2005年11月日誌
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11月30日 新聞報道(「全国国公私立大学の事件情報」の紹介)によれば、独立行政法人の責任者(理事長・副理事長)は、今回の選考方法に何も問題を感じていないようで、唖然とするような正当化理由を公表しているようである。すなわち、「学長選考会議は経営審議会と教育研究審議会から各3人ずつで構成され、推薦された学長候補者を書類や面接などで選考する。今年4月の同大法人化で設置が定められた。従来の学内投票を行わないため、支持集めによる学部間の対立を避けられ、学内外から幅広く人材を得る利点があるという。」と。
このような簡単な理由で、大学の学長選考が、法人責任者(それを任命するのは行政当局・市長)およびそれが選考した少数の委員会で選考してもいいものとすれば、全国の大学はいったいどうなっているのか? 国立大学法人の理事長=学長を文部大臣が選らび、その理事長=学長が選考委員を選び、すべてをとりしきることになれば、いったい大学の自治はどうなるのか? 憲法の規定(そのスタンダードな解釈としての芦部『憲法』)は、どうなるのか?
現学長は、なぜ、一年任期だったのか? 一年のあいだに、独立行政法人として憲法的な問題も含めてきちんと学長選考のあり方を検討するためのピンチヒッターではなかったのか?
教員組合に出された緊急アンケートの回答(アンケートの最終結果)が示すような意見は、マイノリティのおかしな意見、変人・奇人の意見なのか?
「オンリーワン」の方式であることは確実なのだろうが、それは、全国の大学の選考方法(その背後にある憲法理解)を否定するものではないのか?
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11月29日(2) 都立大学・首都大学の動向も、市大の今後のあり方に深くかかわる。市大に対する乱暴なやり方は、都立大学に対するやり方の一部模倣というようなところがあったからである。以下の情報をコピーしておこう。
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***都立の大学を考える都民の会ニュース***
***入会など返信はganbare_toritudai@yahoo.co.jpまでお願いします。***
石原・都教委の教育破壊ストップ!12・10都民集会
12月10日(土)13:30〜16:30
星陵会館(都立日比谷高校隣) 資料代500円
○東京の教育破壊を告発する各分野からの報告
○講演
金子 勝さん(慶応大学)
「暴走を食い止めるために」
憲法・教育基本法の改悪を先取りし、子どもの学習権を奪う東京の教育行
政を変えるため力をあわせよう!
主催 「12.10都民集会実行委員会」(五十音順)
枝川裁判支援連絡会/学校に自由の風を!ネットワーク/教育を壊すな!
市民と教職員東京ネットワーク/「つくる会」教科書採択を阻止する東京
ネットワーク/東京「日の丸・君が代」強制反対裁判をすすめる会/都教
委包囲・首都圏ネットワーク/都立高校のいまを考える全都連絡会/都立
の大学を考える都民の会/七生養護「こころとからだの学習」裁判を支援
する全国連絡会/「日の丸・君が代」強制反対・嘱託不採用撤回を求める
会/「日の丸・君が代」強制反対 予防訴訟をすすめる会/「日の丸・君
が代」不当解雇
撤回を求める被解雇者の会/「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被
処分者の会
(連絡先)実行委員会 090−7421−7713
東京の教育破壊を許さない幅広いネットワークをよびかけます
2003年、都立七生養護学校で子どもたちとともに取り組まれてきた
性教育が、都教委によって「過激な性教育」と攻撃され、100名を超え
る教職員が処分されました。この年に出された「10・23通達」によっ
て、周年行事や卒業式、入学式で、「国歌斉唱」時の不起立を理由に30
0名以上の教職員が処分されました。
東京都の教育行政が異常な状態にあることは、マスコミなど様々な分野
から多くの批判が相次ぎ、広く海外にまで報道されています。東京の「日
の丸・君が代」の出来事を芝居にしてロンドンで公演する話が持ち上がり
ましたが、イギリスから返ってきたのは「これはいったい、何十年前の話
ですか?」というものでした(劇作家永井愛さんのパンフレットより)。
海外ではとても理解できない状況なのです。
2004年1月、国連・子どもの権利委員会は都立の定時制高校が統廃
合されることを批判する「勧告」を行いました。いまや東京の教育行政は
国際的にも批判されています。定時制の統廃合について東京弁護士会も都
教委に「勧告書」を出しています。
2005年7月、都教委は侵略戦争を肯定する「つくる会」教科書を採
択しました。戦前の「皇民化教育」の復活を許してはなりません。都立の
4大学の廃止、枝川の朝鮮人学校への立ち退き強要、毎年「猫の目」のよ
うに変わる高校入試制度、全国に先駆けた人事考課制度や主幹制度、学校
現場や都民から遊離した「教育改革」など、東京の教育行政は憲法・教育
基本法を否定して強引に行われています。そして、その矛先は明確に子ど
もたちに向けられ、差別・選別の教育が進められています。石原知事と都
教委の「教育改革」が教育破壊であることは明確です。
こうした石原・都教委の教育破壊に対して、様々な抵抗や闘いが広がっ
ています。いま、それぞれの闘いを横に繋げ、都民の中に幅広いネットワ
ークをつくることが重要になっています。都民の小さな声と力を結集し、
都教委の教育破壊を許さない大きな闘いをつくりあげていこうではありま
せんか。みなさまの「12・10都民集会」への賛同を心から訴えるもの
です。
2005年10月15日 12・10都民集会実行委員会
賛同団体を募集しています
■賛同金 団体 1口 2,000円(何口でも歓迎)
■郵便振替口座 加入者名:東京ネット
口座番号:00190−4−648647
(主催者団体の「教育を壊すな!市民と教職員東京ネットワーク」の口座
を利用します)
○団体名 ○連絡先(住所)
○口数 口 円 ○電話・FAX
* * ▲▼▲ * 「都立の大学を考える都民の会」
* * │ロロ│* *
* │ロロ│ *
* ▲▼▲ロロ▲▼▲ ganbare_toritudai@yahoo.co.jp
│ロロ│∩│ロロ│
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Lounge/3113/index.html
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11月29日(1) 現学長ストロナク氏が再選されたようで、新聞記事にでていた。そして学内では「市大新聞号外」が掲示されていた。現学長は行政当局の任命以外の何ものでもなく、今回の選考委員会もまた行政当局の任命によるものである。したがって、大学の自治の観点からすれば、由々しい事態だといわなければならない。大学教員の学問の自由はどこまで保障され、どこまで自由で生き生きとした研究ができるのか、目に見えないだけに将来の結果は予測が付かない。大学教員の精神的拘束が学生院生の教育にどのように影響するのか、これまた目に見えないだけに、十分に注意してみていく必要がある。
学問の自由の制度的保証としての大学の自治は歴史的普遍的に追求されてきたものであり、その根幹が、大学を代表する人間(学長)の任命のあり方にかかわる。教員組合に出された緊急アンケートの回答(アンケートの最終結果)が示すように、明示的に意見を述べる人々に今回の学長選挙のあり方に賛成するものはいないという厳しい現実を、ストロナク氏はどう考慮するのか?
ストロナク氏のこの7ヶ月ほどの態度は、すくなくともほとんどの大学教員には、目に見えないものであり、明確なものではない。その点も、教員組合緊急アンケート回答が示すとおりである。設問二をみればわかるが、回答者72名中、かりに自分の押す候補がいると回答した4人の全員がストロナク氏を適任と考えていたとしても、わずかに4名だということである。教員組合に意見を述べるような大学教員からは、それほどにも期待されていないということである(「わからない」という人25名の気持ちが、仮に、ストロナク氏に一縷の望みをもった人ばかりだとしても、期待するにふさわしいメッセージをきちんと発してこなかった、情報がない、だから「わからない」ということなのだろう)。
新聞報道では、「国際化に向けて、カリキュラム等を抜本的に見直す」姿勢のようであるが、いったいなにをどのようにか、その内容こそが重要である。「国際化」と称するアメリカ基準の傲慢な押し付けならば、即座に、大学人のごく一部にあるほのかな期待の芽もしぼむであろう。数理科学科の二教授のストロナク氏宛質問状(ストロナク候補宛質問状)に今後どのような態度と見識を示すのか、試金石のひとつはそこにあろう。数理科学は、自然科学・人文社会科学のすべてにとって重要な基礎科学であり、しかも、装置科学・設備科学とちがって相対的にはコストの少ない学問のように思われる。その意味で、経営的な観点からも「効率的」科学だと思われるのだが。
学問の自由、大学の自治もその根本前提に平和があるだろう。その意味では、21世紀の世界に浸透させるべき普遍的価値・普遍的規範としての現在の憲法の九条の理念(特に二項の「戦力保持の禁止」と「交戦権の否認」)は、ますます重要になってくる。その9条の理念のポジティヴな主張は、理性・言論・自由と民主主義による平和の維持と創造であろう。
そうした方向を模索するものとして、「地球公共平和ネットワーク」(千葉大学COEプロジェクト関連ネットワーク)に投稿された下記のメールも、紹介しておこう。
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みなさまへ
はじめまして。
今年の夏ごろから地球平和公共ネットワークのMLに参加させていただいている松本智映子と申します。
いつもみなさんのMLを読んでは、私が思うことは間違ってはいないはず、と勝手に再確認しているのですが今回は講演会の紹介をさせていただきます。
現在、各大学に、「九条の会」のアピールに賛同する学生たちによるネットワークが広がっています。
早稲田大学でも、早稲田大学九条の会‘article9’が昨年の秋に結成され、メンバーたちはどうしたら、たくさんの人たち、とくに周りの学生たちと憲法や政治の話が出来るのか、日々模索しながら学習会や講演会を行っています。
そして、明日の11月30日に、早稲田大学にて「九条の会」呼びかけ人の一人である加藤周一氏による講演会を開催致します。
(詳しくは以下のメールをご覧ください。)
急な連絡となってしまい大変申し訳ないのですが、もしお時間に余裕がありましたら、ぜひいらしてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
2005年11月29日 松本智映子
【加藤周一氏講演会のお知らせ】
「早大九条の会article9」の丸山七菜子です。
私たちの会では、11月30日(水)に「九条の会」よびかけ人の加藤周一氏の講演会を行うことになりました。
講演会の詳細は以下の通りです。是非ぜひ皆様でお越しください。また、お知り合い
の方などにもお知らせしていただけると嬉しいです。
加藤周一氏講演会
テーマ:「二つの学生時代 〜戦争または平和とともに〜」
日時:11月30日(水) 17:00〜
会場:早稲田大学大隈講堂(地下鉄東西線早稲田駅より徒歩8分) ※入場無料 予約不要加藤周一氏略歴:1919年東京生まれ。東京大学医学部卒業。文芸評論家、作家。1951年渡仏、1955年帰国。医療に携わる傍ら、『日本文化の雑種性』(1955年)などを発表。主著に『雑種文化』(1956年)、『羊の歌(正・続)』(1979年)、『日本文学史序説上・下』(1975,80年)、『私にとっての20世紀』(2000年)、『高原好日』(2004年)など。2004年6月に結成された「九条の会」よびかけ人の一人。
主催:早大九条の会article9,WasedaPeaceWalk
連絡先:article9_waseda05@yahoo.co.jp 090-8044-4597(丸山七菜子)
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11月28日(2)「全国国公私立大学の事件情報」(本日付)に掲載された「だまらん」氏の論説(人文科学系教員の大幅削減=不補充)は、首都大学東京の実態であると同時に、本学の実態でもある。また、「実学」優先思想の跋扈も、同様である。日本の少子化の急激な進行と同じように、このままいけば、人文社会系の基礎的諸学問も、その担い手(若手・後継者)の急激な減少で、衰弱してしまう。現在の教員たちも、人員減少による負担増でじっくりと腰を落ち着けた研究とそれに基づく教育をおこなえなくなりつつあるように感じられる。いたるところ、非人間的な過剰労働時間が横行している。
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11月28日(1) 二人の学長候補の選考は進行中なのか、すでに終わって発表を待つだけなのか、そうしたことさえ学内の人間(教職員一般)にはわからない。
この間、数理学教室から二人の候補に質問状が出され、所信表明会での回答、あるいは文書による回答を求めてきたようだが、候補者所信表明の会では、布施候補がちょっと「一楽先生からの質問にこたえます」と数理学科からの質問に言及した(「いい改革をやってきたので反省すべき点はない」、数理学科の再建に関しては「そのような世論が出てくれば考えるが、しかしそれは難しいのでは」といったような趣旨の表明だったと記憶する)が、回答はそれにとどまるようである。私の受け取り方が間違っているかもしれないが、正式な文書による責任ある回答が期待される。
ともあれ、その質問状をいただいたので、以下に紹介し、何が問題になっているか、その論点だけでも明らかにしておこう。
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11月25日 さすがに労働組合・労使関係論・労務管理・労使紛争等の専門研究者として、香川大学の吉田さんは、任期制問題に関する本学の動向にはとりわけ敏感なようで、「団体交渉」の現状に関する情報について鋭いコメントを出されたことを、「全国国公私立大学の事件情報」で知った。
研究教育で着々と実績を挙げて、しかるべき年数を経ていよいよ昇格・昇任だという段階になって評価基準・評価主体もはっきりしない「任期制」、「新規契約」などわけのわからない「不利益変更」をちらつかされる人々の気持ちは一体どのようであろう。サイレントに、内心に怒り・憎悪の気持ちを秘めながら、脱出のチャンスだけを捜している、ということにならないだろうか?
市の行政においては任期制や年俸制はない。自分たち「経営」サイドはそのシステムに乗りながら、大学教員(人事権などは上から任命された学長のもとでの「人事委員会」が掌握する)に対してだけ、「中期目標」(どこで、誰が、どのように決めたか?)なるものを看板にして、教員をさいなむ姿勢を取り続けている、ということになるのではないか。きちんと物事を考えず、サイレントだからとそれに悪乗りする「管理職」がいるとすれば(サイレントなものは「改革」賛成と公言するとすれば)、しかるべき責任を担う人としては不適格ということだろう。
サイレントで目に見えないままで大学の教育研究が蝕まれていく。その数年のうちに、自分は大学を去っていく。「上から」「外から」任命される人々は、「上」と「外」を見ていればすむのだろう、と多くの教員は無力感に陥る。・・・・いや、これはたんなるマイノリティの感じ方か?
教育研究を担う教員集団(教授・准教授など)が主体的責任(従って権限)を持てるような組織でない限り、内部崩壊は不可避ではなかろうか?
教員集団のみじめな状態を端的に示すものとして、目下進行中の学長選考方式があるのではないか?
その深刻な問題の所在は、教員組合アンケートへの回答(アンケートの最終結果)が縷々述べるとおりではないか?
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11月22日(2) 教員組合週報が届いた。アンケート最終結果の部分は省略して、以下にコピーしておこう。昇任(昇格)審査と任期制を絡ませない、という点は貴重な確認である。ところが、昇任者には新規契約を結ばせる、などとちらつかせているという。
これは、これまでの雇用を打ち切り、新たに採用するということになる。新たに採用するということは、かつての身分保障をなくするということであろう。かつて教育公務員として与えられていた身分保障を切断し、雇い止め、新規雇用の形態ということなのだろう。現在のように、教員人事に関することは「人事委員会」なるものに集中され、その長である学長が、今回の選考方式のように上から(外から)任命された人々による事態が続くとすれば、教員の隷属化をすすめるものとなろう。いやそうではない、というのならば、その論理を経営サイドは説明すべきであろう。
法人サイドの回答では、「任期制が人事の根幹だ」という主張と一体となっているのだから、新法人の基本方針、「任期制を認めたでしょう」という論理に使われることに実質上なるのではないか。雇用関係用、労使関係法に詳しい人々によるきちんとした法理の解明が必要であろう。
布施候補のトッフル500点問題に関する発言などに関しては、学生の「市大新聞」でも鋭い論評が出ているので、ここではストロナク候補の発言について一言。「管理職の任命制はグローバルスタンダードだ」というのは、批判的検証にたえらることか。仮にそうだとしても、それを日本でそのまま導入しているような大学がどこにあるのか?まともな大学で教員による選挙という方法を否定した上での任命制などをとっている大学はひとつも知らない。
往々にして「グローバルスタンダード」を掲げながら、その実「アメリカ基準」が日本のいたるところで押し付けられているが、今回のある教員のアンケート回答にあった御手洗キャノン社長(会長)・次期経団連会長のような日本的雇用関係の重視を一貫して貫き、アメリカ基準を採用しない経営者もいる。そしてそれで世界的に成功している。
大学構成員のコンセンサスを得る方法としての選挙制度を否定するとすれば、いかなる形で大学内の評価を受けるのか?
任命に先立つ適格者選抜の方式の一つして従来は、大学構成員、教授会における選挙、全学選挙などがあったのであって、その選挙結果を踏まえた上での任命制、その意味で従来の制度でも最終的には「任命制」であった(私の理解に間違いがなければ、市長が大学における学長選考規定にもとづく選挙の結果を尊重して任命していたはずである)。「任命制」がグローバルスタンダードだというのはその意味で、論点をはずれた発言である。「民意」を尊重しての「任命」というのがわが国のほとんどの大学のシステムであろう。そこに大学の自治の有無の根本問題がある。人事権行使のあり方こそは、大学自治の根幹にかかわる。(cf.芦部『憲法』解説)
問題は、「民意」の確認方法、確認基準、「民意」表明権者の範囲等々であろう。
---- 横浜市立大学教員組合週報------
組合ウィークリー
2005.11.22
もくじ
● 昇格人事に関する団体交渉(11月16日)
● 直接の回答なし──学長選考候補者への公開質問状
● 学長選考に関する緊急アンケート結果
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●昇格人事に関する団体交渉(11月16日)
実施時間:2005年11月17日午後6:00−7:00
出席者:
大学当局側:福島氏、渡辺氏、田辺氏
教員組合側:上杉氏、真鍋氏、随氏、和仁氏、中西氏、山根氏
大学当局と組合側は、2005年11月17日に行われた団体交渉において以下の内容を確認した。
教員組合の昇任の細則・規定の提示要求と、昇任を任期制と絡ませないようにすべきだとの要求に対して、人事担当は、昇任の細則・規定類は、次回の人事委員会に提案される予定であり、まだ出来ていないとした上で、「昇任の審査対象者を推薦する際に任期制への同意を条件とすることはしない。ただし、新たな職位への移行に当たっては、新規雇用契約を結んでいただく。ただし、契約の具体的詳細についてはなお検討中である。」と応えた。
教員組合側から「昇任を新規契約と解釈することには納得しがたい。また、法的な問題はさておき、昇任と交換に任期制を力ずくで飲ませるようなことをすれば、教員の間に当局に対する深刻な不信感を産み、今後の大学運営は極めて困難な事態に陥る可能性があることを充分考慮し、慎重な対応をお願いしたい。」との要望に対して、当局は「任期制は
法人の人事制度の根幹である」と対応した。
そして双方は、今後とも緊密に連絡を取り合い、継続的に交渉を続けていくことを確認しあった。
教員組合は、昇格が“新規雇用契約”になるというのは受け入れがたい論理だと考えています。前職をいったんやめて退職金を受け取るとでもいうのでしょうか。条件の変更はすべて「新たな雇用関係」だというのも強引な解釈です。この点については、弁護士とも協議しながら対応していきます。しかしそれ以上に、交渉の中でも述べたように、昇格と任期制受け入れを交換条件にするような強引で不条理なやり方を当局がもし取るとすれば、大学全体の運営にとって大きな悪影響をもたらすことを強く警告しながら、任期制と昇格人事は別次元の問題であることを主張して、当局と粘り強く交渉していく方針です。
今回の団体交渉では、任期制への同意・非同意を問わず昇格審査の対象となることが再確認されました。実質的な人選、発議、審査の各プロセスで、非公式にであれ任期制への態度を問うような形で圧力を及ぼすことも許されないことになります。透明性・公平性・公正性に基づく人事が進められるよう、教員組合としても監視に努めていきます。
●直接の回答なし──学長選考候補者への公開質問状
既に『ウィークリー』でお伝えしたように、学長選考の時期にあたり、教員組合は公開質問状を出しました。質問状は、学長候補者として推薦された2名、ブルース・ストロナク現学長と、布施勉現副学長にお渡ししました。
これに対し、布施副学長からは、教員組合などの質問に個別に答えすることはしない、11月15日の所信表明の際にまとめて述べるという旨の返答がありました。また、ストロナク学長からは、布施氏が回答しないという意向を伝えてきた以上、公平性を期して自分も組合には回答しない旨の返答がありました。
11月15日の所信表明の中では、布施氏は教員組合からの質問状に答えるとして、以下のような見解を示しました(書面等による直接の回答ではないため、概略のみを記します)。
1.「教員流出問題」については「教員の意識改革を図り定着を目指す。」「中期目標・中期目標の大枠を理解していただくほかはない。それでも出て行かれるのなら止むを得ない」「学長にはそれ以上の権限はない」
2.教員の意思の反映については「懇談会」を通して実現したい。
3.図書館の雑誌大幅減に対しては、電子ジャーナルでカヴァーしており、これ以上の努力は難しい。
4.TOEFL500点問題については、「TOEFL500点ぐらい実現できなければ国際化など問題にならない。目標としては低すぎるくらいだ。学生を叱咤激励し実現させる。」
ストロナク氏の所信表明の中には、明示的に質問状への回答として触れられた点はありませんでした。教員の間にさまざまな不満や心配があること、志願者が減少したことなど問題があることは理解しているとした上で、一般的な理念としてFeedbackとReadjustmentの必要が語られました。また管理職の選挙制度については、「後退は出来ない。任命制はヨーロッパでもアメリカでも行われており、国際基準である。」として否定しました。
ここでは、両候補者による所信表明演説の全内容を要約したり批評したりすることを意図するものではありませんので、以上をもって公開質問状をめぐる経緯の皆様への報告と致します。
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11月22日(1) 教員組合の学長選挙に関するアンケートの最終結果を読むと、「選挙」というものに対する不信感も明確にでている。従来の選挙のあり方が持つ問題性は、教員組合の主張の中にも指摘されていたとおりである。これまでの選挙制度のあり方、選挙権のあり方にいろいろと問題があることもまた事実であろう。
しかし、だからといって今回のようなやり方は学内の建設的意志の結集という点で深刻な問題を抱え、アンケート回答が示すとおり、圧倒的多数が否定的評価を加えている。まさに、そうした選挙制度のあり方こそは、ひとつの重要な問題として検討を重ねていくべきものだった。しかし、その検討プロセス自体が、今回の「改革」によって、すなわち学則等の検討が経営審議会事項とされることによって、大学教員の手から剥奪された、ということではないか。その帰結、その象徴が今回の選考システムではないか。
教員組合は、教学の代表の選考のあり方(システム)に関する抜本的改善を求める意見を出している。それは受け止められるのだろうか?
どのような組織によって検討され、どのように具体化されることになるのだろうか?経営審議会マターとして、教員を排除した中で行われるのであろうか。諮問委員会形式でも採用するか? 誰が諮問委員を選定するか? いずれにしろ、大学内外を説得できるようなシステムを構築することが求められていると思われるが・・・。
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11月21日(3) 学生市大新聞も、「認識甘い所信表明」という論評を公表し、今回の学長選挙のあり方を批判し、特に学生院生の希望にどう応えるかという点で候補者の姿勢を問題としている。
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11月21日(2)学長選挙のあり方に私は憲法的問題を感じている。その憲法の平和主義に対する重大な脅威として、軍事力保持(「自衛軍」)を公然と憲法に書き込もうとする自民党憲法草案が出されたことは、周知のことであろう。
しかし、日本の憲法の精神および9条(特に戦力不保持の第二項)は堅持し再活性化して、21世紀の世界のあり方を先進的に示すものとして捉えなおし、世界に広めていくべきではないだろうか。
憲法9条の規定に現実を従わせる方向(軍縮・核兵器廃絶・核依存体質の解消などを世界的に推進する方向)で、世界的に先進的な役割を演じることが、日本人・日本の政治に求められているのではなかろうか。私のこのような考えかたは、「憲法9条を激動する世界に輝かせたい」とする「9条の会」の主張と重なる。
それは、大学の自治や学問の自由の条項についてもいえることではなかろうか。
このような意味での憲法遵守・憲法擁護こそは、われわれの責務ではないだろうか。第二次大戦の帰結としての戦後冷戦体制のなかで、あまりにも日本国憲法がないがしろにされ続けてきたのではないだろうか。冷戦体制崩壊後十数年の今日、改めて憲法の原点である先進的理念(21世紀的理念=地球市民的理念)にたちかえるべきではないか。
そうした問題意識でいる時、関東学院大学の学生は、「9条の会」事務局長・小森陽一東大教授を迎えて、講演会を開催するという。そのビラを頂戴したので、紹介しておこう。
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11月21日(1)先週末に教員組合の学長選挙に関するアンケートの最終結果が発表された。文章で回答した50人ほど(49名)の具体的な意見の中に、今回の学長選挙の問題は明確に集約されている。「誰が制定した規則で、誰によって、いかなる手続で、誰が選ばれることになるのか?」、すなわち、大学の自主・自立・自律と経営(行政)の在り方、大学自治・学問研究の自由と経営(行政)のあり方に関連する重要問題が、多くの人からはっきりと指摘されている[1]。私流にまとめて端的に言えば、行政の直接支配が強まった学長選挙方法への批判、あるいは大学の教育研究の中心的主体的担い手である教員・学内構成員の学長選考への参加を可能な限り排除した今回のあり方への批判、ということになるだろう。
公立大学法人が理念としたはずの大学の自立性・自律性・自治性が、そして責任主体としての大学のあり方が、むしろ明確に縮小された、ということをこれらの意見は指摘していると思われる。
この現状を改善する道はあるのだろうか?
どこに?どのように?だれによって?
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11月19日 「意見広告の会」ニュースで、全国の数学関係者が憲法9条擁護の声明を出したのを知った。以下に、コピーしておこう。
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「意見広告の会」ニュース311
*ニュースの配布申し込み、投稿は、
qahoujin at
magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。
迷惑メール防止のため@をatに書きかえています。アドレスは@に直して下さい。
*「投稿」の場合は、その旨を当初から明確にしていただけると、確認のための時間が
かかりません。ご氏名、ご所属等の掲載方法などもご指定下さい。
** 目次 **
1−1 映画「バッシング」 11月20日に上映
東京フィルメックス
1−2 「バッシング」 たたかれ強く生きる
産経新聞 11/11日東京朝刊 by 松本明子
1−3 ひと:小林政広さん=カンヌ常連日本人監督、話題作国内初上映へ
毎日新聞 10月30日 東京朝刊
2 投稿 立命館アジア太平洋大学における常勤講師の雇用継続を求めるネット署名
http://university.sub.jp/apu/
3 投稿 「憲法9条を戦争のない21世紀へのかけ橋に」
数学関係者有志
***
1−1 映画「バッシング」 11月20日に上映
東京フィルメックス
案内 http://www.filmex.net/2005/schedule.htm
・有楽町朝日ホール
※開場は開映の20分前です 有楽町マリオン11階(東京メトロ銀座線C4出口)
20(sun) 開映 題名
97min./C 16:00 バッシング
・関連ブログ 「映画バッシングが見たい」
http://eigakinenbi.at.webry.info/200508/article_2.html
1−2 「バッシング」 たたかれ強く生きる
産経新聞 11/11日東京朝刊 by 松本明子
「第58回カンヌ国際映画祭」のコンペティション部門に日本から参加した「バッ
シング」が20日、東京・有楽町朝日ホールで日本初上映される。昨春起こったイラク
での日本人人質事件を題材にした内容だけに国内では敬遠され、いまだ公開のめどは立
っていない。カンヌから半年。やっと日本でも見られることになった映画の小林政広監
督に聞いた。
「バッシング」は、作家性豊かな作品などを紹介する国際映画祭「第6回東京フィル
メックス」の中で上映される。
主人公の有子(占部房子)は中東の戦時国にボランティアとして入り、武装グループの
人質となる。やがて解放されて帰国したが、周囲からのバッシングが待っていた。
「政治的なものには何も興味はない。ただ、あのイラクでの人質事件のニュースをな
がめていたら首相から『自己責任』という言葉が出てきて違和感を持ったのは確か。人
質になった人に取材はしていないし、脚本はあくまでフィクション」
小林は淡々と語る。
「意志のある女性を一人称で、それも客観的にならず追いかけ、また管理された人々
の息苦しさも描きたかった」
スクリーンの冒頭で説明がある。バッシングとは、強くたたくこと、手厳しくやっつ
けること。「僕自身もバッシングを受けていたんですよ」と苦笑いする小林。日本では
有名ではないが、これまで「海賊版」(平成10年)「殺し」(同12年)「歩く、人」(
同13年)と3作連続カンヌへ。そして今回のコンペ初参加。映画関係者からのやっか
みはかなりあったようだ。それがやっと「認知」された形で、初監督から10年。来秋
には「ええじゃないか、ニッポン宮城編 気仙沼伝説」で商業映画デビューも果たす。
香川照之、大塚寧々、田中隆三、加藤隆之らも出演している自主制作映画「バッシン
グ」の公開は現在、フランス、台湾、タイなどで決定しているが、日本ではゼロ。
「昨夏の北海道での撮影のときも協力はあまり得られなかったし、地元ではまだあの
事件は終わっていません」
小林の言葉は最後に重く響いた。
1−3 ひと:小林政広さん=カンヌ常連日本人監督、話題作国内初上映へ
毎日新聞 10月30日 東京朝刊
◇政治的作品ではない、危機直面の家族描いた−−小林政広(こばやし・まさひろ)
さん
ドイツのハンブルク映画祭で「バッシング」が好評だった。満席の観客が見終わって
も席を立たず拍手を送り続けた。「やっとこの映画を理解してくれるようになった、と
思いましたね」
イラクでの日本人人質事件をヒントに、帰国した女性とその家族が周囲からたたかれ
、うろたえる姿を描いた作品は、半年前のカンヌ映画祭のコンペにも選ばれ、晴れのレ
ッドカーペットを歩いた。しかし一部マスコミからは「分かりにくい」との声も寄せら
れた。
「拘束された人たちが帰国後にバッシングされるのは外国人には分かりにくい。事件
が生々しくて、どうしても政治的作品として見られた。しかし家族の崩壊というどこの
国でも起こりうる物語をつくったつもりです」
日本での公開は難しいと覚悟していた。「DVDを先に出し、その後で劇場公開とい
う、普通とは逆でもいい」。そう開き直っている時、東京フィルメックスでの上映(1
1月20日)が決まった。映画のラストで歌が流れる。フォーク歌手だった29年前の
自分の声だ。
元映画青年。ビデオもDVDもない時代、大好きな仏映画「大人は判ってくれない」
(トリュフォー監督)を見たくて上映館を探し回り、ビデオが出ると同じものを何本も
買った。「僕は映画から生き方を学んだ」
次回作も家族の物語。「20年、30年たっても、あの作品良かったと言われるのが
映画。そういう作品を命がけでつくりたい」<文・紀平重成/写真・荒牧万佐行>
2 投稿 立命館アジア太平洋大学における常勤講師の雇用継続を求めるネット署名
大分・別府にある立命館アジア太平洋大学(APU)では,「常勤講師」という名の非
専任講師が大勢います。この方たちは10コマ以上の講義をもち,留学生が大半を占め
る大学で根幹にかかわる教育に責任を負っています。しかし,大学当局は,大学設立時
の採用において継続雇用を約束していたにもかかわらず,雇止め・解雇を行おうとして
います。今年度いっぱいで2名の雇止めが発生します。
現在,立命館アジア太平洋大学の労働組合APU分会は,継続雇用を求めて運動を展開
しています。その一環として,下記の要請書への賛同を募るため,インターネットによ
る署名活動を開始しました。
是非とも全国の大学人のご支援をよろしくお願い致します。
(立命館アジア太平洋大学における常勤講師の雇用継続を求めるネット署名サイト)
http://university.sub.jp/apu/
立命館アジア太平洋大学
学長 モンテ・カセム 殿
常勤講師の雇用継続をもとめる要請書
貴大学が開学以来、「自由・平和・ヒューマニズム」、「国際相互理解」、「アジア
太平洋の未来創造」を基本理念として運営され、着実な発展を遂げられていることに対
し敬意を表します。
さて、大学は今年になり常勤講師に対し2006年4月からの「雇い止め」を一方的に通
知してきました。しかし開学にあたって、常勤講師は雇用が継続されると説明されてA
PUに着任してきました。しかも、日本語の常勤講師は開学前1999年10月24日に京都に
あつめられ、大学から雇用が継続されるとの説明をうけています。このことからも、今
回の「雇い止め」は問題があります。
また、大学は「知的創造の場」であり、経営側(理事会)と教職員、学生が力をあわ
せて運営に当たらなければ教育・研究の質を高め、内外の期待に応える大学に発展する
ことはできません。現在の立命館アジア太平洋大学にとって、常勤講師・非常勤講師の
力も結集して大学運営にあたることは重要と考えます。その点からも今回の常勤講師の
「雇い止め」が教育・研究の「質」を低下させるのではないかと危惧しています。
今後、多くの期待に応えうる大学に発展していくためにも、貴大学が常勤講師「雇い
止め」の問題を早期解決するよう下記のとおり要請いたします。
記
1、常勤講師の「雇い止め」を撤回し、従前の契約条件で雇用を継続すること。
2、常勤講師、非常勤講師ともっと誠実な話し合いを行い、合意形成に努力すること。
以 上
3 投稿 「憲法9条を戦争のない21世紀へのかけ橋に」
数学関係者有志
このほど、数学関係者429名によるアピール「憲法9条を戦争のない21世紀へのかけ橋
に」を発信しました。
発信の主体は、429名の賛同者全員です。
数学関係者(数学の教育・研究者や、職業上、数学の応用や出版などに関わっている人
々、あるいは数学愛好者など広く数学に関わっている人々など)による憲法9条アピー
ル
アピール「憲法9条を戦争のない21世紀へのかけ橋に」
今日、戦力不保持と国の交戦権の放棄を記した憲法9条の「改正」をめざす動きが国会
の内外で強まっており、戦後60年における最大の歴史的転機を迎えています。憲法9条
の「改正」は、国境を越えた友好と信頼に基づく戦争のない21世紀へのかけ橋をみずか
ら放棄することであり、私たちは断じて容認することができません。実際、平和を希求
する世界各地の人々の間において「憲法9条を共通の規範にしよう」との声が上がって
います。
私たちは、憲法9条が戦争のない21世紀への現実的な足場をなしているものと考え、
平和を望むすべての人々に、憲法9条の「改正」を許さないための共同の動きが作り出
されることを心から訴えるものです。
2005年11月
数学関係者有志一同
私たちは上記アピールに賛同します。
青木芳文(石川・中学校)
秋葉繁夫(横浜国立大学)
秋山茂樹(新潟大学)
浅島敏広(石川・中学校)
東 真哉(石川・中学校)
足立久美子(東京・数教協)
雨宮信二(山梨・高校)
新井和生(東京・小学校)
荒磯洋介(石川・小学校)
有田公一(西南学院中高)
安藤哲哉(千葉大学)
安藤 豊 (元東京水産大学)
飯田彩子(桐朋小学校)
坂本順子(石川・中学校)
石井 修 (和光高校)
石井 坦 (元明治学院大学)
石川暢洋(元九州大学)
石川義人(和光鶴川小学校)
石崎克也(日本工業大学)
石田正典(東北大学)
石丸恵美子(兵庫・母親算数サークル)
石村隆一(千葉大学)
石山健治(東京・高校)
一川尚己(石川・小学校)
一楽重雄(横浜市立大学)
伊藤恵子(徳島・小学校)
伊藤俊次(金沢大学)
伊藤潤一(岩手・高校)
伊藤谷生(千葉大学)
伊東裕子(和光小学校)
伊藤光弘(筑波大学)
稲葉尚志(千葉大学)
井上和行(信州大学理学部)
井上具規(岩手・高校)
井上正允(佐賀大学)
井下睦雄(石川・中学校)
井道章史(広島市在住)
井道恵子(広島市在住)
伊原康隆(元京都大学)
今井陽子(石川・小学校)
入沢雅代(和光小学校)
入沢三男(和光鶴川小学校)
岩澤一郎(東北地区数教協)
岩村繁夫(東京・数教協)
上田 博 (滋賀・高校)
櫃田倍之(愛知工業大学、元熊本大学)
上野 正 (元東京大学)
上野久男(東京・和光学園)
上野善弘(和光鶴川小学校)
植松明彦(長野・高校)
宇佐美陽子(お茶の水女子大学)
牛丸教子(東京・元中学校)
宇田紀子(和歌山・小学校)
内田高義(西南学院中高)
内村 密 (北海道高教組札幌支部) 海野富士子(和歌山・小学校)
江口正義(東京海洋大学)
榎本純子(桐朋小学校)
及川 佐 (アーク印刷)
大上意沢(広島市在住)
大上智子(広島市在住)
大川敏明(和光鶴川小学校)
大久保紀晴(三省堂)
大窪徳行(日本大学)
大沢重憲(埼玉・数教協)
大島和重(埼玉・高校)
太田 香 (津田塾大学)
大槻 真 (津田塾大学)
大友 聡 (自由の森学園)
大野裕一(和光鶴川小学校)
大橋 潤 (東京・小学校)
大森和子(石川・中学校)
大森 雅 (数教協)
大森玲音(東京・小学校)
岡崎文代(桐朋小学校)
岡田美和子(徳島・小学校)
尾形良彦(総合研究大学院大学)
岡部恒治(埼玉大学)
岡本明日香(和光鶴川小学校)
岡本一郎(和歌山・小学校)
澳泰 生 (大阪・公立高校)
奥野由美子(石川・中学校)
奥村 明 (愛知・中学校)
小野澄子(広島市在住)
小野徳郎(元・徳島大学)
小野木真由実(徳島・小学校)
加川博道(和光鶴川小学校)
加川真理香(町田市在住)
加川弥生子(仙台市在住)
加川雄一(仙台市在住)
加川祐子(神奈川・小学校)
加川竜太(高校生)
垣内伸彦(愛知大)
笠原乾吉(元津田塾大学)
柏木巳日生(大阪私学数学サークル・千代田高校)
柏木浩志(東京・中学校)
片岸 洋 (北海道・高校)
片瀬 潔 (学習院大学)
可知偉行(信州大学)
勝木 渥 (物理学者)
勝野元薫(南山国際高校)
加藤元昭(和歌山・数教協)
門脇雅代(高知・中学校)
金井文明(長野・高校)
金子いく子(福岡・高校)
鎌倉 博 (和光小学校)
嘉摩尻寿(和歌山・中学校)
鎌田淳一(清瀬市在住)
上村浩郎(数学教育研究会)
上村 豊(東京海洋大学)
亀井哲治郎(亀書房)
加茂野強(石川・中学校)
川口恵美子(三重県)
川島義孝(石川・中学校)
川瀬 真 (帝京平成大学)
川端豊美(和歌山・中学校)
川村昌広(岩手・高校)
菅野喜代子(広島市在住)
菅野幸一(広島市在住)
岸本量夫(元信州大学)
北野幸輔(西南学院中高)
北原清志(工学院大学)
北村明子(桐朋小学校)
北山ひと美(和光鶴川小学校)
木下 彰 (岩手・小学校)
木村忠彦(千葉大学)
木村良夫(兵庫県立大学)
清末幸雄(神奈川・小学校)
銀林 純 (富士通)
銀林美恵子(元私立高校教員)
銀林 浩 (元明治大学)
草g浩二(昭和学院高校)
久司由利子(石川・中学校)
久野はるみ(東京・小学校)
久保 泉 (広島工業大学)
倉川美津恵(石川・中学校)
倉坪茂彦(弘前大学)
栗原 伸 (和光小学校)
黒木哲徳(福井大学)
黒川眞子(大阪)
黒田俊郎(武蔵工業大学)
行田稔彦(和光小学校・和光鶴川小学校)
小浦友廣(西南学院中高)
河本洋一(自由の森学園)
郡 敏昭 (早稲田大学)
越川浩明(千葉大学)
腰越秀之(千葉大学)
小柴洋一(鹿児島大学)
小島和美(石川・中学校)
小島 順 (元早稲田大学)
小菅盛平(和光鶴川小学校)
小田切忠人(琉球大学)
小寺隆幸(東京・中学校)
木幡篤孝(広島大学)
小林俊道(東京女子学園中・高)
小林道正(中央大学)
小松健一郎(高知高校)
小松 孝 (大阪市立大学)
小宮山晴夫(岩手大学)
近藤秀子(桐朋小学校)
近藤義臣(群馬大学)
近藤亮司(元静岡大学)
齋藤恭司(京都大学)
坂井千惠子(数教協)
阪田祐二(和歌山・数教協)
坂本幸一(津田塾大)
坂本順子(石川・中学校)
坂本秀子(桐朋小学校)
佐久間洋(桐朋小学校)
佐々木せつ子(仙台市在住)
佐藤英次(東京・和光学園)
佐藤健一(元名古屋大学)
佐藤定夫(東京電機大学)
佐藤貴司(西南学院中高)
佐藤文広(立教大学)
佐藤由身子(愛知工業大学)
佐分利 豊(CUC 教育支援機構)
更科元子(東京・中高校)
皿田愛子(広島市在住)
澤 達男(元東京電機大学)
澤崎隆昭(滋賀・高校)
沢田克彦(和光高校)
椎葉朋貴(西南学院中高)
塩沢宏夫(東京・元高校)
志賀徳造(東京工業大学)
重清里佳(徳島・聾学校)
渋谷政昭(高千穂大学、元慶応義塾大学)
島田晶子(桐朋小学校)
嶋田佳一(和歌山・高校)
清水昭信(元名古屋市立大学)
清水貞人(北海道地区数学教育協議会)
清水秀紀(和歌山・中学校)
清水義之(早稲田大学)
志村道夫(東邦大学)
下河原英(岩手・高校)
下鳥 孝 (和光鶴川小学校)
下鳥チヨノ(町田市在住)
下鳥智子(多摩市在住)
下鳥真人(多摩市在住)
白岩謙一(元名古屋大学)
白奥 聡 (西南学院中高)
白鳥紀一(元九州大学)
榛葉文枝(東京・和光学園)
末定整基(高知県・小学校)
杉 和明 (西南学院中高)
杉尾陽子(石川・元中学校)
杉岡美智子(東京・小学校)
杉見朝香(和光小学校)
杉山健一(千葉大学)
杉山行孝(長野・高校)
鈴木勝実(和歌山・高校)
鈴木伸男(和光高校)
鈴木俊夫(山梨大学)
鈴木正志(和光鶴川小学校)
鈴木麻美(愛知学泉大学)
鈴木康之(大東文化大)
砂田利一(明治大学)
関口 隆 (道数協高校サークル)
関口真里子(和光鶴川小学校)
瀬山士郎(群馬大学)
曽根弘幸(慶応義塾志木高校)
園田洋一(和光鶴川小学校)
空脇秀市(江田島市在住)
高井和雄(香川・中学校)
高崎金久(京都大学)
高野恭一(神戸大学)
高橋鋼一(元白百合学園)
高橋哲也(大阪府立大学)
高麻敏子(広島市在住)
高麻宣男(広島市在住)
高麻裕子(広島市在住)
高麻 求 (広島市在住)
高松幸子(和光鶴川小学校)
高松誠治(府中市在住)
孝山 博 (自由の森学園)
瀧 昌夫(和光高校)
田口雄一郎(九州大学)
竹内 茂 (岐阜大学)
竹内祐也(愛媛・元高校)
竹田孝宏(和光小学校)
武田利一(埼玉・公立高校)
田中 茂 (津田塾大学)
田中敏雄(自由の森学園)
谷口義治(滋賀県立大学)
谷村淑子(和歌山・小学校)
種帰建夫(東京・元高校)
玉川安騎男(京都大学)
田丸 洋 (北海道・高校)
樽本冨佐子(高知・小学校)
地井 衣 (和光高校)
塚田和美(お茶の水女子大学)
津久井康之(専修大学)
辻本雅彦(和歌山・小学校)
東田 晃 (和光小学校)
土橋千尋(和歌山・小学校)
土谷正明(金沢大学)
筒井 亨 (千葉大学)
都筑ムツミ(北海道)
坪井昭二(鹿児島大学)
坪井堅二(東京海洋大学)
出口達也(和歌山・高校)
手嶋吉法(理化学研究所)
土井一弘(京都・元中学校)
遠竹史教(西南学院中高)
塔本秀夫(大阪私学数学サークル・千代田高校)
戸崎百合子(広島市在住)
戸田勝善(東京海洋大学)
内藤敏機(電気通信大学)
中井孝之(和光鶴川小学校)
長岡一昭(津田塾大)
中川鈴恵(徳島・高校)
中川博文(広島市在住)
中川 史 (広島市在住)
中川平四郎(広島市在住)
中川律子(石川・小学校)
中島友美(和光鶴川小学校)
中嶋由夏里(和光鶴川小学校)
永富喜弘(西南学院中高)
渚 勝 (千葉大学)
名倉真実(高知・小学校)
永島 孝 (一橋大学名誉教授)
中塚正大(大阪大学レーザーエネルギー学研究センター)
中西祥彦(神戸常盤女子高)
中根静男(東京工芸大学)
中野 潤 (東京・高校)
長南カツヨ(広島市在住)
中原 宣 (中国地区数学教育協議会委員長・米子松蔭高校)
中向久美子(広島市在住)
中向元彰(広島市在住)
中村亜希(和歌山・小学校)
中村 郁 (北海道大学)
中村 憲 (首都大学東京)
中村源哉(和光小学校)
中村 強
中村 潤 (千葉学園高校)
中村冨美子(呉市在住)
永山愛子(広島市在住)
永山玄彦(広島市在住)
永山良樹( 鈴峯女子中・高等学校 広島県私立学校数学教育研究会事務局)
名雪順一(自由の森学園)
成田 収 (道数協高校サークル)
新関章三(高知大学)
西岡国雄(中央大学)
西岡啓二(慶応大学)
西蔭説子(和歌山・高校)
西田育代(石川・小学校)
西渕丈紘(広島市在住)
西牧 操 (東京・元中学校)
丹羽敏雄(津田塾大)
仁上博恵(神奈川・元中学校)
庭野雄一(編集者)
野崎昭弘(大妻女子大学)
野田隆三郎(元岡山大学)
野村和之(福岡・小学校)
間 誠司(大阪私学数学サークル・堺女子高校)
橋本徹弘(府中市在住)
橋本瑞子(府中市在住)
橋本竜太(詫間電波高専)
長谷部香苗(和光鶴川小学校)
馬場良和(元静岡大学)
浜 恒弘(長野・高校)
林 浩一郎(長野・高校)
長谷川浩司(東北大学大学院理学研究科数学専攻)
濱名裕治(熊本大学)
原 恵理 (自由の森学園)
原 義則(和歌山・高校)
原下洋子(和歌山・小学校)
原田三好(桐朋小学校)
比嘉達夫(立教大学)
広崎 芳 (石川・小学校)
広田孝司(高知高校)
広中由美子(早稲田大学)
深瀬温子(和歌山・中学校)
福島 肇 (錦城高校)
福富節男(元東京農工大学)
福家健彦(神奈川・養護学校)
福家珠美(神奈川・養護学校)
福家めぐみ(和光鶴川小学校)
藤井昭雄(立教大学)
藤尾真由美(桐朋小学校)
藤崎正敏(兵庫県立大)
藤多隆弘(広島市在住)
藤多まや子(広島市在住)
藤多 実 (広島市在住)
藤多美保子(広島市在住)
藤田康郎(和光小学校)
藤谷理沙(広島市在住)
藤原 豪 (長崎総合科学大学)
保田峰男(東北大学学生)
掘崎典子(大阪・千代田高校)
前田耕平(和光小学校)
牧 雅裕(長野・高校)
真砂早苗(和歌山・小学校)
増島高敬 (自由の森学園・和光学園) 増田典彦(和光小学校)
真鍋和弘(北海道・高校)
益本克彦(小松市在住)
町田正行(自由の森学園)
松井 暁 (横浜市在住)
松井房子(海老名市在住)
松井 嗣 (海老名市在住)
松井幹夫(自由の森学園・数教協)
松浦みどり(石川・高校)
松澤正規(石川・中学校)
松田 修 (津山高専)
松田 拓 (桐朋小学校)
松本幸夫(東京大学)
丸岡 安 (あかね保育園)
三川一夫(東京・数教協)
三井斌友(名古屋大学)
南谷寿子(小学校)
宮崎 功 (元埼玉大学)
宮崎 浩 (元慶応義塾大学)
宮崎 拓 (広島大学数学科学生) 宮崎琢也(慶應義塾大学)
宮崎充治(桐朋小学校)
宮崎宗親(西南学院中高)
宮園雅彦(和光高校)
宮原康一
宮本育子(千葉大学)
武藤 昭 (桐朋小学校)
武藤あゆみ(桐朋小学校)
武藤 徹 (東京・元高校)
村島健吾(埼玉・高校)
村田雅秀(東京・小学校)
最上邦子(東京・小学校)
本尾 実 (元東京工業大学)
本吉美佐子(数教協)
森 孝一 (東京・元数教協)
森さゆり(東京・小学校)
森 真 (日本大学)
森田ますみ(桐朋小学校)
森原良明(岸和田子どもセンター)
谷口彰男 (日本大学)
矢島敬二(東京理科大学)
八代勝美(エントロピー學曾)
安田正實(千葉大学)
安本佳代子(徳島・小学校)
矢田 耕 (和歌山・中学校)
柳原二郎(元千葉大学)
矢作圭充(和光小学校)
山岸章子(和光鶴川小学校)
山岸昭則(北陸・大学講師)
山口欽秀(愛知・中学校)
山口都子(石川・小学校)
山崎 昇 (福島・数教協)
山崎裕加(愛媛・小学校)
山下 徹 (愛知・元公立高校)
山下弥生(和光高校)
山田俊雄(立命館大学)
山野下とよ子(北陸地区数教協)
山森康雄(愛知・中学校)
山脇修一(和歌山・高校)
湯尾慎一(芦屋大学大学院)
佳田恵美子(広島市在住)
吉田克明(日本大学)
吉田 一 (数教協・塾教師)
吉田英信(千葉大学)
佳田義昭(広島市在住)
吉松正秀(和光小学校)
米田英一(元東芝)
米田恵子(徳島・小学校)
米田富雄(大阪・高校)
若山豊恒(和光高校)
和気政司(京都・小学校)
鷲阪恭子(桐朋小学校)
和田 仁 (和光鶴川小学校)
渡辺 毅 (元大阪大学)
渡辺靖敏(愛知・小学校)
以上 429名
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11月18日 世界平和委員会の新しいアピールを「全国国公私立大学の事件情報」で知った。国連と世界の人々がこのようなアピールをしっかりうけとめ、軍縮の徹底的な推進をすすめなければならないだろう。日本が推進すべきはこのようなアピールの精神こそであろう。それは憲法の平和主義、その具体化としての憲法9条2項の堅持(それによる世界的軍縮の推進)の道であろう。
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世界平和アピール七人委員会、「平和に生きる世界のために」
■世界平和アピール七人委員会
平和に生きる世界のために
−創立50周年に当たり、核時代に生きる者の責任として、いまと未来に生きる世界の人々に訴えるー
2005年11月11日
世界平和アピール七人委員会
伏見康治
武者小路公秀
土山秀夫
大石芳野
井上ひさし
池田香代子
小柴昌俊
事務局長 小沼通二
「世界平和アピール七人委員会」は、50年前、全世界に衝撃を与えた太平洋ビキニ環礁における水爆実験の翌年、核兵器と戦争の廃絶を訴えたラッセル・アインシュタイン宣言が発表された1955年の本日、発足しました。以来、七人委員会は、日本国憲法の平和主義に依拠し、国連の強化と武力によらない紛争解決を基盤とする新しい世界秩序と、核兵器の速やかな廃絶を求めて、86件のアピールを発してきました。
今日、世界は七人委員会発足当時とは大きく変化し、超大国支配による新たな危機とそれを許さない人々の運動の、大きなうねりの中にあります。この状況に対して、私たちは、これまで以上に発言の必要性と緊急性が増していると考え、それを大変残念に思いながら、国連とそのすべての加盟諸国政府にアピールします。それとともに私たちは、日本の、そして世界の市民のみなさんが、同様な訴えを起こしてくださるよう希望します。
1.私たちは、核兵器の速やかな廃絶を求めます。
核兵器は、人類を滅亡に追いやる兵器です。それにもかかわらず、核兵器保有国は核兵器への依存を続けてきました。これに対して人類は度重なる危機に直面しながらも、この60年間、大国の手を縛り、核兵器を使わせませんでした。これは人類の叡智であり、その危険性を指摘し続け、行動した人々の努力のたまものです。
冷戦の終結により、超大国同士の核戦争による人類滅亡の危険は去りましたが、国家のみならず非国家集団への核拡散の懸念も高まっています。その中で核超大国が進める新型戦術核兵器の開発は、核兵器を「使えない兵器」から「使える兵器」に変え、核戦争の危険性を増大させ、核拡散を加速させる動きとなっています。
こうした情勢の中で、私たちは改めて核兵器拡散防止条約の完全実施をめざし、核保有諸国が同条約第六条に決められた通り、核軍備競争を直ちに停止し、核軍縮にむけて、誠実な交渉を開始することを呼びかけます。その上で、2000年の核兵器拡散防止条約再検討会議で約束された核兵器の完全撤廃を、すみやかに実現させるよう求めます。
2.私たちは、世界諸国が、戦力および交戦権を否認し、あらゆる紛争を平和的に解決するよう訴えます。
この50年の間、七人委員会の訴えは、残念ながら、一部の例外を除いていまだに国際社会から受け入れられていません。その上、冷戦後の世界では、諸国内の武力紛争が多発する中で、世界的な規模での国家と非国家のテロリズムの応酬が、世界の人びとの平和に生きる権利を奪っています。
これらの諸紛争においては、圧倒的な軍事力による平和の強制や、「ならず者の処罰」が、紛争の解決に役立つどころか、もっとも弱い立場に置かれている人々の犠牲を強いる結果を生み、不安を恒常化しています。
私たちは、国連とその加盟諸国が、国家間ならびに国内紛争のための、一切の戦争ならびに軍事力の行使の放棄を宣言し、国内紛争当事者を含む違反者に対しては、国際刑事裁判所における法の裁きをうけさせることを勧告します。
3.私たちは、国連とあらゆる国際機関が、市民の運動に敬意を払い、すべての人々が安全を保障され、平和に生きることができるよう、「平和共存」と「平等互恵」を原則にした「多文化共生世界」を目指す改革を進めることを求めます。
七人委員会における私たちの先輩は、世界連邦の理念にもとづく世界秩序の構築を訴えてきました。国際関係において国家が唯一の実力を備えていた当時から、世界は大きく進歩し、いまや国家をもしのぐ市民パワーが成長しました。世界の市民は、ジェンダー、世代、宗教、階級・階層、また各種アイデンティティ集団の平等のもとに、世界各国で活躍しています。
国連が、超大国の主導による一方的なグローバル・ガヴァナンスではなく、市民の平和への努力を根底に据えた、連邦主義の原則にもとづくグローバル・ガヴァナンスの体制を打ち立てるよう訴えます。
以上の三つの訴えを日本から世界に向けて発信するに際し、「世界平和アピール七人委員会」は、この訴えを日本自体が率先して推進することを求めます。そのために、とくに次の三点について、日本国政府に訴えます。
4.私たちは、いま日本が改めて日本国憲法の理念と原則を守り、活かしていくことを強く求めます。
今日、日本国憲法についての論議が盛んになっています。しかしながら、アジアを始め、世界全体を巻き込んだ戦争の反省を踏まえ、再びそうした戦争を起こさせないと誓う日本国憲法は、人類の歴史の到達点であり、世界の人々の願いの結晶です。
私たちはこの世界史的意義を確認し、安易な憲法改定に反対し、いかなる改定が行われる場合でも、「平和的生存権」と「国際紛争の平和的解決」、「戦力不保持と交戦権の否認」の三点については、現行憲法の理念と原則を守り、活かしていくことを求めます。
日本国憲法前文は、日本が「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼してわれらの安全と生存を保持することを決意し」、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免ぬかれ、平和に生存する権利を有することを確認」しました。
私たちは、日本国政府が、この「平和的生存権」を「人間の安全保障」という形で国際的に唱導し、外交政策の一つの柱にしていることを歓迎する一方で、その根拠である現在の憲法を無視する改憲論が推し進められていることに憂慮の念を禁じえません。
5. 私たちは、日本を含めた東北アジア非核兵器地帯の設置を求めます。
日本は平和憲法の原則にもかかわらず、日米安保条約によって、米国のいわゆる「核の傘」を中心とした武力に依存してきました。その中で、日本自身も過大な軍備を抱え、経済のひずみを拡大し、アジア諸国からの批判を受けています。
私たちは、核兵器が役に立つという幻想を棄て、「核の傘」依存の体制を改め、核兵器を持たないことによる安全保障の地域的な取り決めを作っていく原動力となっていかなくてはなりません。私たちは、東北アジア非核兵器地帯の設置により、地域の内発努力と、「平和共存」と「平等互恵」の原則に基き、地域の人々の不安を除去するための政治・経済の協力を進めることが可能になると信じます。
6.私たちは、日本が真にアジアの人々と共に生きるアジア外交を推進していくことを求めます。
日本政府は、外交の機軸を、「対米依存一辺倒」ではなく、「アジア外交重視」を基礎に据えて米国に友好国としての立場を求める外交へと、大きく転換する必要があります。
日本国内の米軍基地は、わが国の国家予算を用いて、遠く中東にまで至るいわゆる「不安定の弧」を視野に入れたアメリカの世界戦略にそって整備されています。横須賀への原子力空母の配備計画も、その一環として強行されようとしています。それは、世界、とくにアジアにおける新たな軍事的脅威となると同時に、テロを誘発しかねません。
私たちは、日本政府が、沖縄、鹿屋、岩国、横須賀、座間など、基地周辺の人々の増大する不安と高まる反対の声をなによりも尊重し、この国の人々と国土の安全にこそ留意した統治を行うことを求めます。私たちは、それがひいてはアジア・太平洋地域に新たな安定の時代を築くことにつながると信じます。
以上、「世界平和アピール七人委員会」は、その50年間のアピールをふまえ、世界平和実現の一助となることを切望して、本日ここに、国連・その加盟諸国・市民に対する三つの訴えと、日本国政府ならびに市民に対する三つの訴えを発表いたします。
[関連ニュース]
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7人委員会が50周年 「平和に生きる世界のために」アピール
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11月17日 国際総合文化研究科国際文化専攻の会議があった。「この人には割愛がいずれ出るだろう」と予測していた若手のよく仕事をする人(すでに学術書・啓蒙書を何冊も書いている人)に、ついに割愛が出たことを知った。一ヶ月ほど前にも別の人に割愛が出たことを知った(この人の場合は驚いたが、なるほどそうだろう、と感じるひとであった)。二人とも、本学の自由な雰囲気を心地よく感じていた人と思われ、かつてならば割愛に応じなかったのではないか、と思われる人である。学長選考における権利を教員に認めないというシステムは、教学関連のさまざまの仕事においても責任と権限を教員に認めないことと連動しており、現在の若手の雰囲気を大きく左右していると思われる。(すくなくとも、教員組合アンケートの中間集計に示される意識と重なりあう。)
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11月16日(2)学長選考のあり方(関係規則、制度とその運用)に関する疑問(「憲法違反ではないか?」)が去来するとき、「全国国公私立大学の事件情報」(昨日付け)で、日本科学者会議の宣言を読んだ。その内容に共鳴し、以下にコピーしておこう(赤字等の強調は引用者)。ここにはコピーしなかったが、「4 研究者の倫理綱領」もきわめて重要だと感じ、背筋をただして読了した。
ここまで書いた時、教員組合から、学長選考に関するアンケートの中間集計が伝えられた。その意見のほとんどすべてに、共鳴し共感する。私が「憲法違反ではないか」と感じるような行政(ひいては経営)による大学支配の問題(選考規定のあり方を通じる学長選挙への行政介入問題、選考規定を制定したのは行政当局・経営サイド)は、それと明示しないでも、アンケート回答で多くの教員に認識されていることが分かる。つまり、多くの教員がこうあるべきだと考える候補の条件を挙げていくと、それに合致した人が仮にいたとしても、現在の学長選考委員会ではけっして候補には選ばれない(であろうといわざるを得ない、そう予測せざるをえない)仕組みとなっているということである。回答のひとつはいう、「どこに自由があるのか」と。
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権利・地位宣言、研究者の倫理綱領(案)に関するご意見は下記まで。
Eメール: kenri-sengen@jsa.gr.jp
FAX : 03-3812-2363
1 すべての研究者は、その地位、所属機関、人種、性別、国籍のいかんにかかわらず、人間らしく生き、研究を継続する権利がある。
日本国憲法はすべての国民に基本的人権を保障しており、研究者も当然これらの権利を保障されなければなりません。しかし現実には研究者はその所属機関のいかんによっては、たとえば自らの信念に反する研究を強制されたり、発言の自由が制限されたり、労働基本権が制約されたりするなど、基本的人権が制約されている場合があります。大学においても、専業の非常勤講師は著しく不利な条件に置かれ、研究の継続に困難を生じています。また、女性、障害者、外国人などが、進学、就職、昇進などで差別的な取り扱いをされている例は数多く見られ、研究者の場合も例外ではありません。研究者としての権利の保障の前提として、日本国憲法第11 条以下に列挙されている基本的人権がまず保障されなければなりません。
2 研究者は真理を追求し、その成果を公表し、かつ虚偽の事実についてはこれを告発する権利をもつ。研究者は教育の場では真実を伝える権利を保障されなければならない。
企業の事故や事故隠しなどが頻発しています。事故の中には不可抗力のものもありますが、予測予防の可能なものも少なくありません。2004 年6 月に公益通報者保護法が制定され(施行は06 年4 月)、いわゆる内部告発が認められるようになりましたが、その内容はきわめて不十分です。事故や事故隠しについては、企業はもちろんですが、そこで働いている研究者の責任も問われます。研究者が良心的に事実を公表し、告発する権利が保障されなければなりません。また最近は知的財産を機関が管理するさい、管理が出版物や学会発表にまで及んでいるケースがあり、発表の自由が不当に制限される恐れもでています。これらの動きに対しても反対していかなければなりません。
3 研究者は軍事研究や人の健康、あるいは生態系に大きな影響を及ぼす恐れのある研究には参加を拒否し、これに反対して告発する権利をもつ。
現在、軍事研究と非軍事研究との境界は判別しがたくなっていますが、研究者は自らの研究が軍事に利用されないよう、細心の注意をはらうべきです。とくに研究費の出所がどこであるかについては、細かくチェックしなければなりません。また環境破壊の恐れや人に重要な影響を及ぼす恐れのある研究にも、これへの参加を拒否し、これに反対し、告発する権利を認められなければなりません。そしてそのことによって不利益をこうむっては
なりません。
4 研究者は長期にわたって地道に研究を継続するための公正・公平で充分な研究費などの研究条件を保障されなければならない。
研究費のGDP 比を欧米並みに引き上げるべきであり、その配分方法も科学の調和ある発展を保障するものでなければなりません。国立大学法人に移行した旧国立大学では校費が大幅に削減されたのみでなく、6 年程度の中期的な研究計画の提出を求められ、それによって研究費の額が査定されています。このため、試行錯誤を要する長期間の研究や基礎的な研究は軽視される傾向にあり、このことは、長い目で見て日本の学術研究に致命的な損失を与えることとなるでしょう。試験研究機関や企業の研究者にも同様な問題があります。いつ成果が得られるのか予測できない研究や、あるいはついに成果が得られなかった研究に対しても、研究条件は保障されるべきです。成果は失敗の上に得られるというのが研究の本来の姿です。 また、ややもすれば人文・社会科学系の研究が軽視される傾向があるので、研究費の面でも人文・社会・自然科学の調和ある発展を保障すべきです。そのためには政府は科学技術計画の策定に当たって、日本学術会議、学協会などを通して現場の研究者の意見を聞き、これを尊重すべきです。
研究者が育児・介護など家族的責任の主要な担い手であって、そのために自らの研究遂行に著しい支障をきたす場合は、性別によらず、特別な制度的保障が与えられるべきです。
5 研究の自由は研究者個人にとって不可欠な条件であるばかりでなく、人類全体の安全や社会の長期的な発展のためにも必要不可欠な条件である。これを保障するために、終身在職権など研究者の身分の安定がはかられなければならない。
研究が権力者の恣意や企業の利害に左右されるところでは、その社会の発展は阻害され、ひいては人類の生存すら危うくされる恐れがあります。このように研究とは研究者個人の仕事なのではなく、いわば国民から付託された任務なのですから、研究の自由を守ることは研究者の社会的責任です。このように大きな意義を持つ研究の自由を保障し、短期的な成果の有無に左右されないためには、研究者の身分保障が不可欠の条件です。ユネスコの「高等教育の教育職員の地位に関する勧告」(1997 年)は「終身在職権またはそれと同等な地位は、学問の自由を擁護し、専断的決定に対する主要な手続き的保障である」とのべています。最近、任期制の導入が急速に進んでいますが、これは研究者の身分を不安定にし、長期的視野に立った研究の継続を不可能にします。あるいは本人の意に反する配置転換によって研究の継続が不可能になるケースも見られます。研究上の競争は必要ですが、それが身分保障を危うくするものであるなら、研究の発展にはかりしれないマイナスをもたらすでしょう。
育児、介護などの家族的責任を担っている研究者に(特に女性)に対し、これを理由とした解雇、配置転換、辞職・転職勧告、嫌がらせなどが日常的に行なわれています。家族的責任を担うことは、人間として生活する上で欠くことのできない部分を担うことです。家族的責任を犠牲にすることなく、研究の継続が保障されることは、研究者が人間らしく生活することを保障し、人間らしい視点で研究することにつながります。
6 研究評価はあくまで研究奨励のためのものでなければならず、身分・待遇上の差別に利用されてはならない。
最近広がっている成果主義賃金や相対評価などは、評価基準が曖昧であり、本人の異議申し立てを認めず、あるいはこれを認めても形式的なものにとどめるなど、恣意的な人事管理のためのものとなっています。このことも研究の発展に大きなマイナスとなっており、この状態が続けば日本の研究が国際的に評価されることはなくなるでしょう。評価を行なう場合は、その基準を明確にし、本人の異議申し立てを認め、不服がある場合は何らかの救済措置をもうけるべきです。またその結果を恣意的に待遇上の差別に利用してはなりません。
7 研究者はその所属する機関の運営に参加し、民主的な運営を保障される権利がある。
これまで教育公務員特例法によって国公立の大学には自治が保障されていました。法人化によって、この法律の適用はなくなりましたが、しかし、従来どおりの自治が大学に保障されるべきですし、それは私立大学にも研究機関にも適用されるべきです。独立行政法人化によって公務員法の適用を受けなくなった職場では、就業規則が制定され、労働協約が締結されていますが、その際も研究者の権利は充分に尊重されなければなりません。また企業の研究機関においても、本来、その運営には研究者の自主性を尊重すべきです。自主性のないところでは研究は発展しません。
8 研究後継者の育成のために、科学的思考を育て、科学の調和ある発展をめざすゆきとどいた教育を保障しなければなりません。
研究の継承は日本の将来を左右する重大問題です。若手研究者の生活保障や研究条件の保障に、国はもっと力を注ぐべきです。また、現在の教育は政治に左右され、経済界の利益が優先されて、少数エリートの育成に力を注いでいますが、しかし国民全体の教育水準の向上なしには優れた研究は生まれません。現在のような教育政策をつづけているかぎり、日本の学術研究の未来は危ういといわなければなりません。また現在の日本の科学技術政策では特定の分野に対する重点奨励政策がとられ、そのため長期的な視野にたって日本や世界のあり方を探求したり、基礎的な研究を積み重ねる必要のある分野などが軽視される傾向があります。この偏りを是正するために、産業界のみでなく、学界、教育界をはじめ、広く国民の意見を聞かなければなりません。
(2005.10 改定)
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11月16日(1) 昨日夕方6時半から焼く1時間、二人の学長候補者による所信表明会があった。われわれ一般教員は選挙権者でもなく、誰が正式に候補者になっているかも噂でしか知らず、所信表明演説会の場ではじめて現学長ストロナク氏と副学長布施氏が候補に選ばれたことを確認した。
大学HPの教職員用のHPに二人の所信表明演説が掲載されているということは耳にしたが、2回ほど大学HPにアクセスしてみたが、発見するに至らなかった。明確に大々的に誰にでも分かるようにはなっていないというのが実態のように思われる。知りたいものだけがが知ればいい、ということなのだろうか。
両氏は経営審議会と教育研究審議会によって候補として選ばれたということであった。
だが、経営審議会と教育研究審議会のメンバーは、誰が選び任命したか?大学の教学(教育研究)の代表としての真の意味での正統性は、どうなるのであろうか? 憲法(芦部憲法の解説)に照らして、はたしてこれは妥当なやり方だろうか?
ともあれ、経営審議会と教育研究審議会によって候補として選ばれる以上、想定内の所信表明演説、と感じられた。中期目標、中期計画にどこまで学内の総力が結集されたかという点で問題があると思われるが、その根本を抜きにすれば、「決められた中期目標に従う」「それ以外はありえない」というスタンスは当然のこととなろう。
任期制や年俸制というもっともクリティカルな論点には、二人の候補者とも直接の言及は一切しなかった。どうとでも受け取れるような実に抽象的な表現でその周辺事情に言及するというのが率直な印象であった。一般の教員、とくに助教授以下(准教授、助手)の多くの教員の気持ちは、就業規則に書かれた「任期制」で重い空気に包まれていると思われる−少なくとも文科系教員の多くは、そして若手の多くは−が、その肝心な点は問題とされなかった。教学の見地、教育研究の担い手の処遇は大学の発展の根幹にかかわり、教学の代表としての学長が経営サイドに見識を示してしかるべき是正を求めていくべき問題だと思われるが、そのスタンスは、私には感じられなかった。
会の進行:
会場からの質疑とその応答、そして候補者相互の議論なども、一切ない(許さない)、ただ候補が所信を表明するだけ、ということで執り行われた。
参加者数とその構成などについて:
6時半直前、学内アナウンスで所信表明演説会の案内(参加を呼びかける内容)が放送された。会場に入るとき、アイウエオ順で教員の一覧表が置かれており、職員が会場にはいるものに対して氏名欄に赤丸チェックを入れるように求めていた(私が見たのは教員のリストだけだったから、職員に関するチェックを行ったかどうかはわからない。行っていないとすれば、教員あるいは学生・院生・その他だけをチェックするシステムか?)。だから、正確な数は、事務当局はつかんでいることであろう。わたしのみるところ、会場にいたのは目算で総数50名ほどであった[2]。この中に選考委員会関係者や選考委員10名ほどが含まれている。
しかし、発言権・選挙権のない教員の姿は、当然のこと、必然のこととはいえ、実にまばらであった。K,M,H,N,O,N,W,K,O,N,Z,U,K,Fなど私でも顔を存じ上げている(いろいろな意味で有名人である)教員諸氏15名ほどを確認できた。木原研究所、鶴見キャンパスの教員、さらに医学部などの教員で私の知らない人が参加していた可能性はある。しかし、事務当局管理職・経営サイドの人々が圧倒的(会場前方に陣取る)というのが率直な印象であった(例外もあるが)。夕方6時半以降の開催であり、残業命令・残業手当などの問題が発生しない事務管理職、事務局管理者が圧倒的多数、と。この参加者のあり方(構成)が、すべてのプロセスの性格を物語っているように感じられた。教員組合は候補者あてに質問状も出しているので、それとの関連で、いずれ、教員組合からは正式な報道とコメントがなされるのであろうと期待している。
久しぶりに「意見広告の会」のニュースで、首都大学学長の大学案内掲載記事を読むことができた。「本文はすべてママ」ということである。本文に直接当たっていない。もし本文そのままだとしたら、「想定内」とはいえ、私は唖然とせざるをえない。基礎的な日本語という点で、主語述語の関係の明確さといった基本的諸点で疑問を感じ、不明確さを感じる。それともこの文章はたんなる校正ミスなのだろうか?これは筋の通った教養ある文章といえるのだろうか?
大学案内を読む高校生諸君、そしてその父兄はどのように感じるであろうか。すくなくとも、「首都大学東京」なるイメージと理念に私が期待する内容とはかけ離れている。
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2 紹介 首大「大学案内」の学長メッセージ 本文はすべてママ
首都大学学長 西沢潤一
今日本の大学は独法化によって激動期を迎えつつあります。余りにも学内自由を謳歌
しすぎて、効果が低下していたことが原因で、締めつけを受けたことになりますが、最
近の大学の惨状を知る我々にとっては、これも已むを得ないことと思われますし、一つ
の試練を突破することを迫られていることになると思います。
整理された基本的知識は従来旧帝大のような歴史ある大学に委ねられており、逆に現
実的な問題に対処すると云う点では必ずしも対応できるとは限られていませんでした。
これに対し、公立大学は、地方自治体の創立に係るものであって、一般的な問題につい
ては国立大学の卒業生が期待されているのに、公立大学はその地方地方に要望される問
題に対応できる人材を輩出することを中心としています。
一見、末梢的な問題に限定されるように考えられがちですが、学術の発展を見れば、
容易に諒解されるように、新しい学問はこう云うところから生まれて来るのです。今猶
新しい学問は生まれ続けています。
そしてその成果は世界に大きな影響を与えるものでなければなりませんが、首都大学
東京の場合、東洋で逸早く発達した巨大都市で、これまでに巨大都市に特異な事象に妨
げられることが少なくなく、その度にこの解決に努力してきたので、学術として都市学
、都市工学のポテンシャルは極めて高いものとなっています。
都市工学は、其処に住む人達に対する十分な配慮を先ず基本とします。厚く深いヒュ
ーマニズムに立脚して、其処に住む人達の生活を機能化するための最高の科学技術を創
りながら、今日社会の都民に使って効果を挙げてゆかなければなりません。
この国際聯盟、国際連合の創立に至ったアジアの和の思想理解した上に、現代社会の
現実を分析してこれを世界的な視野に発展させていきます。さらには将来社会のあるべ
き像を描き、全世界の平和共存を可能とするために、我々が解決しなければならない問
題点を絶えず把握しながら、科学技術の進歩の計画を持ち続けていきます。
例えば全世界に供給するエネルギーを生み出すためには、現在のところ多くを化石燃
料に依存していますが、今後炭酸ガスの発生は避けたいところです。これに代わる方法
として水力発電と原子力、太陽光発電などがありますが、それらの利用のために、直流
送電技術の実用化が必要になってきます。このように、人間に立脚した科学や科学技術
の展開を行い、また逆もありますが、人間と科学技術の一体化した教育研究を行います
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11月14日 千葉大学CEO公共哲学関連のメールで山脇直司氏のパリ文明間対話会議のニュースと報告を受け取った。重要な問題提起と考え、以下に紹介しておきたい。山脇氏によれば、「一週間前の6日に日本を発ち10日の昼までパリのユネスコ本部で開かれた文明間対話の国際会議に出かけてきました。ドゴール国際空港に着いて電車で何事もなく市街に入りましたが、途中止らなかった郊外の駅が危険なため、前日まで日本の外務省からこの電車には乗らずタクシーで市街に来るようにとの通達があったことを後で知りました。エールフランスの機内で読んだ英字新聞には、今回の暴動の背後に、we
are French, but not real French という深刻なアイデンティティの差別問題があるということが書かれていました。パリ市街はほとんど平穏でしたが、そうした中で開かれた文明間対話の会議で私が報告したテーマはWAについてでした。すでに松浦事務総長の影響もあって、ユネスコのアフリカ諸国で人気のあるWAという概念は、WARと鮮やかなコントラストを成すコンセプトとして、更新され、世界に発信されるべきtransversal(通底的)な価値であることを、私は強調しました。ユネスコは、アメリカの影が薄く、アフリカやイスラム圏に対する影響大の重要な国連機関なので、そこでの平和国日本の果たすべき使命は大きいと私は考えます」と。
山脇氏は、「『和して同ぜず』」をharmonizing without assimilation 」と訳し、「現憲法の前文を引用しながら、『和・環』をharmony
in diversity and differences, peace based upon reconciliation と意味を更新し、また「やわらぐ」「なごむ」といった日本語のよさを強調しつつ、WAのもつ意義を発表しました」という。そのabstract
も添付ファイルで送られてきた。
山脇氏によれば、「日本・東洋思想の「弱点」を踏まえつつ、「世界に発信しうる価値」を再発見・脱構築・更新していくことも公共哲学の重要な課題だと思います。かつてサルトルやマルセルが熱弁をふるったユネスコは、21世紀の危機に対して哲学教育を重視しており、この意図に昨年からコミットし始めた私は、トランス・ナショナルないしグローカル公共哲学を日本から発信すべく、さらに今月末にはソウルで開かれる「アラブ世界とアジア世界の地域間哲学対話:民主主義と社会正義」で新たな報告(自由民権運動・大正デモクラシー・戦後民主主義の哲学歴考察)を行う予定」とのこと。
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11月11日 教員組合から学長選挙のあり方・候補に関するアンケートがあった。学内民主主義の点から言って、また教学(教育研究)の担い手としての学長の選考のあり方からして、今回のやり方が、根本的な点で問題であることは教員組合の主張のとおりである。選考のあり方を行政主導で決めれば、今回のあり方は必然的結果といえるのだろう。アンケートにどのような回答があるのか、興味深い。
『教員組合週報』によれば、15日夕刻からは、二人の候補の所信表明の会があるという。「立会演説会」というところか? しかし有権者は6名だけ。しかもその有権者はどのようにして選ばれたか?議長が行政当局の任命であること、その他の人々もその議長による任命者の中から選ばれたのではないか? とすれば、教学の独立性・自立性はどこにあるか?
「演説会」のあり方、意義に関しても教員組合の主張のとおり、いったいいかなる意味があるのか?
歴史の一人の証人として、すくなくとも現場を見ておく必要はありそうである。
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11月4日 今日は学園祭(浜大祭)。学生諸君のバンドが高く鳴り響いている。
さて、千葉大学公共平和哲学関連のメールで、カナダ在住の鹿毛達雄氏の「世界平和フォーラム」呼びかけを受け取った。以下にコピーしておこう。
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2005年11月2日
アジア地域の平和運動家の皆様
カナダのバンクーバー地域に在住する私たちはアジアにおける平和と正義を促進する
ことに強い関心を抱いて活動しています。
私たちは長年協力しながら活動してきましたが、この度、「2006年世界平和
フォーラム」(2006年6月23日−28日にバンクーバーで開催)の一部として、
「アジア地域会議」を実施したいと考えています。その準備と実現のために、「アジ
ア・ワーキング・グループ」 にご協力いただきたいと考えております。
世界平和フォーラム(World Peace Forum)のホームページ
(www.worldpeaceforum.ca)をご覧いただき、フォーラムの一般的テーマやニュース
について詳しく知っていただきたいと思います。
「アジア・ワーキング・グループ」を作る事にしたのは、アジア地域からの平和活動
家の方々にお集まりいただいて、アジアの地域的な問題について話し合う事が出来る
ようにしたい、さらに、「世界平和フォーラム」のグローバルな展望が同地域のダイ
ナミックな動向に関する明確な理解にもとづいて形成されるようにしたい、と考えた
からです。他のワーキング・グループも他の地域について同様な活動を始めていま
す。
私たちはアジア地域における重要な問題を検討するために、丸一日の「アジア地域会
議」を開催したいと考えています。アジアの北東部、東南部、南部、そして太平洋諸
島をカバーしようとしています。暫定的なプログラム案を添付致します。これは試案
ですのでご検討いただき、ご意見をお寄せください。ワークショップのご提案や、適
当と思われる講師、発言者も連絡先とともにお知らせいただければ幸いです。ご連絡
は以下のところにお願いいたします。
asia@worldpeaceforum.ca
日本語の場合は 鹿毛達雄 (かげたつお)tkage@telus.net
フォーラムの最終日にはピースボートが当地に寄航します。また、韓国や日本で「世
界平和フォーラム」のための準備の会合も開かれています。「アジア地域会議」を成
功させるために、以下の点に格別なご高配をお願いいたします。
― あなたが所属される団体が「アジア地域会議」にご賛同下さるようお手配くださ
い。
― 当方との連絡の担当者をお決めください。
― 在住されている国、または地域での世界平和フォーラムのための「準備委員会」
を形成するか、ないしは、それにご参加ください。
さらに、アジアにおける共催団体を探しています。すなわち、「世界平和フォーラ
ム」や「アジア地域会議」のために、時間や、人的、資金的な資源を提供していただけ
る団体のことです。
貴団体がそのような役割を引き受けていただけるかどうかについてもお知らせいただ
ければ幸いです。
連帯と平和を願いつつ、
鹿毛達雄 (Tatsuo
Kage) グレ−ターバンク−バー日系市民協会人権委員会
tkage@telus.net
陸国遠(Thekla
Lit) ブリティッシュ・コロンビア州ALPHA(アジア太平洋戦争学習史
実保存会)bcalpha@shaw.ca
ジョーン・プライス (John Price) CAPRN(カナダ、アジア太平洋地域リソース・ネッ
トワーク)joprice@uvic.ca
アジア地域会議−2006年世界平和フォーラム
予定日程:2006年6月25日(日曜日)
プログラム試案 (たたき台として)
一日の会議ではアジア(東北、東南、南アジア、太平洋諸島を含む)における重要問題
の検討を目的にしています。考えられるトピックとして、アメリカ軍の基地問題を含
めた地域的安全、朝鮮半島の再統一、核兵器のないアジア、“テロリズムに対する戦
争”、 弾道ミサイル防衛、補償と和解などが考えられます。
8時−8時45分 参加者登録受付
8時45分
開会挨拶
9時 全体会議:「お詫びで不十分な場合には」― 植民
地主義、第二次大戦、冷戦による被害を蒙ったアジア。
このセッションでは和解をもたらす促進要因や、障害となるものを検討します。第二
次大戦に由来する未解決の問題や今なお残っている朝鮮半島、ベトナムにおける冷戦
の影響などを取り上げます。日系カナダ人の補償の経験もこのセッションのテーマの
一つとなります。
10時30分
休憩
11時
市長による円卓討論
このセッションではアジア諸国の市長の方々から、アジア太平洋地域で補償、和解、
平和を実現するために必要と思われる処置についてのお考えを聞きます。
12時15分
昼食
午後1時
ワークショップI (同時進行)
―朝鮮半島における核問題
―南アジアの核問題
―憲法第9条
―弾道ミサイル防衛
―ベトナムの友好村
―女性と基地
―広島・長崎
―その他
2時15分
休憩
2時45分 ワークショップII (同時進行)
―自治体と市民の協力
―東南アジアとテロに対する闘い
―補償問題 (慰安婦、細菌戦、強制連行など)
−靖国神社
−人種主義
4時
総括全体会議「 超大国を巻き込んだ対決は差し
迫ったものか」
この全体会議ではこの地域における超大国を巻き込んだ対決を防止し、そして、核兵
器のないアジアを達成するためのストラテジーを検討します。
5時15分
閉会の言葉
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11月1日(2) 今回、政治経済学・経済史学会に、会員を中心としながらも会員以外の参加者も結集する専門研究フォーラムを創設することになった。その第一番目として兵器産業・武器技術移転に関するフォーラムが理事会・総会で承認された。そのフォーラムの創立・参加呼びかけには、誘われて私も加わった。多くの方の参加を期待したい。
兵器産業・軍需産業と軍国主義・帝国主義・戦争との関連は現代においても重要な研究テーマであり、地球市民の見地に立って軍縮を飛躍的に進めることは、憲法「改正」による軍事力の公然たる保持への道を封じるためにも、現代日本が抱える重要な課題であろう。(Cf.季刊『軍縮地球市民』No.1創刊号、No.2, 明治大学軍縮平和研究所、創刊号冒頭の森住卓氏の写真「セミパラチンスクの核汚染」の写真は衝撃的である。Cf.森住卓氏HP)
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11月1日(1) 自民党憲法草案が重大な問題を含んでいることはすでに各方面で指摘され、今後も各方面から批判が出されると思われるが、「大学の自治」の見地から、本学元教授・佐藤真彦先生がさっそく鋭い批判的解明を行っている。以下にコピーしておこう。本日誌で繰り返し指摘したように、現在ですら、「大学の自治」破壊の諸制度がまかり通っているとすれば、憲法「改正」の暁には、さらにいっそう「大学の自治」「学問の自由」の破壊は進展することになろう。現在すでに進行している「大学の自治」破壊を憲法で合法化しようというのが、自民党草案、ということになろう。
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根こそぎに破壊される「大学の自治」:自民党・新憲法草案の隠された意図(2005.10.31)
去る10月28日に発表された自民党・新憲法草案は、9条を改悪して日本を「戦争をする“普通の”国」にすることを主要な目的としているが、96条(改正手続き)の“3分の2”条項を“過半数”に改変するなどの悪質な仕掛けが随所に見られる。
「学問の自由と大学の自治」に関する23条に関しても、看過できない重大な改変がなされている。
【現行憲法】:
第二十三条 (学問の自由) 学問の自由は、これを保障する。
【自民党草案】:
(学問の自由)
第二十三条 学問の自由は、何人に対しても保障する。
一見、内容的に何も変わっていないかのように見えるが、自民党草案では、保障されるのは「“個人”に対する学問の自由」だけで、「大学の自治」は何ら保障されず、それどころか、「大学の自治」を積極的に排除する意図が隠されていると考えざるを得ない。なぜなら、現行憲法においては、《(23条の)学問の自由の保障は、個人の人権としての学問の自由のみならず、とくに大学における学問の自由を保障することを趣旨としたものであり、それを担保するための「大学の自治」の保障を含んでいる》(『憲法』(第三版、芦部信喜、2002年、岩波書店、156ページ)ことが確立されているからである。
すなわち、自民党が、過去半世紀以上の長きにわたって、「大学の自治」に対する一貫した敵視と攻撃の政策をとってきた事実をふまえれば、今回の自民党草案が、「学問の自由」の対象を個人に限定することで、滝川事件をはじめとする戦前の数多の大学弾圧事件に対する深い反省をもとに確立された「大学の自治」の原則を、憲法レベルで根こそぎに破壊しようとする悪辣な意図を隠し持っていることは明らかである。
おそらく、草案作成者は、過去の判例や学説等を検討して、現在進められている違憲の疑いが濃厚な大学に対する管理・統制政策、間近に迫った「教育基本法」改悪、あるいは、将来おこり得る大学弾圧などに備えて、反対論や違憲判決等が生じることがないように予め謀ったのではないのか。もしそうなら(おそらく、そうに違いないが)、その意図たるや悪質極まりないと言うべきだろう。
このほか、現行憲法が基本的人権の限界を「公共の福祉」により制約しているのに対し、自民党草案では、これを、「公益及び公の秩序」による制約に改変している点は、専門外のことながら、大いに問題ではないかと直感する。【12条(自由及び権利の保持責任と濫用禁止)・13条(個人の尊厳と公共の福祉)・22条(居住・移転・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由)・29条(財産権)】。
実際、上記の『芦部憲法』(96ページ)では、《「公共の福祉」の意味を「公益」とか「公共の安寧秩序」(=「公の秩序」)と言うような、抽象的な最高概念として捉え》ることは、《法律による人権制限が容易に肯定されるおそれが少なくなく、ひいては明治憲法における「法律の留保」のついた人権保障と同じことになってしまわないか、という問題》がある点が指摘されている。
とくに、自民党草案の12条では、『この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、保持しなければならない。国民は、これを濫用してはならないのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う』と、わざわざ、下線部のように改変して、主権者である国民に対して、「公益及び公の秩序」による制約と「責任・義務・責務」の存在をしつこく強調している(現行の12条では、下線部は、単に『常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う』となっている)。
このように、自民党草案は、《基本的人権が、本来、主として「国家からの自由」という対国家的なものであったということは、現代においても、人権の本質的な指標である。・・・人権にとって最も恐るべき侵害者はなお国家権力である》(同上書、110ページ)という、為政者として第一に考慮すべき基本的留意点を意図的に無視して、「国をしばる憲法から国民をしばる憲法」への視点で作成されたトンデモナイ代物である。(“御用”専門家ではない)真の専門家による批判的検討を期待したい。
参考資料
■【自民党・新憲法草案】 (低気温のエクスタシーbyはなゆー 【速報】 自民党・新憲法草案全文 より
■『憲法』第三版、芦部信喜、岩波書店(2002年)
■国をしばる憲法から国民をしばる「憲法」へ (2004.8.30)
(2005.10.31ホームページ管理人作成)
[1] しかし、もちろん、「サイレント・マジョリティは、アンケート結果とは根本的に違う意見だ、今回の改革はいろいろ問題もあるだろうが、自分も推進したいい改革だ」という態度の教員(サイレントな教員を自分に引き付けて解釈する人間)も何人かはいるであろう。
そして、それが正しいのならば、大学の雰囲気は明るく活気のあるものとなろう。
[2] この点は、昼休みにみることができた『神奈川新聞』記事でも参加者は「約50人ほど」とあったので、私の勝手な目算ではなかったことが確認できた。
参加者の中にどれだけの教員がいるのか、参加者は一体どのような人々によって構成されているのか、という所信表明会の性格とかかわる重要問題(大学自治にかかわる重要問題)については、『神奈川新聞』の記事は一言も触れていない。