20060630ヨーロッパ社会論報告リスト

 

報告1.

コメント:第一次大戦の悲劇を記念する時にも、現在の問題(移民暴動、国内におけるムスリム社会の状態)が影響している。移民法や若者反乱の後では、今までは考えられなかった言葉が大統領の口から発せられるということ、国家を代表する人の言葉の重さを感じる。国内にいる多数の移民(少なくとも合法移民)をフランス人として処遇すべきであるとするなら、そして国内融和を堅固なものにしようとするなら。さらには、フランス以外のムスリムに対しても、フランスの民主主義的原理を表明しようとするならば。

 

報告2.

コメント:カタロニアの自治権拡大に関するニュースは、自治のあり方について、またヨーロッパの自治の到達点について、再考を促す。地方分権というのは日本でもよく言われますが、実態として日本で進行しているのは、地方の衰退・弱体化のようにも思える。過疎化、地方の地盤沈下が叫ばれて久しい。わが国においても、地方の力を付けないでいいのかどうか、が問われている。地方の力を付けるとは、地方の自立性・創造性を強めることとすれば、それを可能にする条件は何か、文化的創造性の基礎に言語があるとすれば、方言などの再活性化もひとつの課題となるかもしれない。カタロニアの風土や独自性を基盤に、ガウディの芸術やピカソの芸術が生まれたとすれば、あるいはそこに重要な源泉のひとつがあるとすれば、地域文化の普遍性についても、考える必要がある。いろいろ発展して行く問題であろう。

 日本の新聞記事と英文記事の食い違いについて、ゼミ終了後、指摘があった。次回にちょっとコメントして欲しいところ。

 日本の新聞記者と英字新聞記者との記事の違い(正反対)は、何を意味するか?

 本当は、カタロニア自治に関する法律をきちんと条文にそって点検してみることが必要。

 

報告3.

コメント:日曜日の開店の是非が問題になるフランス。驚くべきこと、日本では考えられないこと。一方で、働きすぎの日本? しかし他方で、余暇の買い物が自由にできる日本?ヨーロッパを考え、労働と余暇の関係を考えるいい素材。

 

報告4.

コメント:コソヴォ問題。先日も、ドイツの兵器輸出に関する資料を探していて、ドイツ連邦軍がコソヴォに派遣されていることを改めて確認した。日常的には忘れているけれど、国際連合の平和維持部隊がいなければ、なお物騒な地域なのだと再認識したところでした。それだけ、民族問題と宗教問題(宗教的違いと結びついた民族対立問題、ムスリムのアルバニア系住民とキリスト教のセルビア系住民)、民族問題とそれぞれの民族の自立性・時知性の問題、これらの解決は、パレスチナ問題を始め、いたるところでまかり間違えば血で血を洗う紛争を生み出しているのであって、21世紀世界の重要課題。

 21世紀の国際文化のあり方、平和構築のあり方を考えるためには、少なくとも日本がアジアでどのような態度をとるべきかを考えていく上では、貴重な思考素材。