予算が高いのは当然のことだが、なぜ商学部と国際文化の経費に大きな差があるのか疑問を感じる。」
56.横浜市民の学生・・・「確かに、他の地域から来る学生は多い。しかし、他の地域からの学生が多いのは、それだけ横浜市大が全国的に有名になったからであり、高いレベルを維持してきたからだ。市内に就職する人が少ないのは、東京が隣接し、横浜の企業が目立たないから。・・・大学は地域貢献するべきだ。しかし、順番が逆で地域貢献したから地域が発達するのではなく、発達した地域にさらに新しいものを持ちこんだり、研究するものだと思うので、まず、最近失われつつある横浜ブランドを作りなおすのが先ではないか。」
57.横浜市民の学生・・・「市民の子弟が少ないからという話ではないのではないか。自分の友達には都立大学に入学したものもいる。この大学だけが極端に市民の子弟が少ないというのなら問題だが、そのようなデータがないので、他の大学とのバランスがとれていると考えられる。」「自分としては、地域貢献する必要はないと思う。…市立というものにとらわれて地域貢献がどうたらこうたらというのは、ナンセンスな気がする。」
58.「理学部は実験などで経費がかかるのはわかるが、商学部と国際文化学部に学生一人あたり経費に40万円もの開きがあるのは不思議である。」
59.横浜市民の学生・・・多額の市費を、「投じなかった場合、市大はなくなり、多くの経済的に恵まれていない横浜市民が困ることになるだけである。優秀な市民を得たいなら、枠を設けるなり、他地域の合格者の制限をするなりすればいい」…永岑コメント、これははじめのほうの学生意見にもあったように、すでに行われていること。「市大からの学生がすべて他大学の学生より優秀ならば、市内に就職することで横浜市にも多いに貢献するだろうが、実際にはそうではない。また、優秀な人材が他県で仕事をして、間接的に市に貢献することもあるだろう。そもそも市内に就職先がなかったり、仕事場を選ぶことは学生個人の自由である。」
60.地域貢献・・・「いちばんよい方法は、医学部のように市内で仕事をすることが地域貢献ということになるだろう。しかし、市内で仕事をしない人の理由はさまざまであるだろうが、近くに東京都いう大都市があるからだろう。その点、日本の中心でビジネスの中心で働きたい人はそちらに流れてしまうことが、他の地方の公立大学との違いだと思う。」
61.横浜市民の学生・・・大学費への一般会計繰り入れは、「少ないと思う。将来をになう学生の教育にはもっとお金をかけるべき。市大は医学部があるので、そこにお金を取られている。ということは残りの学部へのお金は少ない。また、残りの学部では、学生数に対する教員数も少ない。うちのゼミは一学年20名である。しかも、先生が少ないので、ゼミの選択肢もせまく、自分のやりたいことと違うことを研究している先生のゼミに入った友達もいた。不況で人件費はいたいかもしれないが、市大の先生を増やすべきだと思う。」商学部は、「学生からの収入が一番多いのだから、もっと、一人あたりの経費を増やして欲しい。企業見学とか、もっと講義に人を招くとか、実際調査をするとか、座って授業を聴くだけでなく、さまざまなことをし、社会に出て使える人間を増やすようにお金をかけて欲しい。経済が不況な中、商学部は日本にとって大事な学部である。」「市民の子弟を育てるように工夫すべきである。大学で横浜市の職員となる人材育成をすれば卒業して即戦力となるし、研修費も節約できる。学生に市費を投じることは無駄な公共事業に投資するよりも意味がある。将来を担うのは学生だからだ。また、市内に残ってもらえるよう市の企業、行政も工夫をすべきである。」地域貢献とのかかわりでは、「地域の企業と共同研究したり、地域調査を学生にやらせたり(たとえば市の財政をどうすればいいか、商店街を復活させるにはどうすべきか、など)すべき。また、学祭ももっと地域密着にしたり、大学で市民が参加できる講座を増やしたりすべきだと思う。うちの祖父は市民講座が好きである。こういう人がいるだけで地域に貢献していると思うが。」商学部卒業生などで市内就職が少ないのは「魅力のある企業が少ないからだと思う。もっと企業を誘致したり、市の職員になれるようにすべきではないか。大学、企業、行政が協力していい町づくりをしていけば(関係が密着すれば)この問題は解決すると思う。」
62.横浜市民の学生・・・「市民でない学生が多いが、それはしようがないことだ。4年間横浜に住み、生活し、就職しようと思ったときになにか横浜に魅力をもてず上京してしまったといって、市費を減少させるのはおかしい。市内就職はしたくてもできないという面がある。また地域色の薄い横浜では仕事を持とうとしないのでは。」「大学の地域貢献はしていると思う。市大ではさまざまなイベントを行っているし、食堂、図書館、プールなどを公開している。また、高校生でも受講できる授業があるのは大変面白いし、よいことだと思う。」
63.横浜市民・・・大学費繰入額・・・「現在の横浜市の財政状況を考えると、他の大学に比較してみても適切であるといえないこともないが、実際にこの大学に通学しているものとしては、設備の不備などから、少ないと思う。」「地域に就職しないのだから大学はいらない、と言うことをいってしまうと、ほとんどの公立大学がいらなくなってしまう。では、大学の地域貢献とはなんだろうか・その一つとしては、大学施設の開放がある。その他には、すでに社会に出た人が、学びなおそうと思ったときに、入学できる制度にすることがある。しかし、なりよりの地域貢献は、程度の高い教育を行うことだと思う。高い水準の教育を行うことは、卒業直後には貢献の度合いは計れないかもしれないが、将来、必ず地域のみならず、日本全体へも貢献するだろう。」
64.学生数と教員数の比について・・・「高校時代、某社の大学ランキングなどという本で、学生/教員の率を見て横浜市大は少人数教育ができているのかと思って入ったが、実際には医の教員であることが、入ってわかった。」学部別経費の差・・・「費用のかかる医学部・理学部を持っている以上、何らかの形でしわ寄せが来るのは仕方ないと思うが、国際文化と商学部との間の差は理解できないと思う。なぜ国際文化ではあれだけ費用がかかるのか、財務諸表のようなものの開示が必要と思う。商学部生にはあまりこない市の金が医学部に流れているのなら、市大生は市大病院で安く治療を受けることができてもいいと思う。」「市民の子弟であってもそうでなくても、一定の授業料を納入し、金沢区の周辺の商業施設、京急などの横浜に関する企業を利用しており、時間的には横浜にいる時間が長くあるのだから、市費を投じる必要があると思う。・・住民登録は横浜だが東京に仕事や通学している人に住民サービスをする必要性はないということになると思う。」「地域貢献というものがそもそも曖昧であると思う。市内の企業に就職=市に貢献なのであろうか。たとえ、他地域の企業に就職し他としても、大学4年間だけ横浜で過ごしただけでも、横浜に対する印象は強く残り、将来何らかの形で還元されると思う(居住、遊び、転勤など)。就職先という小さなことだけで地域貢献を考えるのは不可能であり、横浜に優秀な学生を集めることにより、都市としての価値をアップさせるほうが重要であると思う。」
65.横浜市民の学生・・・「名古屋市大が学部構成もその他の数値も似ている・・・資料の他の公立大学と比べて、学生数、教員数は平均的、ちょうどいいくらいではないか。」学部別では「明らかに理系、とくに医学部に対し経費をかけていて、商学部にたいして経費がかけれられていない。友人との話しのなかに時々上がるが、医学部はキャンパスもきれいらしいし、立地条件もなかなかいいらしい。付属病院があるから仕方ないのかもしれないけれど、たくさんの経費をかけてもらっているのだから、せめて不祥事を起こしてイメージを悪くするのだけはやめて欲しい。それにしても商学部の学生が医学部の8分の1の経費しかけられていないのはひどすぎる。もう少し文系のことも考えて欲しい。コンピュータをもっと増やすとか、新しい科目を増やすとかいろいろやりたいけれどできないことがある・・・少ない予算のな化で大変かもしれないが、もう少し考えて欲しい。」市費多額投入に関連して、「確かに、市民でない人は地元に帰る確率が高いため、この意見はもっともかもしれないが、これは国公立大学の宿命だと私は思う。地方出身の学生のなかで、都会で学びたくても金銭的条件で国公立大でしか学べないという人はたくさんいると思う。教育の機会はだれにでも均等に与えられるべきだ。 たとえ地元に帰っても、その人は横浜で得たものを使って、その地域に貢献すれば日本全体には貢献しているのだからよしと考えたい。横浜の学生が他の地方の国公立大学に学んでいる場合もあるのだから、お互い様である。」地域貢献・・・「具体的な貢献がなかなか目につきにくいからだと思う。それでも、教授の先生方は毎日のようにいろいろな企業にアドバイスをしたり、地域について調べたり、いろいろな活動をしているというではないか。一般の人たちにしてみれば、多額の税金をつぎ込んで運営している大学のイメージが税金の無駄使い、学生の学力低下などといったことにしかないのかもしれない。それでも地域のボランティア活動などに参加するゼミやサークルなどもあると聞く。もっとこういったことをひろめるといいのかもしれない。先生たちの研究していることや地域にもたらしていることを公開するのもいいかもしれない。」
66.横浜市民・・・「まずいちばん最初に気付くのは、学生一人あたり経費について医学部が他学部と比較して非常に多いということだ。・・・だからこそ市大の医学部は人気が高いのだと改めて感じた。」多額の市費投入について・・・「もともと、市が大学を運営するということの意味は、その地域貢献度や市民だけのためにということではないと私は思うので、横浜市民の学生が多ければそれでもよいだろうが、他地域出身者が多くても、横浜市民のためにではなく、日本全体のためになると考えて、教育機関を提供するという立場になれば、市費を投じる意味はあると思う。」地域貢献・・・「・・・文化的貢献もできると思う。著名人を招いて学生だけでなく地域住人を対象とした講演会ができるし、図書館やプールの市民利用も行っている。また、これからの時期は学祭でも地域の人々とのふれあいができるだろう。」
67.就職と地域貢献・・・「医学部生はどこへいっても受け入れてくれるから市内で仕事ができ、その結果地域貢献といわれているだけだと思う。医者はどこへいっても必要不可欠なんだから、市内もしくは地域貢献とこだわる必要はないし、むしろ1箇所に固まらないほうがいいと思う。・・・私は、市内市外とこだわらずに、やりたい仕事をするのがいちばんだと思う。」
68.市費の多額投入に関連して・・・「確かに他地域の生徒が多いことは事実であり、投資について疑問に思うことは当然である。だが、他から来て横浜に住み、横浜のために働く人がいることもまた事実である。特に医学部の生徒は、横浜市内に就職している人が多いという現状もある。こうした現状を踏まえて考えたとき、他の地域からきた人々に横浜を好きになり、横浜にすんで働いてもらおうという期待も込めて大学に投資することには意味があると思う。」
69.「私は市大に通っているが、横浜市のことを考えたこともないし、地域貢献についてもよくわからない。この大学を卒業した人たちが横浜市内で活躍したり、市内の人は大学に入り安かったり、その程度ではないかと思う。また、大学で研究して、結果を残すことによって、評価されたり、学生の中から、新たな研究者を出せるかもしれない。」
70.「地域住民は、何より、大学に地域貢献を求める傾向が強い。実際、依頼されて、「商店街の復興」を手がけるゼミもある。行動に移せる団体もあれば、理論だけを語るグループもあるので、直接、地域住民へ貢献できるのはすべての団体とも限らない。少なくとも、大学での教育によって知識という名の財産を育て、それを将来に活用できるなら、それでよいのではないのだろうか。社会で使える人間を育てることこそ大学の地域貢献であり、そのためにも大学教育と研究は両者とも欠かせないものだ。」
71.市費多額投入論について・・・「確かに市民の子弟が少なく、将来的に市内に就職する人も医学部を除けばすくなくないという現状ではあるが、広く考えれば、横浜市が育成した人材が日本のどこかの地域で役立っていれば、日本にとってマイナスになることはないと思うので、必要であると思う。」
72.多額の市費投入論について・・・「大学として他の地域からも学生を受け入れる体制を取っている以上、大学側は市民の子弟の多少に関係なく、大学としてあるべき姿を維持するとともに、他の大学並またはそれ以上の学術・研究を行う環境を学生に提供すべきだと思う。そして、もし市が、他大以下のレベルの環境を学生に提供することは決してあってはならないと思う。私立大学に比べて授業料が安いことは確かだが、他の国公立大学に比べて極端に学費が安いとも見られない。したがって、学費に応じた学術・研究サービスを学生は受ける権利を持つと考える。市費を投じるのを減らすなどというのなら、学費を下げ、提供する内容を受験生に知らせるべきだと考える。」
73.横浜市民の学生・・・「大学という場はなにか目に見えた資格を取るためにきまりきった授業を受けるという場なのではなく、その地域であるからこそ疑問を抱くような問題や、ある問題について、その地域であるからこそ疑問を抱くような問題や、ある問題について、その地域とはどのような関わり・見方があるのかなどを学べる場だと思うので、具体的にすぐ結果は見えないかもしれないが、長い年月をかけて、この地域に根付いた視点が全国で見られることがあるかもしれないとも考えるので、こういうことが地域貢献なのではないか。」
74.「他地域出身者といっても、自分で選んで市大に来たのであり、その学生たちが将来横浜市に貢献する可能性は十二分にあると思います。また、他地域からの人口の流入は横浜市の活性化を促すものと考えます。」
75.「市民の子弟が少ないから、多額の市費を投じる必要がないとはまったくいえない。大学は、多くの学生を社会に送り出している。送り出された学生は、社会に貢献していく。国、横浜市、または他地域で活躍する学生を育てている場が大学である。よって、大学に多額の市費を投じることは必要である。」地域貢献・・「大学の学生を社会に送り出す点、大学があることにより、学生が集まり、地域が発展すると言った点・・・・」
76.横浜市民の学生・・・「他地域出身の市大卒業生が市内に住み、働くようになれば、別にそれでかまわないと思う。市民限定にすれば、学生の質は落ちる。」「大学がそこに存在し、多くの学生がそこに集う。それだけで、その地域の経済は活発化されている。・・」
77.地域貢献・・・「大学に対し、地域貢献しろと要求し過ぎだと思う。大学と同じ地域で働けっていっているみたいだと感じた。」
78.「商学部は理系の学部の犠牲になっているような気がする。医学部のために、私たち商学部の学べる範囲が制限されているといえるのではないか。」「公立というのは、その地方に存在している大学だと思う。学生は行きたい大学へ行く。その結果、地元の大学か他の地方の大学かということであり、横浜の場合、学生は地方から集まったということだろう。市民の子弟の数で大学の予算がきまるのはおかしい、とおもう」
79.横浜市民の学生・・・「横浜市の特色(地域性・文化など)を他の地域にひろめるという点や他の地域と横浜の結びつきを強めるという点において無駄ではないと思います。」
80. 「商学部にもっとお金をかけて欲しい。コンピュータを増やすとか図書館を充実させるとか。理、医学部ばかりにお金をかけすぎている。」
[1] それが固定化するとヒラメのようになり、その視野の狭さ、引くさは海底にへばりつくヒラメ的水準となろう。日本学術会議の最新の「日本の計画Japan Perspective」(2002年10月)は、日本の大学人の見地として高い地点からの俯瞰的パースペクティヴを求めているが、その実践こそが肝要だ。それがわれわれに問いかけられている。