EUと企業関係〜AIRBUS(エアバス)社にみる企業とEU

K.R.Rep.No.2

 

目次

 

 

1.選択動機

 

2.EUは企業に何をもたらすか?

 

3.航空機業界簡略史

 

4.AIRBUS INDUSTRY社について

 

5.エアバスとボーイング社比較

 

6.EUAIRBUS INDUSTRY社に何をもたらすか?

 

 

 

 

1.選択動機

 

我々は航空機業界についてなにを知っているだろうか?ビジネス的視点から見る分野

としては非常に興味深いものの、航空機の発展の歴史や企業の様々な関係といった内

部事情を

 

知っているものは、少々マニアの域に入ってしまうほど、我々と航空機業界の関係は

薄い。また、航空業界は絶えずサービスを初めとしてさまざまな部分で発展し続けて

いるとはいえ、

 

我々はやはり渡航費や日数といったといった我々と関係ある部分に目を向けてしまう

のが現実であろう。かつては私もその一人であり、航空機業界のことを考えたことは

ほとんど皆無

 

であった。

 

しかし2005年1月19日、エアバスA380の完成が発表され、世界最大の航空

機の誕生を我々は知ることになった。BBCを初めとする様々なメディアに取り上げら

れ、賑わせたことは

 

我々の記憶に新しいと思う。そして、印象深かったのはヨーロッパ各国の首脳がその

式典に参加し、そのスピーチ(BBCではブレア首相とシラク大統領のスピーチが放送

された)のなか

 

で、その記事やニュースで取り上げられるたびに使われた「ヨーロッパの威信」とい

う言葉が耳に残った。

 

たしかに航空機の歴史においてそれは大きな一歩なのだろうが、ヨーロッパ首脳クラ

スまでがこの式典に参加する意義とは何であろうか?エアバスA380がもつ航空機

としての異議以

 

外の意義は一体何なのであろうか?このニュースを期に調べた航空業界では現在、

AIRBUS INDUSTRY社(以下 エアバス社)は業界大手として、またヨーロッパの威信

として活躍し

 

ている。

 

そこで「AIRBUS INDUSTRY社の存在はヨーロッパの統合の象徴としての存在である。

よってEUの統合はエアバス社にとって大きな利益がある」という仮説を立て、当主題

を選択した。

 

 

2.EUは企業に何をもたらすか?

 

まず第一に特殊とはいえ、エアバス社は紛れもなく企業の一つである。2004年5

月1日の統合は企業にとって一体どのようなメリットがあるのかをまず考えてみた

い。

 

EU拡大によって様々な現象が起こっている。

2004年5月8日に同志社大学で行われたEU Enlargement and Its Economic and

Business ImplicationsBernhard Zepter Ambassador and Head of Delegation)(

駐日欧州

 

代表委員会ホームページより)という講演で、氏は様々なビジネスにおける利点を

語った。(http://jpn.cec.eu.int/home/speech_en_Speech200504.php

 

企業経営にとって大きなファクターとして

 

(1)関税の撤廃

(2)検疫の廃止

(3)人材の移動の自由、

(4)新たな顧客を得ることができる。

(5)EUという単一市場の誕生

(6)加盟国がある一定の経済水準を越えていること。

 

ということを挙げている。その効果として

 

(1)については、資本の流動をスムーズにするため、より安価な資源を得ることが

できるといった効果が考えられる。

 

(2)については、国境を越えての取引の時間のロスがなくなった。

 

(3)については、優秀な人材がEU内を自由に行き来できるということは人材の幅が

広がり、またアイディアの幅はひじょうに大きなものになるだろう。元来、いわば一

国の資産

 

   ともいうべき人材や技術、アイディアが今、EU全体のそれらとなろうとしてい

るといってよいのではないか? 

 

(4)については、EUという巨大市場を媒介にして、それまで交易のなかった国と交

易関係をもてる。

 

(5)については、EUに加盟するためにはある一定の経済水準を満たさなくてはなら

ず、そのため経済的に不安定な状況でビジネスを行うということが避けられる。

 

   もちろん、マイナスのファクターも存在するが、以上のような点でEUは企業に

対してこれらのプラスのファクターを与えていると思う。

 

 

3.航空機業界簡略史

 

今回は民間航空機についての発表である。そのため、おおまかではあるが、航空史

(*資料1)および民間航空機産業界の歴史を見ておきたい。

 

ライト兄弟が1903年に人類初の飛行機開発に成功してから、2度の大戦をえて航

空機は飛躍的に進化した。その間に多く存在した航空機会社は倒産、あるいは撤退を

続け、1950

 

年代から世界の民間航空機会社として活躍したのはボーイング社、ダグラス社

(1967年にマクドネル・ダグラス)、そしてロッキード社(1981年に民間航

空機より撤退)であった。

 

特にボーイング社とダグラス社の競争は激しく、それに拍車をかけていたのが冷戦下

アメリカ軍とパン・アメリカン航空であった。

 

両者はより高い水準を要求し、その結果としてジェットエンジンの誕生やB747に代表

されるジャンボジェット機に代表されるように、飛行機技術は躍進を遂げ、現在に至

るまでその躍進

 

は続いている。

 

そのその過程において、ロッキード社は1983年に民間航空機部門から撤退し、マ

クドネル・ダグラス社も1997年にボーイング社に吸収合併された。

 

国単位でみていくと、SST(超音速旅客機)を除き、冷戦時代はアメリカとソ連の戦

いであった。両者の特徴は共に戦闘機等の軍事目的の航空機産業が盛んであったこと

である。つま

 

り、軍事目的に開発された技術が民間航空機に応用される(ジェットエンジンな

ど)、また軍の予算による援助が少なくなかったことが挙げられる。いわば、両国と

も軍と密接な関係を持

 

つことにより、その産業を成り立たせたと考えてよいだろう。

 

一方、ヨーロッパはSSTといった特殊な民間航空機の開発にこそ成功したものの、こ

れも結果的には失敗に終わり、またアメリカやソ連に対抗しようにも一国単位で対抗

するのは非常に

 

困難なものであった。そこで1970年にエアバス社が誕生するのである。

 

 

4.AIRBUS INDUSTRY社について

 

WikipediaおよびAIRBUS INDUSTRY社ホームページより、AIRBUS INDUSTRY社を紹介し

たいと思う。

 

Wikipediaより)

ジェット旅客機時代になり開発費の高騰などから、ヨーロッパの既存の各社が単独で

は、アメリカの航空機メーカーであるボーイングやダグラス(マクドネル・ダグラ

ス)、ロッキードへの

 

対抗が難しくなったことから、フランスのエアロスパシアル(現EADS)と西ドイツ

DASA(現EADS)が共同出資し、197012月に設立され、中型機の製作に取り掛かっ

た。これは後に

 

A300となる機体で、イギリスのBAeとスペインのCASA(現EADS)も参加して4カ国体制

となった。

 

完成したA300は、初めて作った旅客機のために信頼性がなかったので売上は非常に悪

く、エアバスは膨大な赤字を抱えたが、フランスと西ドイツ政府の全面的な援助に

よって成り立っ

 

ていた。新型機にはボーイングに対抗するため、次々に斬新なアイデアを機体に盛り

込み、特色を出した。1988年に旅客機初のフライ・バイ・ワイヤー機であるエアバス

A320が運航を開

 

始したことなどから、「コンピュータ中心のコクピット」と言われることも多い。

 

A320以降、急速に売上を伸ばし、マクドネル・ダグラスを追撃する勢いとなり、それ

まで静観していたボーイングは危機感を覚えた。そのため、仏独政府に手厚く保護さ

れた体制を批判

 

する強烈な非難キャンペーンを繰り広げた。エアバスもこれに反抗して、ボーイング

が米国政府と一体となって売り込んでいる姿勢をあからさまに批判し、双方が裁判に

持ち込むなど泥

 

仕合となったが、エアバスが完全に株式会社化したことで、組織体制の非難合戦は収

束した。

 

アメリカの大型ジェット旅客機製造メーカーが合併、統廃合の結果ボーイングのみと

なったため(ロッキードは1984年に旅客機から撤退、マクドネル・ダグラスは1996

にボーイングへ吸

 

収された)、現在、世界で大型旅客機を製造しているのはボーイング、エアバスの二

大メーカーだけとなっているが、1999年にエアバスは販売数でボーイングを追い抜

き、差を少しずつ

 

広げている。

 

民間向け製品についてエアバス社の製品群は世界初の2列通路、双発航空機「A300

機」から始まった。A300型機の短胴型はA310型機と知られる。西ドイツとフランス政

府の全面的

 

な支援を受けたエアバス社は、革新的なフライ・バイ・ワイヤー制御システムを備え

A320型機の計画を立ち上げた。A320型機はすばらしい商業的な成功をおさめる。

A318型機及び

 

A319型機はビジネスジェット機需要のために後になって制作された短胴派生型である

 (エアバス・コーポレイト・ジェット)。延長型はA321型機として知られボーイング

737型機の後期モ

 

デルと競争をする事になる。

 

長距離路線向け製品である、双発A330型機及びA340型機はウイングレッドによって強

化された有能な翼を備えている。エアバスA340-500型機はボーイング777-200LR型機

(航続距

 

17,446 km 9,420マイル) に次いで商業ジェット機で2番目に長距離である、

13,921 km (8,650マイル) の航続距離を持っている。

 

 

5.エアバスとボーイング社比較

 

(1)ボーイング社紹介

 

まずはボーイング社を紹介したい。

 

Wikipediaより)

この会社はアメリカ合衆国海軍技師ジョージ・コンラッド・ウエスターバレットと共

同で、1916715日にウィリアム・E・ボーイングによってシアトルにて設立され、

彼らの後ろの頭文字

 

から "B&W" と会社名が付けられた。この会社名はすぐに "Pacific Aero Products"

に変更され、1917年に会社名はボーイング航空機株式会社 ("Boeing Airplane

Company") と改名

 

される。

 

ものづくり精神にあふれる社風であり、多少の採算は度外視しても優秀な航空機を作

り続けた。その最高傑作といえるものがボーイング747である。747は開発前から株主

や資本家の

 

評判が悪く、完成後も航空業界から空席だらけの機体として酷評された。だが、747

を導入した航空会社は思い切った料金値下げに踏み切り、一般人が気軽に飛行機に乗

れる時代が

 

訪れた。747が好評を博すと、次々に買い手が現れ、現在にいたっても販売が続いて

いる。

 

747開発成功以来、長年にわたって旅客機業界で大きなシェアを占めてきたが、ヨー

ロッパで設立された多国籍企業エアバスが追い上げをかけたため、経営の多角化で乗

り切ろうとし

 

た。人工衛星などの宇宙分野や航空会社に資金を貸し付ける「ボーイング・キャピタ

ル」など、急速に手を広げた。また、航空業界再編により、1997年に長年のライバル

・マクドネル・ダ

 

グラス社を吸収し、同社の主力である軍需産業に主体を移している。本社も20019

月に西海岸のシアトルから、首都ワシントンD.C.により近くアメリカの中部にあるシ

カゴに移転した。

 

かつて主力であった民間機開発は777以来、株主や資本家の理解が得られないとい

う、かつては考えられない理由で中断されており、この間に次々と新型機を販売した

エアバスに、こ

 

こでも大きく溝を開けられた。販売数も1999年にエアバスに追い抜かれている。巻き

返しを図ろうと、高亜音速機ソニック・クルーザーや超大型機747Xの開発にも挑んだ

が、追い討ちを

 

かけるようにアメリカ同時多発テロ事件が発生。販売業績が悪化し、20年間で1000

以上を売り上げた757は、サイズ的に737新世代型と787のターゲットと重なることも

あり生産中止

 

に追い込まれ、新型機計画も立ち消えとなった。

 

2005年現在、およそ10年ぶりの新型機ボーイング787ドリームライナーを開発中であ

る。しかし、開発費全額を自己負担する事は避け、767777と同様、日本やヨーロッ

パでかつて下

 

請けをしていた企業とも、開発を分担し、開発費を分散させる策(リスクシェアリン

グ)を取っている。

 

一方の軍需部門では、空中給油機KC767発注をめぐり、国防総省との間で汚職の疑い

が持たれた事や、中国政府へ納入予定だったB767の機内から盗聴器が多数発見された

件、社

 

長の不倫が発覚し辞任に追い込まれたことなどにより信用が失墜している。

]

2000年代現在の状況として民間機部門ではエアバス社の総2階建ての大型機A380型機

の対抗馬であったソニック・クルーザー計画と、747型機を大型化したもので対抗す

るとした7

 

47X計画が次々に中断され、発注数でエアバス社に大きく溝をあけられている。

 

2005年現在、B787*ドリームライナーを開発中である。787型機は全日空 (ANA)がロー

ンチカスタマーとなった機種で、他の航空会社からもB757B767の後継として受注が

見込まれて

 

いる。

 

*ボーイングは2005128日(シアトル時間)に、それまで7E7と呼んでいた開発中

の機種を787と命名すると発表した。

 

軍用機部門として

 

大量の発注が見込まれたJSF競争において、自社のX-32がロッキード・マーティン社

X-35に破れた。また、シコルスキー社と共同開発し、米陸軍の次期攻撃ヘリコプ

ターだった

 

RAH-66コマンチ計画(ステルス機能を持つ攻撃ヘリ)も中止されるなど先行き不透明

な要素がやや多くなっている。海軍向け対潜哨戒機P-8Aや空軍の空中給油機KC-767

受注を

 

獲得したが、KC-767は汚職が問いただされており、社長が辞任に追い込まれた。

 

(2)ボーイング社の弱体化原因

 

1991年12月、パン・アメリカン航空が破産し、企業解散した。このとき、一つ

の会社が消えただけでなく、パン・アメリカン航空技術部という非常に重要なものが

消えた。この組織はア

 

ンドレプリースターの非常に厳格な基準に基いて設置され、メーカーが新型機の計画

に取り掛かった時点から実際に就航可能になるまで、助言と協力によって貢献してき

た。パン・アメ

 

リカン航空を初めとしていくつかの航空会社が技術部門を重視しており、その注文が

航空機の性能をより高度なものにしていった。90年代に入り航空会社は厳しいコス

ト削減の必要性

 

に迫られ、このような航空機メーカ−との関係も消滅した。航空会社は飛行機を飛ば

して利益をあげることだけに専念し、その飛行機の開発や設計に関与することは少な

くなった。

 

また同時多発テロなどの社会的問題やマーケットシェアにおいて独占状態が続いたた

め革新性のある新型機が登場しなくなったためではなかろうか?

 

(3)エアバス社の強さ

 

@エアバス社の企業理念

 

エアバス社企業理念を以下のように掲げている。

 

「設立当初からエアバスの企業理念は、顧客の意見に耳を傾け、そのニーズに応える

ことにあります。新しいアイディアや手法、それに新規素材の採用により乗客の期待

に応える、よ

 

 り快適な航空機、また航空会社のビジネス要求に見合った航空機の製造を行ってき

たのです。これによりエアバスは絶えず市場専有率を高めてきました。

 

 エアバスの企業文化の基礎になっているのは、革新性、創造性、そして自由な発想

です。エアバスの組織は国境を超えたものでありながら、各国個別の文化と言語の特

性を活かし

 

 たものになっています。これは、エアバスの進化と成長に欠かせない重要な要素で

す。」

 

この理念にはエアバス社がボーイング社に対する挑戦者であり、それを象徴するよう

にエアバス社は様々な分野において革新性のあるアイディアを採用している。

 

Aエアバス社の取り組み

 

1994426日、台北・中正国際空港発名古屋空港行きの中華航空機CI140便(エアバ

A300型機・登録番号B-1816)が、名古屋空港で着陸に失敗して墜落、乗客乗員271

人のう

 

264人が死亡し7人が負傷した。

 

この事故は、名古屋空港34滑走路に向けて着陸体制中に、副操縦士が誤ってゴー・ア

ラウンド(着陸復行、着陸を一旦中止してやり直すこと)スイッチを作動させたこと

で機体が上昇、

 

さらにゴー・アラウンドモードの解除に失敗したうえ自動操縦に逆らった操作をして

しまうなど、いくつもの人為的なミスが重なった結果、機体が急角度で上昇して失

速、失速点からほぼ

 

垂直に落下するような形で墜落に至ったという事故であった。このためエアバス社は

自動操縦のみならず、離発着までコンピューターによって制御できるようなシステム

開発に取り組ん

 

でいる。

 

また、現在はイギリスのヴァージングループに代表されるように低運賃エアラインの

存在が大きい。低運賃の航空会社は、とりわけ欧州圏内では近・中距離の路線でシェ

アを拡大しつ

 

つある。今のところは1割強だが、2010年には2割に達するであろう。英国ではすで

に低運賃エアラインがシェア6割を占めている。ドイツですら、低運賃航空の影響は

少ないといいなが

 

ら、25%になっている。 これから低運賃エアラインが増えるにつれて、競争はます

ます激化するにちがいない。

 

そして近年こうした低運賃エアラインこそが旅客機の大量受注を実現させ、そうした

中で、次々とホットな話題をつくっているのがA320ファミリーである。

 

2002年4月には、ニューヨークに拠点を置くアメリカの低運賃エアライン、

ジェットブルー航空から65機受注し、さらに50機の仮注文を受けた。IAEV2500

ンジンを装備して、2004年か

 

2011年までの間に引渡される。ジェットブルーは、これまでも46機のA320を発注

していたから、同航空のA320は確定発注分だけで111機になる。そのうち現在41機を

運航中。

 

 ジェットブルーによれば、「9.11以降の困難な状況の中で健全な経営を続けてゆく

には、A320のような安全で経済的で快適な旅客機を使ってゆくのが最良の方策」と

いう。その理由と

 

して、A320ファミリーは、このクラスの単通路の旅客機としては胴体幅が最も大き

く、客席がゆったりしているから快適である。また燃料消費が少ないので環境にもや

さしいし、騒音の

 

影響範囲も他にくらべて小さい。

 

「今のむずかしい状況の中で成長を続けるには、機種の選定を誤ってはならない。今

回発注したA320は、われわれの選定が誤りではなかったことを実証するであろう」

 

 

 A320ファミリーは、続いて中国のエアライン各社からも注文を受け、受注数が

3,000機を超えるに至った。運航する航空会社は100社を超えている。

 

 同ファミリーの大量受注は、これが初めてではない。昨年10月、欧州最大の低運賃

エアライン、イージージェットがA319120機発注した。このことを当時の新聞は

「ボーイング第2位

 

に転落へ」という見出しで報じている。もともと低運賃エアラインの機材はボーイン

737の独占に近い状態だったが、メディアはボーイングの引渡し数が初めてエアバ

スよりも少なくなる

 

という分析を立てた。

 

 そして今回のA380の登場は低賃金エアラインのみならず、全てのエアラインに

とって大きな衝撃になったのではないだろうか?

 

現在、2001年の同時多発テロを初めとして、様々なマイナスのファクターが存在

するものの、航空産業は大衆的なものになっている。増え続ける旅行人口に対し、大

型を超えた超大

 

型の旅客機は必需品になるであろう。

 

また低賃金エアラインにとって集客数は非常に需要な要素である。そのためエアバス

A380は非常に魅力的に映るのではないだろうか?

 

(4)両者の争い

 

(ライブドア・ニュース 31日 東京より抜粋) 

 

XFN-ASIAによると、米航空機最大手のボーイングと欧州エアバスに対する補助金撤廃

をめぐる米・EU(欧州連合)交渉が決裂したのを受けて、USTR(米通商代表部)の

ポートマン代表は30日、ウエブサイトを通じて、31日にもWTO(世界貿易機関)に紛

争解決の手続きを再開し、WTO内に紛争処理パネルの設置を申請することを明らかに

した。

 

また、AP通信によると、EU欧州委員会のピーター・マンデルソン委員(通商担当)27

日、同問題がWTOの紛争処理に持ち込まれるのを回避するため、ポートマン代表と電

話会談し、エアバスへの補助金の段階的削減の新提案を行ったが、米側は補助金の

「即時停止」を主張して、拒否していた。

 

同補助金をめぐっては、米国は、EUがエアバスの新旅客機製造を財務面から支援する

のは違法と主張し、また、EU側も、米政府がボーイングに対して、軍の契約発注を通

じて、不当な助成を行っていると非難している。米国によると、エアバスは2004年、

EUから150億ドルの補助金を獲得しており、また、EU側もボーイングは米政府から230

億ドルの優遇措置を受けていると指摘している。両代表は2日、初顔合わせとなる米

欧通商会談をパリで行い、同問題について、今後も協議を続けていくことで合意して

いた。【了】

 

ライブドア・ニュース 

 

 

このように現在、両者の対立はアメリカとEUの対立にもなっている。これはエアバス

EUの関係を見るに当って重要であると思い掲載した。ヨーロッパの産業としてだけ

ではなく、EU

 

アメリカと対する組織としての威信の対決がここに現れているのではないだろうか?

 

 

 

6.EUAIRBUS INDUSTRY社に何をもたらすか?

 

EU拡大により、大規模なクロスボーダー戦略がとれるのではないだろうか? 2で取

り上げたEUの利点を用いれば、より安いコストパフォーマンスを達成でき、より幅の

広いアイディアが

 

生まれてくるであろう。

 

航空業界において、アイディア、理論、技術は必要不可欠である。拡大後、エアバス

EU内という広い範囲でそれらを考えることができるのではないだろうか?

 

また、新たな顧客獲得に際し、EUという単一市場をアピールでき、さらEU他国を通じ

て新たな顧客やマーケットを開くことができる。また、EUが拡大すればその選択肢が

さらに広がって

 

いくだろう。

 

エアバス社の場合であれば、EUというバックアップのもとで動きが取れるために、EU

は非常に大切な存在に違いない。EU内にも航空機会社は数多くある。それらの航空会

社と提携をし

 

た場合、非常に強力なネットワークができあがる。さらにネットワークを利用して新

市場の開拓をすればいいのではないだろうか?

 

 

 

 

 

 

(参考資料)

ボーイングvsエアバス―旅客機メーカーの栄光と挫折ARIADNE DOCUMENT マシュー

リーン (),

ボーイング747を創った男たち―ワイドボディの奇跡 クライヴ アーヴィング ()

エアバスの真実―ボーイングを超えたハイテク操縦

 

*(資料1)

1783.11.21  熱気球の有人飛行(モンゴルフィエ兄弟)  

1783.12.01  水素気球の有人飛行(J.A.C.シャルル)  

1785.01.07  気球による英仏海峡横断  

1852.09.24  有人飛行船(H.ジファール)  

1862   内燃機関(E.ルノワール) 

1885   実用的自動車用エンジン

(ベンツ/ダイムラー) 

1896.08.09 リリエンタール墜死 

1900.07.02 硬式飛行船初飛行(F,ツェッペリン) 国際自動車レース

1903.12.17  有人動力飛行(ライト兄弟)  

1904.07  シベリア鉄道開通

1906.10.23 ヨーロッパでの有人動力飛行(デュモン) ジュラルミン発見(A.ウィルム

)

1907.11.13 ヘリコプターによる有人飛行(P.コルニュ) 

1908.08.08 ウィルバー・ライトによる公開飛行開始() 

09.17  初の飛行機事故  T型フォード発売

1909.07.25  英仏海峡横断(ブレリオ)  北極点到達(ピアリー)

08.22  初の飛行競技大会(ランス)  

10.22  女性の単独飛行(ド・ラロシュ) 

1910.03.28 有人水上機「イドラビオン」離水(ファーブル) ハレー彗星接近

1911.02.18 インドで世界初郵便飛行 

11.05 アメリカ大陸横断(ロジャーズ) 南極点到達(アムンゼン)

1912 モノコック構造「ドペルデュサン競争機」(ベシュロー) 「タイタニック号」沈没

1913.04.16  第1回シュナイダー・カップ(モナコ)  

09.23  地中海横断(ギャロ)  

1914.01.01  定期航空輸送開始

(フロリダ・タンパ−セントピータースバーグ)  パナマ運河開通

07.28   第一次世界大戦勃発 

1915.12.19  全金属機「ユンカースJI」初飛行(ユンカース)  

1918.05.15  定期郵便飛行開始(ワシントン-ニューヨーク)  

11.02   第一次世界大戦終結 

1919.02.08  初の国際線航空路開設(パリ-ロンドン)  

06.15  大西洋無着陸横断(アルコック/ブラウン)  

1923.05.03 アメリカ大陸無着陸横断(マックレディ/オークレー) 

1924.09.28 世界一周飛行(アメリカ海軍)  

1926.03.16  液体燃料ロケット(ゴダード)

1927.05.21 ニューヨーク - パリ間無着陸横断(C.リンドバーグ) 

1929.11.29 南極上空飛行(R.バード) 世界恐慌

1930.05.15 スチュワーデス初搭乗(ボーイング航空輸送会社) 

1931.10.05 太平洋無着陸横断(パングボーン/ハーンドン) エンパイアステート・ビ

ル完成

1932.05 女性による大西洋横断飛行(A.イヤハート) 

1933 ボーイング247・ダグラスDC-1初飛行 

04.03 エベレスト上空飛行(クライスデール/マッキンタイア) 

1935.07 実用ヘリコプター初飛行(ブルゲ/ドラン) 

12.22  DC-3初飛行 

1937.05.06 飛行船「ヒンデルブルグ号」炎上事故 「ゴールデンゲート橋」開通

1939.08.24 ジェット機「ハインケルHe178」初飛行(オハイン) 

09.03   第二次世界大戦勃発

09.14  単回転翼ヘリコプター「VS-300」初飛行(シコルスキー) 

  

1945.08.15  第二次世界大戦終結

1946.02.15  電子計算機「ENIAC

1947.10.14 「ベルX-1」による有人超音速飛行 

1949.03.02 無着陸世界一周(ゴーレガー他) 

07.27  ジェット旅客機「コメットT」初飛行(デ・ハビラント社) 

1952.07.31 ヘリコプターによる大西洋横断 

1954.07.15 ボーイング707原型機初飛行 

1957.10.04  人工衛星打ち上げ

1961.04.12  有人宇宙飛行(ガガーリン)

  

1968.12.31 ツボレフTu-144初飛行 

1969.02.09 ボーイングB747初飛行 人類月面着陸

(アームストロング/オルドリン)

03.02  コンコルド初飛行

1970 エアバス・インダストリー設立 

1971.02.04 ロールス・ロイス社倒産 

1973.10  第一次オイルショック

1979  第二次オイルショック

1981.04.14 スペースシャトル「コロンビア」打ち上げ 

1986.12.23 「ボイジャー」無着陸無給油世界一周(ルタン/イエーガー) チェルノブ

イリ原発事故

  

1996.03.15 フォッカー社倒産 

 

*(資料2)(エアバス社ホームページより)

 設立  197012

 

 本社  フランス、トゥールーズ

 

 従業員数  46,000人エアバス社の2つの組み立て工場はフランス、トゥールーズと

ドイツ、ハンブルクにある。

 

国別の従業員

    従業員   部品業者の従業員 

フランス 19,358 to be added

ドイツ 18,423 to be added

イギリス 8,688 to be added

スペイン 2,726 to be added

アメリカ合衆国 405+ 120,000

中華人民共和国 100+ to be added

総計 49,700+

 

(20031231日現在の情報)

 

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拠点ごとの従業員

 エアバス社の拠点 ¹      従業員数 

トゥールーズ

(Saint-Martin-du-Touch, Colomiers, Blagnac) (F)

 

 14,133

 

 

ハンブルグ

(Finkenwerder, Stade, Buxtehude) (G)

 

 11,185

 

 

ブリストル (Filton) (UK) 4,379

チェスター (Broughton) (UK) 4.309

ブレーメン (G) 3,051

マドリッド (Getafe, Illescas) (S) 2,243

サン・ナゼール (F) 2,227

Nordenham (G) 2,106

Nantes (F) 1,869

Varel (G) 1,172

Albert (Méaulte) (F) 1,129

Laupheim (G) 909

Cadiz (Puerto Real) (S) 483

ワシントンD.C. (HerndonAshburn) (US) 165+

ウィチタ (US) 140

北京 (PRC) 100+

マイアミ (マイアミスプリングス) (US) 100

総計  49,700+

 

(20031231日現在の情報)

 

 

 売上  194億ユーロ

 

 株主  EADS80%)、BAEシステムズ(20%)

 

 

欧州における拠点 

フランス 

 トゥールーズ、サンナゼール、ナント、モルト

ドイツ 

 ハンブルク、ブレーメン、ノルデンハム、スターデ、ヴァレル、ロープハイム(エ

アキャビン社)、ブクステフーデ(KIDシステム社)

スペイン 

 ヘタフェ、イジェスカス、プエルトリアル

英国   フィルトン、ブロートン

 

 

 

主な子会社 

エアバス・ノースアメリカ

エアバス・チャイナ

エアバス・ジャパン

エアバス・トランスポート・インターナショナル

 

 

補修部品センター 

ハンブルク(ドイツ)

フランクフルト(ドイツ)

ヴァージニア州アッシュバーン(米国)

北京(中国)

シンガポール

 

 

訓練センター 

トゥールーズ(フランス)

フロリダ州マイアミ(米国)

北京(中国)

 

 フィールド・オフィス  120カ所

 

 

現地顧客支援技術駐在員  175カ所

 

 運航中のエアバス機  3,000機以上