ドイツのワークシェアリングについて(T・K、第三回)
1.はじめに
ドイツにおけるワークシェアリングは、労働時間の短縮に伴う雇用確保という、時短と雇用のパッケージとして捉えられる。特に金属産業(IGM)を中心とした1980年代以降の時短運動が挙げられる。1973年に起きた第1次オイルショックは、西ドイツ経済にも深刻な影響を及ぼし失業も深刻化した。IGMは1977年に初めて35時間要求を掲げ、1985年4月から38.5時間が全労働者に適用された。
2.近年のワークシェアリングに関する動向
@VWとIGMは、1993年協約の内容(週28.8時間)を原則として続けている。
A労働時間が停滞する中での賃上げによる労働コストが増加対策として、労働時間の弾力化政策がとられている。
B高齢者パートタイム法(1996年より実施)
C「雇用のための同盟」(1996年・政労使による同意→失敗)
「仕事・訓練・競争力のための同盟」(1998年7月・政労使による同意)
Dパートタイム労働の促進
3.ワークシェアリングに関する労働者・労働組合・使用者団体の考え
(資料―表1〜3)参照
4.終わりに
1999年12月、ドイツ商工会議所の会頭は、ドイツ企業の競争力と雇用吸収力を増加させるためには労働時間を40時間に戻すべきだと述べた。経営者側は労働時間を長くすることが結果的に雇用創出に繋がると指摘しているが組合は反対している。このようにまだ問題が多いといえよう。
*参考文献・JIL調査研究報告書『欧州のワークシェアリング』(日本労働研究機構)
今回、西洋経済史を受講することで、EUの実態を認識し、その政治・経済から学ぶことの大切さを痛感しました。移民・失業など多く問題を抱えながらも、EUは現実に大きな力を示し続けています。東アジア共同体について言及されている昨今、日本にとってEUは考慮すべき存在だと思います。
以上