テロと報復戦争に反対する横浜市立大学教員有志のアピール

20011015

911日に米国で起きた同時多発テロは、全世界に衝撃を与え世界を震撼させました。私たちは、罪のない多くの人々を瞬時にして殺傷するこのようなテロを決して許すことは出来ません。
 今回の事件は「テロリズム」であり大きな犯罪です。ブッシュ大統領を初めとする欧米諸国はこれを「新しい戦争」であると主張し、オサマ・ビン・ラディン氏と「アル・カイダ」をテロ組織とし、それを保護しているタリバン政権への軍事攻撃が、テロを根絶するための正当な報復であるという立場をとっています。日本政府は国際社会の一員として、この軍事的報復に際して「目に見える国際貢献」をしようとしています。
 力による制裁によって一時的にはテロが終焉するかも知れませんが、実際には報復は報復を産み、いずれさらなるテロを生み出す結果となることは明白です。
 テロリズムを撲滅するために戦争が必要なのではなく、正当な法的手続きによる理性的な対応が必要とされています。証拠の提示によるテロリストの摘発、各国の協力のもとでの逮捕、そして国際的法廷での裁判による決着がもっとも望ましい解決です。
 いったん軍事的報復がなされれば、アフガニスタンに住むテロに無関係な多くの人々をも殺傷し、莫大な数の難民を生み出す結果となることでしょう。これはテロ撲滅の名の下に、テロでの被害者と同じ悲しみをさらに多くの人々に強いることになります。
 テロ撲滅の名の下に、多くの人命を奪う結果となる軍事的報復を控え、国連を中心とした平和的解決を目指すよう米国に直言することこそが日本政府が第1になすべきことです。
 小泉首相は「湾岸戦争の屈辱」を再び繰り返さないよう「目に見える貢献」として自衛隊をインド洋に派遣しようとしていますが、これは真に意味ある「国際貢献」となるでしょうか。米軍の軍事行動の後方支援をすることは、はたして日本国憲法に違反しないでしょうか。後方支援は戦闘に直接参加するのではないから戦争に協力することにはならない、というのは机上の理論です。戦闘において後方支援、兵站こそが勝敗を決する重要な要素であることは昔からよく知られている事実です。武器弾薬の輸送となれば、これは明白に戦争への参加です。
 テロ撲滅のための国際支援への日本の参加は憲法の枠内で行われ、また、それは平和憲法の精神に則ったものでなければなりません。国際紛争の解決の手段として自衛隊を海外に派遣することは憲法の禁ずるところであり、日本政府は、テロの起きない世界を作り出すために平和的外交努力によって各国各勢力の信頼醸成に力を傾注することこそが長い目で見た場合の真の「国際貢献」です。
平和を希求し、憲法を守り、それを生かしてゆこうとしている皆様も、いまこそ声をあげようではありませんか。戦争被害の痛ましさを経験している国民として、世界に「報復戦争反対」の声をあげましょう。

アピール起草者
国際文化学部 黒川修司
商学部 吉川智教 永岑三千暉
理学部 一楽重雄

賛同者(1015日現在)
国際文化 22

商学部 16

総合理学研究科、医学部6