以下は、「あり方懇談会」のための資料として、研究交流課が行ったアンケートに答えたものである。

私自身の自分の研究の位置づけ、「地域貢献」に関する見解が含まれているので、公開し、関心を持つ方がたのご批判に供したい。

 

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研究に関するアンケートへの回答(2002年12月)

 

1.主な研究内容

(1)   ドイツ第三帝国のソ連占領政策

(2)   独ソ戦とホロコースト

(3)   二つの世界大戦とヨーロッパ統合の社会史

 

2.研究における特異性、特色など

(1)   開拓性・・・わが国では第二次世界大戦期のドイツとヨーロッパに関する一次史料に基づく研究は、ごくわずかである。

(2)   独自性と批判性・・・外国文献の紹介や翻訳が多い中で、第三帝国の中央諸官庁(特に帝国保安本部や占領当局)の秘密資料にもとづいて、独自の歴史像を提起し、欧米の研究に対して批判的に対峙している。

(3)   優位性・・・ホロコーストに加害・被害の両面で直接かかわる欧米の歴史家と違い、さまざまの立場を相対化し客観化できる。そこから、道徳的ものさしなどから自由な見地で、ホロコーストのダイナミズムを解明できる。 

 

3. 同様の研究者・・・歴史研究の場合、テーマの絞込みの具合にもよるので、人数の確認は困難。ホロコーストの実証研究ということで限定すれば、わが国では私以外に本格的な研究者はいない。外国では相当数のものが実証研究をし、とりわけ最近十年ほどの間に増えてきている。しかし、戦争の展開・占領政策の展開とホロコーストの展開の内的連関・ダイナミズムを秘密警察の一次史料でみていくものは、私以外にはいないのではないか。

 

4.横浜市への貢献・・・市民の世界大戦認識の深化拡大に、また、民主主義の底辺からの構築の重要性を認識するために、貢献するはずである。横浜市民が世界的な見地でものごとをと見るためには、市民が支える大学における私のような研究は意味があると考える。横浜市民が世界市民・地球市民の一部として、世界的視野を持つために不可欠な研究だと考える。そのような社会的責任を大学での研究教育を通じて果たそうとしている。

大学における研究教育は、個別具体的な問題のなかに貫徹する法則性や普遍性をえぐりだすことにあり、それに成功している度合いで、市民にも貢献するはずである。

横浜市民は、直接的な経済的利害などを超えた普遍的意義を持つ大学における研究・教育を支えることを通じて、世界に貢献する(その一部としての市民に貢献する)という媒介的な見地があると考える。学生アンケートからもそのような視野の広さは確認できた。

 

5.商学部 永岑三千輝

6.事例紹介・・・○