2003711日 昨日は、今井清一先生、山極晃先生、柳澤悠教授他、市大OB・現役教員、遠藤輝明先生、土井日出夫教授など横浜国大のOB・現役教員、久保新一教授、安田教授など関東学院大学の教員、浮田教員組合書記長、倉持前教員組合委員長、「市民の会」運営委員の方々など、「大学人の会」の呼びかけに応え、進交会館で開催された「ご苦労さん会」に参加した。今井先生差し入れのワインがすばらしくおいしかった。

 

横浜国大の土井教職員組合委員長は、国立大学法人法の成立を受けて、建前とされている大学の自立性の強化・向上とは逆の、大学の文部科学省への従属の危険性などについて、豊富な資料で説明された。浮田書記長も、本学の「改革」をめぐる事情を説明し、教員組合としては独法化反対の声明を出していることなど、独法化に対する対応・対策を報告した。

私学で、就業規則や労使交渉の長い経験の積み重ねのある関東学院の先生方からは、最初が肝心であり、しっかり準備を整え、対策を練るようにとの励ましの言葉があった。

労働条件(勤務条件)などに関しては、研究教育という大学の独自性・特殊性に応じた大学らしい労働協約(その前提として一般的な労働協約の原則確認・わかりやすい東京都産業労働局の解説[1]参照)を結ぶよう、大学人の努力が必要ということであった。

教員組合も、労働法、労働基準法など労働関係諸法[2]、国公立大学で検討が始まっている就業規則のなかで大学の独自性・特殊性に配慮したすぐれたものの情報収集など(一般原則としての労働法について「インターネットで学ぶ労働法」)が必要であろう。全大教や顧問弁護士などからきちんとした情報を集め、教員の正当な地位の確保(移行などに伴う条件の不当な悪化などのないように)にぬかりないようにしなければならないだろう。生き生きと研究教育に邁進できる制度的前提を創出することが、大学の発展のためには必要だろう。

 

たとえば、労働協約と就業規則の基本的な相互関系はきちんと押えておかなければならない。東京都産業労働局の「労働協約の手引き」を参考にすれば、

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「労働組合と使用者の間で組合員の賃金、労働時間、休日、休暇等の労働条件や団体交渉のルール、組合活動等の事項について交渉を行い、その結果を書面にあらわし、両当事者が署名又は記名押印したものを労働協約といいます。

この労働協約は、労働者と使用者が個々に結ぶ労働契約や、最終的に使用者が決めることができる就業規則とは区別され、これらに優先して、労働者及び労働組合と使用者の関係を規律する効力が与えられています。したがって、労働契約や就業規則は労働協約に反することはできません」と。

 

 さらに詳しくは、「6 労働協約の効果」に説明があり、

1」規範的効力と債務的効力

一般に賃金や労働時間その他労働者の待遇についての基準を定めた部分を労働協約の「規範的部分」といい、労働組合法上特別の効力が与えられています。
すなわち、労働協約に定められた基準が就業規則や労働契約などで決められた基準よりも優先し、使用者は労働協約で決められた基準を遵守しなければならないというものです。
 このような効力を一般に労働協約の規範的効力と呼んでいます。

具体的には、賃金、退職金、労働時間、休日、休暇、安全衛生、災害補償、人事異動、昇進、賞罰などを定めた部分が規範的部分にあたります。

これに対して、労働組合と使用者の関係を定めた部分を労働協約の「債務的部分」といい、労使協議制、団体交渉のルール、平和条項、争議行為等の組合活動や団体交渉など労使間の約束事を定めた部分がこれにあたります。
 債務的部分については労使双方ともこれを誠実に遵守しなければなりません。

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こうした基本的関係を知っておかないと、いたずらに「就業規則」に脅えることになる。きちんと労働協約をむすぶことが教員組合の本来的仕事であり、まず全力を傾注すべきだということになろう。模範的な労働協約の具体例もある[3]

 

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2003710日 いよいよ国立大学法人法案は通過した。地方独立行政法人法案とその一部としての公立大学法人の制度も成立[4]。市長の大学に対する意向は、「独立行政法人だけでも」実現して欲しい(市長が学長との五月七日会談で述べたと新聞報道)ということなのであり、現在の大学執行部の姿勢・精神構造からすれば、その方向性(公立大学法人化の方向性)が打ち出されてくるのはかなりはっきりしているといえよう。

各教授会はどうするか?

本学教員組合は、拙速なその方向性への道に批判的であり、反対している[5]。横浜市のほかの組合と連携しつつ、この反対理由を明確にしていく必要があろう。

 

国立大学法人法や地方独立行政法人法の公立大学条項を批判しているひとびとが問題にしているのは、学長のトップダウン方式の問題(権力の集中する学長の選考方法が決定的に重要になる)、その学長の意志決定・政策決定・予算決定に対する文部科学省の介入など大学の自治の根本にかかわることであり、また13万人の教職員の非公務員化の問題である。

公立大学は公立大学法人規定により、各地方自治体の「定款」に大学運営に関わる重要事項が規定されるようになるのであり、その内容が本当に科学技術や学問の発展にとって望ましいものかどうか、その点が問題となろう。そこで問われるのは、公立大学の大学人の見識であり、公立大学設置者としての横浜市(横浜市民、その行政的代表である市長、その議会的代表である市議会)の見識であろう。

国立大学法人法案の論議、多くの批判、それらを踏まえた23項目もの付帯決議[6](その一つ一つを見れば、「辣腕」事務局責任者の言動、および「あり方懇」答申を批判するものとなっている・・・国会議員の多くにも横浜市大の「あり方懇」座長私案・答申本文等のあまりのひどさをみて唖然としている人々が多いのではないかとすら推測される)などをしっかり踏まえて、自主独立的な模範的な大学のシステムを創出する必要があろう。

地方自治体に制度設計にある程度の自由裁量の余地があるということは、逆に言えば、それが大学の真の意味での創造的発展を促すような設計になるのか、あるいは、理事長(法人の長)が学長と分離されて、これまで以上に経営独裁が強化されるのか、幅があるということである。学則の評議会審議事項の予算見積もりを一度も実行しなかったという評議会の歴史をどのように総括するのか、どのように制度改革に活かすのかが問われている。

また、学則の教授会や評議会の審議事項(人事)をどのように行うのか、その制度設計も決定的に重要になる。もちろん、その制度設計を行う大学人(だれ?どのような人々?どこの部署?)の意識・見識によって、制度設計もその運用も大きく異なってくるであろう。この件に関する総合理学研究科・佐藤真彦教授HPから関連部分をコピーしておこう。

 

-----学問の自由と大学の自治の危機問題

辻下 徹氏:管理者は、「独立行政法人化は既定事実」という、当事者意識のない大学社会の雰囲気に疑問を持ち、また、「独立法人化で大学の自由度が増す」という政府の宣伝を鸚鵡返しに繰り返す大手メディアの情報操作に抗して、蟐螂の斧のようなサイトを作り維持してきましたが、国立大学法人法が成立し、その使命は不本意な形で終了しました。サイト内のデータは、Academia e-Network サイトの一部として永久に保存します。それと同時に、国立大学制度廃止に積極的に寄与した功労者の名簿を作成し、永久保存する予定です。日本の精神文化の木に斧を入れた人達の個人責任を明確にするためです。03-7-9

豊島耕一氏:7月9日,参議院本会議で「法人法」可決:投票総数232:賛成131反対101 上位法である憲法23条に違反する制度は違法です.法的対抗措置を準備しよう.
憲法第98条 この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、 命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。03-7-9

独行化反対首都圏ネット:法案の可決成立を怒りをもって糾弾する。
法案の可決成立によって、国立大学法人法反対闘争は新たな局面にはいった。新たな局面における新たな闘争は、
法人法の実質化にあくまで反対し大学自治を発展させること、法そのものの凍結・廃止法提出を準備することの2つを結合するものとなろう。その闘争へ勇躍決起しよう!03-7-9

 

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横浜市でどのように公立大学を学問・科学の担い手として発展させていくかという場合、設置主体である市民の意思と動向、市議の市民代表性、そして行政機関の長としての市長の政策とものの考え方が、大学人の主体的努力と関連しつつ重要になる。

 その点で、平商学部教授の松下政経塾と「中田人脈」の研究 (3)第三弾は、これまでの2回と同様、熟慮すべき多くの事実を教えてくれる。

 

 なお、720日のシンポジウムで基調報告をする法政大学総長清成氏の主張に関連して、また、シンポジウムのやり方の問題性について、佐藤真彦氏が、鋭い指摘を行っている。一読されたい。

 

------清成氏の主要な主張点(読売新文記事)------

国立大学の法人化

国・私大間の格差是正を[7]
清成忠雄氏 法政大学総長 70歳

国立大学法人化法案について、国立大教員の一部から出ていた批判には、拒否のための批判が目についた。大学教育の約四分の三を引き受けている私立大学の立場からすると、こうした批判は理解し難い。

国立大学の抜本的改革のためには、法人化は当然である。法人化は大学の自主性を強める[8]が、同時に大学には自己責任が要求される。国立大学相互の競争も強まる。「親方日の丸」的状況からの離脱は、たしかに多くの教員に不安感をもたらす。「自立への恐怖」から、説得力に欠ける批判が飛び出す、こうした批判を列挙すると、次の通りである。

@営利追求の研究が優先され、基礎研究や非実用的な研究が切り捨てられる。
A中期目標は文部科学大臣が定め、中期計画も認可事項であるから、文部科学省の介入と統制が強まる。
B学長権限が強大になり、それをチェックする仕組みがない。
C大学運営に学外者の参加を求めることには問題がある。
D法人経営に効率化の原則をもち込むべきではない。

こうした批判は不可解である。まず、法人化すると営利追求に走る[9]というのは、あまりにも短絡的[10]である。私立の学校法人ですら非営利組織であり、営利追求を行っていない。国立大学法人も非営利組織である。

 
そもそも基礎研究は市場経済になじまない[11]国が基礎研究のために政策的に一定の財政資金を留保[12]しておき、設置形態にかかわりなく[13]大学に競争的研究資金として配分すればよい。

 私立大学においても、
財政資金の投入があれば、基礎研究を行うことができる。米国においてもジョンズ・ホプキンス、スタンフォード、ハーバードなどの私立大学は、政府資金によって基礎研究を行っている。同様に、非実用的研究も、設置形形態にかかわりなく[14]財政資金の投入によって行うことができるのである。

 つぎに、国立大学法人の運営が税金に依存している以上、文部科学省が中期目標・計画をチェックする[15]のは当然である。しかも、法人化すれば自立性が強まり[16]、大学人が主体性を発揮すれば介入を排除できるはず[17]である。

 また、学長が暴走するおそれがあれば、監視する仕組み[18]を学内に設置すればよい。国立大学法人評価委員会[19]も外からチェックする[20]ことになる。

 さらに、大学運営への学外者の参加[21]は、大学内部のみで改革を進めることができない以上、当然の選択である。

 むしろ、強調すべきは、私立の学校法人との
競争条件を等しく設定する[22]ことである。国立大学
授業料を低く抑えれば「民業圧迫」[23]になる。私立大学との授業料格差の縮小は、「教育の機会均等」の実現につながるだろう。学生一人当たりの国費投入額を見ると、国立大学は私立大学の約十七倍という水準にある。格差是正こそが緊急の課題[24]である。

 

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200379(3) 総合理学・佐藤真彦教授のHPを見て、23もの付帯決議つきの欠陥法案本会議で否決することこそ、国会の役割だという主張に賛成したい。また、佐藤教授の上記HPには、昨年来の大学改革騒動の経過をまとめた矢吹教授の十年樹木、百年樹人」にもリンクがある。そこからは、昨年4月以来の大学「改革」問題で投じなければならなかった多大の労苦と時間が思い起こされる。

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200379(2) この間に、「市民の会」HPには、67日の井上ひさし講演要旨、および長谷川代表の「井上ひさし講演を聴いて」が掲載された。そのいずれも、すばらしい。大学とはなにか、大学改革を考える基本スタンスはなにか、市民、市当局、大学(学生、教職員、卒業生)と今後に予定される入学生・若い人々との相互関係を考える貴重な材料が詰まっている。ここに、二つをコピーして、自分のもの(自分の反省の素材)としておこう。

その前に少し書いておけば、下記の二つの文書を読むにつけ、市当局・大学当局主催の720日に予定されているシンポジウムの準備不足(市民への周知徹底不足)が、問題になる。インターネットでの公開の日付が73日、案内ができたのは先週末、参加は出席希望者が氏名年齢など個人情報を伝えた上で抽選し、しかもその期間がわずか1週間程度しかない。いったい市民の多くに参加してもらいたいのか、それともシンポジウムをやったという形式的外面的な装いだけを作るためなのか? この募集期間の短さを見れば、形式的であり外面的だというしかない。

しかも、市民から(会場から)の意見をどのていど聞くつもりか知らないが、たくさんのパネリストがいて、シンポジウム全体の時間はわずかに2時間半である。昨日(78)横浜市従業員組合主催の市大改革シンポジウム(第二回)が県民センターで開催された。主催者の趣旨説明(市大改革問題では問われているのは市民だ)、新井恵美子氏の岡倉天心の話[25]、横浜国大の学生、横浜市大の学生、民間の自由な塾の代表とその生徒の話、本学経済研究所・村橋教授の大学院市民コースの説明・宣伝、そして最後の北川教授のまとめ[26](はいずれも面白かった。

それだけに、当初予定時間を二〇分近くオーバーしても、会場発言の時間、人数は決定的に少なかった(実質、2名だけというところ)。ここでも会場からの発言の時間が十分にないことが問題になった。それでも、市従業員組合のシンポジウムは二回目である(ただ、初回は一〇〇名程度とか耳にしているが、今回の参加者は私のみるところ六〇名程度だったかと思われる。なぜこんなに少ないのか。市従業員組合関係の市民の多くは大学に対する要望は持たないのか? 会場発言などでは市大の先生や学生がどうして参加しないのか、との声もあった)。今後どの程度同じような企画を行うのか知らないが、市従業員組合が2回すでにやっていることは、きちんと見る必要がある。そこで出された意見や要望は、主催者から伝えられるはずで、市当局や大学当局がじっくり噛み締めるべきだろう。

 

720日のシンポジウム(大学当局・市当局主催)は、はじめから、井上ひさし氏や長谷川洋代表が強調している市民の意思の確認、という点では、不充分だ、このようなやり方ではそうならざるを得ない、同じようなシンポジウムを何回もやるべきだということははっきりしているであろう。

大学のやっていることは、この間の改革に関する手順を見ても明らかなように拙速であり外面的(官僚的形式主義)であり、実質を伴わないものが多い。その端的な証明が、今回の市民シンポジウム開催決定プロセス(やっと73日に開催日程などを公開)、市民参加を求める期間の短さの問題である。これは、ちょっと耳を澄ませば、多くの大学人が語っていることである。この短期間でやりうることの限界をしっかり見据えた改革プランの作成(段階的構想)でなければならないだろう。

 

-----井上ひさし講演概要--------

井上ひさし氏講演「都市の中の大学」(大意紹介)

まえがき

難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを愉快に」語り、書くことをモットーとされる井上さんの講演は、内容の深い話でしたが、一時間あまりのあいだ、軽妙なテンポで、ジョークを交えてしばしば笑いを誘い、聴き手を魅了しました。
 それは、イタリアの都市ボローニャが、むかしむかし世界ではじめて大学を創ったときから現代に至るまで、
大学を中心にユニークな都市づくりを進めてきた話で、井上さんが語るとまるでメルヘンの世界のように面白いのですが、市大改革の問題を考える上で大きなヒントを示してくれるものでした。

 以下、洒脱な井上さんの語り口を文字通り再現できなくて申し訳ありませんが、簡略に大意を紹介します。(講演の録音テープにより、井上さんの御了承をいただいて、その大意を6分の1程度の分量にまとめたもので、文意の不備があればすべて長谷川の責任であります)


講演大意紹介

「中世ボローニャに、パン屋、靴屋などの同業組合(ギルド)があって、徒弟から職人・職人から親方へという三段階の徒弟制度の中で、もの作りのさまざまな技術や知識が継承され、蓄積されていました。

 
今、大学問題が表に出てきたのは、世の中の仕組みが大きく変わってきているからというのは確かです。ボローニャ大学の始まりについても、同じで、当時世の中が変わって、いろいろな地域から新しい物や知恵が入ってくると、それまでの道徳観や、価値観が揺れ始めました。ボローニャは農産物の集散地として交易が盛んになり、あらたな商取引や、それについての法律の知識が必要になってきました。そのような法律の知識を知りたい勉強したいという青年たちが、知りたいもの同士の組合をつくって、法律に詳しい先生を招き、授業の内容も、知りたい者、つまり生徒の方が提示し、先生は必要な報酬を要求して、話し合った結果出来たのが、ヨーロッパで一番古いボローニャ大学(創立1119年)であります。一方、同じ頃に遅れて出来たパリ大学(創立1150年)のように、先生たちの組合が作った大学もありますが、ボローニャ大学は、その町の人が一番必要としているものを知りたいというので作られたものです。ここが大ヒントになると思います。

 それまでのギルドは、靴とかパンとか、具体的な物を作る組合でしたが、ボローニャ大学は、
町の人々が関心をもちはじめた新しい概念、知識、判断、そういう頭の中に発生する目に見えないものを、それまでに無かった方法で、教えるためのギルドでした。

 これをラテン語でウニベルシタスといい、連合体、つまり商法や刑法などいろいろな教室の結合した「大学団」とでもいうべきものです。このウニベルシタスの最高の意思決定機関は学生総会で、学長は学生です。
勉強したい方から学長が出ます。全学生が平等の発言権をもち、学長、学部長、事務局長、すべてボランティアで自分たちの中から選ぶ。外からは入れない。学長の任期はできるだけ短くして当初は一ヶ月、それで権力の集中と固定化を避けました。ボローニャの市議会は、今でもみなボランティアです。市議は、掃除当番なんかと同じように、偉くもなんともない。ここに市議さんがいらっしゃいますが(笑)、ボランティアで実費以外の報酬はない。つまり、ボローニャの場合、そういう約束事は大学から町に滲み出して、大学が町の性格をそのように決めていきました。大学のメンバーは同等の発言権をもつ代わりに、義務も平等です。皆で学則を決め、学則を破ったときの罰金のランク表が出来ていて、払われた罰金が大学の唯一の財源です。だからたくさん罰金を払う人は拍手なんかされる(笑)ここから大学の自治の精神が生まれました。

 ボローニャ大学は、
町の人たちが日ごろ忙しくて考えていられない問題を常に考えていました。これは、いまなら、たとえば喫茶店のご主人が朝から晩まで人権とは、ここで砂糖をいれるかどうか客に聞くのは客の人権の侵害に当たるか(笑)などと考えていたら商売にならない。そのような市民の重要な問題、人権の問題、自由の問題、平和の問題、戦争の問題すべて市民に代わって大学が考えているからこそ大学が市民の誇りになります。

 ベイスターズが優勝したとき、日本中にベイスターズファンがこんなにいたとは信じられないほどでした(笑)。そのときベイスターズの優勝を横浜市民がどれだけ誇りにしたかわからない。同じように、その都市にある大学が、すごいことを考えたり、そこの教授がすごい本を出したりして、おれたちの大学がいい仕事をしているというのが町の人たちの誇りになります。大学があることによってその都市がどれだけ楽しく、面白く深く、つまりその都市自体がものを考える都市になることでしょう。

 横浜市大にその方向性があったかどうかわからない。しかし、これから続けていくには、横浜市の問題を大学が代わって徹底的に考え、
市民がこれを知りたいといったら、すぐに市民にわかる言葉で答えを出すようなことをやっていくしかない。こつこつ千年前の横浜はどうだったかを考えている先生がいる……これあんまり効果はないけれど(笑)、そういう先生がいることが大事です。ふつう市民がやりたくても自分では忙しくて面倒臭くてやれないことを、大学で誰かが、なんだかわからないけれど学者の先生がやっている。その関係はタウンとガウン、つまり町と学者の着るガウン、町と大学は密接な関係だということなのです。横浜市には大学が無ければいけない。それをなくそうなんてとんでもない話で、横浜市長は、ちょっと困ったら大学へ行って、この問題どう考えるかという風に大学を使わないといけない。学生と学者がいると、町は、違う輝きを帯びてきます。大きな横浜市には大学が五つぐらい要るんじゃないですか。ベイブリッジ大学とか(笑)。そういう分校が。

 市民は税金を払うために一生懸命働いている。病気になったら大学病院に行けばいい。悩み事があったら、大学が考えてくれていて答えをすぐ出してくれる。そのように
市民に代わって研究しているのが大学で、しかも大事な問題、人間とは、人権とは、自由とは何か、すぐ答える。それもわかりやすい言葉で答えなければいけない。普通の人が読んで、この問題の本質はこうかと、わかるように易しく書けないと学者じゃない。先生方もそういうことを考えなければいけません。

 しかし、一番考えなければいけないのは市民ですよ。
市民が立ち上がらないといけない。大学が本当に必要なら、こういう大学になってほしい。いままで、こうこう、こういうことをしてきたから、この線でこれをしてもらえば、税金を払おうじゃないか。おれたちが引き受ける。スポンサーはおれたちだよって、なぜ言わないのか、残念です。勝手なことを外部から来て言う学者がいて、それを言わせてしまった横浜市の市民の問題と、市当局および横浜市大の問題と二つあると思います。どっちも不十分だったのではないでしょうか。大学というものが自分たちの代わりにすごいことを考えてくれているということを信じないといけません。」

 このように、井上さんは、ボローニャの町と大学の関係を話され、それをヒントに、横浜市大の問題について、市および大学関係者、そして市民がどう考えてゆくべきかについて重要な示唆を与えてくださった。
 さらに、井上さんは、ボローニャ市が、第二次世界大戦後の一時期、中央政府との財政的つながりを自ら断ち、
独自の都市造りをすすめ、大学都市として法学のメッカであった上に、ユニークな工業技術の特許を持って、世界に売り込み裕福な市になった話をされた。
 井上さんは、最後に、そうして金持ちになった市民が、
精神的な満足をもとめて大学に相談し、大学の先生の提案によって、自分たちの市を世界有数の演劇都市として活気づけた経緯を以下のように話された後、横浜市と市大の問題に触れ、盛大な拍手のうちに講演を終えられた。

 「1970年代の初め頃、ボローニャの市民は、金持ちになったけれど、
なにか物足りない。そこで大学に相談すると、ボローニャ市民の意思を表現する方法として、ボローニャ大学のウンベルト・エーコという『薔薇の名前』(世界的ベストセラーになった小説)を書いた先生が、ローマから演出家・脚本家で、主演の役者もやるダリオ・フォーという若手演劇人を連れてきて、ボローニャ市民の気持ちを伝える芝居をやらせることにしました。ダリオ・フォーは、毎晩中央政府の政治家を茶化すコントをやり、それがイタリアの国営放送の中継で人気番組となり、ヨーロッパにも流れます。このようにボローニャ大学が考えて、それで結局、ボローニャ市は、演劇の町になります。当時、人口50万たらずの町に劇場が40ぐらいあります。それを市民が楽しんで、ダリオ・フォーは1998年にノーベル文学賞をもらいました。これ、みんなボローニャ大学が絡んでいます。そのように市の中心にシンクタンクというか、市民が考えることを先行して考えたり、市民の注文によって考えたりする巨大な存在として頭脳として大学があるのです。

 つまり納税者、
主権者は、自分たちのために徹底的にものを考えてくれる学者の集団を、どこかで持っていなければいけない。それが横浜市の場合、横浜市立大学であり、これを、もし手放すようなことがあったら、横浜市民の大きな損失で、歴史に残る汚点でしょう。これは、市民の実力が試される機会がきたとぼくは思います。市大の先生と、市民が必死になって闘えば必ずついてくる人がいるはずで、そんなこという市長がいたら、次の選挙で落とせばいい(拍手)それだけのことだとぼくは思います。人間のつくったものは人間の手で変えられる。人間はその前で立ちすくむ必要は全然ないのです。」

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-------長谷川代表の「井上ひさし」講演を踏まえた「市民の会」の指針・決意表明-------

井上講演「都市の中の大学」を聴いて

横浜市の未来の輝きのために、横浜市大をどう存続させるのか 〜 

「市大を考える市民の会」代表 長谷川 洋

 

 都市の未来と希望、市民の本当の意味の幸せをどう実現するのか。5年10年の目先の問題ではない。もっともっと先の横浜市の未来をきめる方向、そんな、抽象的な漠然とした問題は、市政のプログラムには乗りにくいかもしれない。しかし、それを考えさせてくれたのが井上ひさしさんの講演「都市の中の大学」である。

 井上講演を聴いて、いちばん考えさせられたのは、市大の先生方であろう。もしそうでない先生がいたら、それはよほど立派な学者か、さもなければよほど鈍感な人である。「
横浜市大に(市民の重要な問題を考え、分かり易く答えてゆく)その方向性があったか」と問われて、良心的なまじめな先生ほど、考え込むにちがいない。わたしは、市大にはそういう先生が多いはずだと信じている。
 そして、もし講演を聴いていたら、もっとも喜んだのは「市大を手放すようなことをいう市長がいたら、次の選挙で落とせばよい」といわれた当の市長ではないだろうか。なぜなら、市長は市大をなくせとは言っていないし、市大は市や納税者である
市民のために貢献する大学にならなければならないと言って、市大改革の問題提起をしたのは市長だからだ。
 「井上さんは、いったいどっちの味方なの」と少し戸惑ったのは市民であろうか。しかも、いま「
一番考えなければいけないのは市民ですよ。市民は立ち上がらなければいけない」と井上さんは言われた。市民はいったい誰のために立ち上がるのか。市大のためでも、市長のためでもなく、われわれ市民は市民自身のために、考えて立ち上がらなければいけないのだろう。
 井上さんの講演は、世の中の変化によって生じてきた新しい目に見えない知識、概念、判断を学びたいと、市民自身が作ったボローニャ大学とボローニャ市との関係、そしてその後の市と大学の、
タウンとガウンの相互発展の歴史が、まさに都市と大学の関係を問われている横浜市大問題を考えるヒントになると示唆している。

 「こういう大学になってほしい。いままで、こうこう、こういうことをしてきたから、この線でこれをしてもらえば、税金を払おうじゃないか。おれたちが引き受ける。スポンサーはおれたちだよって、なぜ言わないのか残念です。勝手なことを外部から来て言う学者がいて、それを言わせてしまった横浜市の、市民の問題と、市当局および横浜市大の問題と二つあると思います。どっちも不十分だったのではないか」
 
問題の本質を井上さんは的確に指摘された。

 まず、市民が大学に何を求めるか。それは人材育成にはじまり、先進科学や先端医療の研究から、産学協同、市民の生涯教育、そして大都市横浜の抱える諸問題、横浜の活性化のためのアイデア、さらに市民に代わって考える人権の問題、自由の問題、平和の問題、文化の問題等々、
市民が市大にかける期待は大きいはずである。それは今すぐ横浜市民の役に立つことというような狭い問題だけではない。市民はそれをどんどん口に出して言う必要がある。
 一方、大学は、市民の問題を徹底的に考えて、市民の期待にそって、こう変わります、
こういうことができます、こういうこともやっています、と必至になって努力して、市民にわかる言葉でこたえるべきである。これは、大学の改革の大前提である。
 この前提が満たされるとき、市長は、
市民の意思に従って大学自身が決めたことをサポートしなければならないだろう。市財政赤字の解消策の一つにすぎないような大学改革(の名に値しない大学縮小)は論外となるだろう。しかし、先の前提が、大学側によって満たされなければ大学は死滅だし、前提が満たされる可能性があるのに、市長が大幅な大学縮小を行えば、そんな市長は次の選挙で落とせばいい。

 「それだけのことだ」と結ばれた井上さんの講演は、諸刃の剣である。

 大学に対する厳しい注文のあとで、「大学というものが自分たちの代わりにすごいことを考えてくれているということを信じないといけない」「市長は、困ったら大学へ行って、この問題どう考えるかと、そういうふうに大学を使わなければいけない」「学生と学者先生のいる町は輝きがちがう」「大きな横浜には五つぐらい大学が要るんじゃないか、ベイブリッジ大学とか」と畳みかけるように話される井上さんの、ジョークを交えた言葉の中に、「都市の中の大学」の意義と大学によって輝きを増すであろう「都市の希望」が見えてくる。「あり方懇」答申には、この視点が欠けている。市長(市当局)と学長(大学)、そして市民のわれわれも、この点をよく考えなければいけない。

 「市大を考える市民の会」は、「市大と附属2病院の存続・発展」を目標にかかげて運動を続けてきた。井上さんをお招きして講演をお願いしたのは、市民としての自分たちの運動の意味を確かめたいという気持ちがあったからであるが、その期待は満たされた。大きな反省を迫られ、勇気を与えられるとともに。つまり、「市大の存続・発展」の目標は正しい、しかし自動的に保障されるものではなく、市民の大学に対する期待と理解と積極的な発言の上に、市大自身の改革の努力があって、はじめてかち取られるものだということである。われわれ「市民の会」はこのことを踏まえて市大存続発展のための運動をつづけてゆきたい。ゆくゆくは市大の分校を5つぐらいつくって、演劇科もつくりたいと。


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200379日 参議院文教委員会では、国立大学法人法案が無修正で採決されたようである。現在の「数の論理」ではそうならざるを得なかったということだろう。国立大学法人法案をきちんと提起したうでの総選挙ではなかったのであり、議会における「数の論理」の行使には、慎重さが必要とされるが、いったい衆議院と参議院で実質的に何時間の議論が闘わされたのか、驚くべきことである。

 法人法案をめぐる議論では、法政大学の清成総長の発言が問題になっている。市大のシンポジウムでも講演するようであり、清成氏は、私立大学の論理から、国公立大学の授業料引き上げ(格差授業料)を容認ないし求める主張をしているようであり、自分が国立大学出身であったことの意味、日本社会における国立大学や公立大学の意味について、どれほどきちんと考えているのか、疑問である。国公立大学は定員が限定されており、私立大学の定員を奪うようなことはない。国公立大学の限定された定員がわかものの競争を刺激し、仮に競争の結果、国公立大学にははいれなくとも、私立大学の学生の質を高めることになるのではないか。個々人の能力を(親や家の財産的格差を抜きにして)自由に戦わせることが、個々人の能力を社会全体として引き上げることになりはしないか?

位置・立場が人間を作る。清成氏は、私立大学の学長になり、膨張路線を歩むかで、日本全体の科学技術の発展のグランデザインと言った大きな視野を欠如するに至っている。彼に言うような私立大学の営業の論理で、国立大学法人法案を支持することが長期的な日本の科学技術発展において妥当か、問題になる。

格差授業料という場合、必然的に自然科学系・医薬系が高い授業料となる。それは妥当か? 学問の真理探究は、その学問分野に興味と関心と喜びを持つものが、その能力に応じて競争(入学試験)のハードルさえ越えればいいのであり、経済的なバリア(参入障壁)なしで参加できるようにすること、その意味での「各個人の能力と関心だけにもとづく自由競争」が必要ではないのか。経済的バリアによって振り分けることが、日本の(世界の)科学技術・医学などの発展にとって本当に望ましいことか?

 

意見広告の会に寄せられた匿名市民の声をコピーしておこう。

 

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賛同者の皆様、

以下のように、「国立大学法人法案」が参院文教科学委員会で可決されました。
この間、最もまともな報道機関としての役目を果たしてきたと思われる共同通信
の配信です。

また、新しい局面の発生にかんがみ、今後の会のあり方について、賛同者の皆様に
提案申しあげたいことがございます。
委細は、明日或いは明後日にご連絡いたします。

             「意見広告の会」事務局


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[1]
共同通信  2003年(平成15年) 7 8 16:33
国立大法人法案を可決 自主性重視で委員会決議
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=IBR&PG=STORY&NGID=main&NWID=2003070801000318
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 国立大学を国の直轄から切り離す国立大学法人法案など関連6法案は、8日午後の参
院文教科学委員会で、与党3党の賛成多数により可決された。6法案は9日午後の参院
本会議で可決、成立の見通し。

 来年4月には89の国立大法人が誕生。55の国立高等専門学校は1つの独立行政法
人に統合される。
 同委員会は付帯決議で、大学の自主性を重んじるとともに、運営交付金の算定根拠な
どを公表することなどを求めた。
 法案は、学長のトップダウンによる学校運営を目指し、役員会や経営協議会、教育研
究評議会の3つの組織を新設。経営協議会には学外の有識者を半数以上入れることを求
めた。
 予算の基本となる運営交付金は、文科省に設置する「国立大学法人評価委員会」が中
期目標をどの程度達成したのかを評価し、反映させる。

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「意見広告」を御覧になった一市民の方のメールを御案内いたします。
公表の許可を直接頂いておりませんので、ここではお名前は伏せておきます。

読売新聞編集長

はじめまして、福島県の××と申します。
7/7貴紙記事 、『国立大学の法人化』を拝読して新聞の公平性を損なう内容に失望
しております。
 この法案には多くの問題があり、反対する国民も多くおります。なぜ反対意見を掲載し
ないのでしょうか。
 国民が疑問に思っている事は、監事や理事の派遣及びもろもろのシステムがなぜ必要かに付いて、説明がされておらず、突如として法案が出てきたことにあります。またこれ以上の天下りの生産にアレルギーを起こしていることにあります。580人の天下り役員に血税を使って欲しくありませんし、大学の首根っこを捕まえる事が改革ではないと考えます。

私は本日の記事の中で、特に法政大学総長の清成氏の論調に誤りがあると考えます。

1.学長の暴走の予防について清成氏は『学長が暴走するおそれがあれば、監視する仕組みを学内に設置すればよい』 と述べていますが、この法案に反対する国民は、学長選考会議の委員の過半を学長が任命できる法案になっていることから、学長の世襲性と独裁を危惧しているのです。法案に書いてある限り、なあ〜なあ〜では物事は運びません。

2.教育の機会均等について清成氏は『国立大学の授業料を低く抑えれば民業圧迫になる』と述べていますが、教育の機会均等の意味を取り違えています。彼が言っているのは結果の均等であって本当の教育の機会均等ではありません。
 貧しい者でも学ぼうとする意志と努力があれば大学に行けることを、教育の機会均等というのではないでしょうか。お金のある者だけが大学に行けるのであれば、国立大学の存在意義は薄れてしまいます。私は国立大学の授業料は無料でもよいと考えます。

概念的な一般論ではなく、法案に基づいた正確な論調をお願いします。


--
===========================================================
「国立大学法人法案」に反対する意見広告の会
e-mail --- qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp
Web    --- http://www.geocities.jp/houjinka/index.html
===========================================================

 

 

 

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200378(3) 市大改革をめぐっては、矢吹教授HPに掲載された平商学部教授の調査研究「松下政経塾2」が興味深い。大学人は、どのような人々を相手に大学改革構想を練り上げなければならないか、示唆に富む。中田市長のものの考え方が、その人材起用のあり方から見て、松下政経塾やPHP研究所、およびそれを取り巻く研究者集団・ブレーン集団であることはきちんと押えた上で、対処する必要があるであろう。

 

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200378(2) 国立大学法人法案反対の意見広告の会から、参議院文教委員会や首相に対する意見を送ったらどうかという提案が週末にもあった。それに答えて、官邸ホームページにアクセスし、意見を送付した。それに対する返事が、下記のようにあった。私の意見が国立大学法人法案の問題性に関するもの(慎重審議・廃案)だったから、文部科学小に送付したのであろう。私の意見がどの章の担当であるかを確認した、ということは証明される返信だった。

 

--------首相官邸からの返信------------

 小泉総理大臣あてにメールをお送りいただきありがとうございました。いただいたご意見等は、今後の政策立案や執務上の参考とさせていただきます。
 皆様から非常にたくさんのメールをいただいておりますが、内閣官房の職員がご意見等を整理し、総理大臣に報告します。あわせて文部科学省へも送付します。
 今後とも、メールを送信される場合は官邸ホームページの「ご意見募集」からお願いします。
                   内閣官房  官邸メール担当

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200378日 国立大学法人法案の強行採決に反対する。この立場の豊島耕一氏の意見を、「国立大学法人法案」に反対する意見広告の会から伝えられたメールから、ここにコピーしておきたい。

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佐賀大の豊島さんからのメールを御紹介いたします。
参院文教科学委員会で8日、採決の可能性が高くなっています。
ファックス、メールなどの抗議を是非お願い申しあげます。

***
遠山氏の大臣としての資質が問われている
                   佐賀大学 豊島耕一
 遠山文部科学大臣の国会での答弁はあまりにも紋切り型で,的を得た答弁はほとんど見られないだけでなく,誠実さが少しも感じられない.それだけではなく,「中期目標」指示の問題での虚偽答弁や,民主党櫻井議員に対する「差し替えで出てきた」という暴言など,国会に対する不誠実さ,議員と質問に対する冒涜と言える態度が見られる.

 大臣としての資質が問われる問題はほかにもある.遠山氏は大臣の肩書きのまま,大企業のコマーシャルに出演している.それも文部科学省と深い関係にある大企業である.02519日の朝日新聞の全面広告に,ドコモAOL社長との対談の形式で,遠山文部科学大臣が大きな写真入りで登場している.現職の大臣が特定企業,それも大企業のコマーシャルに出演した例があるだろうか.国家公務員法96条は,全体の奉仕者,公共の利益のための勤務を定めているが,これとの関係で問題が残るであろう.国土交通大臣が大成建設のテレビコマーシャルに出演するという事を想像してみられよ.公務員の公正・公平性に背くものとして,大変な非難を浴びるのではないか.新聞のコマーシャルも何ら違いはない.
 出演にあたって特別な利益供与などの約束はなかったと信じるが,そうだとしても問
題は残る.「李下に冠を正さず」ということは公権力を行使する立場の人間にとっては
必須事項である.遠山大臣のコマーシャル出演は著しくこの認識を欠いたものと言わざ
るを得ない.もちろん特定企業の利益に奉仕したことは間違いなく,国家公務員法96条の精神に反する行為と言わなければならない.

首相官邸ホームページのご意見コーナーのURLは次の通りです  
http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
 )
                                        
     「法人法案」事務局
===========================================================
「国立大学法人法案」に反対する意見広告の会
e-mail --- qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp
Web    --- http://www.geocities.jp/houjinka/index.html
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200377(2) 国立大学法人法案が通った場合の必然的に予想される大学の状態を明確にした批判書が、独立行政法人反対首都圏ネットワークから送られてきた。念の為、ここにもコピーしておきたい。

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トップへ戻る   東職HPへ戻る

独行法反対首都圏ネットワーク

 

 


参議院文教委員会委員への文書  
 
各位、
 失礼ながら、国立大学法人か法案が採決されるかも知れないということを聞きまして、
居ても立ってもおられずに、参議院文教委員会委員に送付した文書を、お送りさせて
頂きます。このメールをどなたに転送して頂いてもかまいませんし、是非それをお願
いしたいと思います。長文で申し訳ありません。
             佐藤清隆
***
参議院文教委員会委員各位、       平成15年7月3日
                 広島大学大学院生物圏科学研究科教授
                 広島大学教職員組合副委員長
                               佐藤清隆

問題山積みの国立大学法人化法案を採決するのは止めて下さい。その理由は以下の通
りです。

(1) 法案通りの大学を想像しました。

 先進国で最低水準高等教育費をさらに削り、日本育英会の独立行政法人化で世界で極めて貧困な水準の奨学金制度がさらに悪くなり、学費が世界で最高水準という前提の上で、「国の定める分野で、国の指導のもとで、大きな成果を出せ」という国立大学法人化の基本思想から考えると、

授業料はあがり、
土地建物使用代を大学法人から請求されたあおりで、
大学生協などの商品の値段があがり、
ほとんどの学生の生活は苦しくなり、
奨学金返済免除制度が基本的には廃止され、
とくに博士課程に進んだ学生は、
就職の見通しもなく膨大な借財を背負わされ、
その一方で教育業績を教員の給与に反映する方式を導入したことによって、
学生は、先生達によって「自分の給料をあげるための道具」とみなされ、
有名企業に就職しなくともゆったりと自分なりの生き方を模索したい学生や、
環境破壊の真因や原発問題や過労死など、
社会の矛盾を解きあかす学問をしたいと思う学生たちは
「大学のネームバリューを上げるため」とか、
「大学のスポンサーにまずいから」として疎まれ

独裁的な権限を付与された学長や、
大学の実態を殆ど知らない天下り官僚や民間派遣の役員は、
目標設定・業績評価・学長の解雇という権限をもつ監督官庁の評価を第一に優先し、
教育も研究もしないで受け取る「1700万円以上の年収」に見合った、
「輝かしい管理運営業績」を求められるため、
配下のスタッフたち(教員や事務員)にトップダウンで指示を連発し、

使いまくられた教職員は相互の競争も加わって疲れ果て、
「他人より仕事が優秀だから昇給間違いなし」と期待しても、
もっと優秀な人が現れて叶わず、
結局はお互いによる小さなパイの奪い合いの坩堝に放り込まれて、
エンドレスな競争に駆り立てられた教職員の誇りと自尊心は傷つけられ
任期制による解雇への恐怖で「その日暮らし」の研究が最優先され、
本質的に新しいことにチャレンジしたいという気概は、
心の箪笥にしまわれたままでひからびて、

堅実な教育研究で地歩を固めてきた地方・中堅大学から、
優秀な教員達が有名大学がさらに強力になるための戦力として引き抜かれ
その逆は決して起こり得ず、
引き抜かれた側は元気がなくなり、
やがて学問を支える広い裾野は崩壊を始め

片方で外部資金を潤沢に稼ぐ人々が、
「これが我が大学の代表分野だ」と威張り
法人化でただ一つ認められた「自由裁量権」を使って、
学内のヒトとモノとカネを奪ってゆき
文学・哲学・歴史学・語学・経済学・法学・芸術学・天文学、
地学・基礎物理学・基礎化学・基礎生物学・人類学など、
外部資金に疎い分野の先生達は、
年ごとに肩身の狭い思いをさせられ、
一方で大学の自治と学問の自由を維持して、
幅広く息長く学問を追究するほかの国々の研究者には、
ますます差をつけられ、
諸外国にひろまっている「日本人研究者は疲れているねえ」という噂は、
確実に現実のものとなり、

高度医療の推進のために設備投資がされてきた医学系分野と附属病院では、
その投資額がいつの間にか莫大な借金として背負わされ、
収入優先の経営原理が医学教育研究と診療活動に暗い影を落し、
ただでさえ過酷な看護師など支援職員の労働がさらに強化され、

効率的な大学運営に適合する特定の分野と、
法人役員が指揮するトップダウンのラインの教職員達が学内を闊歩して、
批判的な意見は「自分や自分が属する組織に迷惑がかかる」と、
人々の心の奥にひっそりと隠され、
さまざまな問題点に気が付いても、
批判意見を出せば睨まれるし、
建設意見を出せば仕事が回ってきて、
せっかくの教育研究時間が奪われるからと口には出さず、
人々の間で心を開いた会話はめっきり減って、
いつの間にか人々は口籠るようになり、

結局は最初に定めた6年間の中期計画の達成が、
金科玉条のごとく全てに優先し、
外面的に目に見える成果を誇る情報が、
法人役員たちの口から得意げに発信され

その結果として、
「外面的には成果は莫大、内面的には渦巻く矛盾」、
そういう大学になるでしょう。

そしてそのような大学からは、
裕福なために高学費を払えて、
状況をめざとく有利に判断できて
使い勝手の良い、
素直で従順な学生
大量に排出されるでしょう。

何故なら、
彼等を教える教職員が、
まさにそのような環境に放り込まれるからです。
そのような「法人化大学」で育てられた大多数の学生諸君に、
真の意味での学力や知力がついているかどうかは、
わかりません。

(2)審議は不十分である
 しかし、上に述べた問題を含む法人化法案は、大学の教員によって認知されたものではありません。圧倒的多数の教員には、法案を読み問題点を明らかにし、意見を述べる暇も与えられなかったのです。私の周りで、たとえば「業績の悪い学長は、文部科学大臣がクビに出来る」と意味する条文のある法案を読んだという人は、20人に1人もおりません。また国会における政府の答弁は誠実さを欠き、理念的には教員達の理解を得ることは出来ませんでした。しかし、急速に法案への懸念が高まり、6月には、日本経済新聞、朝日新聞などのマスコミも、この法案を批判しています。

(3)このような法人ではうまく行かない
 この法人化法案を推進されている人たちが、「大いなる成功」と評した過去の例は、イギリスのサッチャー改革やニュージーランドの改革です
 それを論じる時間はありませんが、ニュージーランドの改革を分析したレポート(国立環境研究所大井玄氏と東京大学大塚柳太郎氏によるもの、2000年12月)の中から抜粋すれば、その改革のもたらしたものとして、「社会的コストが、所得格差の拡大と貧困層の増加、失業率の上昇、犯罪件数の増加、共同体の破壊」となり、「高等教育は、自己利益追求の一手段と定義されたため、大学生における経済的利益を追求する傾向が顕著になり、科学研究を含め経済的利益とは関係の薄い分野の衰退する可能性が憂慮され」、「利用者負担の原則が適用されたため大学生の経済的負担が増え、負債の支払い条件が厳しく、さらに国内の労働市場が狭いこともあり、若者の国外流出が増えている」などが指摘されています。
 肝心なこととして、そのような「改革」を推進した2つの国の政府は、その後まもなく選挙で惨敗し、政権は転覆したのです。

 大学改革は必要ですし、私達も数多くの努力を行ってきております。それは不十分かも知れませんが、現在、審議されているような法人では、短期的には少しの成果があがるかも知れませんが、長期的には教育研究の衰退を招きます。さらに「行政改革」の理念にも反します。
 委員諸氏の良識を発揮されることを、心からお願い申し上げます。

 

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200377日サンデー毎日の「国立大学法人法案批判」特集の紹介があった。

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皆様。
本日発売の「サンデー毎日」は、3頁に渡って「法人法案」批判です。
会のメンバーも大勢登場しています。
 是非ご購入になって、「サンデー毎日」の売り上げを伸ばして上げて下さい。
                                        
「法人法案」事務局
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「国立大学法人法案」に反対する意見広告の会
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Web    --- http://www.geocities.jp/houjinka/index.html
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200374日 昨日の定例教授会には、ロースクール新設ラッシュ関連で、新たな割愛願いが出され、異議なく了承された。今回は慶応大学の法科大学院の要員(教授待遇)としての割愛願いであった。これで商学部からは都立大学法科大学院からの割愛と合わせ、2名の割愛が出たことになる。これをどのように評価するか? 本学の発展との関連では、熟考すべき問題がいくつもあるように思われるが、ここでは触れないでおこう。

重大な問題となったのは、学術情報センターの「ネットワーク管理」を事務機構改革において事務局(総務課)が「無法に乗っ取ったこと、それから発生している研究教育条件の悪化など、大学にとって根本的な問題の数々である。

佐藤真彦教授HPの記事から若干引用しておくと、

 

「学術情報センター情報教育部会」(以下,「情報教育部会」)から,2つの"告発状"が出されて問題が全学の知るところとなった。

学長宛『要望書』(6月17日付,"告発状1") http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030617yobo.htm ,および,『教
育・研究用コンピュータ・ネットワークについて(提案)』(6月26日付,"告発状2") http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030626teian.htm である.

これを受けて、総合理学研究科においては、"決議"表題名:『提案』 (7月3日付)) http://satou-labo.sci.yokohama-cu.ac.jp/030703ketsugi.htm  が行われた[27]

 

その趣旨説明とでもいうべき総合理学研究科・佐藤真彦教授の痛烈な批判書・告発の書は、全大学人が一読すべきものであろう。

 

これは、一昨年以来(今年3月末まで)の事務局責任者の強引・「無法なやり方」(大学の最高の審議機関・意思決定機関である評議会からの事務局員総退場の指揮、大学の自治・学問の自由を侵害する象徴的行動)の帰結の数々を改めて検証するものとして、おそらくは「独法化」が予想される全国の大学人にも警告となるものであり、全国的注目を集める事件・問題となろう。事務局専断体制になるとどのようなことが起きるかの証明である[28]

 

商学部でも、定例教授会の審議において、これが大問題となった。そして、大学の自治・学問の自由の根幹に関わる世界的な学術情報ネットワークの本学における中枢部分を大学事務局のたんなる一部局にしかすぎないところ(研究教育という大学の本来的使命を達成するための事務的職務の担当部署)が握ってしまい、研究教育を担う教員との合議もいっさいせずに、その意味で勝手に、大学ホームページを事務局情報の報道場所にしていることが、無法なものとして問題となった。情報教育委員会の問題提起は、この間の事務機構改革が、いかに大学自治を破壊し学問の自由を脅かすもの(その脅威)となっているか(大学の存立そのものを脅かすものとなっているか)を明らかにした。

従来は、すなわち「無法“乗っ取り”」以前は、そして法律上・規定上は現在も、大学教員から選挙によって選出された学術情報センター長が、ネットワーク管理者であり、そのセンター長のもとに一元的に管理されてきた。研究教育機関としての大学の本来的あり方からして、その本来的な状態に復帰すべきである、というのが商学部教授会の主要な議論であった。

商学部教授会も、情報教育委員会の問題提起(要望書)を受けて、決議を行い、評議会(大学の最高の審議機関・最高意思決定機関)における問題の審議と解決をもとめることになった。文書等の取りまとめは、学部長・評議員に一任した。大学改革のために「再生する」ということをスローガンにするのならば、具体的問題ごとに過去2年間の「負の遺産」を、迅速適正になくす必要があろう。

その他、「負の遺産」との関連では、積み残し課題、教授会の人事権(現在の学則・評議会と教授会の規則が憲法、教育基本法、学校教育法等の諸規定を踏まえて規定している人事権)に事務局(独立行政法人化された場合の経営サイド!?[29])が介入している問題として、この間、問題になっている商学部の助教授昇進人事・拒否問題のほか、「社会構造論」後任人事凍結状態の問題が改めて問題となった。

割愛人事だけは、次々と補充を認め、「社会構造論」、「体育」、「中国語」といった3つの定年退官ポストだけを凍結するというやり方(昨年来小川学長・事務局責任者が実施してきたやり方)の問題性もあらためて浮かび上がった。

商学部教授会としては粛々と、研究教育に必要な人事を進め、主体的な意志を明確に示しておくということで、あらたに、凍結状態の二つの窓口委員会のほかに、商法、民法、中国語(現代中国経済論、現代中国社会論)の窓口委員会などを立ち上げた。

さらにもうひとつ、事務局[30]が要綱・日時等を作成した「自己点検・自己評価」に関わる学生アンケートの実施について、重大な難点がいくつも出された。商学部教授会としては、議論を積み重ねた結果、手続き的に[31]も、アンケート項目の内容[32]からしても、さらに実施時期[33]についても、またアンケート結果の利用の仕方などについても研究教育の自立的創造的発展、それをになう教員(専任と非常勤)の人権問題という見地からして杜撰きわまる諸問題を含むとして、今回のアンケートは行わないこととした。

学部としては、昨年、年度末に学部独自に実施したアンケートに改善を加えて、今年度も、年度末にアンケート(各教員の自発的な形式のものを含め、自主性自発性を尊重する形で)を行うものとした。

そして、学部としては今回の学生アンケートを行わないこと、その理由書を決議文としてまとめ(学部長・評議員がとりまとめ)、他学部・他研究科・非常勤の教員各位に伝えるものとした。

最後に、一番重要な点、すなわち、大学改革のプラン策定作業において、この間、「緘口令」が敷かれて、何が議論されているのか、評議会も教授会も、またプラン策定委員会の全体会もまったく知らされていない、ということが問題となった。ただ、ちらちら見えてくるところでは、たとえば、昨日の話題では、「学長は今年度は将来構想委員会に諮問を行わない。ただし、教養学府に関連して諮問する場合があるかもしれない」といった報告が、学部長からあったが、そこから滲み出てくるのは、「学府‐院」構想であり、この構想を推し進めているのではないか、ということである。この場合、商学部、医学部、国際文化学部、医学部という4つの学部が廃止されることになる。

いずれにしろ、教授会・評議会でいっさい審議をしていないという厳然たる事実だけは、存在している。これまでの、将来構想委員会の中間報告[34]もあくまでも中間報告であり、学長の諮問に対する学長への答申でしかない。戦略会議も学長等一部少数の教員・事務局の検討結果にしかすぎない。あり方懇答申に至ってはわずか数回しか議論していない外部委員の答申に過ぎない。

正式の審議機関(教授会・評議会)で、審議されたものはまったくない、審議事項として提起されたものは一つもない、という現在までの状態は確認しておく必要があろう。

 

なお、矢吹教授HPおよび佐藤真彦教授HPには、平商学部教授の松下政経塾と「中田人脈」の研究1が掲載された。今後の市長・副市長(いずれも「松下政経塾」出身)の大学への対応がどのようなものになるかを見ていく上で、一読しておくべきだろう。続編を期待したい。大学は、自己の自主的自立的発展を行うためには、4年間の任期を市民から与えられた行政の長(市長)の考え方と政策、同じく市民から4年間の任期を与えられた市議会の議員の考え方と政策、そして行政の長と議員の選出母体である市民総体の意識動向を踏まえながら、改革を考えていかなければならないからである。

--------

200373日 国立大学法人法案の本日の強行採決は回避されたが、8日には十分な審議なしに与党は採決を強行するようである。

------ 

賛同者の皆様、
国会情勢は次のようです。

 
 78日(火)950分理事会、10時委員会
 
 国立大学法人法案の質疑、民主党修正案提案、討論、採決

  時間等詳細は77日(月)15時の理事懇談会で決める
 
               
 
 与党からは当初3日(木)に採決をとの提案だったが、野党各党が応じられないとした。与党は 採決に応じてもらえない以上、3日の委員会はやめ、8日に採決をとの提案があった。共産は「8日であってもまだ審議は尽くされておらず、採決前提の日程は応じられない」、民主は「質疑時間をもっととり、しっかりした答弁であれば、採決はやむをえない」、国連は「十分質疑を行いこれまでの疑問に応えたのなら、採決もやむをえない」とし、総理の出席を求めた。
 7日の理事懇がむしろ勝負で、この時間帯までにファックスを集中する必要があると思います。

***
一部の御賛同の方々に、未だに読売新聞を発送できず、申し訳ありません。実は、新聞を再度調達したのですが、国会議員対策のための要請があり、その新聞を使ってしまいました。国会議員は、意見広告を知らないのだそうです。
どうも秘書が新聞を読んで、その結果を議員に報告しているのではないか、と思われます。コピー版を作って、登録者の方には必ずお配りしたいと存じます。

***
会計の報告も出来ていないままですが、700万くらい、現金不足になっています。これは予算上のこととは違って、連絡は頂いていても未納の方がいらっしゃるためで、いずれ清算しなくてはならないお金ですので、未納の方は振込をよろしくお願い申しあげます。ただし新設の銀行口座はまだチェックしていませんので、不足はより少額である可能性はあります。
                                       
「法人法案」事務局
--
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「国立大学法人法案」に反対する意見広告の会
e-mail --- qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp
Web    --- http://www.geocities.jp/houjinka/index.html
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-----国立大学法人法案廃案を求める意見広告-事務局から--------

賛同者の皆様、
緊急の国会情勢を転送します。
                          
「法人法案」事務局
-----------------------------------------------
2003
72
東職書記長 五十嵐千秋

 【緊急!】73日(木)参院・文教科学委員会は中止!
 73日(木)参議院文教科学委員会は中止となりました。
 緊急に中止の連絡をお願いいたします。

 次回78日(火)の委員会で質疑後、採決との情報です。
 8日(火)の最大動員傍聴準備をお願いいたします。
 8日の時間等、詳細は7日の理事懇談会で検討されます。
 
 
 随時、ご連絡します。
 下記、大学法人化阻止、教育基本法を活かす対策本部FAX
 ニュースをお送りします。

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大学法人化阻止、教育基本法を活かす対策本部FAXニュース 2003年7月2日第41
 
日本共産党国会議員団
 
大学法人化阻止、教育基本法を活かす対策本部
 
 国立大学法人法案、78日質疑後採決!
 
 78日(火)950分理事会、10時委員会
 
 国立大学法人法案の質疑、民主党修正案提案、討論、採決
 
 時間等詳細は77日(月)15時の理事懇談会で決める
      *
 
 与党からは当初3日(木)に採決をとの提案だったが、野党各党が応じられないとした。
 
 与党は採決に応じてもらえない以上、3日の委員会はやめ、8日に採決をとの提案があった。共産は「8日であってもまだ審議は尽くされておらず、採決前提の日程は応じられない」、民主は「質疑時間をもっととり、しっかりした答弁であれば、採決はやむをえない」、国連は「十分質疑を行いこれまでの疑問に応えたのなら、採決もやむをえない」とし、総理の出席を求めた。

 連絡先 石井郁子事務所 03-3508-7194(TEL)3508-3624(FAX)
     畑野君枝事務所 03-5512-2629(TEL)3508-8629(FAX)


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200372(2)  「国立大学法人法案」の廃案を訴えます!−佐藤真彦教授HPからコピー[出所:国立大学独立行政法人化の諸問題]

         i-mode


毎日新聞2003.7.1 第四次意見広告

「国立大学法人法案」の廃案を訴えます!

私たち大学人と市民は、現在国会で審議中の「国立大学法人法案」の内容に危惧を表明し、これを廃案とすることを訴えます。

意見広告の会

houjinka@magellan.c.u-tokyo.ac.jp
カンパ:郵便振替口座『「法人法案」事務局』00190-9-702697


小泉さん、これが「改革」なのでしょうか? 法案にはこれだけ問題があります
発言: 赤川次郎 櫻井よしこ チョムスキー 重文 森村誠一 山口二郎
会に寄せられた支援者からの意見


小泉さん、これが
「改革」なのでしょうか?

理事・監事があらたに580人、
給与平均 1670×580=97億円

●これが、大学法人への運営費交付金(もともとは税金)ないし学生授業料から支払われます。

●役員の多くは、中央省庁からの「天下り」です。しかも役員の人事権は、文科省と「世襲的独裁権」をもった学長とが握っています。

●この法案は、官僚の、官僚による、官僚のための法案です。昨年度独立行政法人化した57法人では、常勤理事の97%140名が官僚出身者でした。国立大学法人も大部分の大学で、元官僚を役員に選任することが既に決定しています。

国立大学の改革については、
国民に公開された
正々堂々の議論を行うべきです。

●みなさんは「国立大学法人法案」についてご存じでしたか。現在国会で審議中の「法案」については、マスコミ報道がほとんどありません。

これでは、「改革」も国民の目の届かない「闇の中」で行われてしまいます。

●国立大学協会幹部は、法案についての議論は行わないことを決めてしまいました。
文科省は、国会で陳謝せざるを得なくなった法案成立前の「事前関与」にも明らかなように、秘密のうちに「改革」を進めようとしています。

● 「官僚統制」一点張りの「法案」が、白日の下にさらされるのを恐れているからです。


法案にはこれだけの問題があります

1.大学が官僚=国の統制下におかれ、学問の自由がそこなわれます。「法案」は国立大学の「独立」「民営化」とは、全く関係がありません

国会で審議中の「国立大学法人法案」では、各大学の教育・研究をはじめとした一切の目標(「中期目標」と呼ばれています)が、「文部科学大臣が定める」ものとされています。各大学の自主性・独立性は全く認められていませんこんなことは、戦前にもなかったことでした。また「法案」では、その目標を達成するための措置・予算などのプラン(中期計画)も、文部科学省の「認可」事項となっています。「国立大学法人法案」は、中央省庁の「許認可権」をできるだけ縮小しようとする行財政改革の本来の理念に、全く逆行する法案です。

2.大学が高級官僚の天下り先となり、構造的腐敗の温床になりかねません。

「法案」によれば、国立大学などに全国で500名を越す「理事・監事」などの「役員」が、新たに生まれます。この人達の給与に教育・研究・運営に必要な費用が回されて、結局国民の税金(「法人」への「交付金」)や学生納付金(授業料など)が使われます。しかも、決定権や認可権を中央省庁に握られた各大学は、いわゆる「中央との太いパイプ」を求めて、あたかも多くの特殊法人のように、学長を含めた理事などに天下り高級官僚を迎え始めるに違いありません。こんな高級官僚の人生設計のための仕組みが、どうして国立大学の改革になるのでしょうか。

3.学長の独裁をチェックする仕組みがありません。

法案では、大学の学長の権限が強大です。学長は、各国立大学法人の内部の「学長選考会議」が選考します。ところが、この「学長選考会議」の委員の過半を、学長が決定することが可能です。つまり学長は、自分を含めた次の学長を決定することができるのです。これは独裁国家の仕組みと同じです。仮に学長が問題を引き起こしたとしても、大学の構成員や市民がそれをチェックすることはできません。

4.大学の財政基盤が不安定となり、授業料の大幅な値上げがもたらされます。

財政基盤が不安定なまま、授業料などが各大学でまちまちになってしまいます。特に理科系の学部・学科を中心に、学生納付金(授業料・施設費など)の大幅な値上げが予想されます。地方の中小大学のように財政基盤の弱い大学では、特にそのことが顕著に現れます。今の国立大学の比較的低廉な学費が高騰したら、「教育の機会均等」の理念は一体どこへ行ってしまうでしょう。

5.お金儲け目当ての研究が優先され、基礎的科学・人文社会科学の研究や学生の教育が切り捨てられてしまいます

学問・研究の成果は、長い目で見てゆくしか判断のできない性格を持っています。「法案」が定める「経営協議会」や「役員会」がトップダウン(上からの命令)で目前の成果をあおっても、真の成果は期待できないのです。また、現在の日本の学問・研究の水準は悪条件の下(高等教育・研究の関連予算は欧米諸国のGDP比の半分程度で、OECD加盟国中最低)にあっても、決して諸外国に見劣りするものではありません。おまけに大学評価に直結しにくい学生の教育面は、「法案」の成果主義では軽視されてしまいます。一部のプロジェクト研究にばかり予算をそそぎ込もうとする「法案」の考え方は、日本の学問・文化に百年の禍根を残します。

6.この「法案」は、「違法・脱法」行為を行わない限り、実施することが不可 能な「欠陥法案」です。

国立大学協会は、5月7日、「国立大学法人化特別委員会委員長」の名で、会員校に検討要請の文書を送付しました。驚いたことにその内容は、「労働基準法」「労働安全衛生法」などの届け出義務や罰則規定の適用について、「運用上の配慮」を関係行政庁にお願いしようというものです。「労働基準法」や「労働安全衛生法」は、会社・法人など、どのような事業所でも必ず守らなければならず、違反すれば使用者が刑事罰に処せられる刑罰法規です。立場の弱い「定員外職員」の人たちの失業問題も懸念されます。 「法案」は、種々の違法・脱法行為が認められなければ、実施することができない「欠陥法案」なのです。

赤川次郎(作家)

 経済的な事情から、大学へ進学せずに就職した私は、「大学生活」というものに、長いこと憧れを持っていた。

「大学」とは、何よりもまず「自由な空間」であり、その中で若者たちが存分に想像力や情熱を発揮できる場所だった。ところが、今日本の教育からはどんどん「自由」という酸素が失われつつある。

 小学生に配られた「こころのノート」から「国立大学法人化」まで、これは一つにつながった「自由を奪う政策」である。酸素の薄くなった空間では、人は独創的な発想などできるはずがない

 すぐれた学問研究の成果は、国や時代を超えて人を幸福にする。たかが数年しか在任しない首相や大臣よりも、それは遙かに高い存在なのだ。大学人はプライドを持って、この「法人化法案」に抵抗してほしい。

櫻井よしこ(ジャーナリスト)

 国立大学法人化で、大学の教育・研究目標を六年単位で区切って中期目標とし、それを文部科学大臣が決めるようになるのだそうだ。

 全国でいずれ八七になる国立大学の教育・研究の中期的概要を決定する能力が、一体、文科大臣や文科官僚にあるのか。問うのさえ赤面の至りで、答えは明白だ

 にも拘わらず、日本の大学教育・研究は、いまや彼らの狭量な支配の下に置かれようとしている。国費を投入するからには、国として責任をもたなければならないからだと遠山大臣は力説する。しかし、これまでも、今も、国立大学に国費は投入されてきた。それでも教育・研究目標を、政治や行政が決めるなどという愚かなことはかつてなかった。政治家も官僚も犯してはならない知の領域の重要性を辛うじて認識していたからである。

 それが今回の法人化議論でたがが外れ、世界に類例のない、政治と行政による学問の支配が法制化されようとしている。

 学問への支配は、大学の人事の支配によって更に息苦しいまでに強化される。法人化された大学では学長の任命権も解任権も文科大臣が握ることになる。生殺与奪の力を文科大臣に握られてしまえば、学長は文科省の意向に従わざるを得なくなり、大学の自立の精神は土台から揺らぐ。理事の数まで、大学毎にこと細かに法律によって決められてしまう制度のなかで、大学の自由裁量は絶望的に損なわれていく。文科省の顔色を忖度しながら行われている現在の大学運営は、法人化以降は更に蝕まれ、文科省の指導に決定的に隷属する形で行われるようになるだろう。

 大学の自主自立と独創性を高め、学問を深めると説明された国立大学法人化は、その建前とは裏腹に自主自立と独創性を大学から奪い取り、大学教育と学問を殺してしまうだろう

 経済政策で間違っても、産業政策で間違っても、やり直しは可能だ。しかし教育政策における間違いは決してやり直しがきかない。日本の未来の可能性を喰い潰してしまうこの大学法人化に、心から反対する所以である。

ノーム・チョムスキー(マサチューセッツ工科大学教授 生成文法の創始者)

 現在審議中の国立大学法人法案に関して送っていただいた資料を読んで、私は憂慮を感じました。この問題と提案されている法案に関する詳細な知識がないので、私には細部にわたる意見を述べることはできません。しかしこうした不十分な情報しかもたない私の立場からも、この法案は大学とその教官の独立性を損ない、それらを官僚的決定に従属させるのではないかと思われます。そしてこうした従属は単に日本の高等教育と知的文化にとってのみならず、世界における日本の役割の重要性を考えるなら、世界全体にとっても極めて有害なものです。私はこうした重大な問題が十分慎重に考慮されること、そしていかなる大学改革も独立性と創造性を抑圧し制限するためでなく、それらを活気づけるために設計されることを希望します。そして事がそのように運ばれるであろうと信じています。

森 重文(京都大学数理解析研究所教授)

フィールズ賞1990年受賞

研究について述べたい。

 研究者は研究費の申請のために研究計画を作るが、計画と実際の研究の進み方にいかに大きな食い違いがありうるか、理解されているのだろうか。大きな発見や発展は、方針転換したときや、極端な場合としては、間違いや失敗がきっかけになって、起こったりする何人かの高名な科学者が、何かの失敗が大発見のきっかけだった、と発言するのを最近も耳にしたが、自分でも実際に同種の経験をした。自分には、むしろその思いがけない瞬間に巡り会いたくて、地道な研究を続けているという思いすらする。

 また、方向が決まった後でも、結果を出せずに数年以上の時間がかかった後、何かをきっかけにして急に解決するということも、経験した。

 このように大きな食い違いが生ずることがあるが、それでも、研究者は研究計画は立てるのである。ただ、食い違いが生ずるものだということをわかった上で運営に余裕をもたせてほしいのだ。大学が法人化されれば、研究者個人が研究費を申請するのとは別に、各研究機関も中期計画を立てて審査を受けるようになる。

 一つの研究機関全体が中期計画を立て、数年後に計画の成果を評価される状況になったら、研究者はそれでも野心的な試みを続けられるのだろうか。

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フィールズ賞
 数学界のノーベル賞ともいわれる。日本人では、小平邦彦、広中平祐、森重文が受賞。

森村誠一(作家)

人格統制法案反対
 教育の統制は人格形成の統制、つまり人格の統制である。学問・教育の自由は基本的人権の核であり、思想、良心、また信教の自由も学問と教育を踏まえている。これを国家権力の統制下に置くという発想は、まさに人間のすべての基本的自由を圧殺することである。教育、特に高等教育と研究が官僚の鋳型に閉じ込められたらどうなるか。

 そもそも官僚とは国政に影響力をもつ上級公務員であり、官僚主義とは権力組織に特有の気風や態度・行動様式、規則と前例に対する執着、権限の墨守、新奇なものに対する抵抗、創意の欠如、傲慢、秘密主義、権威主義などの代名詞、あるいは形容詞に用いられている。いかにも官僚が考え出しそうな発想であり、法案であるが、こんなものの支配下に大学が置かれたらとおもうだけでぞっとする。法案の提出に際して、官僚的なもっともらしい説明がなされているが、要するに、官僚による人格統制法案である。

 かつて軍国主義時代、陸士、海兵、その他の軍学校に全国の若い優秀な頭脳を吸い集め、中等学校以上に配属将校をばらまいて、軍事教育一色に染め上げようとした時世においてすら、リベラルな大学は生きていた。

 大学が政府の統制下に置かれたとき、民主主義は崩壊すると言われる。民主主義以前に人格が破壊される。辞書の解釈を見るまでもなく、学問と教育の天敵は官僚であり、官僚制度である。危険な法案が次々に現われる中、最も危険な法案が国会をまかり通ろうとしている。いま、日本の学問の府は未曾有の学難ともいうべき危機にさらされている。官僚の首はすげ替えられるが、学問と教育は永遠である。一過性の官僚のおもいつきによって、永遠の学問と大学教育を歪めてはならない。私はこの法案に絶対反対である。

山口二郎(北海道大学法学研究科教授)

 この十年、いろいろな改革がありましたが、選挙制度改革、中央省庁再編など、それらはほとんど外形だけの改革でした。政治の腐敗や官僚の天下りが相変わらず続いていることに示されるように、これらの改革は本来の課題に答えるものではありませんでした。いま議論されている大学改革も、こうした形だけの改革と同じものです。

 いや、日本の学問を破壊し、国民の高等教育を受ける機会を狭めることによって、むしろ現状をさらに悪化させるものになるとさえいうことができます。

 仮に独立法人化法案が成立すれば、国立大学は「独立」法人ではなく、「従属」法人になるに違いありません。その理由はいくつもあります。たとえば、大学は中期計画を作り、文部科学大臣の認可を得なければなりません。そうすると、いままでと違い、研究や教育の中身にまで、大臣(実質的には文科省の官僚)の統制が及ぶのです。また、すぐに金儲けにつながる研究が優遇されることも確実です。学者が、官僚の権威におびえ、営利に走らされるようになっては、研究、教育などできるはずはありません。日本における「知」の世界は貧弱なものになるでしょう。

 本来の大学改革の課題には逆行する独立法人化を、世論の力で廃案に追い込むべきです。

会に寄せられた支援者からの意見(茨城県・主婦)

 読売新聞(610付)の意見広告を見て、大変驚きました。法案には絶対反対です。

 私は一主婦として現在小学4年と1年の子供を育てています。進学塾も私立の中学もない田舎の子供たちにとって、これ以上教育を受ける権利を奪わないで下さい。 現在でさえゆとり教育の名のもと、教育内容の3割削減を強行している文部科学省の考えにはついて行けません。

 もっと子供たちの声を聞いてください。実際の子供たちはもっと学びたがっています。大人の勝手な解釈で子供たちの学びの場を奪わないで下さい。先日、我が家の小1の娘が「ねえ、お母さん、このまま小学校で勉強してて、大学に行けるの?」と、聞いてきました。どうしてと聞くと、「だって簡単すぎるんだけど、お医者さんになれる?」「塾に行ってないと無理だよね」と…。自分の夢が学校の勉強だけでかなうのかと、小1にして、子供心にも思ったようです。小4の息子は往復3時間もかけて首都圏提携塾に通っています。やはり彼にも夢があり夢の実現のためには小学校の勉強だけでは無理と考えているようです。塾に通い始めた頃、自分の学校では教えてくれない内容が塾ではおしえてくれるから楽しいし、おもしろいと。また、どうして自分の学校では教えてくれない内容がこんなにも多いのかと。いつも不思議そうに言っていました。自分の学びたい学問を教えてくれる大学に入ること。それは産業として国益にはつながらないかもしれませんが国立大学で自分の興味のある分野を突き詰めること。そんな子供たちの夢をつぶさないで下さい。他の子供たちの中にも、同じようなことを言っている子が大勢います。公立の小・中・高から学ぶべきことを奪って今度は国立大学からも奪おうとしているのではないでしょうか?

 もし、大学が国によって法人化されたならば、国益を最優先する学問のみにお金が使われ、中期・長期計画というような枠の中では、国益になるかどうかわからない学問に興味を持った子供たちはきりすてられてしまうのでしょうか?企業のように利益を追求する団体の中においては、最優先事項だと思いますが、学問において、この論理をあてはめるのは、絶対危険です。もし、学びたい学問によって、学ぶ為にかかる学費が高額になれば、学ぶこと自体をあきらめなければなりません。子供たちの未来にとって、こんな残酷なことはありません。日本の未来にとってもマイナスであると思われます。また、私たちが納めている税金をなぜ、天下り文部官僚の理事・監事職の給与にあてなければならないのか。現在その職種がなくても国立大学の運営にはなんら支障がないのですから、その分の予算を研究費・開発費に回してあげたほうがよほど子供たちのためになると考えます。

 私たちのような地方に住んでいる小市民が国に対して意見を言えることなんてないと思っていました。声にならない声がたくさんあることと思います。今回の見広告を見るまでは国会でこんなことが審議されているなんて知る由もなく …。知らなかったというのは、おそろしいことです。意見広告を出していただき有難う御座いました。陰ながら支援致します。どうぞ、法案反対にご尽力下さいますようお願い致します。

 

 

 

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200372日 国立大学法人法案の審議はますます緊迫[35]しているようである。法案の問題点について、きちんとした審議をしないで、強引に[36]押しとおそうとしていることがよくわかる。『毎日』を読んでいないので毎日新聞における市大関連記事(「横浜市大の法人化」)については知らず、まだ読んでいない。むしろ、横浜市関係で今日の新聞紙面(毎日)をにぎわしているのは、佐藤市議逮捕(読売)に関連する市の総務局担当理事兼行政部長の逮捕事件(読売)である。内部調査をやっても問題の発見はできなかったことは次のようである。

大学改革もそうだが、秘密裏に、意見の同じようなものだけで何回話し合っても問題点は発見されないのではなかろうか? 誰も完全な人間はいない以上、広く批判の意見に耳を傾ける努力が必要ではなかろうか?

 

 

「問題の下水道工事入札をめぐり、事前に入札予定価格などを入手していた「京浜工業」(横浜市旭区)と「新栄興業」(同)など三社が同額で入札したのを受け、市財政局が今年三月に行った内部調査は発注担当者だけを対象とし、当時の契約部長で予定価格決定権者だった菊池容疑者からは事情を聞いていなかったことが一日、わかった。調査結果は、当時の局長にも報告されていなかったという。

 財政局によると、入札は二月二十五日に行われ、三社が八千三百八十九万円で入札。くじ引きで落札業者が決定した。二日後、落札業者と工事請負契約が交わされたが、三月五日になって、契約部の係長が三社による同額入札を不審に思い、内部調査が開始された。

 しかし、調査は、工事の発注元である下水道局設計課の係長らに事情を聞いただけで、「不正がなかったことを確認した」結論づけられ、翌六日、菊池容疑者に報告された。調査結果はその後、菊池容疑者から局長に報告されず、四月に就任した深川邦昭現局長は、五月下旬まで調査が行われたことさえ知らなかったという。

 

 

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200371日 教員組合の学生アンケート活動が昨日に続き本日もあった。その結果に期待したい。現在までのところ、学生の声がどのようなものか、大学当局(学長・事務局、プラン策定委員会など)はいっさい積極的に集めようとしていない(少なくとも今日までのところ)ので、65日の学生諸君のアンケート結果(回答数四五〇通ほど)や今回の教員組合のアンケート結果が持つ意味は大きいだろう。

 

昨日の議論との関係で、確認しておくべき事は、現在までのところ、市立大学改革推進・プラン策定委員会は最初の一回開会されただけであり、幹事会が5回開催されただけで本委員会を開催していない。

市長や副市長などが「希望」している活発な議論、すなわち、期待に応えるよう学内での議論が沸きあがり」(大学改革推進本部長・前田副市長挨拶要旨最終段落これまでの大学内の議論を深め、おおいに議論してください。」(市長メッセージ末尾)という学内の活発な議論は、策定委員会の本委員会自体においてもおこなわれていない幹事会を率いる学長・事務局の采配で、事は秘密裏におこなわれているということである。

公開されている5回の幹事会議事録(最新のものは5議事録)は、具体的な内容を示すものとはなっていない・・・すくなくともこんにちまでのところ。大学のこれまでの検討の到達点、それらと「あり方懇談会答申」との相互関係の調整というところだが、本当に発展的な構想として社会(市民、学生、OBOG、そして教職員、OBOG教職員など)が納得するようなものとなるかどうか、問題である。

 

「独立行政法人」問題も、法律をめぐる論争も踏まえた大学らしい検討がおこなわれているのかどうか、議事録を見るかぎり何も言及はない。国立大学法人法案でも、公立大学法人法案でも、学長が法人の長を兼ねるのを原則としているが、そのような点に関しても幾多の議論をきちんと整理し、大学らしいあるべき姿を提起するのか、「あり方懇談会」答申に屈服するのか、議事録からは何もわからない。中期目標の策定を大学に任せるのか、国立大学法人法案の論議で問題になっているように、官僚主導で大学の自治・学問の自由を抑圧・縮小・破壊してしまうことを可能にするのか、本庁の役人の天下りポストを増やすような独立行政法人を考えているのかどうか、問題は大きい。

「独立行政法人法案を踏まえる」と小川学長はいうが、その問題点すら整理されていないのではないかと危惧する。およそ大学の特性を考えるということができるのかどうか、大学の本当の意味での発展を保障する制度設計が行われるのかどうか、そのための国立大学法人法案や公立大学法人法案の論争点・問題点を洗いなおしているのかどうか、気になる。

 

市長が「自立性」を尊重するとするならば、すなわち、公立大学としての公共性を保障しつつ大学の自立的発展を促進しようとするならば、現在の「地方独立行政法人」法案の問題性をきちんと見据えているかどうか? 市長がかつて所属していた民主党は、国立大学法人法案にも修正案を出すなど、法案の問題点を指摘している。

内容検討貫きの盲信は、大学人として許されるべきではない。

 

昨日と本日の朝、教員組合が学生意見を尋ねるアンケート用紙を配布したが、大学改革に関する学生意見・学生意識の動向の調査も大学当局は何もやっていない。教員組合は、学長に学内討議の活発化のための要請を行った[37]が、それに対する返事もいまだないようである。

 

 



[1] 本文にリンクを張ったが念のため、ここにもコピーしておこう。

 

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--労働協約の手引き--

 


 

1 労働組合と労働協約

 

(1)はじめに

労働者が会社に就職するとき、希望どおりの労働条件で採用されることは少なく、多くの場合、使用者にとってあらかじめ決められた労働条件、つまりこういう労働条件なら雇いましょう、ということで採用されるのが普通です。
労働者と使用者の1対1の関係で取り決める労働契約では、どうしても使用者の力が強いため、労働者が「今までよりも高いレベルの仕事がしたい」「職場環境のよい安心して働ける職場で働きたい」と望んでも、そのとおり希望がかなえられることはなかなか困難です。また、ようやく合意に達しても口頭の約束では、後でその履行をめぐってトラブルが生じることもあります。

そこで労働者は、自らに希望する労働条件を得、それを維持向上させるために団結して労働組合という組織を作り、その集団の力を背景に使用者と団体交渉をすることになります。そうすることによって初めて使用者と対等の立場に立つことができるのです。

こうして労働組合が結成されますと、その活動を通して労使間で合意に達した事項を書面で取りかわすようになります。そして、労使双方が約束したある一定期間、たとえば半年間とか1年間はお互いに協定したことを遵守することになります。

これが労働協約といわれるもので、それは組合活動の中から必然的に生まれたものであり、労働協約の歴史はそのまま組合活動の歴史といっても過言ではありません。

(2)労働協約は労使双方に必要なものである

労働組合と使用者の間で組合員の賃金、労働時間、休日、休暇等の労働条件や団体交渉のルール、組合活動等の事項について交渉を行い、その結果を書面にあらわし、両当事者が署名又は記名押印したものを労働協約といいます。

この労働協約は、労働者と使用者が個々に結ぶ労働契約や、最終的に使用者が決めることができる就業規則とは区別され、これらに優先して、労働者及び労働組合と使用者の関係を規律する効力が与えられています。したがって、労働契約や就業規則は労働協約に反することはできません

労働協約が締結されますと、当事者である労働者や労働組合、使用者を拘束することになりますから、労働協約の締結によって労働条件や労使関係、あるいは企業経営にどのような影響が生じるのかということをあらかじめ知っておかなければなりません。

労働組合の目的は、端的にいいますと労働協約の締結にあるといえます。 いったん労働協約が締結されますと、労働者にはその有効期間中は一定の労働条件が維持確保されますので、その間は安心して働くことができます。また使用者にとってもその有効期間中は、企業の平和が維持され労使関係が安定することになりますから、労働協約は労使双方に必要なものといえます。

 

 

 

 

2 労働協約を結ぶときの留意点

 

(1)合意に達したものから一つづつ締結を図る

労働協約は、組合員の労働条件やその他についての自主的な協定ですから、何をどのように約束するかは当事者の自由です。したがって、特に難しく考える必要はなく、労使が必要と思われる事項を順次協定していけばよいわけです。

労働協約のない状態から、いっきに包括的労働協約を締結するのは大変なことです。
 もちろん、組合員の労働条件や組合と会社との約束すべてが含まれた労働協約を結ぶのは理想ですが、それに至るには長い時間と交渉の積み重ねを必要とするでしょう。

労使の間で合意に達した部分があっても、他の問題が合意に達しないため労働協約の締結がのびのびになっている例もみられます。
 そのようなことがないように、
合意に達した部分を個別的に締結し、順次積み重ねて行く方法がよいでしょう。

また、なかには団体交渉それ自体円滑に開かれないといったところもあるようです。そのようなところでは少なくとも、団体交渉のルールだけでも初めに決めておくようにしましょう。

(2)段階的に内容を向上させていく

労働協約の内容を質的に高めていくことは、労働組合にとって大切なことですが、理想的な労働条件や人事条項等は組合結成後すぐにも得られるというものではないでしょう。
 それらは、日ごろ熱心な活動を続け、組合の質的向上を通じて労使関係の近代化を図りつつ達成していくのです。

したがって初めはあまり背のびせず、組合や社会に置かれた状況をよく考え、現時点で可能なものから協約化し、その上に立って順次内容を改善、充実していくのがよいでしょう。

(3)組合員の最も関心の深い事項から規定化する

組合員が日常職場で関心を寄せるものとしては賃金、一時金、退職金、労働時間、休日、休暇等があげられます。
 これらの組合員の労働条件に関することの他、組合活動、団体交渉、組合事務所といった労使間のルールを明らかにしておくことから始めます。

(4)互譲の精神を忘れないように

労働協約は労働条件を中心とする労使交渉の合意の協定ですから、譲歩できる範囲で双方の妥協がなければなりません。

一方的な主張を無理に通すことなく、相手の立場を十分尊重して、譲るべき時は譲るようにして信頼関係を築きます。

(5)実効のある協約化に努め、規定は明確にする

労働協約の交渉にあたっては、実務的に個々の具体的条項について権利、義務を明らかにしていきます。条項の規定は明確な用語により表現することに心がけ、解釈をめぐってトラブルのないようにします。

また細くする必要がある場合は、その都度「了解事項」を入れるか、別に「覚書」「付属書」などを作ることもよいでしょう。

(6)労働協約の内容をよく組合員に知らせる

労働協約はいいかえれば組合員個人の労働契約の内容になるものですから、労働協約の内容がどのようなものか、組合員一人ひとりによく知ってもらうことが大切です。

そうしますと、それについて様々な意見が出てきますし、そのことがさらに労働協約改訂へのエネルギーにもなってくるでしょう。

 

4 労働協約の締結当事者

 

(1)労働者側は労働組合とその連合団体

労働協約の締結当事者となるためには、労働協約の締結能力を持っていなければなりません。
 労働者側の当事者となる労働組合は、使用者から経費援助を受けていない自主的な組合でなければなりません。

労働組合法(第2条)では、組合を「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体」としています。

したがって、個々の組合はもちろんのこと個々の組合を直接構成員としている連合団体にも労働協約の締結能力がありますし、中小企業に多く見られるいわゆる「合同労組」にも労働協約締結能力があるということになります。

(2)使用者側はその使用者とその団体

使用者は労働協約の締結当事者となることは当然のことですが、使用者団体も当事者となることができます。
 しかし、親睦を目的とした使用者団体は一般に当事者となり得ません。
 ここでいう当事者となり得る使用者団体とは、労働組合と団体交渉を行い労働協約を締結することを一つの目的(定款や規約に明記)として組織されている団体であります。

普通、これらの使用者団体はその都度委任を受けて、交渉を始める前に使用者を代表していることを伝え、双方確認した後、交渉に入るようです。

なお、中小企業等協同組合法及び中小企業団体の組織に関する法律に基づいて設立された事業協同組合、協同組合連合会、商工組合等については、これらの団体加盟組合員の従業員で結成されている労働組合とその労働条件について団体交渉を行い、又は労働協約を締結することが認められています。(昭和36.12.1労発第192号、労働省労政局長、中小企業庁長官発 各都道府県知事あて)

 

5 労働協約の内容


労働協約に定めるものは、主として労働条件その他労使関係全般に関する事項で、法令や公序良俗に反しないかぎり、その内容をどのように決めるかは当事者の自由です。

労働協約の内容を大きく分類しますと賃金、労働時間、休日、休暇など労働者の待遇についての基準を定めたいわゆる「規範的部分」と、組合活動に関すること、団体交渉に関すること、争議に関することなどもっぱら労働組合と使用者の関係を定めたいわゆる「債務的部分」に分けられます。

労働協約で取り決められる事項を例示しますと、おおむね次のようになります。

1.前文又は序文

2.総則に関する条項

1.  労働協約の目的

2.  労働協約の適用範囲

3.  組合員の範囲

4.  ショップ制

5.  経営権と労働権に関すること

3.組合活動に関する条項

1.  就業時間中の組合活動(賃金)

2.  会社施設の利用(組合事務所、備品、掲示板)

3.  組合専従者

4.  チェックオフ(組合費天引き)

4.人事に関する条項

1.  人事原則

2.  採 用

3.  人事異動(転勤、出向)

4.  解 雇(懲戒)

5.  賞 罰

6.  退 職(定年制)

7.  休 職(復職)

8.  教育又は研修

5.労働条件に関する条項

1.  総 則

2.  賃 金(賃金、退職金、賞与(一時金)、昇給などの基準)

3.  労働時間(所定労働時間、休憩、交替制、フレックスタイム制、変形労働時間制、時間外及び休日労働、女子の時間外労働)

4.  休 日(休日振替、公民権行使)

5.  休 暇(年次有給休暇、生理休暇、産前産後の休暇、特別休暇、育児の時間、欠勤など)

6.  育児休業

7.  宿日直

8.  出 張

9.  配置転換、出向

6.災害補償に関する条項

1.  療養補償

2.  休業補償

3.  障害補償

4.  遺族補償

5.  傷病補償

6.  葬祭料

7.安全衛生に関する条項

1.  安全衛生の措置

2.  総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、作業主任者、産業医、安全衛生推進者等

3.  災害予防

4.  安全施設

5.  安全衛生教育

6.  安全委員会、衛生委員会

7.  健康診断

8.  病弱者の就業禁止等

8.福利厚生に関する条項

1.  福利厚生施設

2.  施設の利用

3.  生活及び住宅融資

4.  慶弔見舞金

9.苦情処理に関する条項

1.  苦情処理の手続き

2.  苦情の範囲

3.  苦情処理委員会(仲裁及び団体交渉との関連)

10.労使協議制に関する条項

1.  労使協議会(経営協議会又は労働協議会)

2.  設置の趣旨

3.  構成及び運営

4.  付議事項

5.  専門委員会

11.団体交渉に関する条項

1.  団体交渉の原則及び交渉義務(唯一交渉団体)

2.  交渉事項

3.  交渉機関

4.  交渉担当者

5.  交渉手続きとその方式

6.  交渉時間

7.  傍聴者及び公開・非公開

12.平和条項

1.  平和義務

2.  争議調整条項

3.  労働委員会等第三者のあっ旋・調停

13.争議行為に関する条項

1.  争議行為の予告

2.  争議行為不参加者(休暇、欠勤の取扱い)

3.  代替要員雇入禁止

4.  争議中の団体交渉

5.  争議中の賃金不払い

6.  保安要員

7.  会社施設の利用

8.  その他争議行為に関する事項

14.効 力

1.  疑義の取扱い

2.  協議中の適用

3.  有効期間(改廃手続)

4.  自動更新(自動延長)

5.  余後効

15.附 則

1.  労働協約締結日及び締結者

2.  了解事項

 

6 労働協約の効果

 

 

 

(1)規範的効力と債務的効力

一般に賃金や労働時間その他労働者の待遇についての基準を定めた部分を労働協約の「規範的部分」といい、労働組合法上特別の効力が与えられています。
 すなわち、労働協約に定められた基準が就業規則や労働契約などで決められた基準よりも優先し、使用者は労働協約で決められた基準を遵守しなければならないというものです。
このような効力を一般に労働協約の規範的効力と呼んでいます。

具体的には、賃金、退職金、労働時間、休日、休暇、安全衛生、災害補償、人事異動、昇進、賞罰などを定めた部分が規範的部分にあたります。

これに対して、労働組合と使用者の関係を定めた部分を労働協約の「債務的部分」といい、労使協議制、団体交渉のルール、平和条項、争議行為等の組合活動や団体交渉など労使間の約束事を定めた部分がこれにあたります。
債務的部分については労使双方ともこれを誠実に遵守しなければなりません。

(2)労働協約の拡張適用

ア.一般的拘束力
労働協約は、原則としてそれを締結した労働組合の組合員にのみ適用されます。
しかし、労働者がすべて組合員であるとは限りません。何かの事情で組合に加入していない場合もあります。
それらの労働者が組合員より低い労働条件で雇用されていると、労働協約で比較的高い条件を取り決めても足を引っ張られることが考えられます。

そのようなことから労働組合法第17条では、組合が一定の要件を満たした場合、その組合が締結した労働協約は、当該組合の組合員以外のものにも自動的に拡張適用されるとしています。この効力を労働協約の一般的拘束力と呼んでいます。

一定の要件とは、「一の工場事業場に常時適用される同種の労働者の4分の3以上の労働者が、一の労働協約の適用を受けるに至ったとき」をいいます。
普通、企業内組合でしたら、一の工場事業場ごとに一般の労働者の中で組合員が4分の3以上いるかどうか計算してみることになります。拡張適用は、名目上の臨時工などにももちろん及びます。

なお、拡張適用されるのは労働協約の「規範的部分」と呼ばれる労働者の待遇に関する部分で、組合と使用者の関係を定めた「債務的部分」については効力が及びません。

イ.地域的な一般的拘束力
ある地域の大多数の労働者が同じ労働協約の下で雇用されるようななった場合には、労働委員会の決議により、その地域全体の労働者に当該労働協約を拡張適用することができます。

(3)労働協約の余後効

余後効とは、労働協約が有効期間の満了やその他の理由で効力が失われた場合でも、それまで労働協約によって規律されていた個々の労働契約の内容が、存続することをいいます。

余後効について、労働組合法では何も定めていませんが、一時的に無協約の状態になったからといってそれまでの労働条件はその事実のみをもって変更させ得るものではありません。

 

 

[2] 基礎的労働基準としての「労働基準法のあらまし」などの土台の上に教員の諸条件を研究教育の特殊性に応じて規定することが必要) :

 厚生労働省がまとめた関連「法令集」データベース参照。データの冒頭に「憲法」が来るところが重要である。

 一昨年以来の「辣腕」事務局責任者やそれに追随する人々は、「条例第一主義」、金科玉条としての「市の条例」、その硬直的な適用(職員と教員の違いなどの無視)を強引に押しとおそうとしている。

 最近も「職免」規定の適用にその具体例がある。多くの教員は怒っているが、きちんと「条例第一主義」の愚かさを法的論理で制止するに至っていない。「怒り」には正当な直観的問題把握がある。しっかり法体系をつかんで、法体系に基づく大学の秩序を確立する必要がある

[3] 「前文」「総則」 「組合活動」「人事」「労働条件」「苦情処理」「労使協議」「団体交渉」、「平和条項」「争議行為」「その他」

[4] 教員組合からの連絡に寄れば、すでに「地方独立行政法人法案」は採決されてしまっていた。Cf.教員組合の反対(619) 、採決(72)・・・佐藤真彦教授HP

 

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組合員の皆様。

「国立大学法人法案」は国会審議でその本質的な矛盾点が次々に明らかになりましたが、7月9日参議院本会議で採決が行われ可決されました。しかし、可決に際して23項目の附帯決議が採択されざるを得なかったことに明らかなように、この法律の重大な問題点が明らかになりました。

  他方、「地方独立行政法人法案」は、ほとんど審議されないままに7月2日の参議院本会議で採決され可決されました。中期計画の評価如何では、法人の存立そのものが否定され、われわれ教員の雇用保障が失われる可能性も否定できないこのような重要法案が全く不十分な審議のままに可決されたことに怒りを抑え切れません。

  ただ、国立大学とは異なり、「地方独立行政法人法」についてはこれを採用するか否かに関しては、地方公共団体の判断が必要となります。現在、市大教員組合は、市労連、市従、自治労横浜、医従と共同して、中田市長、小川学長宛の申し入れを用意しつつあります。今後とも、われわれの身分保障と一層充実した研究・教育の展開のためにともに力を尽くして頑張りましょう。

 

全大教の声明を参考までにお送りします。

 

横浜市立大学教員組合執行委員長
               藤山嘉夫

 教員組合ホームページ
http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm

 

[5] 前掲の教員組合からの知らせを参照。

 前掲注の「全大教声明」は以下のようである。

 

「国立大学法人法案」等関係6法案の参議院可決、成立に対する声明

                                      200379 

                     全国大学高専教職員組合中央執行委員会

 1.「国立大学法人法案」「独立行政法人国立高等専門学校機構法案」等関係6法案は、衆議院における審議を受けて、523日に参議院本会議にて趣旨説明・代表質問が行われた。

529日からの参議院文教科学委員会において7回の審議が行われ、78日の委員会で6法案の採決が強行され、可決された。これを受けて本日、参議院本会議にて採決が行われて可決され、6法案が成立させられるに至った。

 私たちは、与党が採決を強行したことに対して強い憤りと抗議の意志を表明するものである。法案の成立により、大学・高等教育の充実をめざす私たちの前途には多大な困難が待ち受けている。しかし、いかなる困難があろうと人類と地域社会に貢献しうる大学・高等教育の再構築に向け、法案反対運動と国会審議の到達点をふまえて、学問の自由と大学の自治・自律的機能を発展させるとともに、教職員の身分と権利を擁護する取り組みを粘り強く進める決意を表明するものである。

2.参議院における審議を通じて、「国立大学法人法案」「独立行政法人国立高等専門学校機構法案」の問題点は、衆議院審議段階よりもさらに明確となった。

 第一に、文部科学大臣が国立大学法人の中期目標を定め、中期計画を認可する仕組みが作られることにより、文部科学省の統制・関与を強め、大学の自主性・自律性を著しく損なう危険性が生じうることが、あらためて確認された。目標の決定に際しては、大学作成の原案を尊重するとの答弁が重ねてなされたが、文部科学大臣に目標決定権が付与されている以上、その濫用の危険性は残されている。

 第二に評価制度に関わる多くの問題点である。

(1)      国立大学法人評価委員会の組織、委員構成、評価基準・方法は政令に委ねられ、評価の公正・透明性、大学における教育研究の特性をふまえた評価の実施などが法によって担保されるべきであるのに、そのような制度設計はなされていない。

(2)      中期目標の業績評価結果を次期中期目標期間の運営費交付金算定に反映するとしながら、その反映の仕方については国立大学法人評価委員会の検討に委ねると答弁して、透明性を欠いたままである。

(3)      独立行政法人通則法第35条の準用により、総務省に置かれている政策評価・独立行政法人評価委員会が、中期目標期間終了時において国立大学法人の主要な事務及び事業の改廃に関し、文部科学大臣に勧告することができるとされている。もし政策評価・独立行政法人評価委員会が、大学における教育研究の特性に何ら配慮することなく、かかる改廃の勧告を行うようなことになれば、明らかに外部から学問の自由と大学の自治を侵害する事態をもたらすものであり、また法人法第3条に規定する「大学における教育研究の特性への配慮」義務にも反するものである。このような準用規定は本来、削除されてしかるべきものであり、法が成立した状態の下でも、その適用は除外されるべきものである。

 第三に、運営組織は、役員会の議を経て学長が最終決定を行うトップダウン型のものであること、教育研究を直接に担う学内構成員の意見を無視して、学長と少数の理事が専断的に大学を運営する事態の生じる危険性が高いことが明らかとなった。

 第四に、財務・会計制度に関する具体的な事項は、政令・省令に委ねられており、運営費交付金の算定基準、会計基準など根幹となる事項についてさえ、参議院における審議の段階でも具体的には明らかにされなかった。また、附属病院の債務は約12600億円に達していることとともに、この債務を今後の病院収入を前提として償還していく計画であることが、答弁において明らかにされた。しかし、このような計画は大学における教育・研究・医療の水準の維持改善を脅かすものであり、充分な公費投入こそ必要である。

 第五に、教職員を「非公務員化」する根拠については、合理的で説得力ある答弁はなされず、教職員の「非公務員化」が教育公務員特例法の適用除外と定員削減の数合わせの具に供するものであることが一層浮き彫りとされた

 第六に、法人設立・法律施行に伴い必要な経過措置は、法案に入っている事項を除いて政令に委ねるとされていたが、充分な検討がなされていないことが明確になった。労働安全衛生法が適用されることになったとき、現状のままでは違法状態となることが明らかにされたのは、その一事例に過ぎない。

 第七に、国立高等専門学校については、「研究教育機関である大学とは異なるので、学問研究の自律性を担保する特例は設けずに、独立行政法人通則法による法人化を図った」という不当な答弁がなされた。研究活動も行われ、明らかに高等教育機関である高等専門学校の実態をふまえ、自治の仕組みを確立する道を開くべきである。 

3.「国立大学法人法案」「独立行政法人国立高等専門学校機構法案」には以上のような大きな問題点や不透明さが存在するが、同時に私たちの大運動を反映した国会審議を通じて、これらの問題点が最悪の形で顕現することを阻み、学問の自由と大学自治の擁護、教職員の身分保障と待遇改善を図る今後のとりくみをすすめる上で、権限濫用等の歯止めとして活用しうる答弁内容と附帯決議が採択された。その主なものは、次のとおりである。

 第一に、中期目標の決定に際しては、大学の原案を尊重すること、原案変更は財政上の理由など真にやむをえない場合に限るとされたこと。

 第二に、国立大学法人評価委員会については、委員の氏名・経歴、評価結果、議事録の公表など公正性・透明性の確保を図るとされたこと。評価結果について、大学の異議申し立て権を法令上明記するとしたこと。

 第三に、評価結果と資源配分の関係について、国立大学法人法第3条の趣旨を踏まえ、慎重な運用に努めるとともに、継続的な見直しを行うこととされたこと。

 第四に、政策評価・独立行政法人評価委員会による改廃勧告に関しては、国立大学法人法第3条の趣旨を踏まえ、大学本体や学部等の具体的な組織の改廃、教育研究活動には言及しないこととされたこと。

 第五に、学長選考については、学内構成員からの幅広い意向聴取手続き等選挙を含め、学長選考会議、大学が自主的に決定する事項であることが明確にされたこと。

 第六に、運営費交付金の算定に当たっては、算定基準及び算定根拠の詳細を公表し、公正性・透明性を確保するとともに、各法人の特性を考慮した適切な算定方法となるよう工夫すること、従来以上に各大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めることとされたこと。

 第七に、法人化に伴う労働関係法規等への対応については、法人成立時に支障の生じないよう、財政面その他必要な措置を講ずること、法人移行後新たに必要となる経費については運営費交付金等により確実に措置することとされたこと。

 第八に、国立高等専門学校については、各学校の自主性・自律性を尊重することとされたこと。 

4.以上のように法案の問題点を浮かび上がらせ、また種々の権限濫用等の歯止めとして活用しうる答弁・附帯決議を引き出したことは、国会内外における法案反対の取り組みの反映や法案自体がはらんでいる問題点と歪みによるものである。

 第一に、参議院審議の段階でも、野党は結束して徹底慎重審議を追求し、法案の問題点を鋭く追及した結果、審議の度重なる中断、文部科学大臣等の陳謝の連続をもたらし、早期成立という政府・与党の思惑を許さず、ついに本来の会期内には成立せず、審議は7月にまで及び満身創痍とも言うべき状態に追い込まれながら可決・成立された。

 第二に、野党の結束は固く、参議院においても「国立大学法人法案」「独立行政法人国立高等専門学校機構法案」の採決にあたっては、全野党が政府案に反対した

 第三に、衆議院における10項目の附帯決議についで、参議院においても23項目の附帯決議が採択された。これらの附帯決議には228日付の全大教中央執行委員会声明や38日付の「国立大学法人法案に対する第二次対案」などにおける私たちの主張が一定反映されており、今後の取り組みをすすめる上で活用できるものである。

 第四に、以上のような国会内の動向には、私たち全大教が固く団結して、法案の廃案をめざして全国的に展開した運動が反映している。10数次にわたる国会傍聴行動や国会要請行動とともに、職場・地域においても学長会見、教授会への働きかけ、意見広告、地元国会議員への要請や文教科学委員への要請文書活動、地方議会での意見書採択の要請等、粘り強く多様な活動がすすめられた。法案提出以降も、10を超える大学での教授会等の法案反対・批判、慎重審議要求の見解が公表されたことは、取り組みの前進に寄与するものであった。

 第五に、12の中央団体の参加する「国立大学、高専法人法案に反対し、大学・高等教育の充実をめざす連絡会」は、国会傍聴・要請行動、請願デモ等にとりくみ、共闘の輪が広がり、運動の前進を促した。 

5.「国立大学法人法案」「独立行政法人法案」の成立に対して、私たちはここにあらためて深い憤りを表するものである。同時に、大学共同利用機構、公立大学の法人化問題を含めて、この間の取り組みで築いた到達点を大いに活用し、全国組織である全大教と各加盟組合がいっそう固く団結して、新たな取り組みを粘り強く進めることを誓うものである。

 第一に、人類と地域社会に貢献することのできる大学・高等教育づくりという理想・目標を掲げ、その実現のために不断に努めるとともに、そのための確かな保障として、法人制度の下でも、学問の自由を尊重する仕組み、自治の内実をつくりあげていくためのとりくみをすすめるものである。

 第二に、法人制度化下の新しい労働関係に対応すべく、教職員の多数を組織し、大学・高等教育機関の労働組合としての機能を充実させ、教職員(定員外職員を含む)の身分保障と労働条件の維持・改善、地位確立のために、全力で奮闘するものである。

 全大教に結集する皆さんに、新たな取り組みに一致団結して参加することを心から呼びかけるとともに、今日まで暖かく激励してくださった共闘団体の皆さんに引き続きのご支援を、地域・国民の皆さんにご理解、ご協力を訴えるものである。

 

[6] 国立大学法人法案、独立行政法人国立高等専門学校機構法案、独立行政法人大学評価・学位授与機構法案、独立行政法人国立大学財務・経営センター法案、独立行政法人メディア教育開発センター法案及び国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議

 政府及び関係者は、国立大学等の法人化が、我が国の高等教育の在り方に与える影響の大きさにかんがみ、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一、国立大学の法人化に当たっては、憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学の教育研究の特性に十分配慮するとともに、その活性化が図られるよう、自主的・自律的な運営を確保すること。

二、国立大学法人の運営に当たっては、学長、役員会、経営協議会、教育研究
評議会等がそれぞれの役割・機能を十分に果たすとともに、全学的な検討事項
については、各組織での議論を踏まえた合意形成に努めること。また、教授会
の役割の重要性に十分配慮すること

三、役員等については、大学の教育研究や運営に高い識見を有し、当該大学の発展に貢献し得る者を選任するとともに、選任理由等を公表すること。また、政府や他法人からの役員の選任については、その必要性を十分に勘案し、大学の自主性・自律性を阻害すると批判されることのないよう、節度を持って対応すること。監事の任命に当たっては、大学の意向を反映するように配慮すること。

四、学長選考会議の構成については、公正性・透明性を確保し、特に現学長が委員になることについては、制度の趣旨に照らし、厳格に運用すること。

五、中期目標の実際上の作成主体が法人であることにかんがみ、文部科学大臣は、個々の教員の教育研究活動には言及しないこと。文部科学大臣が中期目標・中期計計画の原案を変更した場合の理由及び国立大学法人評価委員会の意見の公表等を通じて、決定過程の透明性の確保を図るとともに、原案の変更は、財政上の理由など真にやむを得ない場合に限ること

六、法人に求める中期目標・中期計画に係る参考資料等については、極力、簡素化を図ること。また、評価に係る業務が教職員の過度の負担とならないよう、特段の措置を講ずること。

七、国立大学の評価に当たっては、基礎的な学問分野の継承発展や国立大学が地域の教育、文化、産業等の基盤を支えている役割にも十分配慮すること。また、評価結果が確定する前の大学からの意見申立ての機会の付与について法令上明記し、評価の信頼性の向上に努めること。

八、国立大学法人法による評価制度及び評価結果と資源配分の関係については、同法第三条の趣旨を踏まえ慎重な運用に努めるとともに、継続的に見直しを行うこと。

九、国立大学法人評価委員会の委員は大学の教育研究や運営について高い識見を有する者から選任すること。評価委員会の委員の氏名や経歴の外、会議の議事録を公表するとともに、会議を公開するなどにより公正性・透明性を確保すること。

十、独立行政法人通則法を準用するに当たっては、総務省、財務省、文部科学省及び国立大学法人の関係において、大学の教育研究機関としての本質が損なわれることのないよう、国立大学法人と独立行政法人の違いに十分留意すること。

十一、独立行政法人通則法第三十五条の準用による政策評価・独立行政法人評価委員会からの国立大学法人等の主要な事務・事業の改廃勧告については、国立大学法人法第三条の趣旨を十分に踏まえ、各大学の大学本体や学部等の具体的な組織の改廃、個々の教育研究活動については言及しないこと、また、必要な資料の提出等の依頼は、直接大学に対して行わず、文部科学大臣に対して行うこと。

十二、運営費交付金等の算定に当たっては、算定基準及び算定根拠を明確にした上で公表し、公正性・透明性を確保するとともに、各法人の規模等その特性を考慮した適切な算定方法となるよう工夫すること。また、法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めること。

十三、学生納付金については、経済状況によって学生の進学機会を奪うこととならないよう、将来にわたって適正な金額、水準を維持するとともに、授業料等減免制度の充実、独自の奨学金の創設等、法人による学生支援の取組についても積極的に推奨、支援すること。

十四、国立大学附置研究所については、大学の基本的組織の一つであり、学術研究の中核的拠点としての役割を果たしていることにかんがみ、短期的な評価を厳に戒めるとともに、財政支出の充実に努めること。全国共同利用の附置研究所についてもその特性を生かすこと。また、各研究組織の設置・改廃や全国共同利用化を検討するに当たっては、各分野の特性や研究手法の違いを十分尊重し、慎重に対応すること。

十五、法人化に伴う労働関係法規等への対応については、法人の成立時に違法状態の生ずることのないよう、財政面その他必要な措置を講ずること。また、法人への移行後、新たに必要とされる雇用保険等の経費については、運営費交付金等により確実に措置すること。

十六、国立大学法人への移行について、文部科学省は、進捗状況、課題などを明らかにし、当委員会に報告を行うこと。

十七、学校教育法に規定する認証評価制度の発展を通じ、国立大学等が多様な評価機関の評価を受けられる環境を整備し、ひいては我が国における大学評価全体の信頼性の向上を図るため、認証評価が円滑に行われるよう必要な資金の確保、その他必要な援助に努めること。

十八、国立高等専門学校については、各学校の自主性・自律性を尊重し、教育研究の個性化、活性化、高度化が一層進むよう配慮すること。

十九、国は、高等教育の果たす役割の重要性にかんがみ、国公私立全体を通じた高等教育に対する財政支出の充実に努めること。また、高等教育及び学術研究の水準の向上と自立的な発展を図る立場から、地方の大学の整備・充実に努めること。

二十、職員の身分が非公務員とされることによる勤務条件等の整備については、教育研究の特性に配意し、適切に行われるよう努めること。また、大学の教員等の任期に関する法律の運用に当たっては、選択的限定的任期制という法の趣旨を踏まえ、教育研究の進展に資するよう配慮するとともに、教員等の身分保障に十分留意すること

二十一、法人への移行に際しては、「良好な労働関係」という観点から、関係職員団体等と十分協議が行われるよう配慮すること。

二十二、公立の義務教育諸学校の教職員の処遇については、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法を今後とも堅持し、国家公務員に準拠する規定が外されることにより同法の趣旨が損なわれることがないよう、十分配慮すること。

二十三、高等教育のグランドデザインの検討に当たっては、生涯学習社会の形成の観点から、専門学校を含む高等教育全体について、関係府省、地方公共団体等とも連携しつつ、広範な国民的論議を踏まえ行うこと。

 右決議する。

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共同通信 200378日付
国立大法人法案を可決 自主性重視で委員会決議

 国立大学を国の直轄から切り離す国立大学法人法案など関連6法案は、8日
午後の参院文教科学委員会で、与党3党の賛成多数により可決された。6法案
は9日午後の参院本会議で可決、成立の見通し。

 来年4月には89の国立大法人が誕生。55の国立高等専門学校は1つの独
立行政法人に統合される。

 同委員会は付帯決議で、大学の自主性を重んじるとともに、運営交付金の算
定根拠などを公表することなどを求めた。

 法案は、学長のトップダウンによる学校運営を目指し、役員会や経営協議会、
教育研究評議会の3つの組織を新設。経営協議会には学外の有識者を半数以上
入れることを求めた。

 予算の基本となる運営交付金は、文科省に設置する「国立大学法人評価委員
会」が中期目標をどの程度達成したのかを評価し、反映させる。


Nikkei Net 2003
78日付
国立大学法人法案、9日成立

 国立大学を国の直轄から独立した法人にする国立大学法人法案など関連六法
案が8日、参院文教科学委員会で採決され、与党三党などの賛成多数で政府原
案通り可決した。9日の参院本会議で可決、成立する見通し。

 8日の参院委で民主党は、法人化後の大学の運営指針となる「中期目標」を
文部科学相が策定するのではなく、大学が作成して文科相には届け出だけにす
ることなどを柱とする修正案を提出したが、否決された。また委員会は、23
目の付帯決議で、大学の自主的・自律的な運営の確保や、地方の大学の整備・
充実に努めることなどを求めた。国立大学法人法案など関連六法案は当初、6
月中旬の成立が見込まれていたが、6月初旬に国会審議が中断。同月下旬に再
開したが、国会の会期延長もからんで成立がずれ込んだ。法人化後、国立大学
は文科相が定める期間6年の中期目標に沿って中期計画を策定。文科省が10
に新設する「国立大学法人評価委員会」が目標や計画の達成状況を評価し、国
が配分する運営費交付金の額に反映する仕組みに変わる。


asahi.com 2003
78日付
89国立大法人、来春に誕生 9日に法案成立へ

 国立大学を法人化して国の組織から独立させる国立大学法人法案とその関連
法案が、8日の参院文教科学委員会で、与党の賛成で原案通り可決された。9
日の本会議で成立する見通しで、来年4月、全国に89の国立大学法人が誕生
する。各大学に学長のリーダーシップを生かす運営組織をつくり、学科の編成
や授業料などを独自に定める裁量や、使い道を自ら決められる資金を与える。
より自由にして「個性化」を進めるのがねらいだ。

 文部科学省による「護送船団」方式での運営からの大きな転換。国立大の歴
史上、1886年の帝国大学令公布や1949年の新制国立大発足以来の改革
といえる。

 法人化により、大学運営は学長を中心としたトップダウン型に変わる。これ
までは教授会を軸としたボトムアップ型で、「意思決定に時間がかかりすぎる」
「思い切ったことができない」といった指摘が絶えなかった。「国立大は閉鎖
的で意思決定も不透明だ」との批判にも応えるため、役員などに学外の有識者
を必ず加えることになる。

 文科省が各大学の細かな予算要求をたばねていた仕組みも変わる。大学ごと
に運営費交付金を渡し、その中で自由に使うことができるようにする。有識者
らによる文科省の「国立大学法人評価委員会」が業績を評価し、その結果が交
付金の額に反映される。

 学校間の競争も激しくなることが予想され、それぞれの大学には、自主性や
自律性を高めて教育や研究を活性化することや、国際的な競争力を付けること
などが強く求められる。学長の責任は格段に重くなり、経営手腕が問われる。

 国立大は短大、大学院大を含めて計99校あるが、今秋に20校が10校に
統合するため、来春は89校が法人化する。各大学と関連する機関の教職員ら
13万人余は公務員ではなくなり、それぞれの法人職員になる。

 野党側は、各大学の運営の指針となる「中期目標」を文科相が定めるとの政
府案に「国の統制を強める恐れがある」などと反発。民主党は中期目標を大学
側が届け出る制度にする修正案を提出したが、否決された。

 採決後、委員会は法の施行にあたって、文科省と大学側のやりとりを公表す
るなど透明性を確保することを主眼とした23項目にわたる付帯決議をした。

 関連法案には、全国に55校ある国立高等専門学校を一つの独立行政法人の
下に設置して法人化する独立行政法人国立高等専門学校機構法案も含まれてい
る。


Mainichi Interactive 2003
78日付
国立大学:法人法案などが参院委で可決 9日成立へ
 
 国立大学を来年4月から独立法人化し、国の行政組織から切り離すための国
立大学法人法案など関連6法案が8日、参院文教科学委員会で賛成多数で可決
された。9日午後の参院本会議で可決・成立する見込み。

 法案では学長の権限が強化され、学外委員を過半数とする経営協議会が新設
されるほか、業績評価に基づいて運営交付金の額が算定されることも盛り込ま
れ、従来は一律だった授業料も横並びではなくなる。

 昨年度末で99校あった国立大は今秋までに89校に統合されるため、来春
から法人化するのは89大学となる。【横井信洋】


『産経新聞』200379日付
国立大法人法案 きょう可決、成立 授業料など固まらぬまま

 全国の国立大学を国の機関から切り離して独立法人化する国立大学法人法案
が八日、参院文教科学委員会で賛成多数で原案通り可決された。九日午後の参
院本会議で可決、成立の見通し。各大学の独自性を高め、競争を促すなど大学
改革の進展が期待される一方で、受験生にとって志望校を選択するうえで不可
欠な授業料など細かいことが固まっておらず、「もっと受験生の立場に立って
積極的に情報を示してほしい」といった声も聞かれる。

 授業料について、遠山敦子文部科学相は「経済状況に左右されないと同時に、
各大学の自主性に留意して決める。予算もからむので、最終的決定はできてい
ない」と従来の見解を繰り返した。

 国立大学の授業料は現在、大学や学部にかかわらず一律五十二万八百円。独
法化後は「国が標準額を示し、それにもとづいて各大学が一定の範囲内で決め
る。標準額は現在の授業料がベースになる」とされている。

 文部科学省は「学部別で標準額に差をつけることはない」としているが、一
定の範囲内ならば大学側の裁量で授業料が決められる。このため各大学の授業
料はもちろん、「同じ大学の学部間で格差がつくかどうか」「大学で決められ
る授業料の上限や下限はいくらなのか」「入学後の学費値上げは許されるのか」
といった受験生にとって不可欠な情報が入試まで約半年の現段階で固まってい
ない。

 予備校関係者は「独法化で大学が将来、何がどう変わるのか具体的なイメー
ジがわいてこない。さらに、肝心な授業料もこの時期に決まってないなんて、
あまりに受験生をないがしろにしている」と戸惑いをみせている。

 

 

[7] 「格差是正」を主張し、内容的には、国立大学や公立大学の存在を結局のところ否定し、私学並の授業料にすることを求めている。

 わが国の国公立大学や私学補助のGDPに占める割合のすくなさを批判するのではなく、国立大学や公立大学を私学並の援助水準に引き下ろそうとする発想となっている。

 

[8] 大学の自主性が強められるかどうか、中期目標・中期計画を「文部科学大臣が定める」ということは、大学の自主性とどのように両立するのか、法案の付帯決議でわざわざ「大学の自主性を尊重するように」といわなければいけないことは何を意味するのか?

 法案の実際の内容と、理念として(希望として)掲げられていることとの違いが無視されている。

 

[9] 産業界社会の営利的・短期的利害と直接結びつく研究のみに、外部資金が投入され、そのような研究だけが大学内で跋扈する危険性がある。

 それは、「大学が営利追求に走る」ことではないが、社会の営利目的に従属することになる。 

 

[10] はたして、どこの誰が、「法人化すると営利追求に走る」といっているのか?

 批判者が批判していない論点をつくって、その陰を攻撃しているのではないか?

[11] これは正しい。

 だからこそ、公的資金による運営が必要となる。

 私立学校に対しても、学問・科学の研究教育の担い手として、市場原理ではなく非営利原則の法人として、私学助成法において経費半額までの補助を努力目標としてきたのではないか。

 私学補助の少なさをうらんで、国立や公立を私学並水準に引き下げようというのは、世界的に見れば、亡国の議論ではないか?

 日本の科学技術の発展を妨害するものではないか? 

 国公立大学を私学並に引き摺り下ろすことに成功して、気がついたときには、日本の科学技術の研究教育は世界のなかで多くの国や地域の後塵を拝するということにならないか?

 

[12] 国立大学の維持、公立大学への補助(地方交付税を通じるやり方)、私学助成は、まさにこのようなシステムである。

 

[13] 「設置形態にかかわりなく」国家からの援助は大学に対して与えられている。国立大学にはその国庫から、公立大学には地方交付税を通じて、私学には私学助成を通じて。

 問題は、その額であり、その利用のし方であり、国立や公立であることの位置付けである。

 「設置形態にかかわりない」資金配分は、それこそ基礎研究や非効率的学問分野を担うべき大学とそうでない大学とをまったくいっしょにしてしまうことであり、問題ではないか? 国立大学や公立大学は、社会的には必要だが、非効率的な基礎研究分野(営利に直接結びつかない分野)をこそ、担うべきであり、それに応じた公的資金が投じられるべきではないのか? それが、国立大学・公立大学の存在意義ではなかったのか。

 

[14] 私学助成の増額は当然のことであり、世界的に見て、国家の研究教育への財政配分が比率的に少ないことを問題とすべきではないか。

 

[15] 「チェックする」ことが、学問・科学研究を官僚支配のもとに置き、佐和京都大学経済研究所教授のいう「ソヴィエト化」の制度設計になっている点が批判されている。

 単純な「チェック」ではなく、官僚統制の危険性が問題になっている。

 

[16] まさにこれはうたい文句であって、実質の制度設計がむしろこれまでのわずかの「自立性」すらも官僚統制下に置くことになる危険性が批判されている。

 

[17] 「排除できるはず」というのは、楽観的である。

 「排除できるはず」なら、わざわざ付帯決議をいくつもつけなくてもいい。

 

[18] 法案で規定される諸条項では、「監視する仕組み」が機能せず、むしろ大学の自治や学問の自由闊達な発達を阻害する側面が問題にされている。

 

[19] 「評価委員会」を文部科学小が牛耳ることになれば(今回の法案における規定を使って)、大学の自治や学問の自由な発展は阻害される。

 

[20] 「チェック」機能が、阻害・抑圧機能に転化する。

 

[21] 法人法に批判の立場は、役員会などへの学外者の参加のし方が、大学の自立性・自主性を損なう危険性について、問題にしている。

 「学外者の参加」それ自体を否定しているのではない。

 問題のすり替えである。

 法案自体をじっくり見てみる必要がある。

 

[22] 「競争条件を等しくする」と国立大学や市立大学は必要なくなるであろう。

 

[23] 国立大学・公立大学の学生・院生定員は限定されたものであり、その意味では、厳しい競争相手(条件の有利な競争相手)が国公立大学として存在することにより、私立大学の競争が激しくなる、ということである。「民業」の競争圧力を増大する、というのはそのとおりであろう。

 

[24] 私学助成の増大による格差是正こそ、大学人全体が一体となって追求していくべきものだろう。

 国公立大学の条件を悪くして(たとえば授業料を引き上げさせて)しまうことは、私学の競争条件を甘くすることになる。

 

[25] 福井藩士の子として横浜に誕生、十歳まで横浜に。小さいときから英語堪能→英語塾へ、東京に移ってからは開成学校へ、その開成学校が東大に昇格、第一期卒業生8名のビリから2番目で卒業、書いていた卒論を妻が燃やしてしまい、急遽書いたのは美術論であったとか。英文著書3冊、外国で著名でも日本では当初注目されず、昭和十二年に岩波文庫に翻訳され以降、有名に、と。

 

[26] 狭い視野の大学改革批判、ある意味では「改革」に付和雷同するのではなく、じっくり腰を落ち着けることこそ大切。

市民の視野と見識の広さ深さが問われることへの注意喚起。

彼の親類関係の東大教授は第2次世界大戦後、国際数学会名誉会長に選ばれたそうだが、その彼は3本の論文しか書いていない、と。中期目標、数値目標などで縛られることになれば、くだらない論文の数ばかりが増えることへの警告など

 

[27] 学長は、全学委員会と教授会の決議(告発状)を踏まえ、評議会という審議機関・最高意思決定機関でしかるべき審議と決定を可及的すみやかに行わなければならない。

 

[28] 国立大学法人法案では、代表的私学(たとえば慶応、早稲田、法政など)と同じく、法人の長を学長が兼ねることになっていおり、私の考えではそれが大学という組織においては妥当だと考えられるが、国立大学法人法案に批判的な大学人は法案における学長権限の強化を問題にしているが、他方で、法人の長と大学長を分離し、法人の長を学長の上に置くいた場合の危険性(法人・経営・事務局の専断体制の危険性=大学の自治・学問の自由の喪失の危険性)を示す。

 

[29]  将来構想委員会の中間報告の「概念図」は、まさに、法人(経営)が学長を下において教学の人事権を左右しうる構造になっていると思われる。

 大学の自立や自治は、最後の一片まで剥奪される、ということになりはしないか?

 今後、大学の教学・経営全体を含めたシステムのあり方が、きわめて重大問題になってくる。教員組合が、7月2日の総会で、全大教加盟を決定し、大学関連係争事件を多く扱う有能な法律家(弁護士)を顧問弁護士とすることに決めたが、まさに時宜を得た決断だったということになろう。

 

[30] アンケート実施の提案は、形式上は、今年度の「自己点検・評価委員会」の提案のか達になっており、当委員会が承認したものだが、アンケート趣旨等の文書作成において昨年度確認事項との違いなどに関する問題があるので。

 

[31] 例えばアンケート項目の妥当性などに関する教授会との意見交換、フィードバック欠如など。教授会無視の手順。

 

[32] 不適切な項目、一つの質問項目に複数の質問事項など。

 

[33] 7月実施という提案だが、前期科目については7月は理解できるが、それでも講義終了事典という確認とは違う。ましてや、通年講義の場合、講義が終わる段階の年度末の時期ではないこと。授業評価という点での無理さ加減。

 

[34] 本学の大学教員が何年かの時間をかけたものであり、いくつかの構想のなかでは相対的に一番、自立性・自主性・内発性の性格が強いものである。

 

[35] ******以下、「国立大学法人法案」の廃案を求める意見広告賛同者への通信--------
皆様。
7/2「日刊ゲンダイ」にも「意見広告」が掲載されます。
紙面構成上、毎日の縮小版という感じになります。
どうぞ、再度のご支援をお願い申しあげます。
ゲンダイは、本日7/1に記事にもなっています。
当方としては、かなり恥ずかしいですが、こうなった以上、何でもやります。
             事務局 野村

「毎日」の広告について、次のような御意見をいただいています。

毎日新聞に意見広告を出す件自体は戦略的に見ても、朝日、読売、その他、と来ているので当然の選定なのかと思うのですが、一つお聞きしたいことがあります。
6月24日付で、毎日新聞が大学法人化問題に関して、最近の論調としては、横井信洋氏の偏った論評しか出していないということで、毎日新聞を購読している私としても、「国立大学法人法案に反対する」貴会の毎日新聞への質問状に同感しているものです。
が、その新聞で横井氏の論評と違う立場の論評などが出されていない中で、その新聞に意見広告を載せる決定をした判断基準なりを書いて、この会に賛同するメンバーへの同意をもう少し丁寧に取り付ける必要があるのではないでしょうか。

「・毎日全国版としたのは、費用・全国性・誠実性を考慮に入れてのことです。」というご説明だけでは、横井氏問題との関係の整理がつけられていないように思いましたので、おせっかいないい方だったかもしれませんが、メールを出させていただきました。

*まず毎日への決定は、6/24以前になされています。
意見広告は、最低10日前から準備に入らなければなりません。
ぎりぎりの紙面確保は1週間前です。
これは実は驚くべきスピードで、広告社・デザイナー・新聞社の協力があればこその展開です。(普通は2カ月前からの準備)

次ぎに「誠実性」に関してですが、広告掲載決定とともに広告部を通じて、記事依頼を必ず出しています。
記事は編集権限なので、依頼が実ることは少ないのですが、三紙中唯一記事依頼に応えてくれたのが「毎日」です。
参院の参考人陳述で「国会で東大対決」という記事と、横浜市大の法人化に関する記事[35]です。
読売は、「法人化」に賛成しているので、読者に混乱を与えるから批判的な記事は載せないという返事をくれました。
「意見広告」は読者に混乱を与えないのでしょうかね。

今回の横井記者の記事に関しては、厳重抗議中ですが、読者からの意見が一番効き目があります。
新聞には、読者の意見を求める通信欄の案内がありますので、それを利用して意見を送るのが効果的かと思います。

***
次のようなご連絡をいただいております。

「国立大学法人法案」に反対する意見広告の会 の皆様、
 先日に配信されたマスコミコンタクトリストにフジテレビがのっていなかったので、フジテレビの友人に誰にコンタクトをすればよいのか聞きました。以下のような返事がかえってきました。お手数ですが、解説委員室に、情報を提供していただけないでしょうか。
取り上げてもらえるかはわかりませんが、情報提供をする価値はあると思います。
どうかよろしくお願いいたします。

*了解いたしました。 「事務局」

Forwarding message ...

 資料に関しては、フジテレビ報道局の箕輪幸人・解説委員にご連絡下さい。
 彼は有事関連や個人情報なども勉強しており、テレビでも的確な解説をしています。
 彼にはすでに連絡済みで「テレビでは取り上げないが、あの法案もひどい法案なん ですよ」と言っていました。
 連絡先は、フジテレビ取材センター社会部 解説委員室です。
 〒137-8088 東京都港区台場2-4-8
 電話:03-5500-8552  FAX03-5531-8173 です。
 よろしくお願いします。

***
以下、次のような連絡が届いています。

[1] 7/1
国会情勢速報 No.29 直ちに3日採決強行反対のファックスを!

独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局
/独立行政法人問題千葉大学情報分析センター事務局:共同編集
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与党、1日の理事懇談会で3日採決を提案。
各党、持ち帰り。2日、改めて理事懇談会へ。

直ちに3日採決強行反対のファックスを!

 
1日の文教科学委員会では、佐藤(民主)、畑野(共産)、西岡(国連)の各委員が鋭い質疑を行い、文科省側はしばしば答弁不能状態に陥った。西岡委員は、最後に「引き続き次回に質問を行う」と宣言し、未解明の問題が山積みしていることを強く主張した。

 
しかし、与党は、委員会後の理事懇談会で、3日の委員会における民主60 分、共産30分、国連30分の質疑を確認した後、3日の委員会採決を提案したので ある。しかし、この提案はその場では受け入れられず、各党持ち帰りとなった。理事 懇談会は、2日午前10時〜10時10分の参議院本会議後、開催され、与党提案を議論することとなった。

 
10時10分から開かれる理事懇談会に、3日採決方針を取り下げ、徹底審議 の続行を要請しよう

 
事態は緊迫している。委員会審議で次々と破綻する文科省を与党は採決強行で 救おうとしているのである。
直ちに、文教科学委員、とりわけ理事諸氏、各党・会派 党首、幹事長(書記局長)、政策委員長、国会対策委員長などに、採決強行反対、徹 底審議継続の要請ファックスを、全国から集中しよう。そして、明日、午前10時10分から開かれる理事懇談会で、3日採決方針を取り下げさせ、徹底審議の続行を確認させよう。
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[1-1]
参議院文教科学委員会名簿
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議 員 名      党派  選挙区  文科委  会館 会館TEL  FAX

大野 つや子    自保  岐 阜  委員長  242  3508-8242  5512-2242
仲道  俊哉    自保  大 分  理 事  429  3508-8429  5512-2429
橋本  聖子    自保  比 例  理 事  302  3508-8302  5512-2302
有馬  朗人    自保  比 例  委 員  223  3508-8223  5512-2223
有村  治子    自保  比 例  委 員  229  3508-8229  5512-2229
大仁田  厚    自保  比 例  委 員  706  3508-8706  5512-2706
扇   千景    自保  比 例  委 員  436  3508-8436  3592-0407
北岡  秀二    自保  徳 島  委 員  236  3508-8236  5512-2236
後藤  博子    自保  大 分  委 員  538  3508-8538  5512-2538
中曽根 弘文    自保  群 馬  委 員  630  3508-8630  3592-2424
山本  香苗    公明  比 例  理 事  319  3508-8319  5512-2319
草川  昭三    公明  比 例  委 員  202  3508-8202  5512-5400

--------------------------------------
佐藤  泰介    民主  愛 知  理 事  411  3508-8411  5512-2411
岩本   司    民主  福 岡  委 員  231  3508-8231  5512-2231
江本  孟紀    民主  比 例  委 員  740  3508-8740  3580-1116
神本 美恵子    民主  比 例  委 員  421  3508-8421  3508-0010
山根  隆治    民主  埼 玉  委 員  707  3508-8707  5512-2707
林   紀子    共産  比 例  理 事  342  3508-8342  3508-8342
畑野  君枝    共産  神奈川  委 員  629  5512-2629  3508-8629
西岡  武夫    国連  比 例  委 員  542  3508-8542  5512-2542
山本  正和    国連  比 例  委 員  216  3508-8216  3502-8853

---------------------------------------------------------------
審議に加った議員:

内藤  正光    民主  比 例          424  3508-8424  5512-2424
鈴木   寛    民主  東 京          635  3508-8635  5512-2635
櫻井   充    民主  宮 城          324  3508-8324  5512-2324
----------------------------------------------------------------------
民主党国会対策委員長:輿石 東: fax 03-3593-6710


有益な情報です。「国公立大学通信」をお読みでない方々へ。
***
「国公立大学通信 の配信拝読させて頂いております.

国立大学が独立法人化された場合,各大学合わせて数百の官僚天下り先が確保され,このポストは文部科学省にとどまらない可能性があるということが危惧されているようですが,まさにそのことが現実となっている事実が国立高専にはあります.国立高専46校のうちには下に示すように「文部官僚」以外に「宮内庁侍従」に至るまで様々な省庁から天下った教育,研究経験のない校長が組織のトップに君臨し,組織と学生教育に混乱をきたしている現実[35]があります.このようなことから高専は文部科学省の出先機関,官僚ポストの一部として現在すでに位置づけられていますし,完全に文部科学省のコントロール下にあります.いえることは,教育最優先で考えるべき文部科学省が率先してこのような人事を平気でやってきたという事実で,官僚達は教育の将来ではなく,自分たちの保身優先の改革を独立行政法人化として進めているということです.

大学が独立法人化された場合,同じようなことが大学でも起こりうることは確実です.文部科学省は独立法人化する目的が大学を国から離し,自由に教育,研究が出来る環境を作り出すことが目的であるかのようにいっていますが,大学の要職に文部科学省の意向の入った官僚が加わり,中期目標を義務づけ,目標達成結果をもとに予算の配分をする,どこに大学の独立性が確保できるのでしょうか.各大学にあらゆる省庁の天下り先を用意できることで文部官僚(大臣も含む)としての発言力と権力
を手に入れることを最重点とし,見かけ上の公務員削減を目的にした改革であることは明らかです.

高松高専
 
文部省大学学術局科学官
 
文部省初等中等教育局審議官
 
日本国際教育局専務理事
 
大学入試センター副所長
 
文部科学省大臣官房文教施設部長

茨城高専
 
人事院総務局付
 
文部省大臣官房文教施設部長
 
文部省大臣官房付
 
京都大学事務局長

小山高専
 
文部省視学官
 
文化庁文化財保護部長
 
人事院公務員研修所副所長

群馬高専
 
人事院公務員研修所長
 
衆議院渉外部長
 
文部省大臣官房文教施設部長

徳山高専
 
文部省管理局教育施設部技術参事官
 
文部省学術国際局主任学術調査官
 
文部省大臣官房文教施設部技術参事官
 
文化庁長官官房審議官

木更津高専
 
文部省大学学術局科学官
 
人事院任用局長
 
文部省大臣官房文教施設部長
 
日本育英会理事
 
文部省高等教育局主任視学官
 
文部科学省大臣官房文教施設部長

長野高専
 
北海道大学事務局長
 
前文部省初等中等教育局主任教科書調査官
 
文部省初等中等教育局主任教科書調査官

沼津高専
 
文化庁文化財鑑査官
 
東京工業大学事務局長

新居浜高専
 
宮内庁侍従

都城高専
 
国立諫早少年自然の家所長
 
文部省大臣官房文教施設部技術参事官

以上の事例は一部で全体ではまだあるようです.
http://read.jst.go.jp/ddbs/plsql/KKN_02?code1=04&code2=4
----------------------------------------------------------------------
#(例えば、ネットで調べると、新居浜高専校長の・・・
氏は、前文化庁文化部長、宮内庁侍従、を歴任していま
す。

2000年9月の宗教法人審議会議事録「次に、本年の
4月1日付ということで、大分さかのぼるわけでござい
ますけれども、前文化庁文化部長の・・・が宮内庁の侍
従に異動となりまして、後任に・・・が就任いたしてお
ります。
======================================================
「国立大学法人法案」に反対する意見広告の会
e-mail --- qahoujin@magellan.c.u-tokyo.ac.jp
Web    --- http://www.geocities.jp/houjinka/index.html
======================================================

 

[36] 時間切れで、十分な議論もしないまま押しとおそうとするのが、権力を握っているもののやり方か? 

[37] 念の為、以下にもコピー。

------------------------------------- 

横浜市立大学学長                                  平成156 26

  小川恵一

                                                         横浜市立大学教員組合

                             執行委員長 藤山 嘉夫

                                                      

 

要望・質問書

  

 日頃、本学における研究・教育環境の整備および教員の待遇、勤務条件の向上発展のために多大なご尽力を頂いていますことに、教員組合としてお礼を申し上げます。

 以下の諸点につきまして、なお一層のご尽力をお願い致したく、質問・要望書を提出致します。

 

1】市大改革に関して

 

 (1)大学において改革の具体的な提案を提起する際には、教育研究や大学運営の理念が提示され、この理念に基づいて現状の問題点を洗い出し、それらを克服する方向性を提示するものとしての具体策が提起される必要があります。それによってこそ、具体的な改革案は説得力のあるものとなります。@市大の現状の何が問題点であると考えられますか? A市大を改革していく際の基本的な理念をどのように考えられますか?。

 

 (2)学長は、「あり方懇」答申を踏まえることをしばしば言明されてきました。学長は、「『あり方懇談会』の答申に示された内容を踏まえて改革案を検討し、改革を断行すること」(「第1回市立大学改革・プラン策定委員会」における小川委員長挨拶)と述べています。@「『あり方懇』答申を踏まえる」ということの意味を示してください。A「改革案策定議論の進め方」では、「あり方懇談会の答申を踏まえ、大学改革戦略会議のまとめや将来構想委員会の中間報告と比較検討する」として、「これらが答申に合致していれば、その段階で基本的に大学の改革案とする」。「答申案と2つの学内検討結果が合致しない場合には、不一致な点を整理する。整理をした不一致点が議論の上、答申をベースに整理できるものであれば、その方向を大学の案とし、別途その先の具体について検討を行う」、とされています。このような形で、「あり方懇」答申をまずもって比較検討の際の基準にしていく根拠はどのようなものでしょうか。それは、いかなる理念に基づいているのか。伺いたい。

 

 (349日づけ学長の「あり方懇答申に対する要望」に関して、二学部、一研究科がこぞって反対の決議を行った事実は極めて重たいものがあります、学長はこれをどのように受けとめているのでしょうか。

 

 

 (4)「あり方懇」答申における、「リベラルアーツ・カレッジを目指した大学の目標が達成できるよう、教育・研究分野を精選し、三学部(商学部・国際文化学部・理学部)を一学部に統合する」という三学部統合案に対する学長の評価を伺います。

 

 (5)学長は、「学長声明」において「独立行政法人化を念頭に」と言われておりますが、「念頭に」おくということの含意を示してください。

 

 (6)学長は、市長に対して「法人化することで、大学の自由度が増す」と話されていますが(「第1回市立大学改革・プラン策定委員会」における小川委員長挨拶)、いかなる意味で「大学の自由度がます」と主張することができますか?具体的にお答えください。

 

 (7)「幹事会における検討スケジュール」によりますと、評議会、教授会への中間報告など、策定過程において教員の意見を聴取するシステムがありません。「全学的改革検討組織の基本的な考え方」において、「評議会の議を経て学長と局長が最終決定する」としているのは、教授会を軽視するものであると考えます。改革案策定の過程において、教員の個別意志を教授会で充分に聴取することが不可欠であると考えます。学長は、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない」とする学校教育法第59条の精神を十分に尊重した改革案策定の審議を進められることを要望します。

 

 (8)「市立大学改革推進・プラン策定委員会幹事会」の「議事概要」は、審議のプロセスの公開という点では、「あり方懇」の「議事概要」に比してさえ具体性を欠いています。@審議の過程が理解できるよう具体的なかたちで公開されることを要求します。Aまた、「経営的視点」、「全学的視点」、のみならず「市民の視点・・・に立って、大胆な改革を積極的に議論し、大胆な改革を積極的に議論し、まとめることができる者」を「市立大学改革推進・プラン策定委員会」が登用しているのだとすれば、市民、学生、教職員の傍聴を認めるシステムを積極的に採用すべきです。「あり方懇」は傍聴を認めましたが、その人数は限定されたものでした。市民に開かれた大学作りを標榜するのであれば、より多くの傍聴者を認めるべきであると考えます。

 

 (9)大学改革の背景・現状・将来像に関して学生への説明責任を明確にする必要があります。学生は、横浜市立大学がどのような方向を歩むのかについて多大な関心を示し、かつ、大きな不安を感じています。この点で、学生は大学側からの説明が不足していることに大きな不満を示しています。(学生有志アンケート結果:65日、配布1200票、回収450票、回収率37.5%、「学生に対する大学の説明はどう思いますか」充分1.1%、不十分89.8%、わからない9.0%)。調査票調査において回収率37.5%は異例に高く、これは学生の関心の強さをよく示しています。試験期間に入る以前に、学生に対して学長が直接に説明することを強く要望します。。

 

 

 (10616日の神奈川新聞で学長は、記者の質問に答えて述べておられます。@「いままでのものを捨てていいものができるとは思わない。今ある市大の機能を低下させないで改革を進めていきたい」とされている点は極めて重要であると考えます。この視点を必ずや堅持して改革案策定を進めることを要望します。A「簡単なのは時代の変革に会わせること。しかし、それでいい教育・研究ができるとは思わない。”国家百年の計”といわれるほどに、人材育成には時間がかかる」「目先のことだけやっていると、すぐ古臭くなってしまう。十年先をにらんだ教育を授けたい」。このような視点もまた大学のあるべき姿として尊重されるべきであると考えます。この視点を最後まで堅持されることを強く期待します。

 

 

2】機構改革に伴う諸問題に関して

 

 (1)本年度より、事務機構が変更され、これに伴い改善すべきいくつもの問題が現出してきております。教員組合としては、大学という職場は何よりも教育と研究を遂行すべきところであり、教育と研究の発展をサポートするものとしての事務組織のあり方が重要であると考えます。。その視点からすると本質的に教員の職務とは考えられない事務作業が教員に要求されるような事態は回避されるべきです。

 

 (2)事務機構改革に伴い、教員の事務作業が異常に増大しています。研究費の執行に関わる事務作業量の増大もそのひとつです。これによって、教員の教育と研究のための時間が大幅に削減され、教育と研究の遂行に甚大な影響が生じてきています。しかも、基本的にはパソコン上で処理すべき事務処理が増大しているためにパソコンへの習熟度如何ではさらに混乱し、報告書や計画書の作成が一日仕事になってしまう事例も出てきています。これは先の大学における事務組織のあり方という本質的な問題にとって極めて重大です。実施されて3ヶ月を経た現在、事務分担の現状に関して、教育・研究の遂行を使命とする大学における事務組織のあり方という視点からの見直しが急がれます。パソコン処理に関わる問題に関しては、少なくとも移行措置を採用すべきです。

 

 (3)新機構の職員の事務分掌が教員の側に明確にされていないために、誰に何を依頼すればよいかが分からない場合が多い。事務室の職員の誰が何を担当しているかが分かるような表と事務室における配置図を作成して配布して頂きたい。

 

 (4)秘書室にメール・ボックスがおかれているが、様々な人が出入りする場所であり、親書の秘密が護られません。鍵付きのメール・ボックスに変えて頂きたい。

 

 (5)メールや郵便物を出す場合には、昨年までは学部事務室の郵便ボックスへの投入で可能であったが、今年度から庶務係まで行かなければならなくなり非常に不便になっています。1階の然るべき場所にメールや郵便物を受けつけるボックスの設置をお願いしたい。

 

  6)事務機構改革に伴う諸問題を洗い出し、検討するための教員・職員による検討委員会を立ち上げることを要求します。

 

 

3】教育環境などの諸問題

 

 (1)学内ではアカデミック・ハラスメントと思われる問題が生じています。懸案ですが、早急にアカデミック・ハラスメント委員会を立ちあげることを要求します。

 

 (2)教育環境の改善:八景キャンパスの多くの教室は冷房がなく、窓を開けると京急線の列車と踏切の騒音で授業が成立していません。夏期にこのような教室で講義がおこなわれていることは、教育上、本質的に極めて重要な問題です。早急に冷房を完備して頂きたい。 

 

 (3)学会出張を職免扱いすることについて:学会出張を職免扱いすると、事故があった場合何の補償もされず、教育や研究のための本質的に不可欠な学会活動を安心して行えなくなります。学会に参加することは教員に取っては不可欠の責務であり、職免扱いを見直し出張扱いとすることを要求します。