1029日 学会出張から帰ってくると、いくつかの重要な情報があった。そのうち、本学と関係するのが、市当局職員(幹部職員)の法令違反問題であった。これは、市議会の「脳血管センター」人事委員会の審査結果に関する追及の中で問題化している。

無所属の井上さくら議員が,人事委員会の審理の公正・公平・中立性を疑わせる事実として、病院経営のサイドと人事委員会の委員とが、ヨットを共有し、親密な関係を継続している事実を追及している。

裁判官(人事委員会のメンバー)と被告(医療過誤問題・不当人事配置問題では被告となる病院経営サイドのメンバー)とが、仲間で、お互いにかばい合う中であるなら、人事委員会(法廷)における審理が、不公平・非中立になるのは明らかであろう。

しかも、井上議員は、その「市幹部が共有しているヨットで,違法な航行を行った」ということを追及している。

このヨットは、井上議員の追及によれば、「繋留に関する法律違反」を続けているものだとされる。市議会で公然と追及されたことであり、事実関係が、いずれ解明されるであろう。迫力ある議会の場面ではある。

http://www.yokohama-city.stream.jfit.co.jp/vod_play.php?CNTID=32486&PREVPAGE=%CC%E1%A4%EB

 

明後日に、教員組合と当局との団体交渉が開かれる。教員組合は、任期更新問題で、団体交渉要求書を提出しており、そのなかには、長期的に検討すべき重大問題として、現在の大学運営の非民主制(大学自治破壊状態)の問題を指摘している。大学自治において学長以下の人事が決定的に重要だというのは、芦部『憲法』が明らかにしているとおりである。本学の現状が、首都大学と同じく、大学運営における民主性という点で、異常な状態にあることは明らかだろう。私が、芦部『憲法』を理解する限りでは、現在の大学の運営(管理職組織のあり方)は、憲法の基準を満たすものではない。それを許している定款や条例は、たとえ大学内の規程というかたちであれ、自治を保障する諸制度を制定しない限り、憲法違反の状態にあると考える。

 

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10月25日 国立大学教職員向けに深谷氏が労働相談所を開設したということである。Cf.全国国公私立大学の事件情報(本日付)

ただ、相談資格が、「国立大学法人の教職員」となっており、公立大学の教職員は含まれていない。しかし、首都大学と本学のように、行政当局(市長・都知事)からの「任期制」、「年俸制」の強要(中期目標・中期計画への盛り込み)、予算削減圧力、人件費削減圧力などは、公立大学のほうが厳しい。行政当局が大学自治の破壊など意に介さない状態であることは、法人経営者を都知事や市長が任命し、そのもとで全管理職が任命されている実態一つとっても明らかである。民意を調査するシステム(大学構成員の秘密選挙による意向調査)などが大学諸規則に一切組み込まれていない。教員組合が必死になって、土俵ぎりぎりのところで踏みとどまっている、というのが実感である。したがって、行政当局の直接的圧力の下に置かれた独立行政法人としての、法的に類似の位置にある国公立の教職員の個別相談に応じていただくとありがたいのだが。

 

以上の日誌を書いた後、下記のようなご連絡をいただいた。

 

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----- Original Message -----
From: "ibakyo" <ibakyo@bd.wakwak.com>
Sent: Thursday, October 25, 2007 9:27 AM
Subject: [he-forum 12676]
労働相談所開設のお知らせ(茨城大学教職員組合)

>
茨城大学の深谷@教職員組合執行委員長です。
>
>
国立大学法人発足から4年、
>
働く教職員の権利と労働条件をめぐって、さまざまな問題が発生しています。
>
今回、タイトルのように、「労働相談所」を開設することになりましたので、
>
お知らせいたします。
>
私がもっている法律知識を生かしてもらおうという趣旨から、
>
「労働相談所」を開設することにしました。
> http://www.ibakyo.or.jp/iincho/roudousoudan/soudan-top.html
>
>
>
もとより、個人が行う相談所ですから、大それたことはできませんが、
>
どうか、ご活用ください。
>
さて、
>
今後、作成されるであろう「労働相談QAの配信を希望される方は、
>
茨城大学教職員組合まで、「配信希望」と書かれたメールを下記アドレスへ
>
お送りください。
>
>
>
「労働相談QA」配信希望の方はこちらへメール下さい。
→boss@ibakyo.or.jp


>
====================
>
茨城大学教職員組合
>
>
 〒310-0056 茨城県水戸市文京2-1-1
>
   Phone/Fax029-228-3060
>
   e-mailibakyo@bd.wakwak.com
>      
HPのアドレスが変わりました)
>       URL
http://www.ibakyo.or.jp/
>
====================
>
>

 

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10月24日 大学法人が、どれだけ優れた固有職員を、どれだけの割合で確保し、養成していくかは、法人の今後の発展にとって決定的に重要である。現在の法人当局には、果たしてその認識があるか、これが問われている。それは、専門職員に対して、どのような対応の仕方をしているのか、といったところにも、明確に現れてくる。

 

人事政策が、公明正大で、本当の実力者が選抜されるようになっているかどうか。

そもそも、任期制ではたしていい固有職員を確保できるのか、任期制(更新基準)の適用の公明正大さがないとき、はたしていい固有職員があつまるのか。任期制という看板で、すでに有力な人材は、応募してこないのではないか。一般企業で、任期制を全面的に採用している企業はあるのか? 

民間の論理を踏まえるとき、全員任期制などというのは、狂った発想ではないのか?

固有の長期的に働くべき人材を、任期制で採用する民間企業は、どのくらいあるのか?

 

各固有職員の採用時点における潜在的能力をどの程度、発展開花させることができるか、そのインセンティヴをあたえることができるか。

こうしたことが、いっぱんの企業と同じく、大学の発展にとってきわめて重要である。

 

「任期制」、「有期契約」という手法で、本当にいい固有職員を採用し、育て、活発な大学にしていけるのか、これが問われている。

中期目標等でそのような制度を提案し盛り込んだ人々は、今は市当局のどこかの部局に「栄転」して、大学を去ってしまい、大学の運命とはかかわりのない仕事をしている[1]。そのような人々は公務員としての定年までの身分を確保している。「わが亡き後に、洪水は来たれ」?

 

強引に創った中期目標と中期計画だけが,文章として残り、大学を縛り付けている。「決まったことだから仕方がない」という空気(現状正当化の空気と諦観の空気)が広がっている。それは、TOEFL500点問題でも見られる発想である。

 

 

「任期制」、有期雇用のあり方、再任基準やその適用のあり方こそは、固有職員のやる気や発達に重大な作用を及ぼす。まさに今、問題になりつつある「専門職員」に対する態度が、はたして、そうした長期的基準・視野から、適切合理的であるかが、問われている。

 

2-3年で法人を去っていく人、目先の成果だけを挙げればよく、したがってどのような固有職員を採用し、育て、活性化させたかの責任を問われない人が、決定権を持つと、どういうことになるか?

 

大学教員にも、「全員任期制」を押し付けようとする人々の発想からすれば、そんなことはどうでもいい、ということか。

 

業績(の評価)と処遇の関係、職務と処遇の関係、仕事(の評価)と給与の関係の合理性・透明性・公正さは、どこまで実現できるか? その実現は、だれによって、どのような手法によって? どのような精神的担い手によって?

4月昇任問題(任期制不同意者の昨年に引き続く差別的不利益処遇)は、まさに、その反対をいくものではないか?

 

本学の固有職員の有期契約のあり方には、全国的にも関心がもたれている。Cf.全国国公私立大学の事件情報(本日付)

 

固有職員は、自らの仕事の適正な評価を求めて、自己主張を、個別分散的にではなく組織的に、行う必要があろう。教員組合は、同じ問題を抱えるものとして、また過半数代表の組合として、すでにその端緒が切り開かれたように、それに連帯することになろう。

 

 

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10月23日 教員組合ウィークリー。職員組合との懇談会で得た情報。職員組合の当局に対する要求。

 

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横浜市立大学教員組合週報

 

 

 組合ウィークリー

 

2007.10.22

 

 

もくじ

 

       職員組合と話し合いをもちました

 

 

 

 

       職員組合と話し合いをもちました

 

同じ大学で仕事をしている職員の組合とも連携を深めるために、18日に四役で話し合いを持ちました。その話の中で、職員組合も、さまざまな問題を抱えていることが明らかになりました。職員組合は、今月9日に理事長宛に「職場諸要求に関する要望書」を出しています。

 職員は、職員区分としては、職員、市派遣職員、非常勤職員、契約業者からの派遣社員、業務委託職員など、さまざまな雇用形態の職員から成る混成の職場で、適切なコミュニケーション維持にも困難な状況を抱え、また働く意欲の維持にも支障が出るという危惧も抱かれています。そのことは、直接・間接に教員・学生にも大いに影響を及ぼすことになります。

 法人化に伴って任期に同意した教員の更新問題が、現在、教員組合としての大きな問題ですが、法人固有職員は、三年ごとに評価をおこない雇用契約を更新することになっています。この雇用契約の継続に関連した問題が発生していることも明らかになってきています。

同じ大学に働き、よりよい大学を目指すものとして、看過し得ない、きわめて重大な問題でもあります。

大学での教育・研究など、さまざまな活動には、教員・職員の相互の理解と協力が欠かせません。教員としても、職員組合の抱える問題を認識することが必要だと思います。そこで、職員組合が109日付けで理事長宛に出した「職場諸要求に関する要望書」を次に紹介いたします。

2007109

公立大学法人 横浜市立大学

理事長 宝田 良一 様

横浜市立大学職員労働組合(横浜市従大学支部)

委員長 伊藤 博 

職場諸要求に関する要望書

 

 市民に期待される大学運営の確立に向け、日頃の取り組みへのご尽力に敬意を表します。

 横浜市立大学職員労働組合における職場諸要求について、以下の通り改善を要望します。

 

要求事項

1.職員配置基準の明確化について

 現在の横浜市立大学は、雇用形態の異なる様々な人たちにより業務が日々遂行されています。職員区分では、職員、市派遣職員、非常勤職員、契約業者からの派遣社員、業務委託職員など、さまざまな雇用形態の職員による混成職場となっています。また、人の入れ替わりも多く、職場内の意思疎通と適切なコミュニケーション維持にも困難な状況を抱えています。このような職場状況では、無用な誤解や働く意欲の維持にも支障がでてくるものと思われます。職員組合としては、職場運営の改善の立場から、職場状況の改善と職員の配置基準を明確にするよう要望します。

 

2.法人固有職員の継続雇用に取り組みについて

 法人固有職員は、「三年での契約更新」となっており、三年ごとに評価をおこない雇用契約を更新する、となっていますが、雇用契約の継続を基本とした対応を図るよう強く要望します。また、評価に当たっても、不利益・不平等な扱いが生ずることのないよう必要な体制を整備することを要望します。

 

3.配転基準の明示について

 今後の法人職員の配転基準の検討と明示を図るとともに、職員の配転希望がある場合については必要な配慮を要望します。

 

4.市派遣職員の対応について

 市派遣職員の配置などの処遇については、これまでの交渉経過を踏まえた対応を要望します。また、異動にあたっては、本人の意向を尊重するとともに、組合の了解を経ずに一方的な説得などはおこなわないよう要望します。

 

5.「不服申し立て機関」の設置について

 現状では、労働条件や不利益な扱いなどでの不服対応の方法としては、直接「労働基準監督署」に訴えることになりかねない状況もありえます。事前になんらかの解決点が見いだされる場合も想定されることから、双方にとっても不本意な状況に至らないよう適切な対応と「不服申し立て機関」などの設置の検討を要望します。

 

6.育児休業措置の検討について

 非常勤職員や契約職員には、若い人たちが採用されていることから、継続して働き続ける環境の配慮が求められています。育児休業措置などの環境整備を要望します。

 

7.人事評価の本人開示について

 人事評価における評価結果については、疑義が生じやすいことが想定されます。本人からの開示請求がある場合には、情報の開示と十分な説明をおこなうよう要望します。また、人事考課など個人情報に関わる取り扱いには、充分な配慮と管理がなされるよう要望します。

 

8.60歳停年以降の継続雇用について

 60歳停年後の対応については、横浜市でも再任用などの継続雇用の措置を講じています。法人においても、市派遣職員など、市立大学で定年を迎える職員については、継続雇用について何らかの制度化を図るよう要望します。

 

 

 

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10月22日(2) 専門職員の任期(更新の有無、その通告の仕方など)に関する問題が、浮上しているが、念のため、大学の中期計画の当該箇所をみると、次のようになっている。

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【専門職員の人事】

@学生のキャリア支援や国際交流事業などを推進するため、専門的な知識・経験を有する専門職員を設置する。
A専門職員に対しては、目標達成状況や業績などを適切に評価するため、公正かつ総合的な評価制度を導入するとともに、年俸制を導入し、目標達成度や活動実績の評価結果を年俸に反映させる制度を導入するほか、任期を定めて任用する制度とし、多様な知識や経験を有する専門職員の交流を図る。

Bいずれの制度についても、毎年制度の見直しを行い、平成19年度末までに、制度として確立する。

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 とすれば、一方的に「仕事がないですよ」などと通告するのは、無計画・不見識そのものであって、論外であり、この間に、きちんとした契約を示していたかどうか、適正に「目標」が示されていたかどうか、その有期契約における制度内容が周知されていたかどうか、とくに「公正かつ総合的な評価制度を導入する」という約束が守られ、周知徹底されていたかどうか、といった諸論点が重要問題となろう。

 

「年俸制」は、教員の場合も、当初の予定や構想とは違い、また、本来の年俸制とはちがうものとせざるを得なかった。「専門職員」の場合はどうか?本来の任期制における年俸制のように、普通の職員の何割か増し以上の高い水準の給与が支払われていたのか?

 

「制度が確立」してもいない段階で、一方的な「任期更新なし」というやり方は、許されないのではないか?

使用者側が、使用者として公正・適正な制度設計をきちんと行わないままで、働くものの人生設計を全体として狂わしてしまうことを行っていいのか、これが公立大学法人に問われることになろう。

 

 

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10月22日(1) 団体交渉権は、教員組合・職員組合にとって重要な権利であり、国際的な労働運動の成果であるが、日本では、占領軍支配体制以来、公務員からはその当然の権利が剥奪されていた。それが、見直される機運が一段と高まったようである。民主的権利の回復、世界基準の回復ないし実現、憲法的保障の実現ということであれば、その意味での「戦後レジーム」(占領支配体制としてのレジーム)の「見直し」であれば、当然の「見直し」である。民主化と自由化の発展的実現は、教員組合の不断の、そして、また、普段の努力目標でもある。

                  

           「全国国公私立大学の事件情報」(本日付)

公務員に労働協約締結権、60年ぶり前進へ一歩:

政府の行政改革推進本部専門調査会(座長・佐々木毅学習院大学教授)が十九日、非現業公務員に労働協約締結権を付与することを明記した報告書をまとめました。争議権付与を見送るなど問題点を抱えていますが、戦後六十年にわたって労働運動全体の焦点となってきた労働基本権回復のたたかいで、大きな前進に転じる情勢を開く一歩となるものです。

 

 

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10月19日 高知大学の学長選挙も、不透明な、学内民意転覆の結果となったようだ。学長選考会議なる装置が、学内民意を無視するため(現学長勢力優位の体制)の仕掛けであることが、この事例からも浮かび上がる。

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「意見広告の会」ニュース429

*ニュースの配布申し込み、投稿は、
  qahoujin at magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。
*迷惑メール防止のため@atに書きかえています。アドレスは@に直して下さい。


** 目次 **
1 高知大学学長選
1−1 高知大学学長選挙の結果について
     高知大学関係者より
1−2 高知大学長 選考会は相良氏再任 学内「規則違反で無効」の声
     『高知新聞』10/18(木)
2 本の紹介
    イ・ヨンスク氏 『異邦の記憶――故郷・国家・自由』


***
1−1 高知大学学長選挙の結果について
いつも貴重な情報をお送りいただき、どうもありがとうございます。
さて、本日は、勤務先である高知大学の情報をお送りしたいと思います。
昨日、次期学長が学長選考会議で決まりましたが、きわめて問題のある決定で、学内構
成員の間では、現在それに対する組織的対抗策を検討しているところです。 


1−2  高知大学長 選考会は相良氏再任 学内「規則違反で無効」の声
     『高知新聞』10/18(木)

 高知大学(高知市曙町二丁目)の国立大学法人移行後初の学長選考が17日行われ、理
事や学部長、学外有識者で構成する「学長選考会議」(議長=篠和夫農学部長)は次期
学長に現学長の相良祐輔氏(72)を決めた。しかし同氏の得票は5票で、「出席者(10
人)の過半数」という同会議の規則を満たしておらず無効という指摘が続出。今回の学
長選では「学内意向投票」をめぐる不透明性も明らかになっており、選考のあり方が厳
しく問われる結果となった。(高知大学長選考取材班)


意向投票開票にミスか不正も

 学長選考会議は相良氏と同大大学院黒潮圏海洋科学研究科長の高橋正征氏(65)の2
人を候補者に非公開で行われ、終了後に篠議長らが会見して結果を明らかにした。それ
によると、同日は学外の1人が欠席したため10人で審議を行い、議長を除く採決の結果
、5対4で相良氏の再任が決まったという。しかし同会議の規則には「議決には出席者
の過半数の賛成がいる」というくだりがあることから、同日夜になって関係者から「5
票では過半数に達していない」という声が続出。関係者の一部は、18日にもそのアピー
ルを行動に移す構えを見せている。
 同会議のメンバーは、現学長が指名した県内企業や病院の経営者ら4人の学外有識者
と、理事や学部長ら学内の7人(うち3人は学長指名)。会見で同議長は、学内意向投
票では高橋氏の得票が上回っていたことを説明。さらに意向投票の開票で「ミスあるい
は不正が行われた可能性」が否定できず、二通りの得票数(いずれも高橋氏が上回って
いた)を参考にした上で現職を選んだことを明らかにした。
 学内意向投票は、10月5日に教職員893人を対象に実施。806人が投票し、朝倉キャン
パスの事務棟で即日開票された。選挙管理委員会が確認した投票結果は高橋氏419票、
相良氏378票、無効9票で、事務局が各候補ごとに票を金庫に保管。ところがその約10
分後に事務局と選挙管理委員の1人が「票を整理するため」に金庫を開け、一束(20
)分の票数が食い違っていると指摘した。選挙管理委員を再招集して数え直したところ
、高橋氏399票、相良氏398票の1票差になっていたという。
 これについて選考会議は「票の管理がずさんというそしりを受けても仕方がない」と
前置きし、「事実確認のしようがなく判断がつかない。集計ミス、あるいは不正な票の
差し替えのどちらもあった可能性があるので、二通りの数字をベースに議論した」など
と説明した。
 同会議の審議は2時間半にわたり、「経営基盤のさらなる強化のため、改革の中身や
方向性が重要」などの意見が交わされたという。意向投票については、学内から「(高
橋氏優勢の)結果を尊重すべきだ」との強い声もあったという。次期学長の任期は来年
4月から4年間。

密室の逆転劇  大学厳戒態勢 構内取材拒否

 次期学長に相良祐輔氏の再任を決めた高知大の学長選考会議に際し、大学側は報道陣
の構内への立ち入りを認めないなど異例の厳戒態勢を敷いた。会議後の会見でも審
議の経過など詳しい説明はなく、いわば密室での学長選びに終始した格好となった。
 「大学構内に報道は入らないでほしい」
 日ごろ高知大を取材している報道陣を出迎えた大学側の第一声はこれだった。選考会
議が始まる午前10時前には、同大秘書課の職員が会議が開かれる総合研究棟の玄関口で
数社の報道陣の前に立ちはだかった。説明の言葉は、「選考会議のメンバーらをカメラ
で撮られると肖像権が問題になります!」。
 会議が終わる2時間半後まで、秘書課職員は玄関に立ったまま。「建物内に入られる
と選考情報が漏れる恐れがある。建物の運営上も問題」と報道陣を拒絶し続けた。午後
4時半から篠和夫選考会議議長らが開いた記者会見では、高橋正征氏の得票が相良氏を
上回っていた学内意向投票の結果を報告。さらに集計のミスまたは不正を明らかにし、
報道陣からはその内容について質問が集中した。
 会見に同席した河本朝光事務局長は、「不正に票が差し替えられた可能性は?」との
質問に、「故意に(票の)束が入れ替えられた可能性も否定できない」と言いつつ「ど
っちが正しいか今更検証しようがない」。ミスや不正を突き止めずに2種類の投票結果
を認知したこと、会議のメンバーからも投票やり直しを求める声は出なかったことなど
、ずさんな選考過程が次々と明らかに。意向投票の結果と学長選考会議の結論が食い違
った点について、選考会議内の具体的なやりとりの説明もなかった。
 意向投票を覆した学長選考会議は、その過半数を現学長が指名する。メンバーを高知
大は明らかにしていないが、高知新聞の調べによると、学内が農学部長人文学部長
理学部長教育学部長と3人の副学長で計7人。学外は関裕司・ニッポン高度紙工業
会長(17日は欠席)西山彰一・宇治電化学工業社長藤原健男・テレビ高知相談役
細木秀美・医療法人仁生会細木病院理事長。この日、相良氏は松山出張のため午後3時
ごろ大学を出発。学長のコメントを求める報道陣に、篠議長らは「存じ上げてない」「
出張は前々から決まっていた」と繰り返すだけだった。


2 紹介
【イ・ヨンスク氏 『異邦の記憶――故郷・国家・自由』 刊行のご紹介

メーリングリストでお世話になっております、赤瀬と申します。この度、勤務先の晶文
社より、一橋大学大学院イ・ヨンスク教授の11年ぶりのご著書、『異邦の記憶――故郷
・国家・自由』を出版させて頂くことになりました。 本著はポスト・ナショナリズム
の見地に立った文学論、政治論、書評の三部から構成されておりますが、とくに政治論
では、この会で積極的に議論されております歴史修正主義の問題が、大きく取り上げら
れております。 会員の皆さまにお読みいただくに相応しい内容となっていると存じま
す。1030日に発売となりますので、皆さまどうぞよろしくお願い申し上げます。
   赤瀬智彦(晶文社編集部)

イ・ヨンスク
『異邦の記憶――故郷・国家・自由』

晶文社、20071030日発売、288頁、思想・エッセイ
定価:2,500円+税(2,625円)、ISBN978-4-7949-6715-2

【内容】

『「国語」という思想』(サントリー学芸賞)以来11年の
思考を集成した、渾身の文学・政治論。境界を生きる
人々の声に耳を澄まし、民族差別の〈いま〉を問い直す。
 ・ ・
本書を貫くのは、かつてドストエフスキーが『カラマー
ゾフの兄弟』で描いた、人間にとって自由は重荷か、
権威の命じるままに生きることが多数者の幸せなのか、
という問いかけをめぐる、根源的な思索である。  
カミュ、李良枝ら植民地主義の落とし子たちの、終わり
なき彷徨を見つめる「文学論」と、外国人を排斥する
心情の歴史的背景をひもとく「政治論」。二つの角度
から現代社会を問いなおし、時代の扉を押しひらく――

【目次】

――世界の関節を脱臼させる方法

I
文学者たちの終わりなき彷徨

アジアの植民地から読むアルベール・カミュ
虚無から夢へ――『狂躁曲』をめぐって
ことばの深淵より――李良枝への鎮魂
定位と移動――「祖国」との距離
ディアスポラと国文学

II
人間にとって自由は「重荷」か?

「雑居」への恐怖――近代日本の他者認識
民族差別と教育――ステレオタイプと「間の存在」
戦争という罠――現代日本の精神土壌
開き直りに抗して――『ポストモダニズムとホロコーストの否定』解説
わたしたちは傷つく心をもっているか――『戦争と罪責』

III
越境という思想を辿りなおす

境界線上の知性――アイザック・ドイッチャー『非ユダヤ的ユダヤ人』
関係項としての「日本」――李孝徳『表象空間の近代』
〈非戦〉の連鎖――山室信一『日露戦争の世紀』
心臓部から――テッサ・モーリス=鈴木『辺境から眺める』
脱出する者たち――黒川創『国境』
雨の降る品川駅――林淑美『昭和イデオロギー』
思ったことを書く結果――川村湊『作文のなかの大日本帝国』
行くことのできない、ただのコレ――洪世和『コレアン・ドライバーは、パリで眠らな
い』
地下室、最後の安息所――シン・ギョンスック『或る失踪』
ささやきかける声――姜信子『安住しない私たちの文化』
意志と行為――米山リサ『暴力・戦争・リドレス』
にゃあと鳴けば考える近代日本の大モンダイ――夏目漱石『我輩は猫である』

あとがき

【著者】
イ・ヨンスク
韓国全羅南道順天市生まれ。延世大学校文科大学卒。
一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学
博士。現在、一橋大学大学院言語社会研究科教授。
専攻は社会言語学。前作『「国語」という思想』(1996)でサントリー学芸賞受賞。

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10月18日 職員組合と教員組合の情報交換会を行った。

 

職員においても、法人化後、実にたくさんの問題が発生しているようである。その一つは、まさにわれわれ教員の直面する問題と関係がある。すなわち、有期契約、任期制の問題である。職員の場合も、専門職等の固有職員の「任期」満了にともなう更新問題(雇い留め問題、評価問題、審査問題等)が、発生しつつある。そこでは、労働基準法を無視した当局の態度が問題になりつつある。不当な扱いを受ける職員は、職員組合とともに、労働基準監督局と相談する必要もあろう。

 

個々人で対処するには不利な職員は、職員組合に加わり、自らの身分・雇用条件を守ろうと立ち上がり始めているようである。当然である。団結権は、個々的に弱い立場の労働者にとって、商品(時間決め労働力)の売り手としての、必要不可欠の権利であり、それなくしては、決定的に不利になるであろう。

 

教員の場合、教員組合に結集して、任期制の不当な押し付けや、任期制同意者と不同意者の不当な差別や、任期制更新における審査のあり方(基準・審査組織・不服審査等のあり方)をめぐって、当局と交渉を行っている。まさに、職員も、一人一人が孤立分散状態では、法人当局の一方的なやり方に屈辱的に従うしかなくなろう。

 

任期に関する契約の内容、その立証・検証、審査体制のあり方、業務評価のあり方・基準等に関して、個々の職員と職員組合が組織的に法人と対峙し、雇用条件・身分条件等、労働力商品売買の対等な参加者として、交渉を進めていく必要があろう。

 

 

 

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10月15日 教員組合は、全員任期制に原理的にも法律的な見地からも反対であり[2]、さまざまの圧力に抗して、任期制に同意していない組合員が多数を占める。しかし、当局の説明に一定の程度、さまざまの理由から「理解」を示し、「同意」している(せざるを得なかった、あるいは示された有利な諸条件に期待して同意した)組合員も、理系を中心に、いることは事実である。

 

そこで、そうした任期制に同意した組合員の身分(とりわけ、准教授以下の若手教員)を、ありうべき不当な処遇から守ることも、組合の重要な仕事となっている。

 

ただし、当局のこれまでの態度から、任期制に同意した教員が、昇任等に置いて優遇されている(非同意教員と比べて)という事実[3]もあり、その点は、不当な差別として、組合は断固として批判を続けている。

組合は、任期制の同意教員と非同意教員の双方について、「同一労働・同一業績=同一賃金・同一処遇」の基本的見地[4]から、団体交渉・事務折衝等を通じて、粘り強く、公正な処遇を求めているところである。

任期に同意するか同意しないかは、なんら、提供する労働・業績の違いを意味しない。提供する労働・業績の違いに応じた適正な対価、これが公正の意味である。任期に同意したものと非同意のものの差別は、合理的にありうるとすれば、その違いを労働・業績の違い(差)に対応させて立証しなければならない。職務業績給の段階的あり方は、提供する労働・業績の段階に対応するものでなければならない。

4月の昇任(大学側の資格審査をパスして経営サイドに提出された任期制非同意教員の昇任発令)を「経営的観点から」却下されている事例に、抗議を続けているが、なんら明確な反応はない。引き伸ばしによる不利益措置・差別措置が、現に、執行されつづけているわけである。そうした事態を不当、という。

 

ともあれ、「同意」教員に関する最近の任期制更新問題では、その審査の仕方・基準をめぐって、また、任期開始の時点をめぐって、さらには雇用契約の有無・開始時点をめぐって、労使間の見解に隔たりがあり、調整が行われ、団体交渉で決着がつけられることになるが、全教員に関わる重大問題としては、職務給業績給問題がある。3月の新給与制度の合意書締結以来、早急な職務給業績給の運用にかんしての提案を求めてきたが、いまだに何も提示されないので、改めて文書で要求書を提出した。その事を組合員に知らせる週報を、以下にコピーしておこう。

 

 

それにしても、世界の大学間競争が激しくなり、世界の優秀な学生を求めて、内外の大学が走り始めているとき、大学の構成員のやる気を掻き立てるような環境作りではなく、教育研究を担う教員のやる気を失わせ、自発性を抑圧するようなこと(不合理なこと、不透明なこと、不公正なこと)ばかりをやっている大学があるとすれば、その大学はどのようなことになるだろうか?

 

全国の国立大学では、教員個人評価の導入・実施が進んでいるという。

しかし、そうした国立大学は、任期制に同意した人と非同意の人とを処遇において、差別しているであろうか?

そもそもそんなやり方をとっているか?

 

また、そうした全国の国立大学では、大学の自治はどのようになっているのであろうか?

 

われわれの知る限りは、

学長=理事長体制であり、

学長は、いろいろと問題が発生しているとしても、大学構成員によって選ばれているのであろう。

学部長は、学部の構成員によって選ばれているのであろう。

 

そうした自治的運営を基礎にしての-文部科学省からの側圧のもとでの-教員個人評価のシステム作りであろう。

だが、本学は?

 

本学の場合は、自治の再建がまず前提となるのではないか?(現在の定款とその運用の仕方では、きわめて限界があることは明らかだが)

 

そうでない限りは、法人による命令としての評価システム、となってしまうであろう。

それは、やる気を失わせる一番の方法ではないか?

少なくとも、自発性のないもの・弱いもであることは間違いない。

 

教員個人評価システムを導入するに当たって、自治の破壊されていない国立大学でも、「動機作り」が課題となっているという。

 

 

-----週報------ 

 

横浜市立大学教員組合週報

 
組合ウィークリー

2007.10.15


もくじ

●      
大学院手当てに関する要求書を当局に出しました

 「職務業績給の運用方法に対する早急な提示の要求」を当局に出しました

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●      
 大学院手当てに関する要求書を当局に出しました

大学院手当ての7月時点での唐突なカットについてすでに当局に抗議しているところですが、事務折衝レベルでは、「従来どおり」、「従来と変更なし」という態度が示されるばかりで、カットに関して文書による明確な説明や支払いは今にいたるもありません。

そのため、手当てがカットされていると、組合として現時点で把握した教員の担当科目、氏名を明記し、大学院が存続する限り有資格者の担当資格・職務は継続し、当然それに対応する学位審査等の職務が残っており、従来どおり、大学院担当(資格・職務)にともなう「手当て」の支払いを求める文書を、理由ならびに過去の事例を列挙して、104日、当局に出しました。



●      
「職務業績給の運用方法に対する早急な提示の要求」を当局に出しました

新給与制度に関する組合との合意書の中で、職務業績給について「組合は、評価制度が職務業績給の実質運用(変動運用)に反映されるまでの過渡的期間における職務業績給の号数アップを要求」しています。当局は、平成19年度の早い時期にその原案を提示すると明言していたにもかかわらず、組合に対し、未だ何の提示もされていないことは大変問題が大きいといえます。何らの案も示さないのは、たんに給与凍結につながることになり、それは許されることではありません。そこで組合は、1010日、下記の要求書を当局に出しました。


理事長 宝田良一殿

副理事長 松浦敬紀殿

 

                              20071010



                              教員組合執行委員長


                                  永岑三千輝



          職務業績給の運用方法に対する早急な提示の要求

 20073月の新給与制度に関する合意書の中で、職務業績給について「組合は、評価制度が職務業績給の実質運用(変動運用)に反映されるまでの過渡的期間における職務業績給の号数アップを要求している。当局は、評価結果が処遇に反映されるまでの間の職務業績給の運用方法については、評価結果の反映方法とあわせて提案すると回答している。」と書かれている。また、当時の給与担当係長は、平成19年度の早い時期にその原案を提示すると明言していた。それにもかかわらず、組合に対し、未だ何の提示もされていないことは大変問題が大きいといえる。


 職務業績給は、将来、評価制度の合意が成立すれば、評価結果に基づいて運用されると考えられるが、その際、毎年、一定号数の平均的アップがあってしかるべきであることから、評価制度が処遇へ反映されるまでの間は、各教員の職務業績給は毎年一定号数アップさせるのが適切である。これらを考慮した運用方法の提示を早急に行うことを求める。


---------

10月11日 お隣の大学・関東学院大学の林博史教授の特別講義が、本学・国際文化創造コースの昨年秋の連続講義の一つとしてあった。この林教授の仕事の一節(一文)が、文部科学省教科書検定官によって悪用(誤用)され、沖縄住民の集団自決における軍の強制記述が、教科書から抹消された。

その経緯に関する貴重な情報を、林教授自身が書いていることを知った。

その記事を掲載するHPhttp://blogs.yahoo.co.jp/isop18/50614851.html

にリンクを張っておこう。

 

------------

10月10日(2) 久しぶりに、伊豆俊彦氏(本学名誉教授)の通信をコピーして掲載しておこう。

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        >>日々通信 いまを生きる 第267 20071010日<<


       
 発行者 伊豆利彦
       
 ホームページ http://homepage2.nifty.com/tizu

       
韓国で講演 帝国主義と文学

       
 6カ国協議は順調に進行し、朝鮮半島の非核化、米朝国交回復
       
への展望も開けて来た。これを背景に朝鮮半島の南北首脳会議も
       
開かれ、南北の和解と統一の方向が見えて来た。日本の植民地と
       
なったために分断され、同族相食む悲惨な戦争を強いられた残酷
       
な歴史に明るい日差しが見えて来た。朝鮮半島の平和と安定は東
       
アジアに新しい歴史を開くだろう。就任時に東アジア共同体の展
       
望を語った盧武鉉大統領の就任演説が思い出される。
        →http://homepage2.nifty.com/tizu/tusin/tu@45.htm

       
 中国、アメリカ、ロシアそれぞれに未来に明るい期待を寄せて
       
いる。米朝間の関係改善は戦争終結から国交回復へと急速に進ん
       
でいくものと思われる。日本だけが、この方向に不満なような歯
       
切れの悪い態度が見える。テレビでは相変わらず悪逆無道の朝鮮
       
を暴露する番組が放映されている。しかし、対朝強硬論者の安倍
        首相が無残な終末を迎え、後継の福田内閣は、対話を重視する方
       
向を示している。対朝強硬路線一辺倒の安倍に引導を渡したのは
       
アメリカだということだが、(掲示板7301.御影暢雄)日本も方
       
向を転換してやがて日朝国交回復への努力がはじまるのだろう。
       
日本の過去があらためて明らかにされ、その清算が求められるこ
       
とになる。拉致問題も両国間の信頼関係が回復することによって、
       
進展をみることになると思う。制裁をふりかざす強硬な態度はな
       
んら成果をあげることができず、いたずらに関係を悪化させ、問

       
題をこじらせてきたに過ぎない。

       
 こんな時期に私の『戦争と文学 いま、小林多喜二を読む』の

       
ハングル訳が出版され、韓国日本語文学研究会で講演することに
       
なろうとは思っていなかった。

       
 1012日に出発し、13日に全州大学で「帝国主義と文学 小林
       
多喜二を中心に」というテーマで講演する。いま、強制連行や従
       
軍慰安婦が問題になっているが、こうした人間性を蹂躙する強制
       
労働は日本の帝国主義的発展の土台であり、朝鮮や中国の人民に
       
対してだけでなく、ひろく日本人労仂者に対しておこなわれた。

       
 今度の時津風部屋の少年弟子に対する集団リンチ殺人事件はか
       
つての軍隊の内務班の初年兵いじめを思い出させる。監獄部屋か
       
ら逃亡を企てた労仂者がつかまると残酷なリンチを受けた。売春
       
行為の強制から逃げ出した少女も同様だった。

       
 多喜二の小樽の築港建設工事現場の近くに育ち、逃亡した労仂
       
者がどんな目にあうかを知っていた。また、不幸な境遇の少女に
       
対する愛を通して、日本の暗い現実を知り、その救済のために尽
       
力し、その悲惨な境遇を「最後のもの」「師走」などの作品に書
       
いた。また、監獄部屋の労仂者については「人を殺す犬」(小樽

       
高商校友会誌第38号 19268月稿)を書いた。

       
「人を殺す犬」の改作「監獄部屋」には次のように記されている。


       
>築港が埋立された、倉庫が立つ、レールが引かさる、文化が開
       
けると云う。然しそこには、「監獄部屋」によって、封建時代の
       
「人柱」のそれが、一分一厘も違わずそのままそっくりより巧み
       
な近代的な方法でちアんとなされているのだ。鉄道が開通した、
       
国道が開けた、そう云って提灯行列でもする、だが然し、そこの
       
土には生きた人間の血と骨が、うずめられているのだ。

       
>文明だ、進化だと云う──(その実誰の文明だ、誰の進化

       
か!)が、その底にいて、そいつを支えている人柱が、誰でもな
       
い「プロレタリアート」なのだ。文字通りそうなのだ。自分等の
       
ものゝ為でもないのに!

       
「監獄部屋」の逃亡した労仂者は土佐犬をけしかけられ、食い殺
       
される。犬に殺される労仂者のことは『蟹工船』でも書かれてお
       
り、この作品をあまり残酷なので出せないと言った教授に対して、
       
「これを出す出さないなんて、些々たることだ。出したからって、
       
出さないからって、「現実にある」事実をどうする積りだ。」と

       
述べている。

       
 『蟹工船』では次のように書いている。

       
――内地では、労働者が「横平(おうへい)」になって無理が
       
きかなくなり、市場も大体開拓されつくして、行詰ってくると、
       
資本家は「北海道・樺太へ!」鉤爪(かぎづめ)をのばした。其

       
処(そこ)では、彼等は朝鮮や、台湾の殖民地と同じように、面

       
白い程無茶な「虐使」が出来た。然し、誰も、何んとも云えない
       
事を、資本家はハッキリ呑み込んでいた。「国道開たく」「鉄道

       
敷設」の土工部屋では、虱より無雑作に土方がタタき殺された。
       
虐使に堪(た)えられなくて逃亡する。それが捕まると、棒杭に
       
しばりつけて置いて、馬の後足で蹴らせたり、裏庭で土佐犬に噛
       
み殺させたりする。それを、しかも皆の目の前でやってみせるの
       
だ。肋骨が胸の中で折れるボクッとこもった音をきいて、「人間

       
でない」土方さえ思わず顔を抑えるものがいた。気絶をすれば、
       
水をかけて生かし、それを何度も何度も繰りかえした。終いには
       
風呂敷包みのように、土佐犬の強靱(な首で振り廻わされて死ぬ。
       
ぐったり広場の隅に投げ出されて、放って置かれてからも、身体
       
の何処かが、ピクピクと動いていた。焼火箸をいきなり尻にあて
       
ることや、六角棒で腰が立たなくなる程なぐりつけることは「毎
       
日」だった。飯を食っていると、急に、裏で鋭い叫び声が起る。
       
すると、人の肉が焼ける生ッ臭い匂いが流れてきた。

       
 土地を奪われて日本に連れてこられた朝鮮人労仂者はさらに残
       
酷な待遇を受けた。『蟹工船』には次のように書かれている。


       
>皆は朝は暗いうちに仕事場に出された。そして鶴嘴(つるは
       
し)のさきがチラッ、チラッと青白く光って、手元が見えなくな
       
るまで、働かされた。近所に建っている監獄で働いている囚人の
       
方を、皆はかえって羨しがった。殊に朝鮮人は親方、棒頭(ぼう

       
がしら)からも、同じ仲間の土方(日本人の)からも「踏んづけ
       
る」ような待遇をうけていた。

       
『蟹工船』は北洋の蟹工船でおこなわれた過酷な帝国主義的搾取
       
の実態をなまなましく描き出している。蟹工船は元来ソ連の領海
       
侵犯の危険を犯す侵略的漁業であった。それ故、駆逐艦に護衛さ
       
れなければならなかったのである。監督浅川は始めて姿を現した
       
時から「一会社の儲け仕事と見るべきじゃなくて国際上の一大問
       
題なのだ」と演説し、「日本帝国の大きな使命のために、俺達は
       
命を的に、北海の荒波をつッ切って行くのだ」と強調する。「貴
       
様等の一人、二人が何だ。川崎一ぱい取られて見ろ、たまったも
       
んでないんだ」と言って、漁夫や雑夫の健康と生命を無視して
        「虐使」し、これに堪えぬものには残酷なヤキを入れて見せしめ
       
にした。さらに、難破しかけた秩父丸のSOS信号を無視するな
       
ど、無法と暴虐の限りをつくして資本の利益を追求するが、それ
       
らはすべて「国際競争」とか「国家的使命」や「国家的利益」を

       
強調することで合理化された。「日本帝国のためどんなものでも
       
立ち 上がるべき秋」であり「人情味なんか柄でもなく持ち出し
       
て、国と国との大相撲が取れるか!」と言うのである。

       
 多喜二は蟹工船の現実を決して孤立した〈異常な〉世界として
       
描かず、日本資本主義の発展を根底において支え、その矛盾が集
       
中している最底辺の一般的な現実であり、日本資本主義の本質を
       
暴露するものとして描いた。この前近代的、半植民地的な苛酷な
       
労働と搾取こそが、日本の帝国主義的発展を推進する原動力だっ
       
た。そこに日本の資本主義の脆弱さがあり、その苛酷な軍隊制度
       
と残虐な侵略主義の根源がある。
       
(拙稿 「『蟹工船』と『不在地主』」参照)

       
 土地を奪われた農民は移住民となって後から後から津軽海峡を
       
渡り、北海道の奥地へ吸いこまれていった。「雪の平原を歩いて
       
ゆくとき、その一人一人の足に、然し矢張り重い鎖が不気味に引
       
きずられていたのを、ドン百姓の子供は母親の骨っぽい背に感じ
       
ていた」と多喜二は書いている。朝鮮半島からも同様にして土地
       
を奪われた多くの人々が朝鮮海峡をわたり、津軽海峡をわたって

       
来たのだ。
       
(拙稿「若き多喜二の彷徨と発見」参照)

       
 私が話したいのは、日本の帝国主義が小作貧農の極度の貧困と
       
搾取の土台に立っていること、この帝国主義的搾取が被侵略民族
       
に対する民族差別と結びついてもっとも残虐な虐使の体系をつく
       
りだしたことである。この真相は隠蔽されて、だれもがそんなこ
       
とはあり得ないと思っていた。この隠蔽された真相をあばきだす
       
のが多喜二らの文学の仕事であり、それが日本の帝国主義に対す
       
る文学のたたかいであり、国家権力のはげしい弾圧を受けなけれ
       
ばならなかった。

       
 対支干渉戦争反対、田中反動サーベル内閣打倒の全国的な闘争
       
が展開されようとする日の早朝に全国的におこなわれた一斉検挙、
       
組合幹部や共産主義者に対する言語に絶する過酷な拷問の実態を
       
まざまざと描き出す「一九二八年三月十五日」から、多喜二はプ
       
ロレタリア文学作家の道を歩きはじめ、19332月、スパイの手
       
引で検挙され、その日のうちに拷問で殺された。

       
 多喜二の時代は遠い昔のことだ。あんなひどいことはもうおこ
       
らないと多くの人は思っている。私もそう思っていた。しかし、
       
いまのワーキングプアの問題、過労死や自殺者が出るような過酷
       
な労働、おにぎりを食べたいと日記に書き残して飢え死にした人、
       
こんな事実は、形をかえてそれがいまもあると考えないわけには
       
いかない。

       
 アブ・グレイブの捕虜虐待は、多喜二らを無法で逮捕し、拷問
       
したあの治安維持法下の日本を思わせる。その捕虜たちは突如闖
       
入した米兵によって、ほとんど証拠もなしに、テロリスト、もし
       
くはテロリストと関係があると疑われて拘束されたのだという。
       
戦時であるという理由で、そしてイラク人であるという理由で、
       
人権が蹂躙される。米本国でもアラブ系移民や留学生に対して同
       
様の無法な取り調べがなされたと伝えられている。テロリストと
       
認定すれば人権を無視してもいいということが公然と言われてい
       
る。かつて日本の警察はおまえら非国民は殺したっていいんだと
       
言い、そしてその通りに多喜二らは拷問で殺された。

       
 同じ日本の警察権力や憲兵が朝鮮人や中国人、アジアの人々を

       
弾圧し、殺戮した。日本帝国主義は日本と中国、韓国・朝鮮そし
       
てアジアの人民の共通の敵なのだということを、韓国で講演する
       
ことになって、あらためて強く思った。

       
 多喜二の死に際して贈られた魯迅の言葉を記しておく。

       
<日本と支那との大衆はもとより兄弟である。資産階級は大衆を
       
だまして其の血で界(さかい)を描いた、又描きつつある。

       
 しかし無産階級と其の先駆達は血でそれを洗っている。同志小
       
林の死は其の実証の一つだ。
       
 我々は知っている、我々は忘れない。我々は堅く同志小林の血
       
路に沿って前進し握手するのだ。>


         10
9日、NHKのBS特集民主主義<米国 闇へ>でアフガニ
       
スタン バグラム基地で拷問によって虐殺されたディラウォルを
       
中心に、アブグレイブ、グアンタナモでどんなに残虐な拷問をお
       
こなっているかをなまなましく描き出していた。鎖で天井から逆
       
さ吊りにする、眠らせない、真っ裸にする、袋をかぶせて、視覚
       
も聴覚もうばう、女性兵士に性的暴行を加えさせる等々、眼をお
       
おうような、ありとあらゆる暴行だ。これがアメリカの民主主義
       
か。そして命令を下した上官や指示したラムズフェルド、チェイ

       
ニー、ブッシュは罰せられない。これは明らかに人道に対する罪
       
であり、戦争犯罪だ。日本人の捕虜虐待は死刑になった。しかし、
       
治安維持法違反者に対する残虐行為、多喜二やその他の共産党員
       
を殺した特高の犯罪者は罰せられていない。

        
多喜二の文学はいまも生きている。ただ、多くの人々にこの現
       
実が隠蔽されているだけだ。それなら、この隠蔽された真実をあ
       
ばきだす仕事は。いまも文学が文学であるために、報道が報道で
       
あるために、必要な条件なのだろう。BS特集民主主義に期待す
       
る。

       
NHKのBS特集民主主義の日程については次を見てください。
        http://www.nhk.or.jp/bs/bs1.html#korekara

       
いよいよ秋らしくなった。韓国の秋を楽しんで来たい。みなさん
       
も秋の日を元気でお過ごしください。


---------

10月10日(1) 昨日、「任期制の専門職員に、任期終了、あなたの専門職の仕事はない」と告げられたという情報を小耳に挟んだが、それは事実のようだ。

雇用契約はどうだったのか?

何が保障され、何が保障されないのか?

任期制の専門職員の身分保障はどうなるのか?

教員の任期制のあり方、更新のあり方が、現在、当局との間で交渉中であり、いずれ、団体交渉で一定の協定をむすばなければならないが、このあり方とも関係してくるであろう。

当局は、教員組合との3月の給与制度合意文書の締結の際、継続交渉事項として、職務給業績給の運用の仕方に関して、早い時期に提案するとしていたが、いまだに提案がないので、文書で、申し入れた。このまま放置すれば、昨年と同じく、12月末になって提案してくるような非常識なことも想定され、時間切れで当局提案を押し付ける手法が定着しかねず、組合としては抗議せざるを得ない。

 

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10月9日 ナノ・生命科学大学院の構想は、内発的なもののようだが、それには、かなり厳しい反応が「経営サイド」(?)あたりからあるそうだ。「ナノはだめ」とか。

 

大学院と学部とは切り離すという発想もあるようなので、理系でも、一部特定のコースの学部生しか、大学院進学はできない、ということになるのであろうか。われわれの関知しないところで、どんどん、いろいろな構想が出され、つぶされ、「なんでもあり」の状態という人もいる。

 

ナノ生命科学大学院構想、専門職(薬の臨床実験関係?)大学院構想、医学部看護学科のための大学院構想などがせめぎ合い、文科系大学院は押しつぶされそうな空気である。

 

しかし、国際港湾都市・横浜は、21世紀のアジアと世界に向かって、文化的発信のための研究を行わなくていいのか、地域共同体構築の研究拠点とならなくていいのか、という問題に直面しているのではないか?

アジア共同体は、すでに現実政治家とその周辺の人々が主張を掲げるまでになっているが、しっかりした研究を推進する必要はないのか?その際、たとえば、ヨーロッパ統合の歴史と到達点をしっかり踏まえることが必要ではないのか?さらに、中東の紛争の泥沼は、民主主義的地域共同体の構築以外の道では、脱却できないのではないか?そうしたことを総合的に研究する大学院があってもいいのではないか?

文科系の研究者の多くは、こうした問題に何らかの形でかかわり、何らかの研究成果を発表しているのではないか?

国際港湾都市・横浜が、打ち出すべき理念を鍛え、構築するための研究の基礎作りには、大学と大学院が必要ではないか?

 

大学予算のなかでは、医学系に圧倒的な予算配分となっているが、社会において、病める人々の医療を維持することができるのは、健康な人々の労働・仕事・社会的活動であり、健康人の高い割合ががあってこそ医療も維持できる。そうした健康な人々の元気が出てくるような研究教育が必要なのではないか?

 

 

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10月5日 「中期計画」見直し時期に入り、「プロジェクトRのカリキュラム編成」等の見直しを学長までが文書で表明する状況になった。それを各コースを回って説明ないし議論している。しかし、その内容は、曖昧模糊としており、結局は、当局(今回は学長)の思うとおりの、「つまみ食い」のため、「アリバイ作り」のための「説明会」、「意見聴取会」ではないか、という不信感と疑念が各方面から聞かれる。

2年半ほど前の、法人化と学部解体再編のときとは、事情が異なるが、どこまで現場の意見がきちんとくみ上げられるかに関しては、不信感が蔓延している、というところであろう。

 

今回の「改革」では、まず3学部解体、国際総合科学部の創設が一番の問題となり、その陰で、当初から、大学院の再編問題がくすぶっていたが、いよいよそれが表面化してきた。理系が、現在のような総合的な研究科ではなく、理系独自の(生命ナノ研究科、云々)研究科をつくろうとし、分離独立をもくさくしてきたが、いよいよそれが表舞台に出てきたからである。それにつられる形で、経営科学専攻が独立大学院構想を練り上げ、最後に、われわれの属する国際文化研究専攻にも、分離独立のプロジェクトが動き始めた。学部の総合化はありうるとしても、大学院の分離は維持すべきであるというのが、「改革」論議のなかで強い一つの潮流であったが、その潮流がいよいよ前面に出てきた、と見ることもできよう。

 

これは、外部から押し付けられた大学院までの画一的統合を、内部から、専門諸分野の独自性を踏まえ、大学院という研究教育の独自性を踏まえて出てきた動きであり、その意味では、内発性をもち、一定の自治的自律的動きと見ることができよう。

 

内部から、現場から、できるだけ魅力的な大学院を創設することが求められるが、さて、大学院までの一挙の統合を推進した市当局がどのような態度に出るか? 行政支配が続くか、一定の自律が確立されるか?

制限的な「中期目標」の枠組みでの、「改組」に、どこまで魅力を盛り込めるか?

所詮は、「中期目標」をたてに、市当局のいいように料理されるのではないか?

 

この間の画一的行政的なやり方に、無力感・諦観に沈潜し、ほとんどやる気を喪失した多くの教員が、はたして気力を回復するか?

一定の内発的動きも、「外から」、「上から」任命された管理職と行政ルートによって、捻じ曲げられるか?

 

 

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10月3日 久しぶりに「意見広告の会」のニュースを、コピーしておこう。

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「意見広告の会」ニュース427

*ニュースの配布申し込み、投稿は、
  qahoujin at magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。
*迷惑メール防止のため@atに書きかえています。アドレスは@に直して下さい。

*「ニュース」発行を再開いたしました。
 皆様の投稿をお待ちしております。


** 目次 **
1 山形大学天下り学長
1−1 天下り学長が示す危機 公共事業化する研究開発
      日本経済新聞 9/27
1−2 天下り」学長で自立は可能か
      日本経済新聞社説 9/4
1−3 山形大学長に前文科省事務次官の結城氏
      毎日新聞 記者の目 8/17
1−4 声明 2007年8月13日
      全構成員の創意と合意を尊重する山形大学をつくる会
2 七生養護学校裁判情報
       「こころとからだの学習」裁判を支援する全国連絡会
3 案内 改悪教育基本法の実働化をとめよう 12・22全国集会
         
 北とぴあ さくらホール (東京・JR王子駅前


***
1−1 天下り学長が示す危機 公共事業化する研究開発
     日本経済新聞 9/27論説委員 塩谷喜雄

官僚の天下りに、政治家の口利き、そして各種の談合。このトライアングルが税金を浪
費する公共事業の基本骨格だが、国の科学技術予算にも、同じ負の構造が浮かんできた
。研究教育事業の発注官庁である文部科学省の前事務次官が、受注業者である国立大学
法人山形大学長に就任した。究極の天下り。政府の研究開発政策が公共事業化している
実態を、これほど明白に示すものはない。

投票結果はライバルに完敗なのに、強引にトップの座についても居心地は良くないに違
いない。参院選の大敗後も続投を決めた安倍晋三首相の場合は突然、職責を放り出して
しまった。

安倍続投の根拠として、盛んに「参院選は政権選択の選挙ではない」といわれた。法制
度上は負けても辞めなくていいという程度の話なのに、自民を大敗に追いやった民意を
軽んじてもいいと勘違いしたのが、破綻の始まりではないだろうか。

山形大学の場合は、教職員の投票では、次点だった候補者、一月前まで文部科学事務次
官だった結城章夫氏が、外部有識者と学部長らで構成する学長選考会議で逆転選出され
た。

山形大に限らず、法人化された国立大の場合は、教職員の投票はあくまで参考で、学長
選考会議が最終的に決める。この制度は国立大学の法人化に際して、従来の「教職員自
治」の継続を嫌った文科省が強く推し進めて導入したもの。実際に、教職員の投票結果
とは違う結論が出るケースがいくつも出てきて、滋賀医大、新潟大などでは訴訟になっ
ている。

文科省が力を入れて導入した学長選考法によって、文科省の高級官僚の学長への天下り
が可能になったというのでは、語るに落ちたといわれてもしかたない。閉鎖的な教職員
の自治を脱して、外部の知恵や感覚を大学経営に反映させたいというのなら、選考会議
は公平で透明でなければならない。

山形大の選考会議の外部委員は、結城前次官をスカウトした前学長が指名したのだとい
う。まるで前任者が後継者を決めて、それを会議が承認するかのような不透明さが、お
手盛りという批判を浴びている。

結城氏自身も、伊吹文明文科相も、文科省やその職員が学長就任を働きかけたのなら別
だが、個人が応募して正統な手続きで選ばれた以上問題ない、と天下りを否定している


だが、これは国土交通省の事務次官がゼネコンの社長に就任するのよりもっと直接的な
天下りといっていい。国家公務員法で、直接的に利害関係のある企業等への再就職は退
職後二年間は制限されている。文科省はいまや地方国立大学の生殺与奪の権限を手にす
る官庁である。

プライドの高い大学人は、学問的な業績のない行政官が、大学の学長や理事になるのは
「天上がり」だというかもしれないが、そういうプライドなら早く捨てた方がいい。国
立大学が法人化されて、文部科学省は運営費交付金のさじ加減から、大学評価、競争的
資金の配分、そして人事まで、大学への支配力を飛躍的に高めている。

八十七の国立大学法人のうち、五十を超す大学が事務局長を役員の理事とし、文科省か
ら受け入れている。三年前の法人化で、経営に余裕のない地方国立大学が、こぞって文
科官僚を理事として迎えることは予測されたが、旧帝大などの有力大学も戦略的に、文
科省との関係を強めている図が見てとれる。

まさに国立大学から文科省立大へのまっしぐらの中で、天下り学長騒動は起きた。今回
は医学部が一丸となって結城前次官の学長就任に動いたことから、重粒子線治療装置な
ど大型医療施設の山形大への誘致計画が背後にあるのではないか、という指摘もされて
いる。

重粒子線治療装置については、他の国立大学に導入された際にも、学術振興より地域振
興などへの政治的配慮が大きく働いたのではないか、ともいわれた。この分野は肝心の
医学的な研究や検証よりも、公共事業として議論されることが多いのが気になるところ
だ。

閉鎖的な独善を排し、自立的で開かれた大学をどうつくるのか。「研究バブル」の潤沢
な予算、目前で揺れるニンジンに飛びつくと、大学人の自由からの逃走という図が見え
てくる。

1−2 天下り」学長で自立は可能か
     日本経済新聞社説 9/4

「天下り」学長で自立は可能か

前文部科学事務次官の結城章夫氏が91日付で山形大学学長に就任した。文科省の事務
次官が監督下にある国立大学の学長に就くのは初めてである。国立大学は法人化された
から、経営の才に優れる人材を外部にも求め、学長に起用するのは当然のことである。
しかし、 それが監督官庁の幹部となれば、やはり違和感は否めない。学長選を経てい
るとはいえ、「天下り」の印象も強い。かつての地位、権限に頼らぬ大学自立の道を開
くのか、注視したい。

山形大が前事務次官を学長に選んだのは思惑があってのことだろう。 結城氏は学長選
の投票結果では2位だったが、学部長や学外委員で構成する学長選考会議は1位の候補を
外して結城氏を選んでいる。

国立大学はいま、改革を迫られている。基盤的経費として文科省が配分する運営費交付
金は削減の方向にあり、再編統合の議論も起きている。特色を出せなければ大学は資金
獲得が難しくなり、下手をすると生き残れない。だから、教育行政、助成制度に精通し
、人脈もある官僚を切り札として選んだのかもしれない。

同大学は、がん治療に有望な重粒子線治療施設を計画している。国内3カ所目を目指す
この大プロジェクトを実現するため、大物官僚を学長に招いた側面もあるだろう。ただ
、政府からの資金獲得を有利にしようと監督官庁の官僚をトップに据えるのであれば、
公共工事の受注を有利にしようと企業が天下りを受け入れるのと何ら変わらない。

文科省が差配する科学技術関係予算は2007年度に約23000億円。科学技術立国やイノ
ベーション促進は政府の重点施策でもあるので、関連予算は増えるだろう。ただ、助成
資金の配分も戦略拠点の選定も、審査過程は透明性が十分ではない。それだけ官僚や政
治の恣意(しい)が入り込む余地があるわけで、利益誘導も癒着も、そして不正も起こ
りうる構図になっている。疑いがかけられることのないよう審査過程の透明性はもっと
上げる必要がある。

山形大が助成で優遇されるようであれば、天下り学長は増えるだろう。できるだけ
民間の資金を獲得して、大学の自立を促すという法人化の狙いも外れかねない。


1−3 山形大学長に前文科省事務次官の結城氏
     毎日新聞 記者の目 8/17

記者の目
山形大学長に前文科省事務次官の結城氏=釣田祐喜(山形支局)

「天下り人事だ」、批判続出−−「法人化」を問う試金石

山形大学の新学長に先月、文部科学事務次官を退任したばかりの結城章夫氏(58)の
就任が決まった。

背景には、国立大学法人化による地方大学の厳しい現状があるといい、仙道富士郎学長
が昨年秋、中央官僚としての能力を大学運営に生かしてほしいと、山形県出身の結城氏
に就任を打診した。しかし、学内からは今も「天下り人事だ」という批判が噴出してい
る。学長人事を巡る騒動を振り返ると、小泉内閣が学問の府に導入した競争原理のひず
みのようにも思えてくる。

結城氏を含め4人が立った7月25日の学長選。投票の結果は、小山清人工学部長37
8票結城氏355票加藤静吾前理学部長56票中島勇喜農学部長9票だった。

翌26日、学部長や学外委員14人で構成する「学長選考会議」は非公開で協議し、「
選挙はあくまで4候補から3人に絞り込む『意向聴取』」(坪井昭三・同会議議長)と
して、トップの小山工学部長ではなく、結城氏を学長に選んだ。

学長選に向けた公開討論会では、結城氏以外の候補から「天下りではないか」という指
摘や疑問が何度も出た。これに対し、結城氏は「予算の権限を持つ役所が押し付けるの
が天下り。私の場合は大学が選んだ。天下りには当たらない」と反論した。

投票では「反結城」票の一本化が行われた。最大の票数を持つ医学部などから推薦を受
けた結城氏に対抗するため、他の3陣営は事実上、学内の教職員にメールや文書で、小
山氏への投票を呼び掛けた。

それだけに、学内には今も「結城氏を選んだ理由が分からない」という不満がくすぶっ
ている。元学長でもある坪井議長は記者会見で結城氏を選んだ理由について「視点が非
常に広く、どうしたら山形大学を特徴ある大学に持っていくかをはっきり表明された点
が大きく買われたのでは」と述べた。しかし、1949年の山形大開学以来、10代目
の仙道学長まで、学内での投票結果が覆ったことは一度もない。

結城氏は新学長に決まった際の記者会見で、「科学技術庁や文部科学省で科学技術行政
をやり、教育、研究のマネジメントはずっとやってきた。その知識や経験を生かす」と
話し、中央省庁での経験が大学運営でも役に立つと話した。

だが、小山工学部長は「それは官僚の考え方。学問を知らない人が大学の経営をやるこ
とは非常に危険だ」と批判する。仙道学長が結城氏に候補者になるよう打診したことに
対しても、学内からは「まるで同族経営の企業のようだ」という不信感すら出ている。

なぜ、こんなことになったのか。背景は、04年度の国立大学法人化だ。

国立大学法人の経営は国からの運営費交付金で支えられている。山形大の場合、財政規
模の4割を占める約120億円が交付金収入だが、法人化の改革に伴い、このうち毎年
約1%に当たる約1億円が削減されている。教職員の補充が抑えられ、各教員が講義で
使う紙のプリント代や専門書の購入代などの研究費も抑え気味だ。ある男性教授は「法
人化前に100万円近かった年間の研究費が今は24万〜5万円に減り、ショックを受
けた」とこぼす。

仙道学長は毎日新聞の取材に「このままでは大学をつぶされる」と危機感を強調。結城
氏を学長にと考えた理由を「行政の仕事をして大学の仕組みに精通している。経営を大
事にする山形大のこれからの道にとってベストだと考えた」と説明した。

今、国立大学は運営費交付金の減額を、人件費や研究に使う物件費の削減でやりくりし
ている。文科省の担当者も「大学の規模によって体力差がある。小さな大学ではカバー
しきれなくなっている」と窮状を認めている。人件費など最低限必要な財源を確保でき
るよう、10年度から交付金算定のルールを見直す方向で調整中だが、政府の経済財政
諮問会議で九州の国立大学法人を統合する案をメンバーが提案するなど、国立大学であ
っても将来像は不透明だ。

結城氏はこれまでの所信表明や記者会見の場で、大学の具体的な将来像や施策について
は言及しなかった。全国の大学関係者がその動向を見守っている。学内の批判や不満に
応えるためにも、大学をどんな方向に導こうとしているのか説明する責務がある。

小山工学部長は「いろいろな大学が文科省の次官や局長を迎え入れる悪い流れを作って
しまった」と悔やむが、今回の騒動は一地方大学だけの問題ではない。山形大の今後は
「大学に活力を持たせるため」とした国立大学法人化の是非を問う試金石と言えるだろ
う。


1−4 声明 2007年8月13日
     全構成員の創意と合意を尊重する山形大学をつくる会

教職員の意向投票結果を覆し、天下り官僚学長の実現を強行した山形大学学長選考の不
当性を訴え、その撤回を求める!

                             2007年8月13日

               全構成員の創意と合意を尊重する山形大学をつくる会

 山形大学の学長選考会議は7月26日、次期学長候補者に前文部科学事務次官の結城
章夫氏を選出した。大学の監督官庁である文部科学省の最高官僚が退職直後に学長に就
任することは、わが国の大学の歴史において前代未聞のことであり、「学問の自由」「
大学の自治」の原則を歪める暴挙といわざるを得ない。結城氏は周知のように、つい最
近まで事務次官として、新自由主義的な国家統制を強めた教育基本法改正や地方教育三
法の成立に尽力した人物である。とくに教育基本法改正推進本部の事務局長を務め、政
治問題となった「やらせタウン・ミーティング」の実施など改正に向けた世論づくりを
進めた文科省官僚の最高責任者であった。その意味では、事実に基づく教育研究と「言
論の自由」を本性とする大学に最も相応しくない人物であり、結城擁立に対して山形大
学の教職員が反発したのは必然であった。また、今回の学長選考においては、学長選考
会議が学内意向聴取投票の結果を覆して結城氏を選出したことをはじめ、以下に述べる
ように、その選考過程においても結城候補を優遇する措置が一貫してとられており、お
よそ公平・公正な選挙ではなかった問題点が指摘できる。山形大学の学長選考会議が今
回の決定を速やかに撤回し、一般の教職員の意向に基づき選考をやり直すことを強く求
める。

*長文につき、以下は次をご覧下さい。
http://www.shutoken-net.jp/2007/08/070817_5yamagata-u.html

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102日 久しぶりに元総合理学研究科・佐藤真彦教授のHPにアクセスし、昨日の組合ウィークリーに加えて、市大新聞ニュースが掲載されている(リンク)のを知った。そのタイトルに驚き、アクセスしてみた。下記のような記事であった。物静かに押さえられてはいるが、言葉の端々から、学生諸君の怒りや不安は大きいことが読み取れる。画一的な基準の押し付けが、多様なコース(理科系と文科系、その中間系、それに対応する学生諸君の得意不得意、PEの必要度の違いなど)、入学試験の多様化(推薦、AO入試など、必ずしも英語力を問わない入試形態)と整合していないことは明らかである。また、センターを設置したが、その運営方法・教員とカリキュラムのあり方にも問題があるようにも思われる。 コース会議や代議員会等でも繰り返し、PEの制度の根本的な問題点が指摘されながら、学長名による「仮進級制度」が実行されており、その責任は、学長、それを任命した法人経営者、等に問われることになろう。

 

------市大新聞ニュース------

ニュース : 仮進級者 6割が3年次へ進級できず

投稿者: mya- 投稿日時: 2007-9-28 14:41:38 (216 ヒット)

本学広報によると、平成19年度前期期間中3年次へ仮進級していた国際総合科学部1期生のうち、TOEFL500点の進級条件のため58%が2年次に戻る事となった。仮進級が取り消された学生は、引き続き必修の英語授業Practical Englishを履修する他、3年次以上配当科目を履修することが出来ず、仮進級時(平成19年度前期)に習得した3年次以上配当科目の単位を取り消される。

 本紙が独自に本学掲示板に貼り出されたPractical English履修者数を数えた結果、国際総合科学部1期生の履修者数は141名。また仮進級者のうち69名が平成19年度前期中に合格している事が掲示板にて公開されている。



【論評】英語だけの問題ではない
 本学広報から得た数字と本紙調査からの数字の相違から、仮進級者の内何名かの
退学者・休学者が出ていることが予測される。


「英語が出来ないなら大学を辞めてしまえば良い」そんな声が聞こえてきそうな程の大学側の学生に対する
冷淡さと無責任さには、憤りを感じる。

 2年次ないし仮進級時、英語の勉強に時間と労力を割かれ他の科目の単位が取れないままの学生も多いのではないか。周りを見渡すと、3年次へ進級した学生の中に4年次までの卒業単位数が危うい者が多くいる様に思える。
 専門教養のゼミ運営にも支障が出る。3年次へ進級できなかった学生はそれまでのゼミでの研究を中断させられる事になるのか。

 今後、
大学には学生生活全体を通したケアを求めたい。今回進級出来なかった学生は自身の専攻の研究・留年による経済的な理由のため、当然プレッシャーが大きくなるはず。依然として大学が学生に英語の課題のみを押し付けるとしたら、ただ学生を圧迫するだけだ。


【向】

 

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10月1日 ウィークリーが出た。下にコピーしておこう。

 

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横浜市立大学教員組合週報


 
組合ウィークリー
2007.09.30


もくじ

●      
「就業規則に関する意見書」を当局に提出しました


 今春の就業規則の一部変更に当たって、当局は、過半数組合である教員組合に、意見書を提出するよう求めてきました。

 組合としては、変更に関する提示の仕方に問題があり、またすでに2年以上前に組合として出した「意見書」について、当局は何ら改善の努力をしていないと指摘し、平成17年4月27日付「意見書」をあえて添付して、改めて当局に出しました。

なお、平成17年4月27日付「意見書」は、組合ホームページでご覧いただけますので、ご参照下さい。



200
7年9月20


公立大学法人横浜市立大学
 理事長 宝田良一 殿



                             横浜市立大学教員組合

執行委員長 永岑三千輝





就業規則に関する意見書


今般の就業規則の一部変更にあたって、公立大学法人横浜市立大学金沢八景キャンパス事業場における過半数組合としての横浜市立大学教員組合を代表して、次の意見書を提出する。


1.まず、就業規則一部変更の提示に関してであるが、今回の提示は、給与交渉の折衝の中で、提示することをあらかじめ告知されないまま当局から示されたものであり、明確に「就業規則の一部変更について」として提示することを告知した上で組合に示すべきである。

2.すでに、横浜市立大学教員組合は法人化にあたっての就業規則に関する意見書(平成17427日)において、多岐にわたる問題点を指摘した。

 しかし、それにもかかわらず、給与交渉の中で当局と組合との間で合意をみた点を除き、組合が意見書において記した諸項目に関して、当局は何ら改善のための努力を行ってきていないばかりか、組合との誠実な交渉すら行ってきていないのは、きわめて問題である。

 その事実を確認するために、あらためてここに、平成17年427日日付の就業規則に対する組合の意見書を添付する。

 すなわち、U「個別条項にたいする意見」の(3)などの数点以外を除いて、当局は組合の意見書に関して何ら誠実な交渉態度を示していない。

 さらに、給与関連の合意書締結以後も、平成1741日施行の「年俸制規定」の改定文書をも提示することがない。これは給与関連の合意書の締結にもとづいて直ちに改正されるべきものである。当局はそのための義務的作業を怠っているものである。

 また第13条に評価に関してであるが、平成19年度の教員評価制度との関連が、まったく不明確である。この条項についての協議開始を要求する。

3. 当局は、平成17年4月27日付の組合の意見書において教員組合が指摘した諸問題を、給与関連を除き、2年間にわたり放置してきたわけであり、ただちにこれらの諸問題に関して、組合との誠実交渉をおこなうべきである。

 

 



[1] 最終的には中期計画の策定責任者は市長だが・・・したがって現市長の限り、あきらめるしかないという人も多い。

しかし、それでは、空しすぎないか?

大学の自立性・独立性が皆無ということになりはしないか?

 

[2] 大学教員任期法に基づく一定の限定的な任期制を、合理的に、また大学の民主的運営・審査の前提の上に、採用することはありうる。

 

[3] 教育研究業績・社会貢献等に関する昇任資格審査を終え合格した教員のうち、昨年7月、任期制同意教員は直ちに昇任が発令されたが、3名の非同意教員は、秋の団体交渉とその後の事務折衝等を通じて、やっと今年3月になって昇任が発令された。

 

 「非同意」により准教授への昇任が引き伸ばされたある若手教員は、当該専門分野で高い評価のある名古屋大学大学院准教授として採用され、本学を去っていった。他大学・専門家(ピア)が評価するような優秀な教員に対し、任期制非同意を理由に差別措置が行われてきたことの一つの証明となろう。

[4] 市場社会(市民社会)の原理を最初に説き明かしたアダム・スミス以来の基本的原理。

 商品交換関係の原則=等価交換原則、商品とその対価としての貨幣の相互関係の原則=等価交換原則・・・・市民社会・市場社会の普遍的原則、すなわち、偶然的個別的諸現象を貫く法則的普遍的基準の見地。

 社会的分業に基礎を置く商品交換社会(市場社会)において、個々人それぞれの労働は、有用性を立証しなければならに。有用性に関する社会的評価(市場の評価)が、立証されなければならない。

 他方、個々人の労働は、その提供に対する対価として、社会的に妥当な評価(労働の質量の評価)による給与を得なければならない。

 社会的に妥当な評価(労働の質量の評価は、社会が発見し、修正し、公正・適正なものにしていくしかない。

 法人と教員組合との給与をめぐる交渉(売買交渉)は、その社会的に妥当な評価を見つける手段の一つ、である。

 「社会的に妥当」とは、市場関係がますますグローバル化するなかでは、ますますグローバルな妥当性がもとめられるということであろう。大学の世界的競争が問題となる状況では、大学教員の評価においても、ますます、世界が問題になってくる、ということであろう。

 地域に貢献する社会人の大学教育だけではなく、世界で通用する社会人・世界に貢献する社会人を、大学で教育することに、どれだけ貢献できるか、が問われることにもなろう。

 

 その場合、いかなる質量の学生を迎え入れるかが、競争条件の重要なファクターであることは当然であり、新しい傾向としては、東大をはじめとする主要な国立大学さえもが、学生募集に走り回り始めたということであろう。

 教育の効果は、教える側と学ぶ側の双方の要因にかかっているのは不変だが、いい学生の争奪戦が激しくなったのは、大学市場が、世界規模で変化しているためであろう。

 

『朝日新聞』20071014日付

受験生争奪が激化、東大も全国各地で合同説明会開く

(新首都圏ネットワークより) 

 世界の大学間の競争ということでは、上の記事中に、次のような指摘がある。

入試事情に詳しい河合塾教育情報部の服部周憲(しゅうけん)部長の話 東大がドンと構えていられなくなったのは、アジア諸国の優秀な留学生が日本を飛び越して米国に行き始めたことも背景にある」と。

 

 なぜ、米国へ?

 減少の背後にあることは?

 米国の大学のどこが魅力?

 その要因分析は?