2008年3月22日―24日京都合宿:
世界遺産の国際比較―ひとつの前提としての日本の世界遺産の調査―
1994年に京都の17の神社・仏閣・城などが世界文化遺産(「古都京都の文化財」)に認定され登録された。
中学・高校の修学旅行でそのいくつかを見た人は多い。金閣寺、銀閣寺、龍安寺、苔寺、天竜寺、宇治平等院、平安神宮・・・・
しかし、そのすべてを見た人はまだ多くはないだろう。
私もまだ見ていないものが多い。醍醐寺、上賀茂神社、下賀茂神社・・・、
2年次ゼミの合宿は、その世界遺産のいくつかを見ておこうということがひとつのきっかけとなった。
ゼミ生の一人が京都出身で、祖父(合宿のときに本棚に見つけた著書から知ったことだが大阪市立大学名誉教授で、瀧川事件で辞職した恒等恭の大阪商科大学=大阪市大時代の門下生・ゼミ生、「名誉革命の思想」研究などで著名な方だった)が、「新築したばかりの家を残して亡くなり、空いている」、「それならゼミ生の合宿に使わせてもらえるかもしれない」とのちょっとした話の弾みも、前提となった。
補: 恒藤恭の思想内容に関しては、Cf.天野和夫「恒藤恭の法哲学と唯物史観」、広川 禎秀 『恒藤恭の思想史的研究-戦後民主主義・平和主義を準備した思想』、関口安義著『恒藤恭とその時代』、山崎時彦『恒藤恭の青年時代』など。
共同行動の部分で、南禅寺などを見るほか、自由行動の時間帯には各人の希望・好みに合わせて、あるものは宇治の平等院を、あるものは比叡山の延暦寺を、あるものは、東寺を、あるものは祇園を、さらに現在の京都の繁華街をみるといったやり方をとった。
もちろん、世界文化遺産に登録されるには種々の条件が必要なわけで、逆に言えば、その条件が文化遺産選定における絶対的基準ではありえない以上、幾多の世界的文化遺産が、世界文化遺産として登録されていない(事実、知恩院など世界遺産に登録されていない著名な神社仏閣も登録に向けて動きを開始しているという)ことも事実であろう。
したがって、各人の「好み」・鑑識眼による文化遺産の価値選択と選択的な調査研究は、重要なこととなろう。
ともあれ、ゼミ合宿なので、全員で鍋物などを作り、外国出張から持ち帰ったドイツ・ワイン、淡路島のお土産・竹輪などの味見をしながら、また、ゼミ生が自由行動時間に思い思いに仕入れた品々(ぶり大根、ワッフル、ドーナツなど)をたべながら、懇談(シンポジウム)する時間が全体的な親睦と相互理解には有益だった。
自炊生活などで腕を上げている学生諸君の料理を楽しむ。
朝食の時には、前夜の鍋物であまった白菜などを利用したおいしい野菜スープもご馳走になった。
sym・po・si・um
1 シンポジウム,討論会.
2 (ある問題に関して何人かの人が寄稿した)論(文)集,論叢.
3 (古代ギリシャの)酒宴,宴会.
#ギリシャ語「一緒に飲む会」の意#
[株式会社研究社 新英和・和英中辞典]
私自身は、自由行動時間には、まだ見ていなかった世界文化遺産の東寺(空海)、延暦寺(最澄)を見ることを選んだ。とくに延暦寺は市内から遠く、ちょっとまとまった時間がなければ見ることができず、これまでチャンスがなかったので、今回はすばらしい機会であった。
比叡山延暦寺
坂本駅出発
見下ろす琵琶湖
比叡山延暦寺の門
大きくてうまく表現できないが、根本中堂。
御廟(すなわち、最澄の墓所)・・・ここで驚いたのが、没年56才。
天才の「早世」を知る。それとも、当時では長生きか?
親鸞修行の場所。
叡山ロープウェー側山頂付近から京都市街
御所、下賀茂神社あたりを鳥瞰。
京都市街に向かうため下山途中
清水寺(世界文化遺産「古都京都の文化財」の一部)へ
きよみず‐でら【清水寺】
京都市東山区にある北法相宗の寺。西国三十三所第16番の札所。山号、音羽山。本尊は十一面観音立像。開山は延鎮。805年(延暦24)坂上田村麻呂によって寺観が整い、平安時代以降観音の霊場として尊信される。本堂の前方、懸崖に臨んで舞台を架し、眺望に富む。せいすいじ。きよみでら。[株式会社岩波書店
広辞苑第五版]
東寺・教王護国寺
東寺・教王護国寺、823創建。五重塔は4回消失、現在の5代目は1644年、徳川家光の寄進で。
私の場合、幼稚園時代が善通寺市、住んでいた家が善通寺の境内そば、遊び場も境内やその周辺、
また、家の宗教が真言宗、祖母が二度も「お遍路」で4国一周していたこともあり、
「お大師さん」のことは、小さいときからよく耳にした。
特別展で「空海の歩いた道」という写真展が、食堂で開かれていた。
これを見て驚いたこと。
空海(774~835)は、中国に2年間留学しただけ。
しかし、同じ遣唐使船で出かけた最澄(年長で767~822)が一年間で帰ってきたことと比べると、長く留学したともいえる。
空海の歩いた道は、杭州から当時の都・長安までの長距離。これにも驚く。
(空海も61歳で死去・・・信者の心には「高野の山におわします」のであろうが・・・)
くうかい【空海】
平安初期の僧。わが国真言宗の開祖。讃岐の人。灌頂号は遍照金剛。
初め大学で学び、のち仏門に入り四国で修行、804年(延暦23)入唐して恵果けいかに学び、806年(大同1)帰朝。
京都の東寺・高野山金剛峯寺の経営に努めたほか、宮中真言院や後七日御修法の設営によって真言密教を国家仏教として定着させた。
また、身分を問わない学校として綜芸種智院しゆげいしゆちいんを設立。詩文に長じ、また三筆の一。
著「三教指帰」「性霊集」「文鏡秘府論」「十住心論」「篆隷万象名義」など。諡号しごうは弘法大師。(774~835)
→著作:『三教指帰』
→著作:『十住心論』
→作品:『性霊集』
[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]
みっ‐きょう【密教】
仏教の流派の一。深遠で、凡夫にうかがいえない秘密の教え。
インドで大乗仏教の発展の極に現れ、中国・日本のほかネパール・チベットなどにも広まった。
日本では、真言宗系の東密と天台宗系の台密とがある。秘密教。秘密仏教。#顕教けんぎよう。
→真言宗。
#―‐びじゅつ【密教美術】
[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]